日本料理の基礎知識

日本料理の用語集

だし・切り方・調理法・献立・器・厨房の言葉を、現場の使いどころつきで整理した日本料理の用語集。

最終更新 2026年10月20日 WashokuJob

日本料理の用語は、「だし・味つけ」「切り方」「火入れ・調理法」「献立・料理の種類」「器・もてなし」の5つに分けると覚えやすくなります。このページでは、厨房で実際に飛び交う言葉を、新人や海外から日本料理の現場に入る人向けに、短い定義と使いどころで整理しました。

日本料理店で働き始める人、海外の和食店で日本人料理人と一緒に働く人、採用面接で用語を確認したい店主・料理長のためのページです。だしの取り方など手順はだしの基本と現場のコツ、切り方の練習は包丁と切り方の基本を参照してください。

目次

  1. 和食とは何か(登録の背景)
  2. だし・味つけ
  3. 切り方・下ごしらえ
  4. 火入れ・調理法
  5. 献立・料理の種類
  6. 器・盛りつけ・もてなし
  7. 厨房の役職と符丁
  8. 出典と編集方針

和食とは何か(登録の背景)

「和食;日本人の伝統的な食文化」は、2013年12月にユネスコの無形文化遺産に登録されました。農林水産省は、和食の特徴として次の4点を挙げています。

登録の対象は、特定の高級料理だけでなく、日本人が日常と行事の中で受け継いできた食の習わし全体です。このため、日本料理の現場の言葉には、技術の用語だけでなく、季節や器、もてなしに関する言葉が多く含まれます。

だし・味つけ

一番だし(いちばんだし)
昆布とかつお節から短時間で引く、香りと澄んだ味を重視するだし。吸い物や茶碗蒸しなど、だしそのものを味わう料理に使う。
二番だし(にばんだし)
一番だしを引いたあとの昆布とかつお節から、もう一度とるだし。煮物や味噌汁など、他の味とあわせる料理に使う。
うま味(うまみ)
甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ基本味のひとつ。昆布のグルタミン酸、かつお節のイノシン酸、干ししいたけのグアニル酸が代表的で、組み合わせると強く感じられる。
昆布だし(こんぶだし)
昆布だけでとるだし。水にじっくり浸けて抽出する方法が基本で、精進料理や、魚介の風味を足したくない料理に向く。
煮干しだし(にぼしだし)
煮干し(いりこ)でとる、力強い風味のだし。味噌汁や麺つゆに使う。
合わせだし(あわせだし)
昆布とかつお節など、複数の素材を組み合わせたもの。うま味の相乗効果を狙う。
八方だし(はっぽうだし)
だしに薄口しょうゆとみりんなどを合わせた万能の味つけ。煮浸しや、お浸しの浸け地に使う。
吸い地(すいじ)
吸い物の汁。一番だしを塩と薄口しょうゆで調えたもので、椀種の味を引き立てる。
煮切り(にきり)
みりんや酒を火にかけてアルコール分を飛ばすこと。また、そのもの。味に丸みが出る。
みりん
もち米・米麹・焼酎などから作る甘みのある調味料。照りと上品な甘みを出し、煮崩れも防ぐ。
薄口しょうゆ(うすくちしょうゆ)
色が淡く、塩分は濃口より高めのしょうゆ。素材の色を活かしたい煮物や汁物に使う。
合わせ酢(あわせず)
酢に砂糖・塩・だしなどを合わせた酢。三杯酢、二杯酢、甘酢、土佐酢などがある。
たれ
焼き鳥やうなぎなどに使う、しょうゆ・みりん・砂糖などを煮詰めた甘辛い味つけ。店ごとに継ぎ足して育てる店もある。

切り方・下ごしらえ

面取り(めんとり)
大根やにんじんなどの角を薄く削ること。煮崩れを防ぎ、見た目も整う。
桂むき(かつらむき)
大根などを薄いシート状に、途切れさせずにむく技法。けんやつまの基礎になる。
けん
大根などを細い千切りにして刺身に添えるもの。
つま
刺身に添える薬味や青じそ、わさびなどの総称。
隠し包丁(かくしぼうちょう)
食材の裏側などに目立たない切り込みを入れること。火の通りと味のしみ込みをよくする。
飾り包丁(かざりぼうちょう)
見た目を整えるために入れる切り込み。松葉、菊、花形などがある。
三枚おろし(さんまいおろし)
魚を2枚の身と中骨の3枚にさばく基本の技法。
さく取り(さくどり)
おろした身を、刺身に切りやすい長方形のブロックに整えること。
平造り(ひらづくり)
刺身の基本の切り方。包丁を手前に引いて、厚みのある切り身にする。
薄造り(うすづくり)
ふぐやひらめなどの白身を、向こうが透けるほど薄く切る方法。
そぎ造り(そぎづくり)
包丁を寝かせて、身をそぐように切る方法。身が締まった魚や、皮目の弾力が強い魚に使う。
霜降り(しもふり)
魚や肉の表面に熱湯をかけ、または湯にくぐらせてから冷水に落とすこと。臭みやぬめりを取り、煮崩れを防ぐ。
塩締め(しおじめ)
塩を当てて余分な水分を抜き、身を締めること。
昆布締め(こぶじめ)
魚の身を昆布で挟み、昆布のうま味を移しつつ水分を抜く手法。
あく抜き
山菜やごぼうなどの渋み・えぐみを、水にさらす、ゆでる、重曹や米ぬかを使うなどして取り除くこと。

火入れ・調理法

煮方(にかた)
煮物・汁物を担当する持ち場、またその人。日本料理の厨房で味の要を担う。
焼き方(やきかた)
焼き物を担当する持ち場、またその人。
焼き霜(やきしも)
皮目を強火で炙ってから氷水で締める方法。皮の香ばしさと旨みを活かす。
塩焼き(しおやき)
塩をふって焼く最も基本の焼き物。飾り塩、振り塩など、塩の当て方にも名前がある。
照り焼き(てりやき)
しょうゆ・みりんなどのたれを塗りながら焼き、照りを出す調理法。
幽庵焼き(ゆうあんやき)
しょうゆ・酒・みりんに柚子などを加えた地に漬けてから焼く方法。
西京焼き(さいきょうやき)
西京味噌の味噌床に魚を漬けて焼く方法。
揚げ出し(あげだし)
素材に片栗粉などをつけて揚げ、だしをかけて供する料理。
天ぷら(てんぷら)
衣をつけて油で揚げる料理。衣を作りすぎない、温度を保つなど、現場での基本が多い。
炊き合わせ(たきあわせ)
複数の素材を別々に煮て、ひとつの器に盛り合わせた料理。
含め煮(ふくめに)
味をつけた煮汁に素材を入れ、火を止めて味を含ませる煮方。
蒸し物(むしもの)
蒸気で火を入れる料理。茶碗蒸しや蕪蒸しなど。
炊き込み(たきこみ)
米に具とだしを入れて炊くこと。
一汁三菜(いちじゅうさんさい)
ご飯に汁物、おかず3品(主菜1・副菜2)を組み合わせる家庭料理の基本の形。
懐石料理(かいせきりょうり)
茶の湯の席で、お茶をおいしく飲むために出す料理。もとは簡素な食事で、一品ずつ供するのが特徴。
会席料理(かいせきりょうり)
宴席で出す酒を楽しむための本膳形式の料理。現在の日本料理店のコースの基本形。
精進料理(しょうじんりょうり)
肉や魚を使わず、野菜・豆・穀物などで作る仏教の料理。
本膳料理(ほんぜんりょうり)
室町時代に形が整ったとされる、儀礼の膳立て。膳を複数並べる。
お通し(おとおし)/突き出し
注文した料理の前に出す小さな一品。席料の意味合いを含む店もある。
先付(さきづけ)
コースの最初に出る小鉢。前菜にあたる。
八寸(はっすん)
酒の肴として季節の珍味を数種類盛り合わせた一品。もとは八寸(約24cm)四方の杉の器に盛ったことから。
向付(むこうづけ)
刺身などをのせた一品。膳の向こう側に置くことから。
椀物(わんもの)
吸い物など、椀で供する汁物。コースの中心となる料理のひとつ。
焼き物(やきもの)
魚や肉を焼いた料理。
強肴(しいざかな)
コースの途中で、もう一品として出す料理。
止め椀(とめわん)
ご飯のときに出す汁物。味噌汁や赤だしが多い。
水物(みずもの)
コースの最後に出す果物や甘味。
おまかせ
料理の内容を店に任せるコース。寿司や割烹で一般的。

器・盛りつけ・もてなし

旬(しゅん)
食材がもっともおいしい時期。季節感を大切にする日本料理の出発点。
走り・盛り・名残(はしり・さかり・なごり)
旬の入り口(走り)、最盛期(盛り)、終わり際(名残)を指す言葉。献立にこの3段階を取り込む。
あしらい
料理に添える飾りや薬味。季節の葉、柚子の皮、木の芽など。
敷き紙・敷き葉(しきがみ・しきは)
器の上に敷く紙や葉。盛りつけの季節感と清潔感を演出する。
空間を活かす(余白)
器いっぱいに盛らず、余白を残して美しく見せる考え方。
おもてなし
客の立場に立って、先回りして心配りをすること。和食の接客の核にある考え方。
一期一会(いちごいちえ)
茶の湯の言葉で、この一度の出会いを大切にするという意味。懐石や割烹の接客の心得として語られる。
箸休め(はしやすめ)
濃い味の料理の合間に口をさっぱりさせる小さな一品。
お造り(おつくり)
刺身の丁寧な呼び方。
お膳(おぜん)
食事をのせる台、またはその料理一式。

厨房の役職と符丁

板長(いたちょう)/料理長
厨房の責任者。献立、仕入れ、人の配置を決める。
花板(はないた)
関西で、板長・料理長にあたる立場。
脇板(わきいた)
板長の補佐役。
追い回し(おいまわし)
見習いの立場。洗い場や下ごしらえを担当する。
仕込み(しこみ)
営業前の下準備。だしを引く、魚をおろす、野菜を切るなど。
賄い(まかない)
従業員向けの食事。料理人の修業の場でもある。
おあいそ
会計。もとは店側の言葉で、客が使うのは本来は避けるとされる。

符丁は店ごとに違います。入店したら、まず先輩に自店の呼び方を確認してください。

出典と編集方針

関連:だしの基本と現場のコツ/包丁と切り方の基本/季節感と盛りつけの考え方

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