アジア・オセアニア

香港出店の人材確保:料理長はGEP、調理はESLS

香港出店では、料理長は一般雇用政策(GEP)、調理スタッフは補充労働輸入計画(ESLS)と経路が分かれます。条件、給与の目安、ワーキングホリデーの活用を出店計画に沿って整理しました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 香港の数字
  2. 役割ごとに経路が分かれる
  3. 料理長:一般雇用政策(GEP)
  4. 調理スタッフ:補充労働輸入計画(ESLS)
  5. ワーキングホリデーと現地の日本人
  6. 出店スケジュールへの落とし込み
  7. チェックリスト

香港は、日本からの農林水産物・食品の輸出先として米国に次ぐ2位の市場で、日本の食材が手に入りやすい都市です。人材の面では、料理長と、その下で働く調理スタッフとで使う制度が分かれるのが特徴です。料理長は専門人材向けの制度、調理スタッフは労働力の輸入制度と、別々に計画を立てる必要があります。

この記事は、日本の外食企業やオーナーが香港に出店する場面を想定しています。制度ごとの申請の細かい流れは英語記事Hiring a Japanese chef in Hong Kongで扱っています。

1. 香港の数字

項目数字出典・時点
香港の在留邦人23,228人(都市別で10位)外務省、2025年10月1日
香港の日本食レストラン約1,480店(2023年比+80店)農林水産省、2025年
日本から香港への農林水産物・食品輸出2,228億円(輸出先2位、前年比+0.9%)農林水産省、2025年
法定最低賃金時給43.1香港ドル(2026年5月1日から)香港労工処
Cook(Japanese Cuisine)の月額賃金中央値19,670香港ドル香港労工処、ESLSの職種別賃金

日本食レストランの数に比べて日本からの食品輸入が大きく、日本の食材を使った店を開きやすい環境です。一方で、店の数が多くない市場で、経験のある和食の料理人を奪い合うことになります。

2. 役割ごとに経路が分かれる

役割主な経路ポイント
料理長、看板になる職人一般雇用政策(GEP)香港で容易に得られない専門性。市場水準の報酬
調理スタッフ(技能工レベル以下)補充労働輸入計画(ESLS)現地での募集が前提。同等の職種の中央値以上の賃金
若手の調理・ホールワーキングホリデー、現地採用期間限定。定住者は就労資格を確認

3. 料理長:一般雇用政策(GEP)

香港入境事務処によると、一般雇用政策(専門人材)の主な条件は次のとおりです。

審査は、必要書類と手数料がそろってから通常4週間とされています。許可される滞在は通常36か月(雇用契約がそれより短ければその期間)で、配偶者と18歳未満の未婚の子を帯同できます。

出店計画で大事なのは、学位を持たない料理人の場合、「特別な技能」と「実証された専門的能力」を書類で示す必要があることです。修業歴、担当した店、受賞歴、日本料理の調理技能認定などの資格を、採用が決まった時点から集め始めてください。

4. 調理スタッフ:補充労働輸入計画(ESLS)

技能工レベル以下の職種は、補充労働輸入計画(ESLS)の対象です。飲食関係の職種は、香港労工処が「Catering-related Posts」として一覧を公表しています。主な条件は次のとおりです。

Cook(Japanese Cuisine)の中央値は月19,670香港ドルです。ESLSで日本人の調理スタッフを呼ぶなら、これが給与の下限の目安になります。また、現地での募集が先に必要なため、開業直前に申請しても間に合いません。ESLSは制度の運用や様式が見直されることがあるため、申請前に労工処の最新の案内を確認してください。

料理長はGEP、調理スタッフはESLSと経路が違えば、準備の中身も期間も違います。1本のスケジュールにまとめず、役割ごとに逆算してください。

5. ワーキングホリデーと現地の日本人

日本と香港の間にはワーキングホリデー制度があり、年間の発給枠は1,500人です(外務省、2026年4月1日時点)。若手の調理スタッフやホールに、期間限定の戦力として組み込むことができます。制度の使い方はワーキングホリデーでの採用をご覧ください。

香港には23,228人の日本人が住んでいます。ただし、その人たちが飲食店で働けるかどうかは、本人の在留資格によります。駐在員の家族などを採用するときは、就労が認められているかを必ず確認してください。

また、最低賃金は2026年5月1日から時給43.1香港ドルです。現地採用のスタッフの時給設計は、この水準を下回らないようにします。

6. 出店スケジュールへの落とし込み

段階料理長(GEP)調理スタッフ(ESLS)・現地採用
出店決定候補者の選定。学歴・職歴・資格の書類集め日本人の調理スタッフが何人必要か、現地採用で埋められるかを判断
法人設立後雇用契約の確定と申請(書類がそろってから通常4週間)現地での募集を開始
開業前着任。現地スタッフの研修ESLSの申請。ワーキングホリデーの人材の採用

全体の逆算の方法は海外出店の人材計画にまとめています。

7. チェックリスト

本記事は一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。制度の内容は2026年9月時点で確認したものです。最新の要件は香港入境事務処と労工処の案内でご確認ください。

出典

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