和の食卓に欠かすことのできない「みそ汁」。その起源は鎌倉時代といわれています。みそ汁の基本食材である「みそ」は、日本の誇る発酵食品の一つ。たんぱく質の豊富な大豆が発酵する過程でできる、人間に必要な必須アミノ酸のすべてと、いろいろなミネラル成分を含んでいます。その上、酵母そのものを食べることで、ヨーグルトと同じように整腸作用が働き、美容と健康にとても良い食品です。

 私の好みは「大根おろしとなめこ」のみそ汁。すっきりした白みそと、やや辛口の赤みそを合わせて、荒目にすりおろした大根おろしになめこを加えて香りをたたせます。大根おろしのさっぱり感となめこの食感が交互に舌を楽しませ、飲みこむとおなかがじわっと暖まり、鼻からは美味しいかつお出汁の香りが抜けていく。まさに至福の一杯です。

 みそ汁の種類は、使うみそやその具材で無限に広がります。また、日本の津々浦々によっても、いろいろな楽しみ方がありますね。現代の人気のみそ汁は一位が豆腐、二位がわかめ、三位がねぎとなっているそうですが、江戸の人たちが毎朝飲んでいたのは「納豆汁」でした。納豆を少しすりつぶし、小松菜や豆腐とともにみそ汁の具にします。豆腐も納豆も、そしてみそもすべて大豆から作られます。江戸の人たちは禁止されている肉食や高価な魚の代わりに、この「納豆汁」で上手にタンパク質を補給していたようです。

 みそ汁は、現代医学の研究で、整腸作用によるアトピー症状の改善やがん予防、さらには美肌効果まで報告されています。カロリーも同量のポタージュスープに比べて半分以下で、塩分量も決して多くありません。和食の基本である「一汁三菜」に欠くことのできないみそ汁。皆さん、今日からでもぜひ楽しんでください。

出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

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