今回も、暦のお話です。

 春の節分に、その年の縁起の良い方角を向いて巻き寿司を食べる「恵方巻き」は、私の記憶では10年前くらいから、だんだん知られるようになってきた気がします。その由来には諸説ありますが、どうやら関西が発祥のようです。昭和7年に「大阪鮓商組合」がお寿司の販売促進のため「幸運の巻き寿司」の宣伝を始めたのが、いまの恵方巻きの始まりだといわれています。

 節分といえば「豆まき」を思い浮かべますが、そもそも節分とはどういう日なのでしょうか。

 日本には四季があります。旧暦で一年を24種類の季節を表す「二十四節気」では、季節ごとの始まりの日を「立春」「立夏」「立秋」「立冬」といい、その前日を「季節の替わり目=節分(季節の分かれ目)」といいます。今年の場合は2月4日が立春ですから、その前日の2月3日が節分というわけです。つまり、旧暦では2月4日が「春の始まり=お正月」となり、その前日の節分が大晦日ということですね。そのため、春の節分には古くから旧暦の年末年始を祝うさまざまな行事が行われており、豆まき(追儺式)などもその一つです。

 節分は季節の分かれ目なので、1年に4回あります。そのため、某有名コンビニが「夏の恵方巻き」や「秋の恵方巻き」など、それぞれの季節ごとに恵方巻きを考案して売り出そうとしたこともあるそうです。そう思うと、最近の恵方巻きブームは、日本の伝統行事というより「バレンタインデーのチョコレート」のようにお店の企画に乗せられている感じもありますね。

 ちなみに、今年の恵方は「北北西」だそうです。恵方巻きの具材は、七福神にあやかって7種類詰めるのがよいとされています。恵方巻きを信じる人は、ぜひ節分の夜に7種類の具材が入った恵方巻きを、北北西を向いて無言で黙々と1本食べきってみてください!

出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

https://www.sushi-tokyo.jp/blog-headmaster

写真の出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

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