新緑の季節が過ぎ、強い日差しの日が続いていましたが、東京では5月の下旬から雨が多くなりました。まもなく「梅雨(つゆ)」の季節ですね。この時期は、アジやイワシなどの青魚が旬を迎えます。これらの魚は、お魚屋さんに一年中並んでいますが、特にこの時期のものがおいしく、「梅雨アジ」「梅雨イワシ」などと呼ばれています。

 中でもアジは、その語源が「味がいいから」という説もあるくらいで、「刺身」や「たたき」、味噌と合わせて包丁でたたいた「なめろう」など、いろいろな料理があります。生で楽しむ以外にも、塩焼きにしてよし、煮付けてもよし、一夜干し(干物)にしても美味しい大衆魚です。

 今日はあじフライについてお話しします。

 大ぶりのアジを背開きにして、少し塩をふって冷蔵庫で30分くらい寝かせます。そうすると身から余分な水分とともに特有の臭みが抜けていきます。その後、衣をつけて高温でさっとフライにします。衣のサクサク感と、ふっくらとした身の旨味がとても美味しい一品です。

 ところで、「あじフライ」は和食でしょうか?それとも洋食でしょうか?ここは皆さんの間でも少々議論の分かれるところですね。「フライ料理」はそもそも洋食です(衣にパン粉を使います)。でも、とんかつは同じパン粉で揚げても、和食だと思う人が大多数でしょう。「フライ料理」は明治初期に日本に洋食として入ってきましたが、100年以上の年月をかけてすっかり「和食」化してきました。

 あじフライは、ソースやタルタルソースをかけて食べる人が多いようです。私のおすすめは、「醤油と和辛子」で食べる方法。衣のサクサクとした食感を楽しみながら、ふっくらとしたアジの身に醤油がしみてうま味がまし、アジ本来の美味しさが際立ってきます。あじフライを醤油で食べると、「やっぱりあじフライは和食だな」と実感できると思います。ぜひ一度試してください。

出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

https://www.sushi-tokyo.jp/blog-headmaster

写真の出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

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