今年も最後の月になりました。年末には1年の汚れを落とす大掃除をしたり、新年の準備をしたりと、何かと忙しい季節です。また、家族や地域の皆さんが集まって、「餅つき」をするという習慣があります。出来上がったお餅は、お正月にお雑煮や磯辺巻きなどで食べるだけでなく、「鏡餅」を作って正月の飾りとします。今回は、この「鏡餅」についてお話ししましょう。

 皆さんも鏡餅を見たことがありますよね。お餅を丸くして、何段か重ね、その上にミカンによく似た「橙(だいだい)」という果物を乗せた正月飾りで、平安時代にはすでに記録に登場します。丸いお餅の形が、神社のご神体などに使われる昔の銅製の鏡に似ていることから、「鏡餅」と呼ばれるようになりました。鏡餅は、歳神様(新しい年の神様)へのお供え物です。また、一説には丸い形はお月様を模しているとも言われています。月の満ち欠け(だんだん欠けて見えなくなっても、再び満月に戻ること)を見て、月の「再生力」にあやかりたいという願いが込められているのだそうです。

 鏡餅は12月28日頃からお正月の祝い(松の内)の間飾っておき、その後、木槌などで細かく割って、お汁粉などに入れていただきます。この日を「鏡開き」と呼び、来年は1月11日に当たります。歳神様にお供えしたものを人々がいただくことで、伝統的な「神人共食」の習慣に繋がります。日本では、昔からこのようにして新しい年を祝ってきたのです。

 最近では衛生上の問題から、餅つき大会を中止する自治体も増えてきて、とても残念なことです。でも、お店で「鏡餅」が手軽に買えるようになってきました。皆さんも、餅つきはしなくても、ぜひ「鏡餅」を飾って、日本のお正月を楽しんでいただきたいと思います。

出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

https://www.sushi-tokyo.jp/blog-headmaster

写真の出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

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