今回も美味しいお餅の話です。

 東北地方の名物に「ずんだ餅」というのがあるのをご存知ですか。特に仙台市では、「牛タン」「笹かま(笹型をしたかまぼこ)」と並び3大名物になっています。写真でもわかるように、枝豆を茹で、薄皮を剥いた後に細かく刻み、お砂糖と少しの塩をまぜた「ずんだ」といわれる餡をお餅に載せたり、餡でお餅をくるんだりした食べ物です。

 「ずんだ」という名前は、豆を打つ(豆打=ずだ)が語源だとされていますが、それ以外にも仙台藩伊達家に伝わる、戦いに使う陣太刀(じんだち)で豆を刻んだので、「陣太刀餅」という名がつき、それが東北地方の発音で「ずんだつもち」と聞こえ、そこから「ずんだ餅」になったという説もあります。面白いですね。

 ずんだ餡は見た目にも緑が鮮やかで、実際に食べてみると枝豆の風味がとてもよく、また少し豆のつぶつぶが残っていてとても美味しいお餅です。地元仙台のお店で食べると、何よりもお餅がとても美味しいことに驚かされます。この季節は冷たくして食べることもありますが、冷やしてもお餅はちっとも固くならず、それどころか風味や舌触りがぐんとよくなる感じがします。このずんだ餅は、お彼岸やお盆によく食べられるそうで、まさに仙台の「おはぎ」という存在ですね。

 仙台市内には、140年以上も続く老舗の「村上屋餅店」や、元老舗料亭であった甘味処の「彦いち」など、多くのお店で提供されています。(写真は「彦いち」のずんだ餅 1人前500円)。最近では、このずんだ餡を使って、饅頭や大福、どら焼きをはじめ、パフェ、ソフトクリーム、クレープなども売られており、そのバリエーションの広さには驚かされます。でもどれを食べてもやはり基本は「枝豆の美味しさ」にあるようです。皆さんもお土産などで目にする機会があるかと思いますが、仙台を訪れるチャンスがあれば、ぜひお店に立ち寄って、この「ずんだ餅」を味わってみてください。小豆とはひと味違った美味しい甘味が楽しめますよ。

出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

https://www.sushi-tokyo.jp/blog-headmaster

写真の出典:東京すし和食調理専門学校 学校長の一膳講座

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