英国・欧州

ベルギーで日本人料理人を採用する:地域別のシングルパーミット

ベルギーの労働許可のルールは地域ごとに異なります。ブリュッセルは料理長が人手不足職種、フランデレンは料理人に9週間の求人公開が必要。2026年の給与の下限とフランデレンの新手数料も。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. ベルギーでは判断が分かれている
  2. ブリュッセル:料理長は人手不足職種、料理人は対象外
  3. フランデレン:料理人は「その他」区分で申請
  4. ワロン
  5. 給与の下限と基準額
  6. 日本とのワーキングホリデーはない
  7. ベルギーでの採用プラン

ベルギーの在留制度は1つですが、労働許可のルールは3通りあります。日本から料理人を呼べるか、何を証明しなければならないか、いくら支払う必要があるかは、料理人が働く地域によって決まります。日本食レストランにとってその差は大きく、ブリュッセルでは料理長が人手不足職種のリストに入っている一方、フランデレンでは料理人の採用の前に9週間の求人公開が必要です。本記事では、2026年9月に各地域の当局の情報で確認できた内容をまとめます。

参考までに、外務省によると2025年10月1日時点のベルギーの在留邦人は5,592人です。

1. ベルギーでは判断が分かれている

90日を超えて滞在するEU域外の労働者には、在留と就労の両方をカバーするシングルパーミット(permis unique/gecombineerde vergunning)が必要です。就労の部分は地域が判断し、在留の部分は連邦の管轄で、移民局(Office des Étrangers/Dienst Vreemdelingenzaken)が扱います。地域の承認が出ても自動的にシングルパーミットが出るわけではなく、連邦の在留要件も満たす必要があります。

どの地域が判断するかは、働く場所で決まります。フランデレン政府の説明では、雇用主は労働者を雇用する事業所がある地域に申請します。労働者の主な勤務地を特定できない場合は、会社の登記上の本店所在地の地域になります。

申請は現在、連邦の単一オンライン窓口(Guichet unique/Uniek Loket、「Working in Belgium」)を通じて行います。ブリュッセルは、2026年5月4日以降、EU域外の人の労働許可の申請はすべてこの窓口経由となり、PDFの様式やメールでの申請は受け付けなくなったとしています。

2. ブリュッセル:料理長は人手不足職種、料理人は対象外

ブリュッセル首都圏地域では、申請先はブリュッセル経済雇用局(Direction de la Migration économique)です。2024年2月1日の経済移民に関するブリュッセル条例のもとで、飲食店に関係するルートは2つあります。

人手不足職種

ブリュッセルの職業安定機関Actirisは、2026年7月1日に人手不足職種を含む重要職種の最新リストを公表しました。HORECA(ホテル・レストラン・カフェ)の見出しの下にある人手不足職種はChef de cuisine(料理長)の1つだけです。したがってブリュッセルで料理長を採用する場合は、人手不足職種のルートを使えます。後述する一般区分と異なり、ブリュッセルはこのルートについてActirisによる労働市場分析が必要だとは説明していません。

「その他のケース」:労働市場テスト

料理長より下のポジションの料理人は、ブリュッセルの人手不足職種リストに入っていません。その場合は一般区分での申請となり、ブリュッセルの労働市場で適任者が見つからない場合にのみ許可されます。その労働市場分析はActirisに依頼されます。

ブリュッセルのリストは職種を示しており、料理のジャンルを示しているわけではありません。寿司職人を「Chef de cuisine」とするのは、実際に厨房の責任者である場合に限られ、そのことを契約書と職務記述書で示す必要があります。

3. フランデレン:料理人は「その他」区分で申請

フランデレンには2つのリストがあり、職種がどちらに載っているかが重要です。

VDABのリストには載っていても移民リストには載っていない職種は、「Overige」(その他)区分で申請します。フランデレン政府によると、条件は次のとおりです。

さらにフランデレンは2026年9月1日から、シングルパーミットの申請1件ごとに€180の地域手数料を課しています。在留部分に対する連邦の手数料とは別にかかります。初回申請と更新の両方が対象で、Uniek Loketで提出後15日以内に支払う必要があり、不許可や取り下げの場合も返金されません。金額は毎年1月1日に物価に合わせて改定されます。

4. ワロン

ワロンでは、ジャンブーにあるワロン公共サービス(Service Public de Wallonie)の雇用・労働許可部が労働許可を扱います。ワロンの当局は、労働市場へのアクセスは厳格であり、ベルギーとワロンの労働市場のニーズを考慮すると説明しています。確認できたワロンのページからは、料理人がワロンの人手不足職種リストに入っているかどうかを確認できなかったため、ここでは結論を出しません。採用を計画する前に、同部に直接問い合わせてください。

ドイツ語共同体は、オイペンにある同共同体の省を通じて、自らの地域の労働許可を扱っています。

5. 給与の下限と基準額

すべての人に:保証平均最低月収

給与は、業種ごとの合同委員会(paritair comité/commission paritaire)が定める水準を守り、保証平均最低月収を下回ってはなりません。フランデレン政府はこの額を2026年7月1日から月額総支給€2,233.60としています(2026年1月1日から€2,154.11、4月1日から€2,189.81)。フランデレンの中程度技能区分と「その他」区分では、合同委員会が定める熟練・技能労働者の水準以上を支払う必要があり、未熟練労働者の水準は認められません。

高度人材と料理長クラスの報酬

各地域は高度人材について別の給与基準を定めています。高等教育の学位が必要なため料理人に当てはまることはまれですが、どの水準に線が引かれているかの目安になります。

地域と区分基準額
フランデレン、高度人材、30歳以上年額総支給€48,912(2025年のベルギー平均。2026年8月時点で2026年も適用中)
フランデレン、高度人材、30歳未満年額総支給€39,129.60(80%)
ブリュッセル、高度人材月額総支給€3,703.44(ブリュッセル平均€4,748の78%)
ブリュッセル、EUブルーカード月額総支給€4,748

ブリュッセルでは、これらの基準に算入されるのは基本月給だけです。人手不足職種ルートや一般区分の料理人には、合同委員会の水準と最低月収が適用されます。

6. 日本とのワーキングホリデーはない

外務省がワーキング・ホリデーの相手国・地域として挙げている32か国・地域に、ベルギーは含まれていません。フランス、ドイツ、オランダと違い、若い日本人料理人をワーキングホリデーで迎える近道はありません。欧州のワーキングホリデー制度の記事もご覧ください。

7. ベルギーでの採用プラン

  1. 地域を確認する。料理人が働く事業所はどこにあるか。
  2. ブリュッセル:本当に料理長のポジションであれば、人手不足職種ルートを使う。そうでなければActirisによる労働市場分析を見込む。
  3. フランデレン:VDABのリストどおりに「Kok」または「Chef de partie」という職種名を使い、VDABとEURESで9週間求人を公開してから申請し、€180の手数料を支払う。
  4. ワロン:求人を出す前にSPWの雇用部門に問い合わせる。
  5. 給与は合同委員会の技能労働者の水準以上とし、月額€2,233.60を決して下回らないようにする。
  6. 連邦の単一窓口から申請し、その後在留の手続きを進める。

近隣国についてはオランダフランスの記事をご覧ください。すでに欧州にいる日本人料理人に届けたい場合は、WashokuJobに求人を掲載することもできます。

本記事は2026年9月に公的な情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民に関する助言ではありません。地域のリストや基準額は変わります。実際の手続きの前に、ブリュッセル経済雇用局、フランデレン政府の労働部局、SPW、または専門家に確認してください。

出典

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