英国・欧州

フランスで日本人シェフを雇う:就労許可と人手不足職種

2025年、フランスの日本食レストランは約3,390店に減少。日本人料理人を雇う方法として、被用者の就労許可、2025年の人手不足職種リスト、タレント・パスポートの限界、雇用主の費用を解説。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 縮小した市場
  2. ルートの比較
  3. 標準ルート:被用者(salarié)の就労許可
  4. 人手不足職種リスト(métiers en tension)と料理人
  5. タレント・パスポートとEUブルーカード
  6. ワーキングホリデー(PVT)
  7. 雇用主が負担する費用
  8. 手続きの流れ

フランスでは、雇用主が申請する就労許可を軸にした手続きで外国人料理人を雇います。2026年の朗報は、少なくとも一部の地域で料理人がフランスの人手不足職種リストに載っており、事前の求人広告が不要になる場合があることです。本記事では、標準ルート、リストが役立つ場面、そして雇用主が支払う費用を解説します。

1. 縮小した市場

農林水産省の調査では、2025年のフランスの日本食レストランは約3,390店で、2023年から約1,290店減少しました。日本食レストランの多い上位10か国のなかで、絶対数でこれより多く減ったのは中国だけで、減少率(約4分の1)ではフランスがもっとも大きくなっています。

外務省の統計では、2025年10月1日時点でフランス在留の日本人は36,023人で、海外の日本人コミュニティとして10番目の規模です。

市場の縮小は、雇用主にとって良い面と悪い面の両方があります。閉店した店から経験豊富な料理人が出てくる可能性がある一方、残った店は選択肢の増えた客を奪い合うことになり、厨房の質や本物らしさの重要性はむしろ高まります。

2. ルートの比較

ルート向いている人主な条件(2026年)
就労許可を得た被用者(salarié)ほとんどの料理人・シェフSMICまたは労働協約の水準以上の給与。その地域の人手不足職種リストに載っていない職種は労働市場テストが必要
タレント・パスポート(高度資格を持つ被用者)料理人が該当することはまれフランスで取得した修士相当の学位(または同等のルート)と、年間総支給額€39,582以上
タレント・パスポート(EUブルーカード)ごく上級のシェフ3年の高等教育または5年の同等レベルの職業経験と、年間総支給額€59,373以上
ワーキングホリデー(vacances-travail)18〜30歳の料理人1年、1回限り、フランス国内での資格変更不可

3. 標準ルート:被用者(salarié)の就労許可

ほとんどの厨房にとっては、これが基本のルートです。雇用主がANEFというオンラインの手続きサイトから就労許可(autorisation de travail)を申請します。政府の事業者向けポータルによれば、要点は次のとおりです。

就労許可が下りたら、料理人は在日フランス領事館で長期滞在ビザを申請し、フランス到着後にビザの有効化手続きを行うか、滞在許可証を取得します。

SMICは、自動引き上げの条件となる2%のインフレ基準を超えたため、2026年6月1日に時給€12.31(総額)、週35時間で月€1,867.02に引き上げられました(従来は€12.02と€1,823.03)。適用される労働協約がその等級にこれより高い最低額を定めている場合は、高いほうが適用されます。

4. 人手不足職種リスト(métiers en tension)と料理人

フランスの人手不足職種リストは2025年5月21日のアレテ(arrêté、省令)で改定され、2021年のリストに置き換わりました。リストは地域ごとに、採用の難しさと、その職種における非EU労働者の存在状況をもとに定められています。ある地域でリストに載っている職種については、雇用主は事前に求人を掲載しなくても非EU労働者を採用できます。

公式のページで確認できたことは次のとおりです。

確認できなかったこと:確認時点ではLégifrance(フランス政府の法令データベース)上の地域別附属書の全文にアクセスできなかったため、イル=ド=フランスを含むほかのどの地域が料理人を掲載しているかを公式に示すことはできません。業界紙はイル=ド=フランスに料理人が含まれていると報じていますが、公式の情報源では確認していません。免除を前提にする前に、2025年5月21日のアレテの附属書で自店の地域を確認してください。

リストが対象としているのは職業としての料理人であり、日本料理に特化したものではありません。そのポジションが適正な給与を支払う実際の料理人の職であることは、引き続き示す必要があります。リストで省けるのは3週間の求人広告であって、申請が自動的に通るわけではありません。

5. タレント・パスポートとEUブルーカード

タレント・パスポート(複数年滞在許可証「talent」)は複数年有効の滞在許可証ですが、そのカテゴリーは学位と高い給与を前提に組み立てられています。

注目すべきは、ブルーカードの職業経験による代替要件です。上級の立場で長い経験を持ち、€59,373以上の給与を受けるエグゼクティブシェフであれば、原則として学位なしでも該当する可能性があります。高級店の料理長のポジションであれば、専門家に相談する価値があります。一般の調理担当には現実的ではありません。

6. ワーキングホリデー(PVT)

フランスと日本は2000年から(1999年12月から暫定的に)ワーキングホリデー協定を結んでおり、外務省によれば年間の発給上限は1,800件です。在日フランス大使館によれば、概要は次のとおりです。

雇用主にとって重要なのは資格変更のルールです。PVTで来て活躍してくれた料理人でも、フランス国内から被用者(salarié)の許可に切り替えることはできません。いったん帰国して標準ルートで申請し直す必要があるため、引き続き雇いたい場合はタイミングを計画しておきましょう。

7. 雇用主が負担する費用

3か月を超える仕事で初めて受け入れる場合、雇用主は国に一回限りの税を納め、付加価値税(TVA)の申告とあわせて申告します。政府の事業者向けポータルに掲載されている金額は次のとおりです。

契約期間月給雇用主の税額
3〜12か月SMIC以下€74
3〜12か月SMIC超〜€2,800.53€210
3〜12か月€2,800.53超€300
12か月以上€4,667.54未満月給の55%
12か月以上€4,667.54以上€2,567.15

無期雇用契約で月€2,300(総額)の料理人であれば、税額は€1,265です。これに、義務ではないものの決め手になることが多いリロケーション支援、航空券、最初の数週間の住居費が加わります。リロケーションパッケージのガイドと、海外採用にかかる費用の内訳もご覧ください。

8. 手続きの流れ

  1. 自店の地域の人手不足職種リストの附属書を確認する。料理人が載っていれば、France Travailでの求人掲載期間を省略できます。
  2. 載っていなければ、France Travailに3週間連続で求人を掲載し、記録を残す。
  3. 候補者と条件を合意する。SMICと労働協約の最低額以上の総支給額、勤務時間、住居の支援などです。要点は雇用契約のチェックリストにまとめています。
  4. ANEFで就労許可を申請する。2か月程度を見込みます。
  5. 料理人が日本で長期滞在ビザを申請する。
  6. 到着後に滞在の手続きを済ませ、雇用主の税をTVAの申告とあわせて納める。

近隣国との比較は、ドイツスイスのガイドをご覧ください。すでに欧州にいる日本人料理人に届けるには、WashokuJobに求人を掲載できます。

本記事は2026年9月に公的情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民に関する助言ではありません。フランスのルールや基準額は変更されることがあります。実行前にリンク先のservice-publicや各省のページを確認するか、専門家に相談してください。

出典

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