英国・欧州

フランスで日本人シェフを雇う:就労許可、HCR給与、費用

料理人(cuisinier)は2025年のイル=ド=フランスなど複数地域の人手不足職種リストに新たに掲載。被用者の就労許可、HCR労働協約の等級別給与、雇用主の費用、逆算スケジュールを解説。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

フランスは雇用主が申請する就労許可で日本人料理人を雇います。2026年は多くの地域で手続きが楽になりました。イル=ド=フランスをはじめ複数の地域で、料理人(cuisinier)が人手不足職種リストに新たに載り、3週間の求人広告が不要になったからです。給与はSMIC(2026年6月から月€1,867.02)が出発点ですが、HCR労働協約は等級ごとにより高い最低額を定めており、経験のある料理人への実際の提示額はSMICではなくその等級を上回る必要があります。雇用主税、許可取得までの最低2か月、そして2年で4分の1縮小した市場を踏まえた人材の探し方を見込んでおきましょう。

このページは、パリをはじめフランス各地で日本人料理人の採用方法と予算を検討しているオーナーやグループ人事向けです。標準的な就労許可のルート、2025年の人手不足職種リスト、HCRの給与等級、総費用、逆算スケジュールを解説します。料理人にはほとんど当てはまらないEUブルーカードについてはEUブルーカードのガイドを、欧州各国と比較したワーキングホリデー(PVT)については欧州のワーキングホリデーガイドをご覧ください。

目次

  1. 縮小した市場と、その対処法
  2. 標準ルート:被用者(salarié)の就労許可
  3. 2025年の人手不足職種リスト:料理人が対象に
  4. 給与:SMICだけでなくHCRの等級を見る
  5. タレント・パスポートとEUブルーカード
  6. ワーキングホリデー(PVT)
  7. 雇用主が負担する費用
  8. 逆算スケジュール

1. 縮小した市場と、その対処法

農林水産省の調査では、2025年のフランスの日本食レストランは約3,390店で、2023年から約1,290店、割合にして約4分の1減少しました。日本食レストランの多い上位10か国のなかで、減少率ではフランスがもっとも大きくなっています。外務省の統計では、2025年10月1日時点でフランス在留の日本人は36,023人で、海外の日本人コミュニティとして10番目の規模です。

採用にとって、これは良い面と悪い面の両方があります。閉店した店の料理人は市場に出ており、前の勤務先に紐づく許可でまだフランスに残っている人も、日本に戻った人もいます。ワーキングホリデーの候補者と同じ調理師学校や飲食業界の同窓ネットワークを通じて彼らにアプローチし、日本人の応募者にはすでにどのようなフランスの在留資格を持っているかを必ず確認してください。すでに就労できる資格を持つ人であれば、許可の問題自体がなくなります。一方で、残った店は限られた客とスタッフを奪い合っており、給与への期待はむしろ上がっています。実務経験のある人には、法定の下限ではなく相場で予算を組んでください。

2. 標準ルート:被用者(salarié)の就労許可

ほとんどの厨房にとっては、雇用主がANEFというオンラインサイトから就労許可(autorisation de travail)を申請するのが基本ルートです。政府の事業者向けポータルによれば、要点は次のとおりです。

許可が下りたら、料理人は在日フランス領事館で長期滞在ビザを申請し、フランス到着後にビザの有効化手続きを行うか、滞在許可証を取得します。SMICは、自動引き上げの条件となる2%のインフレ基準を超えたため、2026年6月1日に週35時間で時給€12.31(総額)、月€1,867.02に引き上げられました。適用される労働協約がその等級により高い最低額を定めている場合は、そちらが適用されます。

3. 2025年の人手不足職種リスト:料理人が対象に

フランスの人手不足職種リスト(métiers en tension)は2025年5月21日のアレテで改定され、2021年のリストに置き換わりました。リストは地域ごとに定められています。ある地域でリストに載っている職種については、雇用主は事前にFrance Travailに求人を掲載しなくても非EU労働者を採用できます。

公式の附属書を読んだ複数の情報源を突き合わせたところ、料理人(ROMEコードG1602)はイル=ド=フランスに加えて、ノルマンディー、サントル=ヴァル・ド・ロワール、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール、および海外県(グアドループ、マルティニーク、ギアナ、レユニオン)でも掲載されています。フランスの日本食レストランの大半はパリとその周辺にあるため、このページの読者にとってはこれがもっとも重要な変化です。

この情報は、Légifranceの附属書を一行ずつ直接確認したのではなく、その内容をまとめた複数の二次情報源を突き合わせたものです。求人広告のステップを省略する前に、自店の県が現行の附属書でどう扱われているかを確認するか、県庁に問い合わせてください。リストが対象としているのは職業としての料理人であり、日本料理に特化したものではありません。そのポジションが適正な給与を支払う実際の料理人の職であることは、引き続き示す必要があります。

4. 給与:SMICだけでなくHCRの等級を見る

ホテル・カフェ・レストランの労働協約(Convention collective HCR、IDCC 1979)は、等級ごとに月額総支給額の最低額を定めており、就労許可が実際にクリアすべき数字はSMICそのものではなく、この等級です。現行の給与表は2024年6月19日付の改定33号によるもので、入門レベルはSMICの上昇に連動しています。

等級HCRの区分月額総支給額の下限
コミレベルII、第1段階€1,867.02(2026年6月のSMICと同額)
料理人(cuisinier)レベルII、第2〜3段階€1,903〜€1,997
料理長(chef de cuisine)レベルIV、第1〜3段階€2,184〜€2,336

これらは法律上の下限であって相場ではありません。和食や寿司の実務経験がある日本人料理人、特にこれから育てるのではなく採用によって迎える場合は、その職責に見合う限り、料理長の下限を上回る提示額を想定すべきです。他国との比較は国別の給与ガイドをご覧ください。

5. タレント・パスポートとEUブルーカード

タレント・パスポート(複数年滞在許可証「talent」)は、学位と高い給与を前提に組み立てられた複数年有効の滞在許可証で、料理人が該当することはまれです。高度資格を持つ被用者のカテゴリーは、フランスで取得した修士相当の学位と年間総支給額€39,582以上を求めます。EUブルーカードの区分は、3年の高等教育または5年の同等レベルの職業経験のいずれかと、年間総支給額€59,373以上が必要です。その水準の給与で長い上級経験を持つエグゼクティブシェフであれば専門家に相談する価値がありますが、一般の調理担当には現実的ではありません。この点でフランスが欧州のほかの国とどう比べられるかはEUブルーカードのガイドをご覧ください。

6. ワーキングホリデー(PVT)

フランスと日本は2000年からワーキングホリデー協定を結んでおり、年間1,800件の枠があります。申請時に18〜30歳であること、ビザの有効期間は1年で発給は1回限り、フランス滞在中は滞在の延長も資格の変更もできません。欧州のワーキングホリデーガイドでは、この規定を他国と同じ表にまとめています。ここで重要なのは資格変更の壁です。PVTで来て活躍してくれた料理人でも、フランス国内から被用者の許可に切り替えることはできません。いったん帰国して標準ルートで申請し直す必要があるため、引き続き雇いたい場合はPVTの1年が終わるかなり前から手続きを始めてください。

7. 雇用主が負担する費用

3か月を超える仕事で初めて受け入れる場合、雇用主は国に一回限りの税を納め、付加価値税(TVA)の申告とあわせて申告します。

契約期間月給雇用主の税額
3〜12か月SMIC以下€74
3〜12か月SMIC超〜€2,800.53€210
3〜12か月€2,800.53超€300
12か月以上€4,667.54未満月給の55%
12か月以上€4,667.54以上€2,567.15

HCRの下限に近い月額約€1,950の料理人を無期雇用契約で雇う場合、税額は€210です。これにリロケーションを加えます。航空券、最初の1か月の住居、書類手続きの支援は、候補者にとって多少の給与差よりも重要です。リロケーションパッケージのガイドをご覧ください。

8. 逆算スケジュール

時期やること
12週間前自店の県で料理人が人手不足職種リストに載っているか確認する。載っていれば8週間前のステップに進む。
12週間前載っていない場合:France Travailに3週間連続で求人を掲載し、記録を残す。
9週間前候補者と条件を合意する。SMICと該当するHCRの等級以上の総支給額、勤務時間、住居の支援。要点は雇用契約のチェックリストにまとめている。
8週間前ANEFで就労許可を申請する。2か月程度を見込む。
4週間前許可が下りる。料理人が日本で長期滞在ビザを申請する。
到着滞在の手続きを済ませ、次のTVA申告で雇用主の税を納める。

変わる数字:SMICとHCR給与表の入門レベルは、SMICの自動引き上げが発動するたびに連動します(直近は2026年6月1日)。人手不足職種リストは定期的に見直され、直近は2025年5月21日のアレテで定められました。次回確認:次の申請前、遅くとも2027年1月。

よくある質問

パリやイル=ド=フランスでも、料理人は人手不足職種リストに載っていますか。

2025年の附属書をまとめた情報源によれば、載っています。ノルマンディー、サントル=ヴァル・ド・ロワール、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール、海外県も同様です。ただしこれは公式PDFの全文ではなく二次的なまとめから読み取ったものなので、3週間の求人広告を省略する前に、自店の県が現行の附属書でどう扱われているかを県庁に確認してください。

フランスで料理人の就労許可に必要な最低給与はいくらですか。

SMIC(2026年6月から月€1,867.02)か、その職務のHCR労働協約の等級のうち高いほう以上です。HCRの給与表では料理人が月額総支給額€1,903〜€1,997、料理長が€2,184〜€2,336で、経験のある候補者への実際の提示額はこの下限そのものではなく、それを上回る水準にすべきです。

就労許可の審査にはどのくらいかかりますか。

ANEFへの申請から通常2か月程度で、これに求人広告の期間が加わることがあります。手続き開始からビザの発給までは、全体で最低12週間を見込んでください。

雇用主が負担する一回限りの手数料はいくらですか。

初めて受け入れる際にTVA申告とあわせて納める税で、SMIC以下の短期契約なら€74から、月€4,667.54以上の無期雇用契約なら€2,567.15までです。HCRの下限に近い料理人であれば、この税額はおよそ€210です。

PVTで来た料理人は、フランス国内で通常の就労許可に切り替えられますか。

できません。PVT保持者はフランス国内から資格を変更したり滞在を延長したりできません。PVTで来て活躍している料理人を引き続き雇いたい場合は、いったん帰国して標準の被用者ルートで申請し直す必要があるため、1年のPVTが終わるかなり前から手続きを始めてください。

本記事は2026年9月に公的情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民に関する助言ではありません。フランスのルールや基準額は変更されることがあります。実行前に自店の県の現行のアレテの附属書、リンク先のservice-publicや各省のページを確認してください。

出典

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