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日本食普及の親善大使とは:要件・人数・推薦

農林水産省が任命する「日本食普及の親善大使」の仕組みを設置要綱から解説。2025年12月時点の225名の内訳、要件、推薦機関と任命の流れ、海外の和食店にとっての意味を整理しました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. どんな制度か
  2. 何人いるのか:地域別の内訳
  3. 親善大使の要件
  4. 任命の流れと推薦機関
  5. 任命後の活動と義務
  6. 海外の和食店にとっての意味
  7. 国の施策の中の位置づけ

「日本食普及の親善大使」は、農林水産省が海外への日本食の普及のために任命している民間の専門家です。海外で和食店を経営する方にとっては、自店の料理人の調理技能認定に関わることがあり、また自分自身が推薦される可能性もある制度です。

この記事では、農林水産省の設置要綱と公表資料をもとに、2026年9月時点の制度の仕組み、任命者数、要件と任命の流れを整理します。

1. どんな制度か

制度の根拠は「日本食普及の特別親善大使及び日本食普及の親善大使設置要綱」です。2015年2月26日に定められ、最新の改正は2026年4月10日です。要綱は2種類の大使を定めています。

日本食普及の特別親善大使日本食普及の親善大使
役割日本食・食文化の「広告塔」として国内外に発信する専門家の視点で、海外の日本料理関係者への助言などを通じて普及に取り組む
対象芸能人や著名人日本食料理人、料理学校関係者、食産業関係団体の役員・構成員、日本産食品を扱う流通事業者などの専門家(国籍は問わない)
任命者農林水産大臣(1名に限る)選考委員会の選考を経て、農林水産省輸出・国際局長
報酬協議して定める無報酬(交通費などの実費や謝金の受領は妨げない)

親善大使は、在任中に限り「日本食普及の親善大使」「Japanese Cuisine Goodwill Ambassador」の称号を使えます。この記事では、以下主に「親善大使」について説明します。

2. 何人いるのか:地域別の内訳

農林水産省の一覧(2025年12月時点)によると、親善大使は海外171名(70か国・地域)、日本国内54名、合計225名です。海外の親善大使の地域別の内訳は次のとおりです。

地域親善大使の数
欧州51
アジア43
北米27
中南米25
中東11
大洋州8
アフリカ6
海外計171

最初の任命は2015年2月で、国内の親善大使の一覧は2019年3月の任命までとなっています。近年の任命は海外を拠点とする人が対象で、2024年度は9名(2024年12月20日公表)、2025年度は15名(2025年12月15日公表)が新たに任命されました。

2025年度の15名の活動拠点は、インド、タイ、ベトナム、米国(3名)、ブラジル、ホンジュラス、コロンビア(2名)、ギリシャ、アルメニア、スペイン、スウェーデン、ガーナです。日本食レストランのオーナーや総料理長、寿司の学校や団体の代表などが含まれています。

3. 親善大使の要件

要綱は、親善大使を次のすべてを満たす日本食・食文化等の関係者としています。

  1. 海外における日本食・食文化等の普及に関する、公益性のある取組の実績がある
  2. 任命後も引き続き、海外への普及に取り組む意思がある
  3. 国内外の日本食・食文化等に関わる事業者や有識者とのネットワークがある
  4. 国内外への情報発信力がある
  5. 優れた人格と、日本食・食文化等に関する識見と力量がある
  6. 海外を活動拠点とする者で、任命後2年を超えて、その拠点で継続的に活動することが見込まれる
  7. 過去に解任や任命の取消しを受けたことがない

「公益性のある取組の実績」が最初に挙がっている点が重要です。要件の文言からは、店の経営の実績だけでなく、自店の商売を超えた普及活動(たとえば料理の講習や日本食の紹介の場づくり)の実績が求められていると読めます。

4. 任命の流れと推薦機関

親善大使は本人が応募する制度ではなく、推薦機関からの推薦を受けて、選考委員会が選考し、輸出・国際局長が任命します。選考委員会は、すでに任命されている親善大使と、日本食・食文化等の有識者で構成されます。

要綱が定める推薦機関は次のとおりです。

2025年度の任命について、農林水産省は「外務省等の協力のもと」任命したと公表しています。海外で活動していて推薦を受けたいと考える場合、推薦機関の顔ぶれから考えると、まず相談しやすいのは所在地の日本大使館・総領事館やジェトロの事務所でしょう。ただし、推薦の募集時期や具体的な手続きは公表資料では確認できませんでした。

5. 任命後の活動と義務

要綱は、親善大使の活動として次の3つを挙げています。

あわせて、次の義務があります。

6. 海外の和食店にとっての意味

調理技能認定で、店での経験が数えられる

農林水産省の「海外における日本料理の調理技能認定制度」では、シルバーとゴールドの要件に実務経験がありますが、海外の店での経験が数えられるのは、親善大使が推薦する海外の日本食レストランでの経験に限られます。現地スタッフに実務経験のルートで上位の認定を取らせたい店にとっては、親善大使との関係が直接の意味を持ちます。推薦の扱いは申込先の団体に事前に確認してください。制度の詳細は調理技能認定制度の解説にあります。

地域の日本食の人脈の中心になっている

親善大使は、要件として日本食関係者とのネットワークを持つ人です。地域の和食店の料理人や団体とつながる入口になりえます。ただし、親善大使は人材の紹介を役割とする制度ではありません。採用の相談は、あくまで個人的な関係の範囲にとどまる点に注意してください。

自分が推薦される可能性

海外で長く和食店を営み、地域で料理教室や日本食のイベントなどに取り組んできたオーナーや料理長は、要件に当てはまる可能性があります。称号は在任中に使えるので、店の信頼を示す材料にもなります。

7. 国の施策の中の位置づけ

農林水産省の「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(2025年5月改訂)は、日本産食材を継続的に扱う日本食レストランを増やす基盤として、海外で日本食を担う外国人料理人の理解と技能の向上を挙げています。そのための取組として、外国人日本食料理人の招へい研修、調理技能の認定、海外の料理学校への講師派遣と並んで、日本食普及の親善大使の任命が明記されています。

同じ戦略は、2026年1月から開始予定とされていた「在外公館料理人制度」との連携にも触れています。親善大使の制度は、輸出拡大の政策の一部として位置づけられているということです。輸出の数字については日本の農林水産物・食品輸出額、海外の日本食レストランの数については海外の日本食レストランのデータで解説しています。

本記事は一般的な情報であり、制度の運用に関する公式な説明ではありません。内容は2026年9月22日時点で農林水産省の設置要綱と公表資料から確認したものです。推薦の手続きについては、在外公館、ジェトロ、または農林水産省輸出・国際局に直接お問い合わせください。

出典

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