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日本料理調理技能認定を海外スタッフに取らせる方法

2024年改正後のゴールド・シルバー・ブロンズの要件、試験の中身、国籍別の認定者数、海外店舗の現地スタッフに取らせる手順までを、ガイドライン本文と農水省資料から整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

農水省の「海外における日本料理の調理技能認定制度」は、海外で働く外国人の料理人にブロンズ・シルバー・ゴールドの認定を与える制度です。2024年4月の改正で段階制になり、上位の認定には下位の取得が前提になりました。ゴールドの試験は日本国内でのみ実施されます。自店のスタッフに取らせる場合、まず5つの運用・管理団体に連絡し、近くで受けられる認定団体を探すのが最初の一歩です。費用は農水省の資料に記載がなく、各団体に個別の確認が必要です。

このページは、海外店舗の現地スタッフにこの認定を取らせたい日本人の運営者・料理長向けの、取得の手順を解説する実務ページです。候補者やスタッフがすでに認定を持っている場合にそれが何を意味し、どう本物か確かめるかは採用にどう関わるかのページで扱っています。国籍別・地域別の詳しい内訳の表はこのページが基準です。

目次

  1. どんな制度か
  2. 3段階の認定要件(2024年改正後)
  3. 求められる知識と技能
  4. 試験の中身
  5. 認定者数と国籍別の内訳
  6. 海外店舗のスタッフに取らせる手順
  7. 費用と申込先について分かっていること
  8. 店として何に使えるか、何に使えないか

1. どんな制度か

農林水産省は2016年4月1日に「海外における日本料理の調理技能の認定に関するガイドライン」を定め、2024年4月1日に改正しました。趣旨は、日本料理の知識と調理技能が一定のレベルに達した海外の外国人日本食料理人を、民間団体等が自主的に認定できるようにすることです。押さえておきたい点は3つ。国家資格ではなく、国のガイドラインに沿って民間団体が認定する制度であること。対象は外国人の料理人のみで、日本から採用する料理人の評価には使えないこと。そして認定されるのは個人であって、店ではないこと(農水省による海外の日本食レストランの認証制度は現在ありません)。

2. 3段階の認定要件(2024年改正後)

認定はゴールド、シルバー、ブロンズの3段階です。2024年4月1日の改正で、上位の認定は下位の認定を受けていることが前提になり、実務経験の年数も引き上げられました。

認定前提要件(いずれかに該当)試験
ブロンズなし国内外の日本料理学校、民間団体等が主催する10時間程度の短期料理講習会等で、所定の知識・技能の講習を受講認定団体が実施
シルバーブロンズ認定(1) 国内外の料理学校等の1年程度(150時間程度)の日本食コースを卒業・修了
(2) 日本国内の日本食レストラン、または日本食普及の親善大使が推薦する海外の日本食レストランでの実務経験が合計2年以上
(3) 農水省の委託・補助事業の日本料理コンテストで上位入賞し、審査員の推薦を受けた者
認定団体が実施
ゴールドシルバー認定(1) 日本国内の日本食レストラン、または親善大使が推薦する海外の日本食レストランでの実務経験が合計5年以上
(2) 農水省の委託・補助事業の日本料理コンテストの優勝者で、審査員の推薦を受けた者
認定団体が日本国内で実施

補足が2点あります。日本国内の調理師養成施設(調理師法に基づき都道府県知事の指定を受けた施設)を卒業した人は、シルバーの前提となるブロンズ認定が不要です。またシルバーの「150時間程度」について、農水省と運用・管理団体のQ&Aは、料理学校で履修する全科目の時間ではなく、ガイドラインが定める知識・技能に関する科目の履修時間を指すと説明しています。

古い要件に注意。農水省の制度ページの画像には、2026年9月時点でも改正前の簡略表記(ゴールド「概ね2年程度」、シルバー「概ね1年程度」)が残っています。実際の要件は、上表の2024年4月1日改正のガイドライン本文で確認してください。

海外店舗での経験が数えられる条件

ガイドラインが認める実務経験は「日本国内の日本食レストラン」または「日本食普及の親善大使が推薦する海外の日本食レストラン」での経験だけです(親善大使は農水省が2015年2月に始めた制度で、2025年度は15名が新たに任命)。自店での経験は、親善大使の推薦を受けていなければシルバー・ゴールドの要件には数えられません。事前に申込先の団体に推薦の扱いを確認してください。現実的には、多くの現地スタッフにとってシルバーへの道は150時間の料理学校コース修了になります。

3. 求められる知識と技能

ガイドラインは、認定ごとに修得すべき知識・技能を4分野で定めています。これは、そのまま自店の研修カリキュラムの骨組みとして使えます。

分野ブロンズシルバーで加わるものゴールドで加わるもの
日本の食文化日本の食文化日本食の知恵、食事の様式日本酒の知識
衛生管理食中毒の予防(シルバー以上は種類と予防)、服装、食材の取扱い、調理器具の洗浄と殺菌処理、加熱処理が必要な食材・食品
調理技能日本調理器具の使い方、食材の選び方、切る・むく、調味の割合、調理の手順・時間、盛りつけ、保存方法火加減・加熱の仕組み、出汁の取り方献立作成
おもてなし作法料理の置き方言葉、挨拶、心遣い

ブロンズの段階では出汁の取り方が入っていない点は、店の研修を組むうえで参考になります。まず包丁と衛生、次に出汁と火入れ、最後に献立、という段階設計は、実際の厨房での育成順序とも合っています。

4. 試験の中身

2025年4月24日に農水省と運用・管理団体が作成したQ&A(同年7月1日更新)によると、試験は実技と筆記の2種類です。ブロンズの実技は「魚の三枚おろし」と「かつら剥き」が必須課題で、審査は原則として全国調理師養成施設協会の実技検定審査マニュアルに基づきます。筆記は原則としてガイドラインの知識・技能から20問以上を出題し、7割以上の正答が合格ラインです。シルバーとゴールドの実技の基準は、農水省と運用・管理団体の間で統一に向けた調整が続いています。合否を判定する試験監督者の要件もあり、たとえばブロンズでは、シルバー以上の認定を受けた外国人、または同等以上と運用・管理団体が認めた日本人が1人以上必要です。

公式の教材はありませんが、Q&Aは参考テキストとして、日本料理アカデミーの「日本料理大全」(京都府立大学のサイトで日英版を無料公開)と、全国調理師養成施設協会の教材(日本語版のみ・有料)を挙げています。

5. 認定者数と国籍別の内訳

2026年3月31日時点の認定者は、ゴールド28名、シルバー1,337名、ブロンズ2,611名、計3,976名です。農水省の国籍別の集計から、地域別と主な国を抜き出します。

地域合計ゴールドシルバーブロンズ
アジア2,884181,2421,624
欧州468439425
北米373633334
中南米152015137
中東470443
大洋州350332
アフリカ170116
国籍合計ゴールドシルバーブロンズ
中国(香港等含む)1,1061356749
韓国6328476148
台湾4662185279
米国314423287
ベトナム229486139
タイ10713868
マレーシア7011653
カナダ5921047

集計は国籍別で、働いている国別ではありません。韓国はシルバーがブロンズを上回り、米国や欧州はほとんどがブロンズにとどまります。農水省調査による2025年の海外の日本食レストラン約18万1,000店で割ると、おおむね45店に1人で、認定を持つスタッフがいること自体がまだ珍しい状況です。

6. 海外店舗のスタッフに取らせる手順

認定の流れは「農林水産省 → 運用・管理団体(5団体) → 運用・管理団体が認定した認定団体 → 料理人」です。試験を行って認定するのは認定団体で、運用・管理団体はその認定団体を認め、基準の統一を図ります。2026年9月時点の運用・管理団体は、特定非営利活動法人日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)、株式会社TSAキャリア、公益社団法人全国調理師養成施設協会、株式会社VIDA Corporation、日本食・食文化振興協議会(JCDC)の5団体です。農水省は各団体の連絡先を一覧PDF(2026年8月10日更新)で公開し、活動内容や進捗は各団体に問い合わせるよう案内しています。

  1. 近くの認定団体を探す。認定団体は日本国内だけでなく海外にもあり、JCDCのサイトだけでも英国、カナダ、中国、トルコなどを含む22団体が掲載されています。自国をカバーする認定団体があるか、なければどう受験できるかを運用・管理団体に問い合わせるのが最初の一歩です。Q&Aによれば、試験監督者がいない認定団体でも、同じ運用・管理団体、さらには別の運用・管理団体の傘下から試験監督者の派遣を受けて試験を実施できるため(ブロンズは最初の適用から2年間が限度)、近くに体制がなくても道がないとは限りません。
  2. 対象者を選ぶ。外国籍の調理スタッフであること。まずは10時間程度の講習と試験で勤務と両立させやすいブロンズから。シルバーを目指すなら、料理学校の日本食コース(150時間程度)の修了が現実的なルートです。実務経験で申請する場合は、前述の親善大使の推薦の扱いを先に確認してください。
  3. 店の中で準備する。ブロンズの実技課題の三枚おろしとかつら剥きは、日々の仕込みの中で練習できます。日本人の料理長がいる店なら、ガイドラインの知識・技能の一覧を研修項目とし、試験前の数週間に集中して指導すると効率的です。

7. 費用と申込先について分かっていること

正直に書くと、受験料や認定料について、農水省の公表資料には記載がありません。ガイドラインにも手数料の定めはなく、費用は各団体が決めていると考えられます。本記事の作成にあたって全国調理師養成施設協会、VIDA Corporation、JCDCの公式サイトを確認しましたが、受験料・認定料の金額は掲載されていませんでした。

また、2026年9月22日に確認した時点で、VIDA Corporationの調理技能認定のサイトには「新規認定者の受け入れを停止しております」と表示されていました。申込先を選ぶときは、各団体に受付状況と費用を直接問い合わせてください。

8. 店として何に使えるか、何に使えないか

使えること:「1年目にブロンズ、3年目にシルバー」のような研修の目標設定は、現地スタッフのキャリアパスとして分かりやすく定着にもつながる。日本から呼んだ料理人に現地スタッフの認定取得の指導役を任せれば、技術移転の成果が目に見える形になる(定着策の記事も参照)。現地で調理スタッフを採用するときの基礎技術の目安になる(候補者が持つ認定の詳しい見方はこちらのページ)。

使えない、または注意が必要なこと:農水省のロゴマークを使えるのは運用・管理団体と認定団体のみで、認定者のいる店がメニューや看板に独自にロゴを載せることは想定されていない。この認定が各国の就労ビザの要件として扱われるという公的な情報はなく、ビザ申請の材料になると考えて取らせるのは避ける。認定団体は認定者の氏名・国籍・居住国・勤務先を半年ごとに農水省へ報告し、在外公館やJETROに提供されることがあるため、受験前にスタッフへ伝えておくと親切。

現地スタッフの育成全般については現地スタッフに日本料理を教えるに、外国人料理人を日本で育てる別の制度については日本の食文化海外普及人材育成事業の解説にまとめています。

認定者数は農水省が年2回程度更新し、要件本文は2024年4月1日の改正以降変わっていません。費用や受付状況は団体ごとに随時変わるため、申し込み直前に必ず確認してください。本ページは2026年9月27日にmaff.go.jpで確認しました。

よくある質問

ブロンズ、シルバー、ゴールドの認定を取るには何が必要ですか。

ブロンズは約10時間の講習と試験です。シルバーはブロンズに加えて、約150時間の調理学校課程、対象店舗での2年以上の実務経験、またはコンテスト入賞のいずれかが必要です。ゴールドはシルバーに加えて5年以上の実務経験、または優勝実績が必要で、試験は日本国内でのみ行われます。

海外の自店での勤務経験は、シルバー・ゴールドの年数に数えられますか。

数えられるのは、その店が日本食普及の親善大使の推薦を受けている場合だけです。推薦のない海外の店での経験は対象外なので、多くの現地スタッフにとっては料理学校の150時間課程の修了が現実的な道になります。

認定にかかる費用はいくらですか。

農水省の公表資料に金額の記載はなく、運用・管理団体の公式サイトにも料金は載っていませんでした。費用は認定団体ごとに異なると考えられるため、受験を検討する団体に直接見積もりを依頼してください。

スタッフに受けさせるには、まず何をすればよいですか。

農水省が公表する5つの運用・管理団体(JRO、TSAキャリア、全国調理師養成施設協会、VIDA Corporation、JCDC)に連絡し、自店の国・地域で試験を行っている認定団体があるか、何語で受けられるかを確認します。近くに体制がなくても、別の認定団体から試験監督者を派遣してもらえる場合があります。

認定はビザの取得に使えますか。

各国の就労ビザの要件として扱われているという公的な情報は見つかりませんでした。ビザ申請の材料になると考えて受けさせるのは避け、渡航先の国が定める本来の要件で判断してください。

本記事は一般的な情報であり、制度の運用に関する公式な説明ではありません。要件と数値は2026年9月27日時点で農林水産省の公表資料から確認したものです。受験の可否、費用、日程は、必ず運用・管理団体または認定団体に直接ご確認ください。

出典

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