採用の進め方

現地スタッフへの和食研修:印刷できる12か月カリキュラム

農水省のシルバー相当の水準まで現地の調理スタッフを育てる、週単位・月単位の印刷用カリキュラムと、研修・後継者育成計画を求める就労パスの一覧、料理人を指導者にする方法。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

現地の調理スタッフは、農水省のブロンズ段階(10時間程度の講習と実技の積み重ね)を基準に、約12か月で日本人料理長が信頼できる水準に達します。以下のプログラムは、最初の3か月を週単位、その後を月単位のマイルストーンで示し、それぞれに実技確認とサインオフ欄を付けています。マレーシアでは、雇用パス(Employment Pass)カテゴリーIIとIIIについて、2027年1月1日から書面の後継者育成計画が義務化されます。自国でまだ義務でなくても、この記録は今から作っておく価値があります。

このページは、日本人料理長が認める水準まで現地の調理スタッフを育てたいオーナー向けで、料理長にそのまま渡して運用できるカリキュラムを扱います。研修の方法と農水省の基準がテーマです。厨房の全職種にわたるキャリアラダーの計画は和食厨房の後継者育成計画を、認定の仕組みと運用団体は農林水産省の調理技能認定制度をご覧ください。

目次

  1. 現地スタッフの育成が採用の問題になった理由
  2. 農林水産省の認定段階を基準とカリキュラムにする
  3. 印刷して使える12か月カリキュラム
  4. 研修・現地化計画を求める就労パスはどれか
  5. 日本人料理人を「教える人」にする
  6. 後継者育成計画のひな形
  7. よくある落とし穴(優先順位つき)
  8. 研修に使える資料

1. 現地スタッフの育成が採用の問題になった理由

2. 農林水産省の認定段階を基準とカリキュラムにする

農林水産省は、日本料理を手がける外国人料理人を対象に、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階で調理技能を認定しています。2026年3月31日時点の認定者は3,976名で、内訳はゴールド28名、シルバー1,337名、ブロンズ2,611名です。

段階ルート(2024年4月1日改正のガイドライン)店の研修での目安
ブロンズ10時間程度の講習の後、三枚おろしとかつらむきを含む試験新しく入った現地スタッフの3か月目の到達点
シルバーブロンズに加え、料理学校で150時間程度の学習、または日本国内の日本食レストランか親善大使推薦の海外店舗で2年以上の経験、または農水省支援コンテストでの上位入賞。そのうえで試験持ち場を任せられる現地スタッフ、12か月目前後の到達点
ゴールドシルバーに加え同条件で5年以上、またはコンテスト優勝。試験は日本国内で実施長期的に厨房を率いる現地の料理長

この枠組みを使うのに、誰かに認定を取らせる必要はありません。ガイドラインの4つの知識分野が、そのまま無料のカリキュラムになります。

この4分野に自店のカリキュラムを対応させれば、試験を受けるかどうかにかかわらず、研修生の記録は同じ形式で残せます。実際に認定取得を目指す場合は、運用・管理団体の仕組みを農林水産省の調理技能認定制度のガイドで解説しています。

3. 印刷して使える12か月カリキュラム

この2つの表を研修生ごとにコピーして使ってください。研修生が基準を実演したら、その行に料理長が日付とサインを入れます。空欄のままの行が、まだ済んでいない項目です。

週テーマ指導者研修生の実演内容サインオフ
1週目包丁の手入れと研ぎ、基本の切り方料理長基準どおりに研げる。かつらむきを毎日練習[日付/サイン]
2週目かつらむき、毎日練習料理長10cmを途切れず、2分以内で剥ける[日付/サイン]
3週目米研ぎ、炊飯、シャリの調味料理長自店のレシピどおりのシャリ。重さと温度を確認[日付/サイン]
4週目衛生と生魚の扱い料理長またはマネージャー現地の食品安全チェックリストに合格。生魚の温度記録が正しい[日付/サイン]
5〜6週目三枚おろし。まず安価な魚で料理長決めた時間内で三枚おろし、廃棄率が基準以下[日付/サイン]
7〜8週目厨房の日本語50語先輩スタッフ口頭・筆記のテストに合格[日付/サイン]
9〜10週目出汁を一から。たれや汁物の土台であることを理解料理長店の基準と目隠しで味を比べて合格[日付/サイン]
11〜12週目ブロンズ相当の模擬試験料理長切り方、衛生、1品の調理を時間内に通しで実施第1段階(ブロンズ相当)完了:[日付/サイン]
月テーマ指導者研修生の実演内容サインオフ
4か月目主要料理の調味の配合を書き出す料理長5品の配合表を作成し、料理長のものと照合[日付/サイン]
5か月目魚種ごとの刺身の引き方料理長3種類の魚を店の基準どおりに引ける[日付/サイン]
6か月目重さの基準に沿った握り料理長10貫を決めた重さの許容範囲内で握れる[日付/サイン]
7か月目ランチ営業でひとつの持ち場を回す料理長監督なしでランチ通し、やり直しなし[日付/サイン]
8か月目落ち着いたディナー営業でひとつの持ち場を回す料理長監督なしでディナー通し第2段階(持ち場を任せられる)完了:[日付/サイン]
9か月目季節の献立と食材選び料理長季節の一品を提案し、原価を計算[日付/サイン]
10か月目盛り付けと見た目の基準料理長写真の見本どおりに5品を盛り付け[日付/サイン]
11か月目自分の持ち場の発注、在庫の回転、歩留まり料理長またはマネージャー1週間、監督なしで発注。廃棄記録を確認[日付/サイン]
12か月目後輩に1つの技術を指導。忙しい営業を監督なしで回す料理長指導内容を研修記録に記入。忙しい営業を監督なしで完遂シルバー到達可:[日付/サイン]

研修生ごとに残したこの記録が、社内での昇格と、ビザの後継者育成計画で当局に示す証拠の両方になります。

4. 研修・現地化計画を求める就労パスはどれか

当サイトが扱う中で、期日つきの明確な義務はマレーシアだけです。改定された外国人雇用政策のもと、雇用パス(Employment Pass)カテゴリーIIとIIIの保持者には、2027年1月1日から書面の後継者育成計画が義務になります。入国管理局の外国人サービス部(Expatriate Services Division、ESD)は、求める書式をまだ公表していません。期日が近づいたら案内を再確認し、上記の記録をいつでも書式に合わせられるようにしておいてください。

シンガポールのCOMPASSは、雇用パスの承認条件として研修計画を求めていません。戦略的経済優先プログラム(Strategic Economic Priorities)の対象になっている企業にはボーナス点があり、NTUCの企業内訓練委員会(Company Training Committee)と連携することがそのルートの一つです。詳しくは料理人のCOMPASSポイントのポイント表をご覧ください。あくまで加点の可能性であり、申請の要件ではありません。

オーストラリアの482、カナダのLMIA、英国の各制度、当サイトが扱う米国のビザ区分については、研修計画や現地化計画に相当する条件は確認できませんでした。ここに名前のない制度については、関係当局に確認するまで、そうした条件はないものとして進めてください。

5. 日本人料理人を「教える人」にする

日本で修業した料理人の多くは、魚に触らせてもらえるまで何年も見て覚えてきました。そのやり方は12か月の期間では通用せず、誰も教え方を教えてくれなかったのは料理人の責任ではありません。

6. 後継者育成計画のひな形

外国人料理人が担う役職現地の後継候補現在のレベル目標レベルと期日記録
寿司の料理長[氏名]ブロンズ相当[期日]までにシルバー相当上記の各段階のサインオフ、研修記録、取得していれば認定証
板場の料理人[氏名]研修生[期日]までにブロンズ相当上記の各段階のサインオフ

自国でまだ義務化されていなくても、この記録は就労パスの更新や、外国人採用の必要性を当局に説明する場面でも役立ちます。

7. よくある落とし穴(優先順位つき)

まず直す、無料でできること:暇な週にしか進まない研修(繁忙期でも週2時間は守る)。書面の基準がないこと(「見せたとおりに」は基準ではなく、重さ・温度・写真が基準)。計画から日本人料理人を外すこと(採用時に教えることが仕事の一部だと伝え、契約書に書く)。

次に直すこと:研修生が最初の週から握りをやりたがるからと地味な基礎を飛ばすこと(米、包丁の手入れ、衛生が先で、それが固まれば残りは早く進む)。重要な技術ごとに教える人も教わる人も1人だけにすること(辞めれば振り出しに戻るので、最低2人を育てる)。

費用はかかるが重要なこと:給与を上げるつもりのない人を育てること。シルバー相当に達しても給与や肩書きが変わらなければ、その技術は競合店に持っていかれます。上の表の各段階を、研修開始前に決めた昇給と結びつけましょう。

8. 研修に使える資料

変わりうる数字:厚生労働省の有効求人倍率(毎月更新)、農林水産省の認定者数(毎年春に更新)、マレーシアの後継者育成計画の書式(2027年1月1日の開始前にESDが未公表)。次回確認は2026年12月です。

よくある質問

現地の調理スタッフが日本人料理人に信頼される水準に達するまで、どのくらいかかりますか。

このガイドの週単位・月単位のマイルストーンを使えば、シルバー相当の水準まで約12か月です。各段階に、料理長がサインオフする実技確認を設けます。ブロンズ相当という確かな基礎は、最初の3か月でも十分現実的です。

研修・後継者育成計画を法的に義務づけている国はありますか。

マレーシアは2027年1月1日から、雇用パス(Employment Pass)カテゴリーIIとIIIの保持者に義務づけており、多くの料理人ポジションが該当します。当サイトが扱うオーストラリア、カナダ、英国、シンガポール、米国の各制度には、同等の法的義務は確認できませんでした。シンガポールのCOMPASSは、NTUCの企業内訓練委員会と連携する企業にボーナス点を与えますが、これは要件ではありません。

農林水産省の認定段階とは何ですか。使う必要はありますか。

ブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階で、それぞれ日本の食文化、衛生、調理技術、おもてなしにわたる決まったカリキュラムがあります。誰かに認定を取らせる必要はなく、このカリキュラムはそれだけで無料の研修基準として機能します。

育てた調理スタッフが競合店に流出しないようにするには。

研修開始前に、各段階を給与や肩書きの昇格と結びつけ、書面にしておきます。新しい水準に達しても給与や肩書きが変わらない調理スタッフは、その技術を他店へ持っていく十分な理由を持ちます。

日本人料理人には、スタッフを指導する分の給与を上乗せすべきですか。

最初から、教えることを職務記述書と給与評価に組み込んでください。評価も報酬もなければ、厨房が忙しくなった最初の瞬間に、指導は真っ先に後回しにされます。

本記事は一般的な情報であり、法律や出入国に関する助言ではありません。後継者育成計画の要件は国や就労パスの種類によって異なり、変更される可能性があります。関係する出入国管理当局にご確認ください。

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