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ニューヨーク市で和食店を開く|DOHMH食品営業許可・LLC設立・酒類免許・税の手順

NY州の日本食店1,879軒の概況、LLC設立($200)と120日以内の新聞公告、DOHMHの食品営業許可($280、申請22日後に営業可)と食品保護講習、75人以上の集会所証明、SLA酒類免許の30日前通知、売上税8.875%、最低賃金とチップ・クレジットを公式情報で整理します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

目次

  1. 市場:ニューヨーク州の日本食店は1,879軒
  2. 市・州・連邦の窓口を分ける
  3. 会社設立:LLCは設立後120日以内の新聞公告が必要
  4. 市の食品営業許可:申請から22日で営業できる
  5. 年1回の抜き打ち検査とレターグレード
  6. 物件:75人以上は集会所の証明書
  7. 酒類:州酒類局(SLA)とコミュニティボードへの30日前通知
  8. 税:売上税8.875%と法人税
  9. 日本食材の輸入
  10. 人件費の前提:最低賃金とチップ・クレジット
  11. 日本人料理人のビザ
  12. 工程表の組み方

ニューヨーク市で和食店を開くときの窓口は、市、州、連邦の3層に分かれます。食品営業許可はニューヨーク市保健精神衛生局(DOHMH)、建物の使用はニューヨーク市建築局(DOB)、会社設立はニューヨーク州務局(DOS)、酒類免許はニューヨーク州酒類局(SLA)、売上税の登録は州税務財務局です。この記事では、2026年9月時点で市の事業者ポータル(NYC Business)と州の事業者ポータル(New York Business Express)に掲載されている費用・日数・条件を、開業までの順番に沿って確認します。とくに、市の許可申請に「州の売上税徴収許可証」が要ること、酒類免許の前に地域の「コミュニティボード」への30日前通知が要ることは、工程表に早めに入れておく必要があります。

1. 市場:ニューヨーク州の日本食店は1,879軒

農林水産省の2025年調査では、米国の日本食レストランは約26,360店で、2023年から約320店増えました。ジェトロが2026年に公表した米国の日本食レストラン動向調査では、2025年12月時点の全米の日本食レストランは23,981軒で、全米のレストラン718,575軒の約3.3%にあたります。州別ではニューヨーク州が2005年から2位を保ち、2025年は1,879軒(2022年比57軒の純減)でした。1位のカリフォルニア州(4,515軒、480軒純減)とともに減る一方、フロリダ州やテキサス州は増えています。

同じジェトロ調査は、ニューヨークでミシュランの星を獲得している日本食店として、三つ星1軒、二つ星3軒、一つ星15軒を挙げています。外務省の統計(2025年10月1日現在)では、ニューヨーク都市圏の在留邦人は38,251人(前年比2.4%増)で、都市別では3位です。店数が頭打ちのなかで高価格帯の評価が集まっている市場で、新規参入は業態と価格帯の設計で差がつきやすいと言えます。

2. 市・州・連邦の窓口を分ける

手続き窓口費用(2026年9月確認)日数・条件
LLCの設立ニューヨーク州務局(DOS)設立届$200、公告証明の届出$50処理は平均7営業日。設立後120日以内に新聞公告
売上税の徴収許可証(Certificate of Authority)州税務財務局—市の食品営業許可の申請に必要。取得に数週間かかることがある
食品営業許可(Food Service Establishment Permit)市保健精神衛生局(DOHMH)$280(冷凍デザートを作る場合は+$25)申請から22日後に営業開始可
食品保護講習(Food Protection Certificate)DOHMH—監督責任者が合格し、常時店にいること
集会所の使用証明(Place of Assembly)市建築局(DOB)—75人以上が集まる屋内空間
酒類免許州酒類局(SLA)SLAの料金表で確認コミュニティボードへ通知後30日待ってから申請

3. 会社設立:LLCは設立後120日以内の新聞公告が必要

ニューヨーク州でLLC(有限責任会社)を作る場合、州務局への設立届(Articles of Organization)の費用は$200で、処理期間は平均7営業日です(書面の申請では、至急処理を24時間$25、当日$75、2時間$150で頼めます。オンライン申請では至急料金は不要です)。

日本の経営者が見落としやすいのは、設立後の公告義務です。州の案内によると、LLCは設立届の効力発生から120日以内に、事務所所在地の郡の新聞2紙(日刊1紙と週刊1紙、郡書記官が指定)に週1回・6週連続で設立の公告を出し、公告証明を$50で州務局に届け出なければなりません。怠ると、州内で事業を行う権限が停止されます。公告の掲載料は新聞社に払うもので州の手数料とは別なので、設立費用の見積もりに別枠で入れておきます。LLCは2年ごとに$9の隔年報告書も提出します。

4. 市の食品営業許可:申請から22日で営業できる

レストランはDOHMHの食品営業許可(Food Service Establishment Permit)が必要です。NYC Businessの案内による主な条件は次のとおりです。

要点:DOHMHの許可は「申請後22日で営業可」と速い一方、その前提となる売上税の徴収許可証の取得に数週間かかります。会社設立の直後に州の売上税登録を申請するのが、日程を詰めるコツです。

5. 年1回の抜き打ち検査とレターグレード

許可を受けた飲食店には、毎年1回、予告なしの検査が入ります。DOHMHは検査でA評価を取るための資料を用意していて、有料($400)の事前相談サービスも提供しています。開業後の最初の検査を想定した準備が欠かせません。和食店では、刺身・寿司ネタの温度管理、酢飯の扱い、まな板や包丁の使い分けを、開業時から記録に残す運用にしておく必要があります(温度記録の付け方)。

6. 物件:75人以上は集会所の証明書

NYC Businessの案内では、75人以上が集まる屋内空間はDOBの集会所使用証明(Place of Assembly Certificate of Operation)の対象です。席数が多い店や、客席と待合を合わせて75人を超える計画の場合は、物件の使用証明(Certificate of Occupancy)と合わせて確認が必要です。DOHMHの許可は他の市・州の機関の要件をカバーしないと明記されていて、建物、消防、ゾーニングの確認は事業者の責任です。排気フードや消火設備の要件は物件ごとに違うため、契約前に設計者と経路を確認してください(排気計画の記事)。

7. 酒類:州酒類局(SLA)とコミュニティボードへの30日前通知

ニューヨーク州の店内提供用の酒類免許には、主に次の2種類があります。

New York Business Expressの案内では、申請時に、コミュニティボード(または自治体)への30日前通知と、その郵送・配達の証明が必要です(所定の様式を使い、通知から30日待ってから申請)。申請者は21歳以上で、米国市民であるか、SLAの勧告(Advisory #2015-21)に基づいて免許を保有できる資格が必要です。$1,000の保証証券(penal bond)、賃貸借契約書、店舗の図面、出資の記録なども求められ、指紋採取の費用が別にかかります。多くの小売業者は、臨時の営業許可(temporary retail permit)を申請でき、通常30日以内に酒類の販売を始められるとされています。日本酒、焼酎、ウイスキーがそれぞれどちらの免許の範囲に入るかは、酒類の分類に関わるため、メニュー構成を決めた段階でSLAに確認してください。

8. 税:売上税8.875%と法人税

このほかに州の法人税がかかります。LLCを法人課税にするか、パススルー課税にするかで負担が変わるため、設立前に日米の税理士に相談してください。

9. 日本食材の輸入

農林水産省の資料では、米国は原発事故に伴う日本産食品の輸入規制を2021年9月に撤廃しています。放射性物質に関する産地証明は不要です。自社で直接輸入する場合は、原発事故関連とは別に米国側の食品輸入手続きがあるため、輸入業者や通関業者と品目ごとに確認してください。

10. 人件費の前提:最低賃金とチップ・クレジット

ニューヨーク州労働局によると、2026年1月1日からのニューヨーク市の最低賃金は時給$17.00です。チップを受け取る飲食サービス従業員(Tipped Food Service Workers)は、現金の時給$11.35に、チップ・クレジット$5.65を合わせて$17.00とする扱いが認められています。ホールスタッフの時給をチップ・クレジット込みで組むか、チップを取らないサービス料込みの価格にするかで、メニュー価格と人件費率の設計が変わります。

仮にホール4人が1日6時間、月26日働くとすると、月の総労働時間は624時間です。最低賃金の$17.00で計算すると$10,608、現金時給$11.35なら$7,082.40で、差額はチップで埋まる前提になります。この前提は、許可申請の前、事業計画の段階で決めておく必要があります。

11. 日本人料理人のビザ

日本から料理人を呼ぶ場合のビザの種類、要件、給与水準はニューヨークで寿司職人を採用するで詳しく扱っています。ビザの審査期間は内装工事や許可の期間よりも読みにくいため、開業日を決める前に、料理長の着任時期の見通しを立ててください。

12. 工程表の組み方

  1. 物件の使用証明、席数(75人の線)、排気と消火設備の経路を確認する。
  2. LLCを設立し(平均7営業日)、すぐに州の売上税徴収許可証を申請する。120日以内の新聞公告も手配する。
  3. 賃貸借契約の後、コミュニティボードへの30日前通知を出し、同時に監督責任者の食品保護講習の受講を始める。
  4. 通知から30日後にSLAへ酒類免許を申請し、臨時の営業許可も申請する。
  5. 売上税徴収許可証と保険証明がそろったら、DOHMHの食品営業許可を申請する。申請から22日後が最短の開業日になる。

2026年9月に公開情報をもとにまとめた一般的な情報であり、法務・税務・入国管理に関する助言ではありません。制度や金額は変わるため、行動する前にリンク先でご確認ください。

出典

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