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ニュージーランドで和食店を開く|食品管理計画の登録・検証費用・酒類免許の区分

NZの日本食店500店・在留邦人21,471人の概況、会社設立と居住取締役要件、Food Act 2014の食品管理計画、ウェリントン市の登録・検査・検証費用、店の構造で決まる酒類免許の区分と手数料、法人税28%・GST15%を整理します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

目次

  1. 市場:日本食店500店、在留邦人は1年で5.7%増
  2. 会社設立:Companies Officeで登記、税の登録も同時に
  3. Food Act 2014:食品管理計画か全国プログラムか
  4. ウェリントン市の例:登録の流れと費用
  5. 和食店の食品管理計画で押さえること
  6. 酒類免許:費用は店の「コスト・リスク評価」で決まる
  7. 税:法人税28%、GST15%
  8. 日本食材の輸入と料理人のビザ
  9. 開業までの順番
  10. 開業後も続く手続きと費用(仮の計算)

ニュージーランドの飲食店は、Food Act 2014のもとで、事業の内容に合った食品安全の仕組みを選び、それを自治体(またはニュージーランド第一次産業省、MPI)に登録して、定期的に検証(verification)を受ける制度になっています。許可を一度取れば終わりではなく、登録の更新と検証が続く点が、日本の飲食店営業許可と大きく違います。この記事では、MPIが用意する食品管理計画の枠組みと、首都ウェリントン市が公表している登録・検証の費用、酒類免許の料金の決まり方、会社設立と税を、2026年9月時点の公式ページで確認した内容で整理します。自治体によって手数料は異なるため、金額はウェリントン市の例として読んでください。

1. 市場:日本食店500店、在留邦人は1年で5.7%増

農林水産省の2025年調査では、ニュージーランドの日本食レストランは約500店で、2023年から約20店増えました。オーストラリア(約2,230店、230店増)と比べると小さな市場です。

一方、外務省の統計(2025年10月1日現在)では、ニュージーランドの在留邦人は21,471人で前年比5.7%増と、主要国のなかでは伸びが目立ちます。都市別ではオークランド都市圏が10,952人(前年比4.0%増、21位)です。単純に割ると日本食店1店あたりの在留邦人は約43人(筆者計算)で、店の数に比べて日本人の人口に厚みがあります。店舗数が少ないぶん、業態の空白を見つけやすい一方、市場全体の大きさには限りがあるため、1店目の売上計画は控えめに見積もるのが安全です。

2. 会社設立:Companies Officeで登記、税の登録も同時に

Companies Office(会社登記所)の案内では、オンラインで口座を作って社名を予約($10+GST)したうえで、会社の設立を申請します($118.74+GST)。設立の申請画面で、内国歳入庁(IRD)の番号、GST番号、雇用主としての登録もまとめて行えます。設立後は毎年、年次報告(annual return)を$49.74+GSTで提出します。

取締役について、Companies Officeは「すべてのニュージーランド企業は、少なくとも1人、ニュージーランドに住んでいるか、オーストラリアに住んでいてオーストラリアで設立された会社の現職の取締役である取締役を置かなければならない」としています(後者の場合はオーストラリア会社番号ACNの提出が必要)。日本に住む役員だけでは設立できないため、現地の取締役の確保が最初の課題になります。

3. Food Act 2014:食品管理計画か全国プログラムか

ウェリントン市の案内によると、レストラン、カフェ、持ち帰り店などが食品を売るには食品登録証(food registration certificate)が必要で、MPIが作った次のどちらかの仕組みのもとで営業しなければなりません。

仕組み内容登録先
テンプレート食品管理計画(Template Food Control Plan)MPIが用意した様式から自店に当てはまる部分を選び、工程に合わせて書き換え、従業員を研修する自治体
カスタム食品管理計画(Custom Food Control Plan)リスクの高い事業者向けに独自に作る計画MPI
全国プログラム(National Programme 1〜3)テンプレートは使わないが、作った食品が安全であることを示す一定の記録を残す自治体

どれが自店に当てはまるかは、MPIのオンラインツール「My food rules」で判定するか、自治体の公衆衛生担当に相談して決めます。ウェリントン市は、登録を申請する前に計画をどう運用するかを決めておき、登録担当官が来たときにすぐ実行できる状態にしておくよう勧めています。

4. ウェリントン市の例:登録の流れと費用

ウェリントン市への申請には、有限責任会社であればニュージーランド事業者番号(NZBN)と設立証明書の写し、全国プログラムの検証を市以外の機関に頼む場合はその機関の確認書、複数店舗をまとめて登録する場合は複数店舗の明細書が必要です。書類の不足や申請料の未払いがあると、申請は処理されません。オンライン申請はクレジットカードでの支払いが前提です。

ウェリントン市では、申請書が揃ってから通常2週間以内に開業前検査を行います。市が公表している費用(いずれもGST込み)は次のとおりです。

項目費用時期
新規登録$201.00申請時
開業前検査(1時間)$201.00開業前
MPIの食品事業賦課金(2026年7月1日〜2027年6月30日)$99.19+処理料$12.65登録時・更新時
グリーストラップ(グリースコンバーター)$443.50登録時・更新時
グリーストラップ(ビッグディッパーまたはパッシブ型)$182.50登録時・更新時
食品管理計画の標準検証$802.50検証のたび
全国プログラムの標準検証$401.50検証のたび
食品管理計画の登録更新$101.00毎年
超過時間1時間$201.00検査が1時間、検証が2時間を超えた場合

仮に、食品管理計画で登録し、グリースコンバーターを使う店が開業する場合、開業までに市へ払う費用は、新規登録$201、開業前検査$201、MPI賦課金と処理料$111.84、グリーストラップ$443.50の合計$957.34になります(検査時間の超過がない場合)。開業後の検証$802.50と、毎年の更新料$101・賦課金・グリーストラップ料は、ランニングコストとして事業計画に入れておきます。

要点:ニュージーランドの登録は「店の場所」だけでなく「会社」にも結びついています。ウェリントン市は、所在地の変更、会社の変更(店名が同じでも)、新しい所有者としての既存店の引き継ぎを、申請が必要な「重要な変更」としています。居抜きで既存店を買う場合も、登録の手続きは自分で行う前提で計画します。

5. 和食店の食品管理計画で押さえること

テンプレートの食品管理計画は、MPIの様式から自店の工程に当てはまる部分を選んで作ります。和食店では、生魚の受け入れと保管、刺身・寿司の仕込みと提供、酢飯の扱い、出汁や煮物の冷却、アレルゲン(そば、ごま、甲殻類、大豆など)の管理が、書き換えの中心になります。検証では計画どおりに運用しているかが見られるため、計画書を作るだけでなく、記録を日々付ける人と点検する人を開業前に決めておく必要があります。記録の作り方は食品安全計画の記事で扱っています。

6. 酒類免許:費用は店の「コスト・リスク評価」で決まる

ニュージーランドの酒類免許(店内提供のon-licence)の手数料は、司法省が定める仕組みで、店ごとの「コスト・リスク評価」の点数から5段階の区分が決まります。司法省の説明による点数の付け方は次のとおりです。

申請料は新規・更新・変更のたびに、年間手数料は免許の交付日を基準に毎年払い、その一部は酒類規制免許庁(ARLA)に納められます。合計が0〜2点なら「とても低い」、3〜5点「低い」、6〜15点「中」、16〜25点「高い」、26点以上「とても高い」です。自治体は条例で手数料の額を変えられます。ウェリントン市の手数料(GST込み)は、申請料と年間手数料の合計で、とても低い$873.50、低い$1,651.00、中$2,390.50、高い$5,895.00、とても高い$9,362.50です。

別のバーを設けず、席でのみ酒を出す寿司店や定食店はクラス3(5点)に当たる可能性が高く、午前2時までの営業で違反歴がなければ「低い」区分です。バーカウンターを別に設ける居酒屋はクラス2以上(10点)となり「中」の区分に上がります。クラスの判断は自治体が行うため、図面の段階で確認してください。ウェリントン市では、酒類免許の検査官に平日の日中、無料で相談できます。既存店の酒類免許を引き継ぐ場合は、臨時の権限(temporary authority)という別の手続きと手数料になります。

7. 税:法人税28%、GST15%

8. 日本食材の輸入と料理人のビザ

農林水産省の資料では、ニュージーランドは原発事故に伴う日本産食品の輸入規制を2012年7月に撤廃しています。放射性物質に関する産地証明は求められません。自社で輸入する場合は、原発事故関連とは別にニュージーランド側の輸入要件がないか、輸入業者と品目ごとに確認してください。日本人料理人を呼ぶ場合の就労ビザはニュージーランドで日本人料理人を採用するで扱っています。

9. 開業までの順番

  1. ニュージーランドまたはオーストラリアに住む取締役を決め、Companies Officeで社名を予約して会社を設立する。IRD番号とGST登録も同時に申請する。
  2. 物件を決める前に、グリーストラップの種類と、酒類のカウンター設計(クラス2か3か)を設計者と決める。
  3. 「My food rules」で仕組みを判定し、テンプレートの食品管理計画を自店向けに作る。
  4. 自治体に食品登録を申請し、開業前検査を受ける(ウェリントン市では通常2週間以内)。
  5. 酒類免許を申請する。申請料と年間手数料は区分で決まる。
  6. 開業後、計画どおりの運用と記録を続け、最初の検証に備える。

10. 開業後も続く手続きと費用(仮の計算)

ニュージーランドの食品登録と酒類免許は、開業後も毎年の支払いと定期的な検証が続きます。ウェリントン市の料金表では、食品管理計画の登録更新は毎年$101、全国プログラムの登録更新は2年ごとに$101で、更新のたびにMPIの賦課金とグリーストラップの料金もかかります。

仮に、食品管理計画で登録し、グリースコンバーターを使い、酒類免許が「低い」区分の店が、ある年に1回の標準検証を受けたとします。その年にウェリントン市へ払う額は、登録更新$101、MPI賦課金と処理料$111.84、グリーストラップ$443.50、検証$802.50、酒類免許の年間手数料$645の合計で$2,103.84です(検証の時間超過がない場合)。検証が2時間を超えると1時間$201の追加料金がかかるため、記録を検証担当者がすぐ確認できる形に整えておくことが、そのまま費用の抑制になります。

2026年9月に公開情報をもとにまとめた一般的な情報であり、法務・税務・入国管理に関する助言ではありません。制度や金額は変わるため、行動する前にリンク先でご確認ください。

出典

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