採用の進め方

料理人のお試し勤務:米・英・豪の無給トライアルのルール

無給のお試し勤務は合法か。米国・英国・オーストラリアの公式情報が示す内容と、和食厨房向けの4時間のお試し勤務の組み立て方を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 結論:お試し勤務には給与を払う
  2. 米国
  3. 英国
  4. オーストラリア
  5. 就労資格のない候補者の場合
  6. 和食厨房向けお試し勤務の組み立て方
  7. 評価と判断

お試し勤務(英語圏では「トライアルシフト」や「スタージュ」、日本でいう体験入店)は、その調理人が実際に自店の持ち場をこなせるかを確かめる最も確実な方法です。一方で、飲食店が賃金に関する法律でつまずきやすい場面でもあります。この記事では、米国、英国、オーストラリアについて公式情報で確認できた内容と、和食厨房に合ったお試し勤務の組み立て方を整理します。

1. 結論:お試し勤務には給与を払う

ここで取り上げる3か国とも、公式な立場は同じ考え方に基づいています。スキルを評価されているのではなく、事業のために生産的な仕事をしているのであれば、法律上は給与を払うべき労働と扱われる可能性が高い、ということです。安全で簡単な方針は次のとおりです。

お試し勤務には、その職務の通常の時給を必ず支払い、時間は短くし、条件は開始前に書面で伝える。法律上の問題がなくなり、優秀な候補者には、きちんとした雇用主だということが伝わります。

それでも無給の評価を行いたい場合、以下のルールを見れば、それがどれほど限られたものでなければならないかがわかります。

2. 米国

連邦の公正労働基準法(FLSA)は、「雇用する(employ)」には「働くことを黙認または許容すること(to suffer or permit to work)」が含まれると定めています(29 U.S.C. § 203(g))。労働時間に関する労働省の規則は、「求められていないが黙認・許容された労働は労働時間である」と定めています(29 CFR 785.11)。さらに労働省はインターンシップに関するファクトシートで、「FLSAは営利目的の雇用主に対し、従業員の労働に賃金を支払うことを求めている」と明記しています。

このファクトシートは無給インターンシップについて「主たる受益者テスト」を示していますが、その判断要素は単位認定、学事暦、教育環境に近い訓練など、正規の教育と結びついたものです。営業中の厨房でお試し勤務をする調理人は、この枠組みには当てはまりません。無給の「お試し勤務」を適法とする別の区分を設けた連邦のルールは見つかりませんでした。

実務上の帰結は2つです。

州が独自のルールを加えていることもあります。お試し勤務の方針を決める前に、州の労働当局の情報を確認してください。

3. 英国

ビジネス貿易省(DBT)の最低賃金の計算に関するガイダンス(2026年1月6日更新)には、無給のお試し勤務についての項目があります。無給のお試しは「多くの場合、正当な慣行である」と認める一方で、現行法には「お試し勤務期間」の定義がないこと、「お試し」を頼まれた人でも最低賃金の対象となる「労働者」でありうることを注意しています。

ガイダンスは、裁判所や審判所が考慮しそうな要素を挙げています。

数時間の無給のお試しであれば「合理的でありうる」ともしています。ただし営業中の厨房では、調理人がつくったものはお金を払うお客様に出されます。これはまさにガイダンスが注意している「雇用主にとっての価値」にあたります。

お試し勤務に給与を払うなら、その人を雇用していることになります。GOV.UKによると、雇用する前に応募者の就労資格を確認しなければならず、新しい従業員については最初の給与支払日までにHMRC(歳入関税庁)に届け出る必要があります。全国生活賃金(National Living Wage)は2026年4月から時給12.71ポンドです。

4. オーストラリア

本記事の調査時点では、公正労働オンブズマン(Fair Work Ombudsman)のページ自体を読み込むことができませんでした。州政府機関であるビクトリア州労働者派遣局(Labour Hire Authority)が、そのルールを次のようにまとめています(2024年3月7日)。無給の採用前評価が適法なのは、次の場合に限られます。

これを超えるものは労働であり、適用されるアワードや労使協定の賃金で支払う必要があります。ディナー営業をまるごと無給で働かせるのは、明らかにこの条件の外です。正式な内容は公正労働オンブズマンの無給お試しに関するページで、アワードの賃金はオーストラリアの採用ガイドで確認してください。

5. 就労資格のない候補者の場合

有給のお試し勤務は雇用なので、その前に候補者がその国で働く資格を持っている必要があります。観光目的で入国している料理人や、日本でビザを待っている料理人に、有給のお試し勤務をしてもらうことはできません。

そうした候補者には、明らかに労働にあたらないスキルテストを使います。日本からのビデオテストや、お客様に何も出さない模擬的な環境での短い実演です。英国のガイダンスは、模擬的な環境であることを、作業に雇用主にとっての価値がないことを示す要素としています。まさにその点が重要です。それでも実施する前に、自国の短期滞在者に関するルールを確認してください。3段階の進め方はリモートでの技能テストで、料理人が現地に到着して働き始めてからの有給の試用期間は試用期間の評価で解説しています。

6. 和食厨房向けお試し勤務の組み立て方

見るべきことを見るには、通常4時間あれば足ります。寿司や和食の温菜の厨房で使える構成です。

時間作業見るポイント
0:00〜0:15店内案内、衛生に関する説明、包丁と身だしなみの確認話を聞く姿勢、的確な質問、道具の手入れ
0:15〜1:15仕込み:魚を1本おろす(または肉を1種類さばく)、野菜を店の規格で切る包丁さばき、歩留まり、清潔さ、速さ
1:15〜2:00基本技術:店のサイズでの握り、または出汁と煮物1品均一さ、味付け、店のレシピへの敬意
2:00〜3:30こちらが選んだ持ち場で、シニア調理人と並んで営業に入るペース、声かけ、忙しい時間帯への対応
3:30〜4:00片付けと短い面談言われなくても片付けるか、自己評価が率直か

当日の前に、候補者に書面で次のことを伝えてください。

7. 評価と判断

候補者と並んで働いたシニア調理人と料理長がそれぞれ別に採点し、あとで照らし合わせます。各項目を1〜4点で採点してください。

決め手になるのは、多くの場合最後の項目です。店のやり方を示されてすぐに合わせられる候補者は、腕は上でも言い返す調理人より早くなじみます。

結果は2〜3日以内に伝えてください。採用してもしなくても、お試し勤務の給与は期日どおりに給与処理で支払います。採用されなかったお試しでもきちんと支払われた調理人は、あなたの店をよく言ってくれるはずです。

本記事は一般的な情報であり、法律に関する助言ではありません。最低賃金やお試し勤務のルールは州・準州・市によって異なることがあり、変更されることもあります。お試し勤務の方針を決める前に、下記の公式情報と現地のルールを確認してください。

出典

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