採用の進め方

料理人の試用期間の進め方と評価面談

新しく採用した料理人の試用期間の進め方。事前に合意すべき条件、4回の面談、評価の根拠、英国・豪州・シンガポール・米国で確認すべき法律とビザ上の注意点を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 厨房における試用期間の目的
  2. 初日までに条件を合意しておく
  3. 4回のチェックポイント
  4. 何を、どう評価するか
  5. 試用期間と法律:確認できたこと
  6. スポンサービザで働く料理人の場合
  7. 本採用・延長・終了

試用期間は、何を見極める期間なのかを双方が理解していて初めて意味を持ちます。多くの飲食店では契約書に一行書かれているだけで、仕事ぶりについて最初にきちんと話すのは、どちらかがすでに不満を抱えてから、ということも珍しくありません。日本から移ってきた料理人にとって、自分の評価をそんな形で知るのはつらいものです。

本ガイドでは、シンプルな進め方をご紹介します。着任前に条件を明確にし、短い面談を4回行い、根拠となる記録を残し、結果を書面で伝える、という流れです。あわせて、公的な情報源で確認できた法律上のポイントも整理しました。料理人のビザが仕事に紐づいている場合、これらは通常以上に重要です。

1. 厨房における試用期間の目的

試用期間で確かめたいのは、面接やトライアル勤務だけでは判断しきれない次の3点です。

試用期間は店側が試される期間でもあります。海を越えてきた料理人は、仕事が約束どおりの内容かどうかを見ています。面談は双方向の確認の場と位置づけ、料理人の側でうまくいっていないことも尋ねてください。

2. 初日までに条件を合意しておく

次の項目を、現地語に加えて日本語でもオファーレターまたは雇用契約書に記載します(雇用契約チェックリストもご参照ください)。

今回確認した国のいずれについても、飲食店の「標準的な」試用期間の長さを定めた公的な情報はありませんでした。何を見極めたいかに合わせて期間を決めてください。料理長クラスであれば、少なくとも一度のメニュー替えか繁忙期を含めるのが一般的です。

3. 4回のチェックポイント

時期主な確認事項残すもの
1週目の終わり生活の立ち上げ:住まい、銀行口座、シフト、安全教育、誰に何を聞けばよいか短い面談と、店側が対応すべき事項のリスト
30日目ポジションごとの技術、スピード、衛生手順、チームからの第一印象書面のメモと、具体的な目標2〜3件
60日目目標の進み具合、暇なときと忙しいときの仕事の安定性書面のメモ。大きな課題があれば、この時点ではっきり伝える
試用期間終了前総合判断本採用の書面通知、理由を付した延長、または雇用終了

日数は試用期間の長さに合わせて調整してかまいませんが、「最後の面談で初めて知る」ことがないようにするという原則は守ってください。包丁仕事やタイミングに問題があったことを最後に知らされるのであれば、それ以前の段階で進め方が機能していなかったということです。

4. 何を、どう評価するか

評価項目は汎用の書式ではなく、その職種に合わせて作ります。寿司職人や板前の場合、多くは次の5つに分けられます。

評価項目根拠の例
技術試食、盛り付け写真と規定との比較、魚をおろしたときの歩留まり、営業を通したシャリの状態
スピードと段取り提供時間、営業前の仕込みの完了状況、ミザンプラスの確認
食品安全と衛生温度記録、ラベル表示、清掃スケジュール、保健所等の検査での指摘事項
原価管理廃棄記録、発注の正確さ、盛り付け量のばらつき
チームワークとコミュニケーション料理長、若手、ホール責任者からの意見。指示の出し方と受け方

日本から来た料理人については、実務上のポイントが2つあります。まず、英語が得意でない場合は、通訳かバイリンガルのマネージャーを同席させて面談してください。フィードバックの誤解はよく起こりますが、避けられるものです。次に、日本人の料理人の多くは、特にオーナーに対して自分から問題を口にしません。「何か問題はありますか」ではなく、「この仕込みリストは2人で回せる量ですか」のように、具体的に直接尋ねてください。働き方の文化面については日本人料理人の定着のガイドで詳しく扱っています。

5. 試用期間と法律:確認できたこと

試用期間は主に契約上の概念です。法律上意味を持つのは、たいてい勤続期間、解約予告、解雇からの保護です。以下は2026年9月に公的な情報源で確認した内容です。

英国

「通常の」不公正解雇から保護されるための勤続要件は、現在2年です。雇用終了の効力発生日が2027年1月1日以降の解雇については、これが6か月に短縮され、補償金の上限も撤廃されます。この変更はイングランド、スコットランド、ウェールズに適用され、北アイルランドには適用されません。政府のガイダンスは、試用期間を設けている雇用主に対し、6か月の勤続要件とどう組み合わせて運用するかを検討するよう求めています。実際には、6か月を超える試用期間は、不公正解雇の保護が完全に及ぶ期間と重なることになります。

オーストラリア

公正労働委員会(Fair Work Commission)によると、従業員が不公正解雇の申立てをできるのは、最低雇用期間の6か月を経過した後です。雇用主が小規模事業者(従業員15人未満。フルタイム、パートタイム、定期的に働くカジュアル従業員を含み、関連事業体は合算)の場合は1年です。

シンガポール

人材開発省(MOM)によると、解約予告期間は雇用契約の定めによります。契約に定めがない場合の最低期間は、勤続26週未満で1日、26週以上2年未満で1週間、2年以上5年未満で2週間、それ以降は4週間です。

その他の国

本ガイドでは、その他の国の試用期間や解雇に関するルールは確認していません。試用期間の条項に頼る前に、現地の労働法専門の弁護士にご確認ください。

試用期間中に雇用を終了すると、期限の短い入管上の義務が生じることがあります。確認できたものは次のとおりです。

これらの費用を判断材料と予算に組み込んでおいてください。スポンサービザの料理人の試用期間がうまくいかなかった場合のコストは、現地採用の場合よりはるかに大きくなります。だからこそ、最初の30日に力を注ぐ価値があります。日本から来た料理人の受け入れもご参照ください。

仕事を失うことは、その国に滞在する資格を失うことにつながりかねません。スポンサービザの料理人には、できる限り早めに伝え、ビザへの影響を日本語で説明し、公的な情報や専門家を案内してください。

7. 本採用・延長・終了

本採用は、給与の変更があればその内容と日付を添えて書面で伝えます。成長目標を1〜2件挙げておくと、次回の評価の出発点になります(厨房スタッフの人事評価を参照)。

延長は、契約で認められている場合に限り、具体的な理由と新しい期限を示して行います。明確な目標のない延長は、たいてい同じ判断を先送りするだけです。

雇用終了の場合は、契約と法律が求める予告期間を守り、簡潔な理由を書面で伝え、前述の入管上の手続きを行います。面談の記録は保管しておいてください。料理人に問題点を伝え、改善の機会を公平に与えたことを示す記録になります。

本記事は一般的な情報であり、法律上または入管上の助言ではありません。解雇やスポンサーに関するルールは改正されることがあり、個々の事情によっても異なります。スポンサービザで働く従業員の雇用を終了する前に、各国の労働法専門の弁護士または認可を受けた移民アドバイザーにご相談ください。

出典

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