採用の進め方

調理師専門学校から採用する方法:求人票の出し方と時期

調理師養成施設を通じた採用の、日本側の実務をまとめました。無料職業紹介の仕組み、学年暦のどの時期に動くか、連絡先の学校の例、就職課への案内文のひな形、新卒者のビザの壁を避ける3つのルートを解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

日本の調理師養成施設は無料の職業紹介を行っており、就職課は全国共通の日程ではなく学校ごとの学年暦で動きます。多くは卒業前年の夏ごろから求人を受け付け、冬までに内定を固めます。新卒者は就労ビザの経験要件を満たさないことがほとんどなので、ワーキングホリデー、国内系列店での経験を経ての異動、卒業後数年の卒業生の採用という3つのルートが現実的です。日本語の求人票を用意し、就職課に直接連絡してください。

このページは、日本の本社のHR担当者や、直接採用したいオーナーが、調理師養成施設を通じて若手料理人のパイプラインを作るためのものです。学校の職業紹介の仕組み、学年暦のどの時期に動くべきか、何を送るか、関係の続け方という、日本側の実務に絞って解説します。学校数や生徒数、免許のルート、国別のビザの壁といった制度の全体像は、英語版の姉妹記事recruiting from Japanese culinary schoolsにまとめています。

目次

  1. 調理師養成施設とはどんな学校か
  2. 学年暦のどの時期に動くか
  3. 学校の無料職業紹介はどう機能するか
  4. 新卒者とビザの壁:一言でいうと
  5. 現実的な3つの採用ルート
  6. どの学校に、どうアプローチするか
  7. 留学生の卒業生について

1. 調理師養成施設とはどんな学校か

調理師法第3条により、都道府県知事が指定する調理師養成施設を卒業すると、2年の実務経験を経て試験に合格する通常のルートを経ずに調理師免許を申請できます。全国調理師養成施設協会(全調協)の統計によると、令和7年度の指定施設は266施設で、大半は専修学校、そのほか調理科のある高等学校や短期大学もあります。

海外の雇用主にとって大事なのは、卒業時点ではほとんど有給の実務経験がないということです。学校で学んだ期間は、多くのビザ制度で職歴として数えられません。このページの内容はすべて、この一点から出発しています。

2. 学年暦のどの時期に動くか

日本の学年度は4月始まり3月終わりで、就職課の動きもこれに合わせたリズムがあります。ただし、高校新卒者のように法令で日程が定められているわけではなく、専門学校は学校ごとに締切を決めています。以下は目安であり、確定した日程ではありません。

おおよその時期学校側の動きこちらがすべきこと
卒業前年の4〜6月最終学年が始まったばかりで、就職課はまだ翌春卒業向けの求人を本格的に扱っていない最初の連絡をして自社を紹介し、求人の受付開始時期を聞く
6〜9月国内企業が求人を出す時期。高校新卒者向けの全国共通日程がこの時期に始まり、専門学校の多くも近いリズムで動く日本語書式の求人票を提出し、説明会の枠を依頼する
9〜12月学生が応募先を絞り込み、面接を受ける。冬休み前に決める学生が多い紹介があったら速やかに面接する。返信が遅いと国内の内定に流れる
12〜2月内定が固まる雇用契約を結び、ビザ申請を開始する。ここから2〜4か月かかるルートが多い
3月卒業卒業と同時に海外で働き始められることはまずない。実際の開始時期は2〜4か月後を見込み、最初からそう伝える

卒業から実際の海外勤務開始までの間が空くことが、話が流れる一番よくある原因です。本人や家族は4月から働けると思っているのに、ビザはまだ8週間かかる、という食い違いです。想定する勤務開始月は、学校に最初に連絡する時点で伝えてください。学生が他の内定を断ったあとでは遅すぎます。

3. 学校の無料職業紹介はどう機能するか

学校の就職支援は、法律上は職業紹介の一種です。職業安定法第33条の2は、学校の長が厚生労働大臣に届け出れば無料の職業紹介事業を行えると定めています。専修学校の場合、対象は「当該専修学校の学生若しくは生徒又は当該専修学校を卒業した者」です。

職業安定法第5条の3により、求人者は職業紹介事業者(学校も含む)に求人を申し込むとき、業務の内容、賃金、労働時間などの労働条件を明示しなければなりません。日本国外の雇用主にこの規定がどこまで及ぶかは個別の判断になりますが、就職課は日本語の求人票の形式に慣れており、机の上にある国内の求人と並べて見比べます。給与、休日、住居、渡航費、ビザの扱いを日本語で、日本の書式にそろえて用意してください。書き方は海外求人票の書き方で解説しています。

4. 新卒者とビザの壁:一言でいうと

料理人を受け入れる就労ビザの多くは1〜2年の実務経験か、新卒者には届かない給与水準を求めており、英国は調理師の新規スポンサーを事実上停止しています。経験を問わないのはワーキングホリデーだけです。国別の詳しい表とルートの選び方は姉妹記事recruiting from Japanese culinary schoolsにまとめており、ここでは繰り返しません。

5. 現実的な3つの採用ルート

ルートA:ワーキングホリデーの卒業生

ワーホリ協定国に店があるなら、卒業直後の人を最も早く迎えられるルートです。制度が実務経験を問わないためです。ワーホリは本人が申請する制度で、雇用主が保証するものではありません。国ごとの定員や条件は変わるので、開始時期を決める前に最新の制度を確認してください。

ルートB:日本国内の系列店で経験を積んでから異動

日本に本店や系列店があるなら、まず国内で採用し、実績を積ませてから、条件が整った段階で異動させます。時系列で整理すると次のとおりです。

月数節目
0(採用時)雇用契約書に、海外拠点を含む就業場所の変更範囲をあらかじめ明記しておく。あとから異動を伝えても「条件の変更」と受け取られない
1〜12国内で通常業務。海外のビザ担当者から求められる在職証明書を、いつでも出せる状態にしておく
12オーストラリアのSkills in Demandビザなどが求める、おおむね1年の関連実務経験に届く
24ドイツの特別料理人の枠が調理学校の課程に加えて求める2年の実務経験に届く
24〜36異動の手続きを開始。日本側の退職または出向の手続き、翻訳した在職証明書を用意し、そこから異動先の国のビザの日程が始まる

出向と現地採用の違いは海外赴任と現地採用の比較で扱います。

ルートC:数年の経験を持つ卒業生

学校の職業紹介は、今年度の卒業予定者だけでなく卒業生も対象です。卒業後3〜5年ほど経った人は、国内で一通りの仕事を覚えており、ビザの経験要件も満たしやすく、次の一歩を考え始めている時期でもあります。就職課に「卒業生向けの求人として扱ってもらえるか」を相談してみてください。

6. どの学校に、どうアプローチするか

全調協の一覧は都道府県別に全施設を載せていますが、専攻内容での絞り込みはできないため、学校ごとに確認する必要があります。直接確認できた例を2つ挙げます。

このほかは、全調協の一覧から、狙う人材の地域に近い学校や、自店の業態(寿司、割烹、ラーメンなど)に近い課程がある学校を絞り込み、連絡する前に各校のサイトで和食関連の課程名を確認してください。

就職課が求人票そのものとは別に見ているポイントです。

就職課への最初の一通の例です。

○○専門学校 就職課 ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。私どもは[国名・都市名]で和食店([店名])を営んでおります[会社名]と申します。
貴校の卒業生を将来的に採用させていただきたく、まずは求人票を受け付けていただけるか、また受付の時期や書式についてお伺いできますでしょうか。
勤務地は海外となりますため、就労ビザの取得や住居の手配など、学生様やご家族が気になる点についても資料をご用意しております。
オンラインでの説明会や、日本出張時の訪問についてもご相談させていただければ幸いです。
まずはメールにてご返信いただけますと幸いです。

[会社名][担当者名]
[連絡先]

動き出したら記録を残してください。どの学校から何人応募があり、何人採用し、1年後に何人残っているか。学校は、送り出した先で約束が守られているかを見ています。卒業生から聞いた話が求人票と違えば、翌年から紹介は止まります。

7. 留学生の卒業生について

調理師学校には外国人留学生も在籍しています。農林水産省の「日本の食文化海外普及人材育成事業」は、調理師養成施設を卒業した外国人が、日本国内の和食店などで最長5年間働きながら技能を高められる制度です。これは日本国内で働くための制度で、海外店への派遣制度ではありません。詳しくは制度の解説をご覧ください。

それでも、日本で学び、働いた外国人の料理人が、母国や第三国に移ることは十分あります。母国で採用すれば、その国の就労資格をすでに持っていることが多く、このページで扱ってきたビザの壁自体がなくなります。店のある国の出身者が在籍していないか、学校に聞いてみるのも一つの方法です。

変わる数字:全調協の入学者統計(次回は2027年秋ごろの発表見込み)と、ルートAで触れたワーキングホリデーの定員。第2章の学年暦は計画のための目安であり、公表された日程ではなく、学校ごとに異なります。

よくある質問

調理師学校に卒業生の採用について最初に連絡するのはいつがよいですか。

目標とする卒業年度の前年、初夏ごろまでが目安です。多くの就職課は、3月卒業向けの求人を6〜9月ごろから本格的に受け付けており、これは日本の新卒採用の全体的な流れと重なります。この時期を過ぎてから連絡すると、まだ迷っている学生を逃しやすくなります。

調理師学校は候補者の紹介に手数料を取りますか。

取りません。学校の職業紹介は職業安定法第33条の2に基づく無料の事業です。学校の名前で紹介料を求められたら、それは学校の職業紹介ではありません。

卒業したばかりの学生を、海外の自社店舗にすぐ採用できますか。

すぐには難しいのが普通です。料理人を受け入れる就労ビザの多くは1〜2年の実務経験を求めますが、新卒者にはそれがありません。ワーキングホリデーなら経験を問われませんし、いったん国内の系列店で採用し、経験要件を満たしてから異動させる方法もあります。

就職課は今年度の卒業予定者しか紹介してくれませんか。

そうではありません。同じ無料職業紹介は卒業生も対象なので、数年の経験を積んだ卒業生を紹介してもらえることがあります。新卒よりビザの条件に合いやすい層です。

求人を依頼する前に、学校に何を用意して送ればよいですか。

学校が見慣れている日本語書式の求人票に、給与・休日・住居・ビザの扱いを数字で明記したもの、それに店舗・厨房・社宅の写真を添えてください。家族や安全面への一言も入れておくと安心されます。学校を出たばかりの人の進路は、本人だけでなく家族が決めることが多いためです。

本記事は一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。ビザの要件、ワーキングホリデーの条件、各学校の職業紹介の取り扱いは変わることがあります。採用の前に各国の公式情報と各学校に確認してください。

出典

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