採用の進め方

海外求人票の給与・賞与・休日・社保の書き方

日本の料理人に正しく伝わる求人票の表記を、給与・賞与・休日・保険の4つの欄と固定残業代に絞って解説。応募が止まる書き方の書き換え例と、待遇欄の記入例付き。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

日本の料理人は、海外の求人票も国内の求人と同じ約束事で読みます。給与は年収と月給を分けて書き、賞与は回数と基準を書くか「なし」と明記します。休日は毎週2日休める場合だけ「完全週休2日制」とし、年間休日を数字で添えます。保険は「社会保険完備」ではなく、現地で加入する制度を書きます。固定残業代がある場合は3行に分けて書きます。

海外の店舗オーナーや、海外店の求人を日本語で書く日本本社の担当者向けです。このページは、給与・賞与・休日・保険の4つの欄と固定残業代の表記に絞り、書き換え例を示します。求人に何を載せるべきか、日本の明示義務が海外の店に及ぶか、完成した求人の記入例は日本の料理人に届く求人広告の書き方をご覧ください。職種ごとの仕事内容は寿司職人、料理長、ラーメン職人、鉄板焼きシェフの各テンプレートに日本語の求人票があります。

目次

  1. 給与:年収・月給・年俸・時給の書き分け
  2. 賞与の書き方
  3. 固定残業代は3行に分ける
  4. 休日:言葉ごとに約束する内容が違う
  5. 保険:「社会保険完備」の代わりに書くこと
  6. 応募が止まる5つの欄と書き換え例
  7. 待遇欄の記入例
  8. 今週やること

1. 給与:年収・月給・年俸・時給の書き分け

読み手は、すべての数字を国内の給与と比べます。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、飲食物調理従事者のきまって支給する現金給与額が月286,600円(2025年6月)、年間賞与その他特別給与額が351,600円(2024年)で、年収に直すと約379万円です。日本の給与の書き方には、それぞれ読み手が受け取る意味があります。

表記日本の読み手の受け取り方海外求人での使い方
月給○万円〜下限だけの表示。上限がないと実際の水準がわからない幅の上下両方を書く
年収○万円通常は賞与込みの年額賞与が保証でないなら年収に含めず、その旨を書く
年俸○(12分割)年額を決めて毎月分割して払う海外の月給制の仕事の多くに合う。賞与の有無を添える
時給○アルバイト・パートの仕事「年収換算 ○(週40時間×52週)」のように年額と前提の時間を添える
手当込み基本給が低いのではと警戒される基本給と各手当を別の行に書く

契約上の金額は現地通貨で書き、円は日付入りの参考値として添えます。「参考円換算 約○万円(1ドル=○円、2026年9月1日時点)」のように書きます。円の額が契約額だと誤解されると、為替が動いたときに揉めごとになります。

2. 賞与の書き方

上の統計から計算すると、年間賞与は毎月の給与のおよそ1.2か月分です。日本の料理人は賞与の行があることを前提にしており、書いていなければ悪い知らせと受け取ります。次のどれかで書いてください。

「当社規定により支給」は避けてください。何も伝わらず、「ゼロかもしれない」と読まれます。チップやサービス料は賞与ではありません。別の行に書き、保証がないことを添えます。

3. 固定残業代は3行に分ける

時間外労働の有無にかかわらず一定時間分の手当を払う、いわゆる固定残業代を採る場合、厚生労働省は募集時に次の3点を分けて書くよう求めています。

  1. 基本給 ○○((2)の手当を除く額)
  2. 固定残業手当 ○○(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として支給)
  3. ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

固定残業代の仕組みが勤務国の法律で認められるかどうかは別の問題なので、現地で確認してください。採らない場合は「時間外労働 あり(月平均○時間)、現地の法律に基づき割増賃金を支給」と書けば足ります。「残業代込み」とだけ書くと、長時間労働を前提にした求人と読まれます。

4. 休日:言葉ごとに約束する内容が違う

表記日本の読み手の理解
完全週休2日制毎週必ず2日休める
週休2日制2日休める週がある。毎週ではない
休日 月○日(シフト制)月の日数だけの約束。週ごとの休み方は決まっていない
年間休日○日会社が定めた年間の休日の合計。有給休暇は含まない
有給休暇○日年間休日とは別に数える

厚生労働省の就労条件総合調査は、月3回、隔週、月2回、月1回の週休2日制などを「完全週休2日制より休日日数が実質的に少ない制度」として分けて集計しています。令和7年の同調査では、完全週休2日制を採る企業は65.5%、2024年の年間休日総数は1企業平均112.4日(定義上、有給休暇は含まない)、年次有給休暇の取得率は宿泊業・飲食サービス業が50.7%で全産業で最も低い結果でした。

定休日のない店なら、次のように書けば誤解が生まれません。

一時帰国休暇は、海外の求人でとても効く一行です。農林水産省の「日本の食文化海外普及人材育成事業」でも、実習計画に「母国に一時帰国可能な程度の休暇の取得に関する事項」を含めることが求められており、業界でもなじみのある考え方です(制度の解説)。

5. 保険:「社会保険完備」の代わりに書くこと

厚生労働省の記載例では、加入保険の欄は「雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険」です。「社会保険完備」はこれら日本の制度への加入を指す言葉なので、海外の店は使えません。自店の状況に合わせて次のように書きます。

状況書き方
日本と社会保障協定を結んでいる国での現地採用(2026年6月2日時点で24か国が発効済み。米国、英国、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランス、韓国、中国など)現地の社会保険([制度名])に加入。協定により日本の年金制度への加入は不要です
協定のない国での現地採用(シンガポール、タイ、マレーシア、香港、UAEなど)[現地の医療保険・労災補償]に加入。日本の国民年金は任意加入できます(本人手続き)
日本の会社からの出向扱いが異なります。料理人の社会保障協定をご覧ください

海外に住む20歳以上65歳未満の日本人は、国民年金に任意加入できます。会社負担の民間医療保険があるかどうかも書いてください。家族もこの行を読みます。

6. 応募が止まる5つの欄と書き換え例

欄書き換え前書き換え後
給与給与:経験・能力により優遇、応相談年収 [要記入]〜[要記入](現地通貨)、月給 [要記入]〜[要記入]。経験に応じて決定
賞与賞与:当社規定により支給賞与 年1回、業績に応じて支給(保証なし。年収には含めていません)
休日週休2日(毎週ではない場合)、または休日欄がない休日 月6日(シフト制)、年間休日72日、有給休暇 年[日数]日
保険社会保険完備会社負担の医療保険、労災補償。日本の国民年金は任意加入可(本人手続き)
ビザビザサポートあり就労ビザ([種類])を当社が申請。申請費用・専門家費用は当社負担。内定から着任まで目安[月数]か月

[要記入]はすべて自社で埋める欄です。どれも相場を示す数字ではありません。

7. 待遇欄の記入例

シンガポールの和食店が調理師を募集する場合の待遇欄を、ここまでの約束事に沿って書いた例です。休日、時間、福利厚生は説明用の例で、給与の欄はあえて空欄にしています。仕事内容や応募方法を含む求人全体の記入例は日本の料理人に届く求人広告の書き方にあります。

【給与】月給 S$[要記入:金額の幅。相場データではありません](年収換算 S$[要記入]=月給×12)。参考円換算 約[要記入]万円(1シンガポールドル=[要記入]円、[日付]時点の参考値)。給与はシンガポールドルで支払います。為替の変動により円での受取額は増減します
【賞与】年1回、業績に応じて支給(保証なし。年収換算には含めていません)
【サービス料】一部を厨房スタッフにも分配(分配方法は面接でご説明します。保証なし)
【時間外労働】あり(月平均15時間)。固定残業代はありません。現地の法律に基づき割増賃金を支給
【休日】完全週休2日制(シフト制、休日は月ごとに決定)。年間休日104日。有給休暇 年14日。一時帰国休暇 年1回(連続10日まで、有給休暇とは別)
【繁忙期】12月は週休1日の週が最大2回あり。その分は翌年1〜2月に振替
【加入保険】会社負担の民間医療保険(入院・外来)、労災補償(現地の法律に基づく)。日本とシンガポールの間に社会保障協定はありません。日本の国民年金は任意加入できます(本人手続き)
【福利厚生】まかない1日2食、社宅(1年目、個室、本人負担 月S$[要記入])、年1回の日本往復航空券

8. 今週やること

完成した求人をどこに載せるかは海外求人の媒体比較で比べています。

変わる数字:厚生労働省の賃金構造基本統計調査(毎年3月前後に公表)、就労条件総合調査(毎年秋に公表)、社会保障協定の発効状況(新しい協定の発効時に変更)。求人に載せる為替レートは再掲載のたびに更新してください。2026年9月27日確認。

よくある質問

給与は円で書くべきですか。

契約上の金額は実際に支払う通貨で書き、円はレートと日付を添えた参考値として示します。円での受取額は為替で増減すると一行書いておけば、後の揉めごとを防げます。

賞与を払っていません。どう書けばよいですか。

「賞与なし(年俸を12分割で支給)」とはっきり書きます。賞与の行がないと、書けない理由があると読まれます。しっかりした年額と「なし」の明記のほうが誠実に受け取られます。

年間休日には何が含まれますか。

週休日、祝日、その他会社が定めた休日の年間合計です。年次有給休暇は含まないので、別の行に書いてください。

海外の店が「社会保険完備」と書いてもよいですか。

使わないでください。日本の健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険への加入を意味する言葉です。実際に加入する現地の制度名と、日本の年金がどうなるかを書きます。

固定残業代は3行に分けて書く必要がありますか。

固定残業手当を採り、日本の料理人に向けて募集するなら分けてください。厚生労働省が日本の求人に求めている書き方で、料理人が信頼する形です。そうした手当が勤務国で認められるかどうかは別に確認してください。

本記事は一般的な情報であり、法務・労務・入管に関する助言ではありません。労働条件の表示義務や雇用主の負担の範囲は、国や雇用の形によって異なり、制度も改正されます。下記の一次情報を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

和食料理人を採用しませんか?

世界中の和食料理人が登録するWashokuJobに、貴店の求人を掲載できます。