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スウェーデンの就労許可給与要件(2026年、シェフ向け)

2026年6月からのスウェーデンの給与下限SEK 34,470は、HRF労働協約が定める料理人の実際の給与を大きく上回ります。その比較、雇用主負担の社会保険料、飲食店への追加審査、費用とスケジュールを解説。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

スウェーデンには料理人向けのビザも、調理師に有利な人手不足職種リストもありません。2026年6月1日以降、新たな就労許可には全国賃金中央値の90%以上の現金給与が必要で、スウェーデン移民庁(Migrationsverket)によると2026年6月16日からの金額は月SEK 34,470です。この下限は、スウェーデンの飲食店労働協約(Svensk Handel-HRF)が定める実際の給与水準、経験3年以上の料理人でおよそ月SEK 28,611(2026年5月1日から)をすでに大きく上回っています。さらに総支給額の上に31.42%の雇用主負担の社会保険料が加わるため、日本からのシェフ採用は現地相場より安く済むどころか、明らかに割高になります。

このページは、ストックホルムを含むスウェーデンの日本食レストランが日本からシェフを1人採用する場合向けです。2026年6月の給与要件が実務上どう働くか、スウェーデンの厨房が実際に払っている水準との比較、雇用主のチェックリスト、費用とスケジュールを扱います。転居パッケージと国別の給与比較は転居パッケージのガイドと国別の寿司職人の給与をご覧ください。

目次

  1. 2026年6月1日に何が変わったか
  2. 許可の下限とスウェーデンの厨房の実際の給与の比較
  3. 雇用主がやるべきこと
  4. 飲食店に課される追加審査
  5. 許可期間・更新・家族
  6. 費用とスケジュール
  7. 候補者に送る採用条件のひな形
  8. ストックホルムでの採用チェックリスト

1. 2026年6月1日に何が変わったか

2026年6月までは、給与が本人の生活を支えるのに十分かどうかが主な基準で、中央値の80%が目安とされていました。新制度ではこれに代わり、申請時点でスウェーデン統計局(SCB)が公表している賃金中央値の90%という明確な給与要件が設けられました。2026年6月16日時点のSCBの中央値はSEK 38,300で、要件は月SEK 34,470になります。あわせて、給与はこれまでどおりスウェーデンの労働協約または業界の通常水準と同等以上でなければならず、その厨房に適用される協約の水準のほうが高ければそちらが基準になりますが、次の章で見るとおり、許可の下限自体がすでに料理人の労働協約の水準を大きく上回っています。

政府は特定の職種を給与要件の対象外とすることができ、その場合は中央値の75%が適用されます。現在の除外リストには准看護師、溶接工、林業作業員などが載っていますが、調理師やシェフは含まれていません。90%の要件をそのまま満たす必要があります。

新しい要件は、2026年6月1日以降に決定が出る初回の許可に適用されます。申請がそれ以前でも、決定が6月1日以降なら対象です。一方、すでに許可を持つ人が2026年6月1日から12月1日までに更新を申請する場合は旧ルールが適用され、中央値の80%(現在SEK 29,680)が基準です。

2. 許可の下限とスウェーデンの厨房の実際の給与の比較

採用できるかどうかを決めるこの数字は、市場の相場ではなく、業界の労働協約そのものを大きく上回る位置に設定された法定の下限です。レストラン・カフェ業界のSvensk Handel-HRF協約では、熟練した料理人(経験3年以上の厨房スタッフ)の月額最低額を、2026年5月1日からSEK 28,611と定めています(経験6年以上ではSEK 28,932に上がります)。就労許可の給与要件SEK 34,470は、この労働協約の下限より約20%高い水準です。

基準金額(2026年)意味すること
Svensk Handel-HRF、料理人、経験3年以上月SEK 28,611(2026年5月1日から)スウェーデンの労働協約上の下限。就労許可の基準には届かない
Svensk Handel-HRF、料理人、経験6年以上月SEK 28,932(2026年5月1日から)それでも許可の下限には届かない
就労許可の給与要件月SEK 34,470(2026年6月16日から)実際に提示しなければならない額。協約水準より約20%高い

ここから2つのことが言えます。第一に、日本からの許可付き採用は厨房を安く回す手段ではなく、法律上、国内相場より高い給与を払うことが義務づけられています。カウンターを任せられるシェフであれば、通常はこの許可の下限にさらに上乗せした水準が求められます。第二に、契約書に夜間・週末勤務の手当を記載している場合、それが継続的に支払われ契約書に明記されている場合に限りSEK 34,470の算定に含まれます。無料の食事や住居などの現物給付は決して算入されず、パートタイムの仕事を2つ合算して基準に到達させることもできません。

3. 雇用主がやるべきこと

スウェーデンでは、移民庁のeサービスで雇用主が申請を始め、その後料理人が本人の部分を入力します。その前に、次の準備が必要です。

  1. 求人を10日以上公開する。スウェーデン国内、EU/EEA、スイスの誰もが応募できる形で、通常はスウェーデン公共職業安定所の求人ポータル(EURESにも表示される)に掲載します。LinkedInなどだけへの掲載では通常不十分です。広告IDは控えておきます。
  2. 掲載期間の終了後に雇用契約を結ぶ。双方の署名が必要です。移民庁は、審査の遅延を吸収できるよう、開始日を「許可が下りた日から」とする書き方を勧めています。
  3. 4種類の保険を手配する。雇用開始時点で、傷病保険、生命保険、労災保険、企業年金保険に加入させます。
  4. 該当する労働組合に意見の機会を与える。組合はeサービス上で選び、組合が意見を出さない場合は移民庁が自ら条件を判断します。
  5. 入力情報をそろえる。料理人の氏名、生年月日、国籍、学歴、メールアドレス、会社の登録番号、職業コード(SSYK)、給与、勤務時間、保険会社などです。

料理人向け求人票の書き方を参考に、スウェーデンの掲載要件を満たしつつ日本人候補者にも届く求人文を一度で作っておくと効率的です。

4. 飲食店に課される追加審査

移民庁はホテル・レストラン業(SNIコードが55101および56で始まる業種)に「より厳しい調査要件」を課しています。飲食店は、料理人の給与をどう保証するか、少なくとも3か月分の給与を支払えることを示さなければならず、現金および現金同等物を示す書類、前年度と当年度の貸借対照表・損益計算書、過去に許可保持者を雇用したことがある場合は直近3か月の税務口座の明細を添付します。設立1年未満の事業はスタートアップ扱いとなり、同じく3か月分の証明が必要です。この区分の申請は高度人材の申請より時間がかかるため、余裕を持って進めてください。

5. 許可期間・更新・家族

6. 費用とスケジュール

項目金額
給与、許可の下限で雇うシェフ1人、1年分SEK 34,470×12=総支給SEK 413,640
雇用主負担の社会保険料総支給額・現物給付の31.42%。下限給与の場合で年間約SEK 129,924
4種類の保険(傷病・生命・労災・企業年金)保険会社の見積もり
転居費用、渡航費、翻訳費用各社の見積もり。転居パッケージのガイドを参照
時期やること
開始14週間以上前現行のSCB中央値とそこから決まる90%の下限を確認し、HRFの協約水準も上回るオファーを設定する。
12週間前公共職業安定所のポータルで求人を10日以上公開する。広告IDを控える。
掲載終了後双方署名で契約を結び、4種類の保険を手配し、意見照会先の組合を選ぶ。
その後eサービスで申請を開始する。飲食店の場合は、この区分で求められる財務書類を添付する。
高度人材向けより余裕を見込む移民庁はこの区分の確定した処理期間を公表していません。飲食店案件はより詳しく審査されるため、申請時に現在の目安を確認してください。

7. 候補者に送る採用条件のひな形

採用条件のご案内(スウェーデン)
勤務先:[店舗名]([ストックホルム/都市名])
職務:[職種名。例:Kock(料理人)/ Köksmästare(料理長)]
就労許可の種類:一般就労許可(給与要件:賃金中央値の90%以上)
基本給:月額SEK[金額](現金給与、賃金中央値の90%=現在SEK 34,470を上回る額)
継続的な深夜・週末手当:[内容を契約書に明記]
契約期間:[期間]、試用期間[期間]
就業開始予定日:[日付](許可の発給日を起点とすることを推奨)
保険:健康・生命・労災・企業年金の4種を雇用開始時から手配
住居:[会社負担/本人負担/一部補助](給与とは別枠、SEK 34,470の算定に含まれません)
[会社名・担当者名・連絡先]

この文書には、店名と都市、職務(Kock/料理人 または Köksmästare/料理長)、就労許可のルート(一般就労許可、賃金中央値90%の給与テスト)、現行のSEK 34,470を上回る月額現金給与、契約書に明記した継続的な夜間・週末手当、契約期間と試用期間、就業開始予定日(許可発給日を起点とすることを推奨)、4種類の保険、給与の算定には含まれない住居の扱いを別枠で必ず入れてください。

8. ストックホルムでの採用チェックリスト

  1. 現行のSCB中央値を確認し、そこから決まる90%の下限、およびHRF労働協約の水準の両方を上回るオファーを設定する。
  2. 3か月分の給与支払い能力の証拠、決算書類、該当すれば税務口座の明細を用意する。
  3. 公共職業安定所のポータルで10日以上求人を掲載し、広告IDを控える。
  4. 掲載終了後に契約を結び、継続的な手当は書面で明記する。
  5. 4種類の保険に加入し、意見照会先の組合を選ぶ。
  6. 上記の採用条件のひな形を候補者に送ってから、eサービスで申請を開始する。
  7. 許可の満了日を記録する。更新申請は満了の2か月前から可能。

外務省の統計では、2025年10月1日時点でスウェーデン在留の日本人は4,911人、うち3,659人が永住者です。スウェーデンの永住許可や、パートナーと暮らすための居住許可を持つ人はすでに就労許可なしで働けるため、上記の全手続きが必要だと決めつける前に、現地募集にこの層を含めてください。2020年から続くワーキングホリデー制度(外務省は年間の定員を設けていないとしています)を使う料理人も短期の選択肢になり得ますが、フルタイムでシフトに入れる前に移民庁で現行の条件を確認してください。

変わる数字:給与要件はSCBの新しい中央値にあわせて毎年6月に改定されます。HRF労働協約の水準は2027年5月1日から再び上がります。雇用主負担の社会保険料率は毎年設定されます。次回確認は2027年6月です。

よくある質問

2026年のルールで日本からシェフを雇うにはいくら払う必要がありますか。

スウェーデン統計局が公表する賃金中央値の90%以上で、移民庁は2026年6月16日から月SEK 34,470としています。これは法定の下限であり市場相場ではなく、すでに料理人の労働協約の水準を大きく上回っています。

就労許可の下限は、スウェーデンの飲食店が実際に料理人に払っている額と一致しますか。

一致しません。Svensk Handel-HRF労働協約は、経験のある料理人の月額最低額を2026年でSEK 28,611〜SEK 28,932と定めており、これはSEK 34,470の許可要件よりおよそ20%低い水準です。日本からの許可付き採用は、法律上、国内の下限より高いコストがかかります。

SEK 34,470の給与要件には何が算入されますか。

通常の給与に加えて、継続的に支払われ契約書に明記された、不規則勤務手当や残業代が算入されます。無料の食事や住居などの現物給付は決して算入されず、パートタイムの仕事を2つ合算して基準に到達させることもできません。

社会保険料まで含めると、シェフを1人雇うのに実際いくらかかりますか。

雇用主負担の社会保険料は総支給額・現物給付の31.42%で、許可の下限である総支給SEK 413,640の場合、年間約SEK 129,924が上乗せされます。これに4種類の必須保険と転居費用が加わります。

日本人シェフは許可が下りる前から働き始められますか。

働けません。許可が下りて初めてスウェーデンでの就労が認められるため、就業開始日は申請日ではなく許可発給日を起点に計画し、守れない開始日を約束しないようにしてください。

本記事は2026年9月時点で公的機関の情報をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。スウェーデンの給与要件はSCBの中央値に連動して毎年6月に変わります。申請前に移民庁で最新の金額を確認してください。

出典

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