英国・欧州

スウェーデンで日本人料理人を雇う:2026年6月からの就労許可

スウェーデンの新規就労許可には賃金中央値の90%、月SEK 34,470以上の給与が必要に。飲食店への影響と、10日間の求人掲載、保険、飲食業への追加審査を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 2026年6月1日に何が変わったか
  2. 給与要件の実務
  3. 雇用主がやるべきこと
  4. 飲食店に課される追加審査
  5. 許可期間・更新・家族
  6. ストックホルムの厨房で採用する
  7. チェックリスト

スウェーデンには料理人向けのビザも、調理師に有利な人手不足職種リストもありません。あるのは、給与の下限が厳しく定められた一般的な就労許可ひとつだけです。そしてその下限が2026年に大きく引き上げられました。2026年6月1日以降、新たに就労許可を得るには、スウェーデンの賃金中央値の90%以上の月給が必要です。スウェーデン移民庁(Migrationsverket)によると、2026年6月16日からの金額は月SEK 34,470です。飲食店にとっては、この数字が日本から料理人を呼べるかどうかを決めると言ってよいでしょう。

1. 2026年6月1日に何が変わったか

2026年6月までは、給与が本人の生活を支えるのに十分かどうかが主な基準で、中央値の80%が目安とされていました。新制度ではこれに代わり、申請時点でスウェーデン統計局(SCB)が公表している賃金中央値の90%という明確な給与要件が設けられました。2026年6月16日時点のSCBの中央値はSEK 38,300で、要件は月SEK 34,470になります。

あわせて、給与はこれまでどおりスウェーデンの労働協約または業界の通常水準と同等以上でなければなりません。その厨房に適用される協約の水準のほうが高ければ、高いほうが基準になります。

政府は特定の職種を給与要件の対象外とすることができ、その場合は中央値の75%が適用されます。現在の除外リストには、准看護師、溶接工、林業作業員、食肉処理職などが載っていますが、調理師やシェフは含まれていません。日本から料理人を採用する飲食店は、90%の要件をそのまま満たす必要があります。

新しい要件は、2026年6月1日以降に決定が出る初回の許可に適用されます。申請がそれ以前でも、決定が6月1日以降なら対象です。一方、すでに許可を持つ人が2026年6月1日から12月1日までに更新を申請する場合は旧ルールが適用され、中央値の80%(現在SEK 29,680)が基準です。

2. 給与要件の実務

食事や住まいを含めた待遇を組むことが多い厨房では、移民庁が何を「給与」と数えるかが重要です。

つまり、現金の給与を抑えて社員寮を付ける設計では、SEK 34,470に届かせることはできません。夜間・週末手当を当てにするなら、契約書に必ず書面で入れてください。

3. 雇用主がやるべきこと

スウェーデンでは申請を始めるのは雇用主です。移民庁のeサービスに求人の詳細を入力すると、料理人本人にリンクが届き、本人が残りを入力して申請が完了します。その前に、次の準備が必要です。

  1. 求人を10日以上公開する。スウェーデン国内、EU/EEA、スイスの誰もが応募できる形で掲載します。一般的なのはスウェーデン公共職業安定所の求人ポータルで、ここに出した求人はEURESにも表示されます。移民庁は、LinkedInなどだけへの掲載では通常不十分だとしています。広告IDは控えておきます。
  2. 掲載期間の終了後に雇用契約を結ぶ。双方の署名が必要です。移民庁は、審査が長引いた場合の遅延を避けるため、開始日を「許可が下りた日から」とする書き方を勧めています。
  3. 4種類の保険を手配する。雇用開始時点で、傷病保険、生命保険、労災保険、企業年金保険に加入させます。
  4. 該当する労働組合に意見の機会を与える。組合はeサービス上で選びます。組合が意見を出さない場合は、移民庁が自ら条件を判断します。
  5. 入力情報をそろえる。料理人の氏名、生年月日、国籍、学歴、メールアドレス、会社の登録番号、職業コード(SSYK)、給与、勤務時間、保険会社などです。

料理人向け求人票の書き方を参考に、スウェーデンの掲載要件と日本人候補者への訴求の両方に使える求人文を一度で作っておくと効率的です。

4. 飲食店に課される追加審査

移民庁は一部の業種に「より厳しい調査要件」を課しており、ホテル・レストラン業(SNIコードが55101および56で始まる業種)はその対象です。飲食店は、料理人の給与をどう保証するか、そして少なくとも3か月分の給与を支払えることを示さなければなりません。実務上は次の書類を添付します。

設立1年未満の事業はスタートアップ扱いとなり、同じく3か月分の給与支払い能力を証明する必要があります。移民庁は、調査要件の厳しい職種の申請は高度人材の申請より時間がかかるとしているため、余裕を持って進めてください。

5. 許可期間・更新・家族

6. ストックホルムの厨房で採用する

外務省の統計では、2025年10月1日時点でスウェーデン在留の日本人は4,911人、うち3,659人が永住者です。ストックホルム単独の数字は公表されていません。スウェーデンの永住許可や、パートナーと暮らすための居住許可を持つ人は就労許可なしで働けるため、このコミュニティの一部は通常の求人で届く採用母集団になります。

また、日本とスウェーデンの間には2020年からワーキングホリデー制度があり、外務省は年間の定員を設けていないとしています。ワーホリの料理人は短期の戦力として有用ですが、フルタイムでシフトに入れる前に、移民庁で現在の条件を確認してください。全体像は欧州のワーキングホリデーのガイドをご覧ください。

日本から上位ポジションを呼ぶ場合は、まず予算の問題があります。月SEK 34,470は許可を得るための下限であって、カウンターを任せられる板前の相場ではありません。就労許可での採用には渡航・転居の費用もかかります。オファー設計には転居パッケージのガイド国別の給与比較が役立ちます。

7. チェックリスト

  1. 現金の月給がSEK 34,470以上で、該当する労働協約の水準と同等以上か確認する。
  2. 3か月分の給与支払い能力の証拠、決算書類、(該当すれば)税務口座の明細を用意する。
  3. 公共職業安定所のポータルで10日以上求人を掲載し、広告IDを控える。
  4. 掲載終了後に契約を結び、継続的な手当は書面で明記する。
  5. 4種類の保険に加入し、労働組合への意見照会の手順を確認する。
  6. eサービスで申請を開始し、料理人にリンクを送る。
  7. 許可の満了日を記録する。更新申請は満了の2か月前から可能です。

求人を出す前に雇用契約のチェックリストも確認してください。掲載期間中に日本人料理人へ求人を届けたい場合は、WashokuJobに求人を掲載できます。

本記事は2026年9月時点で公的機関の情報をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。スウェーデンの給与要件はSCBの中央値に連動して毎年6月に変わります。申請前に移民庁で最新の金額を確認してください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。