北米

テキサスで日本人料理人を採用する:ヒューストンとダラスの賃金比較

ヒューストンとダラス・フォートワースではシェフの賃金水準が大きく異なります。都市圏の賃金データ、テキサス州に独自の最低賃金がない理由、拡大する日系企業の集積、ビザのルートを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. ヒューストンとダラスは別々の賃金市場
  2. テキサス州には独自の最低賃金がない
  3. 日系企業の集積
  4. ヒューストンとDFWでの賃金設定
  5. ビザのルート概要
  6. 採用の手順

テキサス州は、州が連邦法以上の賃金ルールを一切定めていない数少ない米国の大市場の一つです。同時に、拡大を続ける日系企業コミュニティが本格的な日本食への需要を生み出しています。その結果、賃金はほぼ完全に競争で決まり、しかもヒューストンとダラス・フォートワースではまったく異なる動きを見せる市場になっています。本ガイドでは2つの都市圏を順に取り上げます。

1. ヒューストンとダラスは別々の賃金市場

O*NETで公表されている米国労働統計局(BLS)の2025年5月の賃金データを見ると、シェフ・料理長について州内の2大都市圏の間に大きな差があります。

シェフ・料理長(35-1011)下位10%中央値上位10%
ダラス・フォートワース・アーリントン$42,610$64,100(時給$30.82)$99,990
オースティン・ラウンドロック・サンマルコス$42,740$62,400$93,290
テキサス州(全体)$31,380$56,080$92,290
サンアントニオ・ニューブラウンフェルズ$21,430$48,900$95,260
ヒューストン・パサデナ・ウッドランズ$27,560$45,400(時給$21.83)$89,200

ダラス・フォートワースのシェフの中央値は、ヒューストンの中央値より年約18,700ドル高く、全国のシェフ中央値62,470ドルも上回っています。ヒューストンの中央値は、米国の大都市圏の中でも最も低い水準の一つです。

ただし、上位層に目を向けてください。ヒューストンの上位10%の水準である89,200ドルは、DFWの99,990ドルとそれほど変わりません。ヒューストンは賃金の幅が広く、小規模な厨房で「シェフ」の肩書きを持つ多くの人が中央値を押し下げる一方、上位には高給の料理長が少数います。ヒューストンで寿司の料理長を採用する本格的な日本食レストランは、中央値ではなくこの上位層で競争することになります。上級職の給与の基準にヒューストンの中央値を使うのはやめましょう。

レストラン調理人は、両都市の差が比較的小さくなっています。

レストラン調理人(35-2014)下位10%中央値上位10%
ダラス・フォートワース・アーリントン$28,020$36,490(時給$17.54)$45,280
ヒューストン・パサデナ・ウッドランズ$24,600$35,050(時給$16.85)$38,370

2. テキサス州には独自の最低賃金がない

テキサス州最低賃金法(Texas Minimum Wage Act)は、雇用主に連邦最低賃金の支払いを求めています。連邦最低賃金は時給7.25ドルで、2009年7月24日から変わっていません。米国労働省の比較表では、2026年7月1日時点でテキサス州のチップ労働者の現金賃金は連邦基準の2.13ドル、チップクレジットの上限は5.12ドルとされています。

市が独自の最低賃金を定めることもできません。テキサス州労働法典第62.0515条は、公共契約に基づく場合を除き、民間雇用について条例で定めた賃金よりも州最低賃金が優先すると規定しています。そのため、シカゴやシアトルとは異なり、ヒューストンやダラスの最低賃金を追う必要はありません。

実務上は、見た目ほど大きな意味はありません。ヒューストンのレストラン調理人の下位10%でも年24,600ドルを得ており、連邦最低賃金を大きく上回っています。賃金は市場が決めているのです。ただし、最低賃金がないということは、毎年賃上げを迫るコンプライアンス上のきっかけがないということでもあります。毎年賃金を見直さないテキサスのレストランは、気づかないうちに相場を下回り、近くの店に調理人を奪われてしまいます。

3. 日系企業の集積

テキサスの日本食需要は、日系企業とその社員によって支えられている面があります。その数は増えています。

ここから採用に関して2つのことが言えます。駐在員とその家族は本物の日本食の味を知る顧客層となるため、料理人に求められる水準は高くなります。また、駐在員の配偶者や家族の中には米国での就労資格を持ち、飲食業の経験がある人もいるため、スポンサーの前に現地で探す価値があります。

4. ヒューストンとDFWでの賃金設定

PERMやH-2Bの申請に使われる、労働省の2026年7月〜2027年6月の一般賃金(prevailing wage)データにも、2つの都市圏の同じ差が表れています。

シェフ・料理長(時給)レベルIレベルIIレベルIIIレベルIV平均
ダラス・フォートワース・アーリントン$20.13$26.11$32.10$38.08$32.15
ヒューストン・パサデナ・ウッドランズ$15.13$20.71$26.30$31.88$26.35

各レベルの決まり方や、H-2Bの調理人がレベルIではなく平均額で支払われる理由は、米国のシェフの一般賃金(prevailing wage)で解説しています。これらはスポンサー対象の労働者に対する法定の下限であり、採用上の目標額ではありません。寿司の料理長や、おまかせカウンターを任せられる板前の場合、現実的な出発点は次のとおりです。

これに、まかない、有給休暇、そして移住する料理人には住居の支援を加えましょう。テキサスのオファーをカリフォルニアやニューヨークのオファーと比べる候補者は、額面だけでなく手取り額と生活費を見ます。その両方について説明できるよう準備しておきましょう。

5. ビザのルート概要

米国には料理人専用のビザはありません。日本人料理人をテキサスに呼ぶ現実的な選択肢は次のとおりです。

テキサスでE-2を詳しく検討すべき理由

E-2を可能にしている日米間の条約は、1953年10月30日から発効しています。国務省の要件は具体的です。事業体の50%以上を条約締結国の国籍者が所有していること、そして社員はオーナーと同じ国籍で、経営・管理職を担うか、事業に不可欠な技能を持っていることが必要です。したがって、日本の親会社や日本人個人が所有するレストランであれば、現地では本当に見つけにくい技能を持つ日本人の料理長や寿司職人を呼び寄せることができます。

ヒューストンとダラスの両方で過去1年間に日系企業コミュニティが拡大しており、日系資本のレストラングループにはこのルートが自然に合います。まず確認すべきは所有要件です。日本資本が一部にとどまるレストランや、オーナーと異なる国籍の料理人を呼ぶ場合は該当しません。

ルート全体の比較は、日本人料理人のビザスポンサーをご覧ください。

6. 採用の手順

  1. どの都市圏の賃金データを使うかを決める。プレイノやフリスコの店舗はDFW、ケイティやシュガーランドの店舗はヒューストンの数字を使う。
  2. 上記のパーセンタイルから賃金幅を設定し、上級の日本人料理人は中央値を十分に上回る水準に置く。
  3. ヒューストンとDFWの日本人コミュニティのネットワークも含め、まず現地で探す。
  4. スポンサーする場合は、何よりも先に自社の資本構成がE-2の要件に合うかを確認する。日系資本のレストランにとっては、多くの場合これが最も早いルートです。
  5. 賃金、労働時間、時間外労働、休日、まかない、移住と住居について、条件を書面で提示する。
  6. 毎年賃金を見直す。テキサス州法は強制しませんが、市場は待ってくれません。

本記事は2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・税務・移民に関する助言ではありません。行動の前にリンク先のページでご確認ください。

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