就労ビザ

E-2ビザの「不可欠な従業員」:寿司職人の要件と証拠

日本資本の米国の店と料理人がE-2の従業員要件を満たすか。50%の資本要件とその示し方、「不可欠な技能」の考慮要素、要素ごとの証拠一式を解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

寿司職人をE-2で米国の店に迎えられるのは、3つの条件がそろうときです。米国永住者ではない日本国籍者が事業の半分以上を保有していること、料理人が日本国籍であること、そして料理人が監督職か、店に不可欠な技能を持つこと。多くの案件は3つ目で決まります。特定の技法、長い修業、メニューとの直接の結びつき、現地で見つからなかった記録、主張に見合う給与で立証します。

弁護士に依頼する前に、自社の資本構成と料理人がE-2の従業員要件を満たすかを確かめたいオーナーや飲食グループ向けのページです。ここでは法的な要件と証拠を扱います。在日米国大使館での申請(必要書類、面接、所要期間、費用)はE-2ビザの申請実務にあります。E-2が合わない場合は米国で料理人を雇うビザの選び方をご覧ください。

目次

  1. 要件1:資本構成と、その示し方
  2. 要件2:料理人は「不可欠」か
  3. 考慮要素ごとの証拠一式
  4. 記入例:おまかせカウンターの料理人
  5. 2年を超えて働いてもらうには
  6. 資本要件を満たさない場合
  7. 今週やること
  8. よくある質問

1. 要件1:資本構成と、その示し方

連邦規則は、雇用主が「条約国の国籍を持ち、投資家としての資格を持つか持ちうる人」によって50%以上保有されていることを求めています。日本は1953年10月30日から条約国です。国務省の外務マニュアルは、飲食店に関係する3つのルールを加えています。国籍は最終的な個人の保有者までたどって判断すること、設立地は関係ないこと、米国永住者が持つ株式は数えないことです。

保有の形結果提出するもの
日本国籍の個人が直接50%以上を保有満たす株主名簿または運営契約書、株券、各保有者のパスポート
日本の非上場会社の米国子会社50%を日本国籍の個人までたどれれば満たす親会社の登記事項証明書と株主名簿、個人までの保有関係図
親会社が日本の証券取引所にのみ上場取引所の所在地から日本国籍と推定できる上場の証明と、米国の事業体までの保有関係
米国のパートナーと50対50の合弁満たす(「少なくとも」50%)合弁契約書と株式の記録
日本人の創業者が米国のグリーンカードを取得したその持分は日本側に数えないまずその持分を除いて計算し直す
第三国の持株会社を経由個人までたどる各段階の登記書類

従業員がE-2で働いている間は、保有割合が基準を下回ってはいけません。合併、買収、料理人が働く部門の売却は実質的な変更にあたり、移民局への新たな申請か新しいビザが必要です。

2. 要件2:料理人は「不可欠」か

E-2の従業員は保有者と同じ国籍で、役員・監督職であるか、「それより下の立場で雇われる場合は」事業の効率的な運営に不可欠な特別の資格を持つ必要があります。厨房の部下を率いる料理長は監督職で組み立てられます。部下を持たない寿司職人、蕎麦職人、懐石の料理人は特別の資格で組み立てます。

8 CFR 214.2(e)(18)は、審査官が該当する範囲で次の点を考慮するよう定めています。

同じ条文の4つの記述が、飲食店の案件を左右します。外国の言語と文化の知識だけでは要件を満たさないこと。ある時点で不可欠な技能も、後にありふれたものになりうること。立ち上げに必要な技能は、運営が軌道に乗れば不可欠でなくなりうること。そして品質管理や「米国ではまだ一般に提供されていないサービス」に関わる場合は、より長く不可欠とされうること。希少な専門料理はこの最後の点で主張します。

国務省の外務マニュアル(9 FAM 402.9)は、不可欠な従業員がその企業で働いた経験を持つ必要はないこと、立ち上げに関わる必要性は1〜2年程度の比較的短い期間でありうることも示しています。

3. 考慮要素ごとの証拠一式

料理人向けの公式チェックリストはないため、考慮要素ごとに書類を対応させています。

考慮要素書類示すべきこと
専門性、訓練の長さ各店の在職証明書(英訳付き)、調理師学校の卒業証明書、調理師免許(あれば)持ち場ごとの年数(寿司なら追い回しからつけ場まで)、週の労働時間、誰に師事したか
他者が技能を持つか、工程との関係職務記述書、メニューと価格表、メニューが依存する技法の説明その技法なしにメニューが成り立たないこと、既存のスタッフにはできないこと
必要な訓練期間以前の親方や店主の陳述書職務に必要な水準に達するまでの年数
給与オファーレター、地域の賃金統計地域の料理人の給与帯の下限ではなく上のほうにあること
米国での入手可能性現地募集の記録実際に探して、その技能が見つからなかったこと
立ち上げ(使う場合)氏名と日付の入った育成計画誰が何をいつ学び、いつ現地スタッフに引き継ぐか

E-2で求人広告を義務づける規定はありません。ただし米国での入手可能性は考慮要素の一つで、記録の残る募集がいちばん直接の答えになります。役に立つ記録には、掲載先と期間、求めた要件(具体的な技法と年数)、応募者数、応募者ごとに技能が足りなかった理由を1行ずつ残します。「寿司の経験」だけを求める広告では、ほとんど何も証明できません。

4. 記入例:おまかせカウンターの料理人

たとえば、日本在住の日本国籍者2人が60%、米国の投資家が40%を保有するニューヨークの飲食会社が、江戸前のカウンターを任せる料理人を呼ぶとします。記入すべき空欄を残した骨子は次のとおりです。

資本構成:[保有者A]と[保有者B]が60%を保有。日本旅券、いずれも米国永住者ではない。株主名簿とパスポートはTab[ ]。
職務:おまかせカウンターの責任者。魚の仕込みと熟成、シャリの味付け、各品の提供。現地の調理人2人に[ ]か月かけて仕込みを教える。
修業歴:[東京の店名]で[ ]年。[年]から仕込みを経てつけ場へ。週の労働時間入りの在職証明書(英訳付き)。
事業との結びつき:江戸前のおまかせUS$[ ]の固定メニュー。魚の締めとシャリの味付けがメニューの核で、現スタッフには担える人がいない。
現地募集:[掲載先]に[日付]から[日付]まで、江戸前のカウンター経験[ ]年以上を条件に掲載。応募[ ]人、締めの経験を持つ人はいなかった。
給与:年US$[ ]。BLSによるニューヨーク都市圏のシェフ・料理長の中央値はUS$71,780、90パーセンタイルはUS$120,370(2025年5月)で、提示額は[ ]パーセンタイル。

同じ案件の弱い書き方は、「本場の日本人料理人で日本語が堪能」とし、地域の中央値を下回る給与を提示するものです。規則が認めない言語と文化に頼り、給与も「希少な技能」という主張と矛盾します。地域の賃金は米国の料理人の一般賃金をご覧ください。

5. 2年を超えて働いてもらうには

確認点ルール
ビザ最長60か月、数次、日本国籍者は発給手数料なし
1回の入国最長2年
米国内での延長2年以内の単位で、回数の上限なし。本人が米国にいる間に申請
立ち上げ要員2年以内に目的を達すると推定され、特段の事情がなければ延長不可
雇用主の変更、大きな組織変更新たな申請か新しいビザが必要

立ち上げを理由にした場合は、初日から引き継ぎを計画し、3年目を当てにしないでください。長く働いてもらうなら、永住権の手続きを早めに始めます。E-2は資格終了時に出国する意思を求めますが、規則上、労働証明や移民請願を出したことだけを理由にE資格の申請を拒否することはできません。詳しくは料理人のグリーンカード申請をご覧ください。

米国内でI-129によりE-2へ資格変更する場合、申請料はUS$1,015(フルタイム換算25人以下の雇用主は半額)、Asylum Program FeeがUS$600(小規模雇用主はUS$300)、プレミアム処理はUS$2,965です。日本にいる料理人の領事手続きの費用は申請実務のページにあります。

6. 資本要件を満たさない場合

7. 今週やること

  1. 個人の保有者まで、国籍と米国での在留資格を入れた保有関係図を作る。
  2. メニューが依存する技法を軸に職務記述書を書く。
  3. 料理人に、期間・労働時間・持ち場が入った在職証明書を依頼する。
  4. 現地で募集していなければ、技法と年数を明記した広告を出し、記録を残す。

最終確認日:2026年9月27日。変わる数字:USCISの手数料(2026年9月1日時点の8 CFR 106)、プレミアム処理US$2,965(2026年3月1日から)、BLSの賃金データ(2025年5月分、毎年春に更新)。資本要件と「不可欠な技能」の規定は規則によるもので、変わることはまれです。

よくある質問

料理人は以前に当社で働いている必要がありますか。

ありません。外務マニュアルは、不可欠な従業員がその企業での職歴を持つ必要はないとしています。ただし規則は企業での訓練期間を考慮要素の一つにしているので、職歴があれば有利に働きます。

日本人で日本語が話せれば「不可欠」になりますか。

なりません。規則は、外国の言語と文化の知識だけでは要件を満たさないと明記しています。特定の技能、その習得にかかった期間、メニューとの結びつきで組み立てる必要があります。

日本人の創業者がグリーンカードを持っています。要件を満たしますか。

永住者でない日本国籍者の持分だけで50%以上あれば満たします。米国永住者が持つ株式は、事業の国籍の判断に数えられません。

E-2の料理人を2店舗目で働かせてもよいですか。

2店舗目が親会社または同じ親会社の子会社で、それ自体も条約国企業の要件を満たし、そのことを資格決定時に示していれば可能です。系列外の雇用主への移動や、合併・事業売却には新たな申請か新しいビザが必要です。

先に米国で求人広告を出す必要はありますか。

E-2で義務づける規定はありません。ただし米国での技能の入手可能性は考慮要素の一つで、記録の残る募集がいちばん明確な証拠になります。

本記事は2026年9月27日に米国政府の公式情報を確認して作成した一般情報であり、法務・移民に関する助言ではありません。E-2の審査は個別の事実関係で決まります。申請前に米国移民法の弁護士にご相談ください。

出典

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