就労ビザ

料理人のO-1ビザ:雇用主向け自己診断と費用・日程

申請する米国側の雇用主のためのO-1B解説。6つの基準に対する10分の自己診断、意見書、飲食店側が用意すべき書類、週単位のスケジュール、政府手数料以外にかかる2026年の費用を整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

O-1Bを使うと、米国の飲食会社は「distinction(卓越性)」を備えた料理人を、年間上限も抽選もなく、所有要件も労働市場テストもなしでスポンサーできます。このページは料理人本人ではなく、申請する米国側の雇用主のためのものです。求められるのは、料理人が著名な存在と認められている証拠で、6種類のうち3つ、または大きな受賞歴のどちらかです。政府手数料はプレミアム処理込みで約$4,620、なしで約$1,655。証拠集めからビザ取得まで12〜20週間を見込んでください。

このページは、申請を行う米国の飲食会社と、弁護士に依頼する前に自社の料理人が基準を満たすかを見極めたいオーナー向けです。O-1Bの基準、10分でできる自己診断、日程と費用を扱います。米国の全ルートの比較は日本人料理人を雇う米国ビザの選び方を、公の評価がない料理人にはE-2の必須従業員ルートとEB-3のスポンサーをご覧ください。提示額の決め方は国別の寿司職人の給与にあります。

目次

  1. 10分の自己診断:6つのうち3つを満たすか
  2. O-1Bとは何か、なぜ料理人が使えるのか
  3. 基準は「distinction(卓越性)」
  4. 6つの立証基準を厨房の実績に置き換える
  5. 意見書(advisory opinion)
  6. 申請者と、飲食店側が用意すべきもの
  7. 週単位のスケジュール
  8. 費用:政府手数料とそれ以外
  9. 有効期間と延長
  10. O-1Bが向かないケース

1. 10分の自己診断:6つのうち3つを満たすか

弁護士に相談する前に、今日書類で示せるものにチェックを入れてください。それぞれの詳細は第3章にあります。

今日、当てはまるか基準
☐1. 報道された注目度の高い催し・ポップアップでの主導的な役割
☐2. 言語を問わず、国内・国際的な報道で本人の名前が挙がっている
☐3. 評価の高い、名の知れた店・ホテル厨房での主導的な役割
☐4. 本人の指揮下での実績(評価、売上)が裏付けられている
☐5. 実績ある料理人・批評家・料理団体からの書簡がある
☐6. 提示額が都市圏の中央値ではなく上位10%に近い

採点:3つ以上にチェックが付く、または国内外で大きな料理関係の賞を受けていれば、申請を組み立てる価値があります。1〜2個なら、才能はあっても書面の裏付けがなく、許可には至りません。E-2やEB-3を検討してください。最も多い誤診断は基準3です。ガイドの星が本人ではなく店に付いているだけで、本人の役割を示す証拠になっていないケースです。

2. O-1Bとは何か、なぜ料理人が使えるのか

O-1の区分には2つの枠があります。O-1Aは科学、教育、ビジネス、スポーツを対象とし、O-1Bは芸術、および映画・テレビ産業を対象とします。8 CFR 214.2(o)は「arts(芸術)」を「美術、視覚芸術、料理芸術、舞台芸術などを含むが、これらに限られない創造的活動の分野」と定義しています。料理人は解釈によって無理に当てはめられているのではなく、条文に明記されているのです。

飲食店にとって魅力的な理由は3つあります。年間の発給上限がなく抽選もないこと、所有要件がないこと(E-2と違い、店が日本資本である必要はなく、料理人の国籍も問われません)、そして労働市場テストがないため、米国人労働者を採用できなかったことを証明する必要がないことです。

3. 基準は「distinction(卓越性)」

芸術分野について、規則は基準を「distinction」とし、「通常見られる水準を大きく上回る技能と評価によって裏付けられた高い達成度であり、著名とされる人物がその分野で名声を得ている、第一線にいる、または広く知られている程度のもの」と定義しています。ビジネスや科学のO-1Aの基準は「その分野の頂点に達したごく一握りの一人」であることです。これと比べると、distinctionのハードルは低いといえます。料理人が世界屈指である必要はありませんが、同じ分野の人々から著名な存在と認められていることを書面で証明する必要があります。それを確かめるのが上の自己診断です。

4. 6つの立証基準を厨房の実績に置き換える

申請では、国内または国際的に重要な賞へのノミネートもしくは受賞を示すか、6種類の証拠のうち少なくとも3つを示す必要があります。規則は映画や演劇の用語で書かれています。それぞれを料理人のキャリアに当てはめると次のようになり、つまずきやすい点も合わせて示します。

基準(8 CFR 214.2(o)(3)(iv)(B))示すべきもの/示せないもの
1. 高い評価を持つ作品・催しでの主導的な役割報道されたポップアップ、コラボレーション、フェスティバルでの料理長(今後の予定も対象)/報道も評判もない催しは不可
2. 主要な報道での国内・国際的な評価全国紙、料理雑誌、主要ガイドで名前が挙がった批評、日本の全国メディア(翻訳付き)/地元ブログは不可
3. 高い評価を持つ組織での主導的な役割有名料亭、ガイド掲載店、評価の高いホテル厨房での料理長や重要な役割/店の評判だけで本人の役割の証拠がないものは不可
4. 商業的な成功または高く評価された実績本人の在任中のガイド評価、客数や売上の伸び。業界誌や一般メディアで裏付けたもの/裏付け記事のない主張は不可
5. 批評家や専門家からの評価執筆者自身の権威を明記し、なぜ本人が著名なのかを説明する書簡/「勤勉で才能がある」だけでは不可
6. 同分野の他者と比べて高い給与雇用契約や給与を公表データと比較したもの(米国での提示額も対象)。2025年5月の全国中央値は$62,470で、比較のない主張は不可

これらの基準が容易に当てはまらない場合、規則は同等の証拠の提出を認めています。料理人のキャリアでは興行収入や視聴率のような数字は生まれないためです。単一の受賞で満たすルートはアカデミー賞、エミー賞、グラミー賞に匹敵するものが必要で、料理人の場合は国内外で最も権威ある賞に限られ、大半の申請は6つのうち3つを満たすルートで進みます。基準6は全国値ではなく都市圏で比較してください。BLSの2025年5月データでは、シェフ・料理長の中央値は全国$62,470に対し、ニューヨークで$71,780、ロサンゼルスで$69,990、全国の上位10%は$98,560でした。公式データの一覧は国別の寿司職人の給与にまとめています。

5. 意見書(advisory opinion)

第三者への照会は必須です。仕事の内容と本人の資格について、「同業者団体(その分野の専門家個人を含み得る)、労働団体または経営者団体」からの書面による意見書が必要で、申請書と一緒に、団体の権限ある担当者の署名付きで提出します。

映画や音楽には、こうした意見書を日常的に書く組合が確立されています。料理人にはそうした団体がないため、申請者は通常、料理の専門職団体やその分野の専門家に依頼します。意見書はあくまで助言ですが、ないままの申請は不完全とされます。申請が遅れる原因は、USCISの審査そのものよりもこの工程であることがほとんどなので、早めに動いてください。

6. 申請者と、飲食店側が用意すべきもの

米国の雇用主(貴社のレストラン運営会社)がForm I-129を提出します。米国内の代理人が申請することもでき、外国の雇用主は代理人を通す必要があります。料理人本人が自分で申請することはできません。申請は、必要な日の1年より前には提出できず、1件で対象にできる受益者は1人だけです。

料理人本人の証拠一式とは別に、飲食店側が用意するのは、基準6を裏付ける給与を明記した雇用契約書または提示条件、1つの店で3年間であっても開始日と終了日を示す業務の日程(itinerary)、会社登記・コンセプト・メニューなど職と店の実在を示す証拠、なぜこの料理人を中心に店を作っているのかを説明する自社側からの推薦状、そして同業者団体または専門家に依頼する署名済みの意見書です。

許可後、日本にいる料理人は米国大使館または領事館でビザの発給を申請します。すでに別の在留資格で米国にいる料理人は、要件を満たせば資格変更ができます。

7. 週単位のスケジュール

日程を左右するのは、意見書をどれだけ早くそろえられるか、そしてプレミアム処理を使うかどうかです。

必要日までの週数やること
16〜12週前自己診断を行う。報道、書簡、評価、給与比較を集め、日本語資料を翻訳する。
12〜8週前同業者団体または専門家に意見書を依頼する。最も時間のかかる工程で、公表された処理期間はない。
8〜6週前意見書を添えてForm I-129を作成・提出する。
6〜5.5週前(プレミアム処理)提出から15営業日で判断。
6週前〜数か月(通常処理)通常処理には公表された期間がない。
許可後日本の米国大使館・領事館での面接予約と面接。待ち時間は在外公館により異なる。
0ビザ発給、渡航、到着。

証拠一式が準備でき、プレミアム処理を使い、領事の遅れがなければ、現実的な最短は約12週間です。意見書の遅れと通常の領事手続きの待ち時間を加えると、計画上は20週間を見ておくほうが安全です。

8. 費用:政府手数料とそれ以外

項目金額(2026年9月時点)
Form I-129(O申請)$1,055(フルタイム換算で従業員25人以下の雇用主、または非営利団体はおおむね半額・端数調整)
Asylum Program Fee$600。小規模雇用主は$300、非営利団体は不要
プレミアム処理(任意)2026年3月1日から$2,965。15営業日で判断
領事館でのビザ申請料国務省が定める額。予約時に確認
政府手数料の合計(プレミアム処理あり)約$4,620
政府手数料の合計(プレミアム処理なし)約$1,655

オンライン申請ならI-129の通常料金から$50引かれます。公的機関が定めているのはここまでです。弁護士費用や、証拠の収集・翻訳・整理にかかる費用はどこにも公表されておらず、通常は最も大きな項目になり、政府手数料を上回ります。契約前に書面の見積もりを取り、追加証拠要求への対応が含まれるかも確認してください。米国の各ルートを横断した費用の全体像と、O-1の上位25%給与での試算は海外から料理人をスポンサーする費用にあります。

9. 有効期間と延長

O-1の申請は最長3年まで許可されます。その後は、同じ活動を継続または完了するために、最長1年単位で延長が認められ、回数の上限はありませんが、そのたびに新たな申請が必要です。在留資格は申請者(雇用主)に結び付いており、料理人が別の雇用主のもとへ移る場合、新しい雇用主が自ら申請と滞在延長の申請を行う必要があります。

10. O-1Bが向かないケース

O-1Bが最も生きるのは、店がその人を中心に作られている料理人、つまり看板となる料理人や、実績の裏付けがあるおまかせカウンターの責任者です。この層の採用についてはおまかせ寿司職人の採用を、米国の選択肢の全体像は日本人料理人を雇う米国ビザの選び方をご覧ください。

変わる数字:8 CFR 106に基づくUSCIS手数料(直近の変更はAsylum Program Feeと2026年3月1日のプレミアム処理値上げ)、BLSの料理人賃金データ(次回更新は2027年5月、全国・都市圏の新しい数字)。次回確認は2027年3月です。

よくある質問

自社が日本資本でなくても、料理人をO-1Bでスポンサーできますか。

できます。O-1Bには所有要件がなく、E-2と違って料理人の国籍も問われません。求められるのは、料理人が分野で著名な存在と認められている証拠で、6つの基準のうち少なくとも3つ、または大きな受賞歴のどちらかで示します。

自社の料理人がO-1Bの対象になるかどうかは、どう判断すればよいですか。

第1章の自己診断で採点してください。今日書類で示せる基準に1つずつ点を付け、3つ以上、または国内外の大きな賞があれば、弁護士と申請を組み立てる価値があります。3つに満たなければ、E-2かEB-3を検討してください。

O-1Bは申請から料理人の到着まで、どのくらいかかりますか。

証拠一式が準備でき、プレミアム処理を使い、領事の遅れがなければ約12週間です。意見書の取得には公表された処理期間がなく、通常の領事手続きの待ち時間も加わるため、計画上は20週間を見るほうが安全です。

O-1Bの費用は雇用主にとってどのくらいですか。

政府手数料は、プレミアム処理なしで約$1,655、ありで約$4,620です。I-129の手数料、Asylum Program Fee、プレミアム処理料からなります。弁護士費用と証拠の準備費用はどこにも公表されておらず、通常は最も大きな費用になるため、書面の見積もりを取ってください。

意見書とは何で、なぜそんなに時間がかかるのですか。

同業者団体または認められた専門家が、料理人の資格について作成する必須の意見書で、申請書と一緒に提出します。料理人にはこれを日常的に書く決まった団体がないため、飲食店は通常、料理の専門職団体や個人の専門家に依頼することになり、この手配がUSCISの審査そのものよりも申請を遅らせる原因になりがちです。

2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。O-1の判断は証拠の質に大きく左右されます。米国の移民弁護士に相談してください。

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