就労ビザ

料理人のH-2Bビザ:日本人シェフに現実的に機能するか

H-2Bは閑散期のはっきりした季節営業のリゾート厨房向けで、通年営業のレストランには向きません。一時的な必要性の基準、対象国としての扱いの空白を踏まえた日本人料理人の現実的な確率、66,000件の上限、1人あたりの総費用、逆算の申請カレンダーを解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

H-2Bが合うのは、閑散期がはっきりしている季節営業のリゾートやホテルの厨房であり、恒常的な人手不足を抱える通年営業のレストランではありません。実務上、日本人料理人の採用にはほとんど機能しません。日本人へのH-2B発給数は年間で数十件にも満たないとみられ、2025年11月8日以降の日本の対象国としての扱いも確認できていません。1人あたり、賃金に加えて手数料・渡航費・生活費の負担でおよそ$1,680〜$4,460を見込んでください。シーズン開始日から少なくとも90日前には申請の準備を始めてください。

季節営業のリゾートやホテルのレストランで、1シーズンの厨房をH-2Bで埋められるか確認したいオーナー向けです。恒常的な日本人料理人の採用の抜け道として使おうとしている場合も対象になります。一時的な必要性の基準、日本人料理人にとっての現実的な確率、費用の全体像、申請カレンダーを扱います。恒常的な採用にはE-2、O-1B、EB-3を検討してください。比較は日本人料理人を雇う米国ビザの選び方に、賃金の下限の決め方は米国の料理人のプリベイリングウェージにあります。

目次

  1. すべてを決める1つの基準:一時的な必要性
  2. H-2Bが飲食店に合う場合、合わない場合
  3. 発給上限と追加枠
  4. 日本人の料理人は現実にH-2Bを取得できるか
  5. 手順と期限:逆算カレンダー
  6. 1人あたりの季節雇用の総費用
  7. 雇用主が提供しなければならないもの
  8. 利用するかどうかの判断

1. すべてを決める1つの基準:一時的な必要性

国土安全保障省(DHS)の規則上、問われるのは仕事そのものが一時的かどうかではありません。雇用主がその労働者を必要とすることが一時的かどうかであり、「その仕事自体が恒常的か一時的かにかかわらず」判断されます。原則として、必要な期間は1年以内でなければなりません(一回限りの事象の場合は最長3年)。労働省(DOL)は実務上さらに厳格で、20 CFR 655.6の規定では、一回限りの事象を除き、必要な期間が9か月を超える申請は却下するとしています。

類型規則上の要件飲食店での例
季節的(Seasonal)出来事やパターンによって季節と結び付き、毎年繰り返される。毎年いつ労働が不要になるかを明示する必要がある5月から9月まで営業するビーチリゾートの厨房
繁忙期(Peakload)常勤スタッフがその業務を担っており、季節的・短期的な需要のために一時的に増員する必要がある通年営業だが冬季は厨房の人員を倍にするスキーリゾートのレストラン
一回限り(One-time occurrence)これまで存在せず、今後も繰り返されない必要性飲食店ではまれ
断続的(Intermittent)その業務に常勤スタッフがおらず、ときどき短期的に必要になる飲食店ではまれ

雇用主がよくつまずく点が1つあります。雇用は「労働が不要な期間が予測不能もしくは変動する場合、または申請者の常勤従業員の休暇期間とみなされる場合は、季節的ではない」とされます。毎年その料理人が不要になる月を書き出せないなら、おそらく季節的な必要性はありません。

2. H-2Bが飲食店に合う場合、合わない場合

合う場合合わない場合
シーズンがはっきりしていて、閑散期が記録で裏付けられるリゾート・ホテルの厨房一年中忙しく、寿司職人を恒常的に必要としている都市部のレストラン
季節的な繁忙期が記録で裏付けられる通年営業の店で、常勤チームに料理人を上乗せする場合(繁忙期)H-2Bのシーズンを何度も続けて、常勤採用の代わりにすること
毎年決まった終了日のある、短く明確なシーズン厨房を率いるベテランの料理人を呼ぶこと。この役割は本質的に恒常的

恒常的な採用については、代わりにE-2、O-1B、EB-3を検討してください。

3. 発給上限と追加枠

H-2Bは法律で会計年度あたり66,000件が上限と定められており、前半・後半に33,000件ずつ割り振られます。需要はこの上限を常に上回ります。2026会計年度については、Public Law 119-37に基づき最大64,716件の追加ビザが認められましたが、この権限は2026年9月30日に失効しました。2027会計年度に追加ビザがあるかは新たな立法とDHSの新規則次第であり、それを前提にした計画は立てないでください。労働省自身の数字が規模を示しています。2026年1月から9月までに必要とされる仕事について、最終判断が出た申請は10,474件、認定された労働者のポジションは143,929件で、法定上限66,000件の2倍を超えており、通常、労働認定ではなくビザの上限が障壁になるのはこのためです。

4. 日本人の料理人は現実にH-2Bを取得できるか

これを決めるのは2つの別々の問いで、どちらも日本人の採用には不利に働きます。

対象国であるか。H-2Bビザは原則として、DHSが連邦官報の告示で指定した国の国民に限られます。2024年11月8日に公表された告示では日本がリストに含まれていましたが、有効期限は2025年11月8日までとされていました。2026年9月時点で、それ以降の指定告示は確認できていません。計画を立てる前に、USCISのH-2B対象国ページまたは弁護士で最新の扱いを確認してください。

対象国であっても、件数自体が少数です。H-2Bは造園、林業、宿泊施設の清掃などの職種で、メキシコをはじめとする一部の国に集中しており、公表されている労働省・DHSの国別データに日本が目立った供給国として現れることはなく、日本人の料理人に限った公的な件数も見当たりませんでした。日本人料理人のH-2B採用を前提にした計画は、現在の対象国としての扱いと、日本の領事館が実際にこの案件を処理しているかの両方を確認するまでは、実証されていないものとして扱ってください。

仮に対象国であっても、日本人料理人にとってH-2Bは実務上珍しいルートです。日本で修業した料理人の多くは1シーズン限りではなく長期的なキャリアの転機を求めていますし、後述する通算3年の上限があるため、このルートはもともと短期的なものです。

5. 手順と期限:逆算カレンダー

必要開始日までの期間やること
少なくとも90日前労働省にプリベイリングウェージの決定(ETA-9141)を申請する。2026年9月時点で、労働省の処理状況ページでは2026年7月・8月受付分のH-2B申請が処理中だった。90日の申請期間が開く前にこの分の時間を見込む。
90日前〜75日前労働認定(ETA-9142B)と求人登録を労働省に申請。求人登録は州の労働力機関に送られ、労働省の電子求人登録簿に掲載される。
労働省の受理から14日以内所定の米国人向け募集活動を行う。以前雇用していた米国人従業員への連絡、職場での求人掲示(または労働組合への通知)。
必要開始日の21日前まで米国人の応募を受け付け続け、要件を満たす人を採用する。
募集終了後労働省へ募集報告書を提出し、認定を受ける。
認定後USCISにForm I-129を申請。
I-129承認後各労働者が米国領事館でビザ面接を受ける。

入国が認められる期間は、承認された申請の期間に加え、その前に最長10日、後に最長30日です。H-2Bの在留資格で合計3年までは延長が可能で、その後は再び資格を得るまでに連続60日間米国外に滞在しなければなりません。

6. 1人あたりの季節雇用の総費用

項目金額(2026年9月時点)
Form I-129(H-2B、氏名を特定した労働者1〜25人)$1,080
Form I-129(H-2B、氏名を特定しない労働者のみ)$580(小規模雇用主・非営利団体は$460)
Asylum Program Fee$600(フルタイム換算で従業員25人以下の雇用主は$300)
プレミアム処理(任意)2026年3月1日から$1,780。15営業日
申請1件あたりの政府手数料合計(プレミアム処理あり)約$3,460
入国時の渡航費・生活費(雇用期間の半分終了時、またはそれ以前に精算)生活費は1日最低$16.78、領収書があれば最大$178(2026年4月7日施行)。航空券は変動
期間満了または早期解雇時の帰国渡航費変動
ビザ関連費用(労働者へ払い戻し)国務省のビザ手数料など
職務に必要な道具・設備無償で提供。料理人の場合、包丁や厨房設備

これには賃金そのものは含まれておらず、賃金はプリベイリングウェージと連邦・州・地方の最低賃金のうち最も高い額以上でなければなりません。H-2Bのプリベイリングウェージは技能レベルの区分がない単純な都市圏平均で、同じ職務のPERMレベルIやIIの数字より高くなることがあります。都市圏ごとの数字の調べ方は米国の料理人のプリベイリングウェージをご覧ください。下記の4分の3保証も、形だけのものではなく実際のコストとして見込んでください。客足が鈍れば、その分を支払う必要があります。

7. 雇用主が提供しなければならないもの

H-2Bには、通常の採用にはない雇用主の義務が伴います。20 CFR 655.20に基づく主なものです。

8. 利用するかどうかの判断

H-2Bは、毎年夏や冬に料理人を増員する必要があり、労働省の募集手続きをこなせる書類管理の体制があるリゾートには適しています。専門の料理人を呼びたい日本食レストランには向きません。必要性がたいてい恒常的であるうえ、制度には上限があって期間も短く、このルートで対象になる日本人料理人の実際の供給は薄いか、実証されていないからです。リゾート施設を運営している場合は、ラスベガスのガイドで、通年の需要がH-2Bの利用を制限する理由を取り上げています。米国のすべてのルートの比較は日本人料理人を雇う米国ビザの選び方をご覧ください。

変わる数字:H-2Bの上限と追加ビザの権限(会計年度ごと、10月1日に更新)、労働省の処理期間(FLAGページで随時更新)、生活費の基準額(直近の改定は2026年4月7日)、8 CFR 106に基づくUSCIS手数料。日本の2025年11月8日以降のH-2B対象国としての扱いは未確認で、依拠する前に確認してください。次回確認:2027会計年度の上限と追加枠の扱いが判明する2026年10月。

よくある質問

通年営業の日本食レストランが、恒常的な料理人の欠員をH-2Bで埋めることはできますか。

できません。H-2Bは、対象となる職務そのものが恒常的とみなせるかどうかにかかわらず、労働者への必要性が一時的であること、原則として9か月以内であることを求めます。恒常的な料理人の欠員には、代わりにE-2、O-1B、EB-3を検討してください。

実際に日本人の料理人はH-2Bビザを取得できていますか。

取得できていても少数にとどまります。日本のH-2B対象国としての指定は2025年11月8日までの公表で、2026年9月時点でそれ以降の更新は確認できておらず、公表されている労働省・DHSのデータにも日本が目立った供給国として現れていません。計画を立てる前に現在の対象国としての扱いを確認してください。

H-2Bの料理人には賃金以外にいくらかかりますか。

政府手数料はプレミアム処理込みで申請1件あたり約$3,460、これに入国時の渡航費・生活費の負担(1日最低$16.78)、帰国渡航費、ビザ費用の払い戻し、無償の道具提供が加わります。想定より客足が鈍れば、4分の3保証の負担も実際のコストになります。

H-2Bはどのくらい前から申請の準備が必要ですか。

必要開始日の少なくとも90日前にプリベイリングウェージの決定を申請し、その後90日前から75日前の間に労働認定を申請します。労働省の処理の滞留状況を踏まえ、90日の申請期間が開く前から時間を見込んでください。

4分の3保証とは何ですか。

12週間ごと(120日未満の仕事では6週間ごと)に、労働日の少なくとも4分の3の仕事を提供する法的義務です。想定より客足が鈍くても、保証した時間分の賃金は支払わなければなりません。

2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。H-2Bの上限、追加ビザの権限、対象国のルールは頻繁に変わります。申請前にUSCIS、労働省、または移民弁護士に最新のルールを確認してください。

出典

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