市場データ・制度

農林水産物・食品輸出額2025:海外の和食店への意味

2025年の農林水産物・食品の輸出額は過去最高の1兆7,005億円。輸出先とレストラン数の対比、伸びの大きい品目、海外の和食店の仕入れと採用への意味をまとめました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

日本の農林水産物・食品の輸出額は2025年に過去最高の1兆7,005億円となり、前年比12.8%増、2026年1〜7月もさらに11.0%増えています。海外の和食店にとってこの流れが意味するのは2つです。日本の食材がより多くの市場で調達しやすくなっていること、そして伸びの大きい品目(緑茶、水産物、調味料)が、これから需要が増える厨房スキルを示していることです。このページは貿易統計としてではなく、メニューと採用にどう影響するかという観点で数字を読みます。

このページは、海外でオーナーや運営者として、日本の輸出データが仕入れとスタッフ採用にどう関わるかを知りたい方向けです。全体の傾向、主要な仕向地、伸びの大きい食材を、それぞれ経営判断につなげて扱います。より詳しい統計、2030年の政策目標、その裏にある政府の施策(日本国内の事業者向け)は日本の農林水産物・食品輸出データ(日本企業向け)にあります。国別のレストラン数は海外の日本食レストラン数データにあります。

目次

  1. 2025年の実績と2026年の状況
  2. 2012年からの推移
  3. 輸出先とレストラン数の対比
  4. 和食の厨房が買う品目
  5. それぞれの動きが厨房と採用に意味すること
  6. 数字の読み方
  7. よくある質問

1. 2025年の実績と2026年の状況

農林水産省(MAFF)が財務省貿易統計をもとに毎月まとめる農林水産物・食品の輸出額は、2025年に1兆7,005億円となり、前年(1兆507億円)比12.8%増でした。これで13年連続の過去最高で、主要な輸出先すべてで増加しました。

2026年に入っても伸びは続いています。1〜7月の輸出額は1兆423億円で、前年同期比11.0%増でした。農水省が事業者への聞き取りから挙げる理由は、日本食への関心の高まり、インバウンド観光による認知の広がり、健康志向の高まりで、既存の販路の拡大と新規販路の開拓の両方が伸びを支えています。

2. 2012年からの推移

年輸出額(億円)
2012年4,497
2015年7,451
2019年9,121
2021年12,382
2023年14,541
2024年15,071
2025年17,005

2012年からおよそ4倍に増えており、飲食業界の多くのカテゴリーが経験する伸びより、長く安定して続いています。政府の2030年目標は5兆円です。この政策の詳細、外食産業の海外展開収益に関する目標もあわせて日本企業向けの輸出データのページにまとめています。

3. 輸出先とレストラン数の対比

順位仕向地2025年輸出額(億円)前年比日本食レストラン数2025年(農水省)
1米国2,762+13.7%26,360
2香港2,228+0.9%1,480
3台湾1,812+6.4%7,100
4中国1,799+7.0%63,500
5韓国1,094+20.0%19,800
6ベトナム954+10.6%1,820
7タイ735+17.1%5,920
8シンガポール563+1.2%1,140
9ロシア414+439.3%2,520
10オーストラリア382+16.6%2,230

「レストラン1店あたりの輸出額」という数字自体は実態を示しません(輸出額には小売や製造業向けなど飲食店以外の用途も含まれるため)が、順位とレストラン数のずれからは読み取れることがあります。香港とシンガポールは、日本食レストランの数に比べて非常に多くの日本食品を買っており、小売・食品店向けの日本食材の流通がレストランの規模に対して突出して発達していることを示します。逆に中国は、日本食レストラン数がずば抜けて多い一方で輸出額はそこまで大きくなく、現地や近隣国からの調達に頼る部分が大きいことを示唆します。米国向けは2025年4月以降の関税措置にもかかわらず伸び、緑茶と牛肉への需要が支えました。米国、台湾、韓国はそれぞれ過去最高を更新しています。国・地域別の詳細は海外の日本食レストラン数データにあります。

4. 和食の厨房が買う品目

農水省の2025年品目別データから、和食店が直接、または卸を通じて買う可能性が高い品目です。

品目2025年(百万円)前年比
ほたて貝90,587+30.4%
牛肉73,105+12.8%
ソース混合調味料72,146+7.8%
緑茶72,094+98.2%
ぶり52,775+27.4%
ウイスキー48,979+12.2%
清酒45,879+5.6%
しょうゆ13,493+10.7%
みそ7,142+13.1%

緑茶はほぼ倍増しました。農水省は355億円の増加の大半を、欧州、米国、ASEANでラテやスイーツに使われる粉末茶(抹茶を含む)によるものとしています。ほたて貝とぶりは数量の増加に加え、ぶりについては米国で大きく脂ののった魚への需要から単価も上がりました。ソース混合調味料は、米国とアジアでのマヨネーズやごま・しそなど風味への需要で伸びています。

5. それぞれの動きが厨房と採用に意味すること

6. 数字の読み方

農水省はこの統計を毎月公表しています。2025年の年間確定値は変わりませんが、月次の累計は本ページ時点で2026年7月分までで、8月分は2026年10月2日公表予定です。ここに載せた月次の数字は、読む時点ですでに一つ前の公表であることを踏まえ、最新の状況は下記の出典でご確認ください。

よくある質問

2025年、日本の食品輸出はどれくらい伸びましたか。

1兆7,005億円で、前年の1兆507億円から12.8%増え、13年連続の過去最高です。2026年に入っても伸びは続き、1〜7月は前年同期比11.0%増でした。

日本の食品を最も多く買っている国はどこですか。

2025年の輸出額では米国(2,762億円)、香港、台湾、中国、韓国の順です。この順位は日本食レストランの数の順位とは一致しません。中国は日本食レストラン数(63,500店)が圧倒的に多い一方で輸出額では4位にとどまり、逆に香港とシンガポールはレストラン数に比べて輸入が多くなっています。

輸出額が伸びていれば、海外の自店でも日本の食材が仕入れやすくなりますか。

一般的にはそうです。調味料、清酒、米、水産物の輸出が伸びるということは、その市場で日本食品を扱う輸入業者や卸が増えていることが多く、和食メニューを日本の食材で組みやすくなり、日本で修業した料理人が慣れたやり方で調理しやすくなります。ただしこの数字は飲食店の仕入れそのものを測るものではないため、特定の食材の供給を保証するものではなく、あくまで方向性の目安として読んでください。

最も伸びが大きい食材は何で、採用にどう関係しますか。

2025年で最も伸びが大きかったのは緑茶(+98.2%、主に飲料・スイーツ用の抹茶)、ほたて貝(+30.4%)、ぶり(+27.4%)です。緑茶の伸びはバリスタ的な人材への需要を、水産物の伸びは魚をさばける人材への需要を高めますが、後者は食材そのものより人材のほうが不足しがちです。

これは日本企業向けの輸出データのページと同じ内容ですか。

同じ農水省のデータですが、読者が異なります。このページは海外の運営者向けに、仕入れと採用の観点で数字を読みます。日本企業向けの農林水産物・食品輸出データでは、詳しい統計、2030年の政策目標、日本国内の事業者向けの支援制度を扱っています。

このデータは次にいつ更新されますか。

毎月です。次回の農水省の公表は2026年8月分で、2026年10月2日の予定です。2025年の年間確定値はこの先変わらず、2026年分の年間確定値は例年どおり翌年1〜2月ごろに公表されます。

本記事は一般的な情報であり、貿易や法律の助言ではありません。数字は農林水産省の輸出統計(財務省貿易統計にもとづく)を、2026年9月時点で公表されている範囲で確認しています。

出典

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