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料理人のEP申請とCOMPASSポイントの計算方法

料理人のエンプロイメントパス(EP)にCOMPASSの各基準を当てはめて解説。MOMのF&B給与ベンチマーク、C2リストに載る調理関係の資格、計算例、そして2027年の変更がC1で小規模店に有利に働く理由まで。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. COMPASSの仕組み:2段階の審査
  2. C1 給与:F&Bのベンチマーク
  3. C2 学歴・資格:多くの料理人が0点になる理由
  4. C3 多様性とC4 現地雇用
  5. C5とC6:ボーナス項目
  6. 計算例
  7. 2027年1月1日からの変更点
  8. オファーを出す前に

シンガポールでの採用ガイドでは、エンプロイメントパス(Employment Pass、EP)で料理人を雇えるかどうかが給与とポイントの問題であることを説明しました。本記事では、その計算を具体的に行います。人材開発省(MOM)が公表しているCOMPASSの各基準を順に見ていき、飲食サービス(Food & Beverage Services)のベンチマークを抜き出し、典型的な料理人の申請が何点になるかを計算例で示します。計算例の給与と人数は計算を説明するための仮定の数字ですが、基準値はMOMのものです。

1. COMPASSの仕組み:2段階の審査

EPの申請は、2つの段階をクリアする必要があります。

  1. 第1段階:EPの最低給与(qualifying salary)。金融サービス以外のすべての業種で、2027年1月1日より前の新規申請の場合、23歳以下で月S$5,600、年齢とともに上がり、45歳以上で月S$10,700です。
  2. 第2段階:COMPASS。適用除外でない限り、申請には40ポイントが必要です。

第1段階を満たさない候補者は、何ポイント獲得できたとしても対象外です。第2段階の適用除外は、固定月給S$22,500以上、海外からの企業内転勤者、1か月以内の職務のいずれかです。飲食店の料理人の場合、現実的に当てはまる除外はどれもないため、40ポイントが重要になります。

COMPASSには、それぞれ最大20ポイントの4つの基準と、2つのボーナス基準があります。

基準評価の内容ポイント
C1 給与固定月給を、自社の業種における現地PMET(専門職・管理職・役員・技術者)の給与と年齢別に比較0 / 10 / 20
C2 学歴・資格候補者の学歴・資格0 / 10 / 20
C3 多様性自社のPMETに占める、候補者と同じ国籍の割合0 / 10 / 20
C4 現地雇用への貢献自社の現地PMETの割合を業種内で比較0 / 10 / 20
C5 スキルボーナス人材不足職業リスト(Shortage Occupation List)に載っている職務0 / 10 / 20
C6 戦略的経済優先分野ボーナス対象となる政府プログラムに参加している企業0 / 10

2. C1 給与:F&Bのベンチマーク

C1では、候補者の固定月給を、候補者と同じ年齢における自社業種の現地PMETの給与と比較します。

MOMは毎年8月に、業種別・年齢別のベンチマークを公表しています。飲食店であれば飲食サービス(Food & Beverage Services)に分類されると考えられますが、ベンチマークは業種によって異なるため、myMOMポータルで自社の実際の分類を確認してください。現在適用されている表(2026年1月1日〜12月31日の新規申請)から主な年齢を抜き出し、EPの最低給与と並べると次のとおりです。

年齢EP最低給与F&B 65パーセンタイル(10点)F&B 90パーセンタイル(20点)
≤23S$5,600S$4,241S$5,788
25S$6,064S$4,409S$6,284
30S$7,223S$4,829S$7,524
35S$8,382S$5,249S$8,763
40S$9,541S$5,669S$10,003
≥45S$10,700S$6,089S$11,243

ここから、2026年の申請について2つのことが言えます。第一に、EPの最低給与はどの年齢でもF&Bの65パーセンタイルを上回っているため、第1段階をクリアした料理人は自動的にC1で少なくとも10点を獲得します。第二に、最低給与はどの年齢でも90パーセンタイルを下回っているため、最低額で雇われた料理人は20点ではなく10点になります。その差は月に数百ドルで、30歳でS$301、35歳でS$381、45歳以上でS$543です。

3. C2 学歴・資格:多くの料理人が0点になる理由

これらのリスト(2025年11月公表、2026年1月1日以降の申請に適用)に含まれる調理関係の項目は、知っておく価値があります。

日本のキッチンで何年も修業してきた料理人は、ほとんどの場合C2で0点になります。それを前提に計画してください。候補者がリストに載っている資格を持っていれば、想定外の10点または20点が加わります。その点数を当てにする場合、MOMは申請時に資格の真正性を証明する書類を求めています。

4. C3 多様性とC4 現地雇用

どちらも企業単位の基準で、まずPMETの人数によって決まります。PMETが25人未満の企業は、どちらも自動的に10ポイントになります。

ここでPMETとして数えられる範囲は、思っているより狭いものです。MOMが数えるのは、固定月給S$3,300以上の外国人従業員と、CPF(中央積立基金)賃金で月S$3,300以上の現地従業員(CPFを拠出している市民・永住者)です。この線を下回るスタッフは一切数えられません。MOMの2024年6月の居住者賃金データでは、調理師(cook)の月額総賃金の中央値はS$2,028、上級調理師(senior cook)はS$3,425で、キッチンの職務の多くはこの線の下か近くにあります。繁盛している店でも、PMETの人数は少ないことがあります。

PMETが25人以上の場合は次のとおりです。

C3:自社のPMETに占める候補者と同じ国籍の割合ポイント
5%未満20
5%以上25%未満10
25%以上0
C4:業種内で見た自社の現地PMETの割合ポイント
50パーセンタイル以上20
20パーセンタイル以上50パーセンタイル未満10
20パーセンタイル未満0

和食の飲食グループにとって重要な点が2つあります。C3では国籍はパスポートで判断され、永住者(PR)はその国籍で数えられます。チームにいる日本人の永住者は、日本人の割合を押し上げます。一方C4では、同じ永住者が現地人材として数えられます。また、現地PMETの割合が70%以上であれば、業種内での位置にかかわらずC4で少なくとも10点を獲得します。myMOMのWorkforce Insightsツールで、自社のこの2つの数字を確認できます。

5. C5とC6:ボーナス項目

C5 スキルボーナス。人材不足職業リストに載っている職務であれば最大20ポイントです。2025年11月に公表され2026年1月1日以降の申請に適用される現行のリストには、飲食店の料理人は人材不足職業として含まれていません。「Chef」は、アグリテック分野の企業における代替タンパク質の食品応用研究者(alternative protein food application scientist)という職務の、対象となる職務経験としてのみ登場します。飲食店の料理人であれば、0点と考えてください。

C6 戦略的経済優先分野ボーナス。自社が対象プログラムに参加していれば10ポイントで、支援機関の裁量で付与されます。ほとんどのプログラムは製造業、大規模投資家、資金調達済みのスタートアップを対象としています。ホスピタリティに近いものは2つです。

ボーナスの有効期間は最長3年、または参加期間のいずれか短いほうです。更新するには、更新前の3か月間それぞれでC3とC4の両方で少なくとも10点を獲得している必要もあります。

6. 計算例

以下の給与と人数は、計算を示すために選んだ仮定の数字です。基準値はMOMの2026年の表によります。候補者はいずれも、学位相当の資格を持たない日本人料理人で、2026年に申請するものとします。

例A:PMETが12人の単独店、35歳の料理人

オファー S$8,400オファー S$8,800
第1段階(35歳はS$8,382が必要)合格合格
C1(65パーセンタイル S$5,249、90パーセンタイル S$8,763)1020
C2(学位相当の資格なし)00
C3(PMET25人未満)1010
C4(PMET25人未満)1010
合計30:不合格40:合格

小規模な雇用主の場合、リストに載った資格を持たない料理人が合格するには、企業がC6ボーナスを得ていない限り、その年齢のF&B 90パーセンタイルに届く給与が必要です。この例では、不合格と合格の差は月S$400です。

例B:PMETが40人(うち日本人12人)のグループ、30歳の料理人

日本国籍者がPMETの30%を占めるため、C3は0点です。結果はC4次第になります。

現地PMETの割合が業種の中央値以上現地PMETの割合が20〜50パーセンタイル
C1(オファー S$7,600、30歳の90パーセンタイルはS$7,524)2020
C200
C3(日本人の割合30%)00
C42010
合計40:合格30:不合格

2列目のケースでは、C1がすでに満点のため、給与を上げても申請を救えません。選択肢は、C6ボーナス、リストに載った資格を持つ候補者、あるいは人員構成を変えることです。日本人のPMETを増やし続けるグループは、EPを1件追加するごとに難しくなっていきます。それこそがC3の狙いです。

傾向をまとめると、小規模な飲食店はC3とC4で自動的に20点を得られ、90パーセンタイルの給与が必要になります。日本人の割合が高い大きなグループはC3を失い、C4は現地PMETの割合次第になります。オファーを出す前に、MOMのSelf-Assessment Tool(自己診断ツール)で自社の数字を計算してください。

7. 2027年1月1日からの変更点

2027年1月1日以降の新規申請(および2028年1月1日以降に期限を迎えるパスの更新)では、EPの最低給与が23歳以下で月S$6,000、45歳以上で月S$11,500まで引き上げられます。MOMは2026年8月にこれに対応するC1のベンチマークを公表しており、2027年1月1日以降の新規申請と、2027年7月1日以降に期限を迎えるEPの更新に適用されます。

年齢2027年からのEP最低給与F&B 90パーセンタイル(2027年の表)
≤23S$6,000S$5,799
30S$7,750S$7,483
35S$9,000S$8,687
40S$10,250S$9,890
≥45S$11,500S$11,094

公表された2つの表を年齢ごとに比べると、2027年の最低給与はどの年齢でもF&Bの90パーセンタイル以上です。つまりMOMの数字に基づけば、2027年に第1段階をクリアしたF&B事業者のEP候補者は、C1でも満点の20点を獲得します。入口の金額は上がりますが、例AのC1の差は解消されます。学位を持たない小規模店の料理人でも、最低給与で40ポイント(20+0+10+10)に達します。

大きなグループについてはC3とC4に変化がないため、例Bの2列目のケースは2027年も不合格のままです。

8. オファーを出す前に

  1. myMOMで自社の業種分類が飲食サービス(Food & Beverage Services)になっているか確認する。
  2. MOMのS$3,300の定義でPMETの人数を数える。25人未満であれば、C3とC4はそれぞれ10ポイント。
  3. 25人以上であれば、Workforce Insightsで日本人の割合と自社の現地PMETの位置を確認する。
  4. 候補者がMOMのC2リストに載った資格を持っているか確認し、持っていれば真正性の証明書類を入手する。
  5. 申請する年の、候補者の年齢における最低給与と90パーセンタイルの両方と照らして給与を設定する。
  6. Self-Assessment Toolで確認し、公正考慮枠組み(Fair Consideration Framework)の求人広告要件を満たしてから申請する。

EPで数字が合わない場合は、シンガポールのガイドのSパスとの比較を、スポンサー全般については日本人料理人のビザスポンサーをご覧ください。

本記事は2026年9月時点でMOMが公表している基準と表に基づく一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。計算例は、計算を説明するための仮定の給与と人数を用いています。MOMはベンチマークとリストを毎年更新しています。実際に対応する前に、MOMのSelf-Assessment Toolでご確認ください。

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