アジア・オセアニア

バンコク出店の人材確保:資本金とタイ人雇用

バンコクで日本人料理長を雇う条件は、資本金とタイ人従業員の数で決まります。外国人事業法、1人あたり200万バーツ・タイ人4人・月5万バーツの条件を出店計画に落とし込みました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. バンコクの数字
  2. 人の計画は会社の設計から始まる
  3. 日本人1人あたりの条件を数式にする
  4. タイ人スタッフが店の土台になる
  5. 現地の日本人をどう見るか
  6. 出店スケジュールへの落とし込み
  7. チェックリスト

バンコクは在留邦人の数が都市別で世界2位の都市で、日本の外食企業にとってなじみのある出店先です。ただ、日本人の料理長を雇うための条件は、給与よりも会社の資本金とタイ人従業員の数で決まる部分が大きいのが特徴です。日本から何人呼ぶかは、会社の設計図を書く段階で決めておく必要があります。

この記事は、日本の外食企業やオーナーがバンコクに出店する場面を想定しています。労働許可の手続きの流れは英語記事Hiring a Japanese chef in Thailandで詳しく扱っています。

1. バンコクの数字

項目数字出典・時点
バンコクの在留邦人51,297人(都市別で2位)外務省、2025年10月1日
タイの在留邦人72,113人(長期滞在者69,380人、永住者2,733人)外務省、2025年10月1日
タイの日本食レストラン約5,920店(2023年比+590店)農林水産省、2025年
日本からタイへの農林水産物・食品輸出735億円(前年比+17.1%)農林水産省、2025年

日本食レストランは2年で590店増え、日本からの食品輸出も伸びています。需要のある市場ですが、そのぶん和食の経験があるスタッフの取り合いも起きやすいと考えてください。

2. 人の計画は会社の設計から始まる

外国人事業法:飲食店は規制業種

JETROによると、タイの外国人事業法では「飲食物販売」が第3表(外国人事業委員会の承認を得て許可を受ける必要がある業種)に入っています。外国資本が50%以上の会社は外国企業として扱われ、この規制を受けます。出資比率をどうするか、外国人事業許可を取るかといった判断は、就労許可より前に決まっている必要があります。

就労許可の条件は会社にかかる

JETROがまとめている外国人の就労許可の条件は次のとおりです(2025年10月30日更新の情報)。

条件内容
資本金外国人1人につき、払込済資本金200万バーツ以上の登録
タイ人の雇用外国人1人のビザ延長のために、タイ人を最低4人雇用
給与(日本人)月5万バーツ以上
外国人の人数原則10人まで(前年の法人所得税額など一定の条件を満たせば超えられる)

なお、外国人に禁止されている27の職種(理美容、タイマッサージ、露店商、ツアーガイドなど)に、調理や飲食の仕事は含まれていません。日本人の料理長を雇うこと自体は可能です。

3. 日本人1人あたりの条件を数式にする

BOIの奨励を受けていない一般的な飲食会社の場合、日本から呼ぶ人数ごとの最低条件は次のようになります。

日本人の人数必要な払込済資本金必要なタイ人従業員日本人の給与の下限(合計)
1人200万バーツ4人月5万バーツ
2人400万バーツ8人月10万バーツ
3人600万バーツ12人月15万バーツ

この表から、出店計画で決めるべきことが見えてきます。

4. タイ人スタッフが店の土台になる

こうした条件から、バンコクの和食店では、タイ人スタッフが人数でも運営でも店の中心になります。日本人の料理長に求められるのは、自分で料理を作ること以上に、タイ人スタッフを育てて同じ味を出せるようにすることです。

現地スタッフへの教え方は現地スタッフに和食を教える方法でまとめています。タイの料理人やホールスタッフの職種別の賃金について、今回は公的な統計を確認できませんでした。給与水準は、現地の同業者や人材会社の情報で確かめてください。

5. 現地の日本人をどう見るか

タイの在留邦人の96%は長期滞在者です。日系企業の駐在員とその家族が多いと考えられ、その人たちが飲食店で働けるかどうかは、本人のビザと労働許可しだいです。タイでは就労に労働許可が必要なため、駐在員の家族を「現地の日本人だからすぐ雇える」と考えるのは危険です。

一方で、51,297人という日本人の多さは、客層としては大きな強みです。日本人客に向けたホールの接客は、日本語のできるタイ人スタッフを育てる形も検討してください。

6. 出店スケジュールへの落とし込み

段階人材面で決めること
出店形態の検討出資比率と外国人事業法への対応。日本から呼ぶ人数を決め、必要な資本金とタイ人の人数を逆算する
法人設立日本人の人数×200万バーツの払込済資本金を用意する
開業3〜2か月前タイ人スタッフの採用。日本人1人につき4人以上を確保する
料理長の着任ビザと労働許可の取得。許可が出るまでは働かせない
開業後タイ人スタッフの人数を維持する(日本人のビザ延長の条件)

手続きにかかる期間は、時期や案件で変わります。現地の弁護士や会計事務所に確認してください。全体の逆算の考え方は海外出店の人材計画にまとめています。

7. チェックリスト

本記事は一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。条件はJETROが2025年10月30日に更新した情報などにもとづき、2026年9月時点で確認したものです。個別の案件はタイの弁護士や専門家にご確認ください。

出典

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