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農水省の日本料理調理技能認定制度を詳しく解説

ゴールド・シルバー・ブロンズの要件(2024年改正後)、試験の中身、国籍別の認定者数、海外店舗の現地スタッフに取らせる手順までを、ガイドライン本文と農水省資料から整理しました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. どんな制度か
  2. 3段階の認定要件(2024年改正後)
  3. 求められる知識と技能
  4. 試験の中身
  5. 認定者数と国籍別の内訳
  6. 海外店舗のスタッフに取らせる手順
  7. 費用と申込先について分かっていること
  8. 店として何に使えるか、何に使えないか

海外の和食店で働く現地スタッフに、日本料理の基礎を体系的に身につけてもらう方法の一つが、農林水産省の「海外における日本料理の調理技能認定制度」です。認定を取らせたいという相談がある一方で、要件や申込先が分かりにくい制度でもあります。

この記事では、ガイドライン本文と農水省の公表資料をもとに、2026年9月時点の要件と仕組みを整理し、海外店舗のスタッフに取らせる手順を説明します。英語の解説はMAFF Japanese cuisine cooking skill certificationにあります。

1. どんな制度か

農林水産省は2016年4月1日に「海外における日本料理の調理技能の認定に関するガイドライン」を定めました(最新の改正は2024年4月1日)。ガイドラインの趣旨は、日本料理の知識と調理技能が一定のレベルに達した海外の外国人日本食料理人を、民間団体等が自主的に認定できるようにすることです。

押さえておきたい点は3つです。

2. 3段階の認定要件(2024年改正後)

認定はゴールド、シルバー、ブロンズの3段階です。2024年4月1日の改正で、上位の認定は下位の認定を受けていることが前提になり、実務経験の年数も引き上げられました。

認定前提要件(いずれかに該当)試験
ブロンズなし国内外の日本料理学校、民間団体等が主催する10時間程度の短期料理講習会等で、所定の知識・技能の講習を受講認定団体が実施
シルバーブロンズ認定(1) 国内外の料理学校等の1年程度(150時間程度)の日本食コースを卒業・修了
(2) 日本国内の日本食レストラン、または日本食普及の親善大使が推薦する海外の日本食レストランでの実務経験が合計2年以上
(3) 農水省の委託・補助事業の日本料理コンテストで上位入賞し、審査員の推薦を受けた者
認定団体が実施
ゴールドシルバー認定(1) 日本国内の日本食レストラン、または親善大使が推薦する海外の日本食レストランでの実務経験が合計5年以上
(2) 農水省の委託・補助事業の日本料理コンテストの優勝者で、審査員の推薦を受けた者
認定団体が日本国内で実施

補足が2点あります。

古い要件に注意。改正前のガイドラインでは、ゴールドは「日本人が料理長等を務める国内の日本食レストランにおける実務経験が概ね2年程度」、シルバーは「日本料理学校等の卒業者又は実務経験が概ね1年程度」でした。農水省の制度ページの画像には、2026年9月時点でもこの旧来の簡略表記が残っています。実際の要件は、2024年4月1日改正のガイドライン本文で確認してください。

海外店舗での経験が数えられる条件

海外の和食店のオーナーにとって重要なのは、シルバーとゴールドの実務経験の数え方です。ガイドラインが認めるのは「日本国内の日本食レストラン」と「日本食普及の親善大使が推薦する海外の日本食レストラン」での経験です。海外の店での経験は、その店が親善大使の推薦を受けていなければ、この要件には数えられません。

日本食普及の親善大使は、農林水産省が2015年2月に始めた制度で、2025年度は15名が新たに任命されています(2025年12月15日公表)。自店での経験をシルバーの要件に使いたいなら、推薦がどう扱われるかを、申込先の団体に事前に確認する必要があります。現実的には、多くの現地スタッフにとってシルバーへの道は料理学校のコース修了になるでしょう。

3. 求められる知識と技能

ガイドラインは、認定ごとに修得すべき知識・技能を4分野で定めています。これは、そのまま自店の研修カリキュラムの骨組みとして使えます。

分野ブロンズシルバーで加わるものゴールドで加わるもの
日本の食文化日本の食文化日本食の知恵、食事の様式日本酒の知識
衛生管理食中毒の予防(シルバー以上は種類と予防)、服装、食材の取扱い、調理器具の洗浄と殺菌処理、加熱処理が必要な食材・食品
調理技能日本調理器具の使い方、食材の選び方、切る・むく、調味の割合、調理の手順・時間、盛りつけ、保存方法火加減・加熱の仕組み、出汁の取り方献立作成
おもてなし作法料理の置き方言葉、挨拶、心遣い

ブロンズの段階では出汁の取り方が入っていない点は、店の研修を組むうえで参考になります。まず包丁と衛生、次に出汁と火入れ、最後に献立、という段階設計は、実際の厨房での育成順序とも合っています。

4. 試験の中身

2025年4月24日に農水省と運用・管理団体が作成したQ&A(同年7月1日更新)で、試験の考え方が示されています。

公式の教材はありませんが、Q&Aは参考テキストとして、日本料理アカデミーの「日本料理大全」(京都府立大学のサイトで日英版を無料公開)と、全国調理師養成施設協会の教材(日本語版のみ・有料)を挙げています。

5. 認定者数と国籍別の内訳

2026年3月31日時点の認定者は、ゴールド28名、シルバー1,337名、ブロンズ2,611名、計3,976名です。農水省の国籍別の集計から、地域別と主な国を抜き出します。

地域合計ゴールドシルバーブロンズ
アジア2,884181,2421,624
欧州468439425
北米373633334
中南米152015137
中東470443
大洋州350332
アフリカ170116
国籍合計ゴールドシルバーブロンズ
中国(香港等含む)1,1061356749
韓国6328476148
台湾4662185279
米国314423287
ベトナム229486139
タイ10713868
スペイン730667
フランス710665
マレーシア7011653
カナダ5921047
ブラジル580751
シンガポール360531
オーストラリア320329

集計は国籍別で、働いている国別ではない点に注意してください。それでも、韓国ではシルバーがブロンズを大きく上回る一方、米国や欧州ではほとんどがブロンズにとどまっているなど、地域による差ははっきりしています。

規模感でいえば、農水省の調査で海外の日本食レストランは2025年に約18万1,000店。認定者の総数で割ると、おおむね45店に1人です。認定を持つスタッフがいること自体が、まだ珍しいというのが現状です。

6. 海外店舗のスタッフに取らせる手順

ステップ1:仕組みを理解する

認定の流れは「農林水産省 → 運用・管理団体(5団体) → 運用・管理団体が認定した認定団体 → 料理人」です。試験を行って認定するのは認定団体で、運用・管理団体はその認定団体を認め、基準の統一を図る役割です。

2026年9月時点の運用・管理団体は次の5団体です。

農水省は各団体の連絡先を一覧PDF(2026年8月10日更新)で公開し、活動内容や進捗は各団体に問い合わせるよう案内しています。

ステップ2:近くの認定団体を探す

認定団体は日本国内だけでなく海外にもあります。たとえばJCDCのサイトには、英国、カナダ、中国、トルコなどの団体を含む22の認定団体が掲載されています。自店の近くに認定団体があるか、ない場合はどう受験できるかを、運用・管理団体に問い合わせるのが最初の一歩です。

Q&Aによれば、試験監督者がいない認定団体でも、同じ運用・管理団体の傘下、さらには別の運用・管理団体の傘下の認定団体から試験監督者の派遣を受けて試験を実施できます(ブロンズは最初の適用から2年間が限度)。近くに体制がない地域でも、受験の道がまったくないわけではありません。

ステップ3:対象者を選ぶ

ステップ4:店の中で準備する

ブロンズの実技課題の三枚おろしとかつら剥きは、日々の仕込みの中で練習できます。日本人の料理長がいる店なら、ガイドラインの知識・技能の一覧を研修項目として、試験前の数週間に集中して指導するのが効率的です。

7. 費用と申込先について分かっていること

正直に書くと、受験料や認定料について、農水省の公表資料には記載がありません。ガイドラインにも手数料の定めはなく、費用は各団体が決めていると考えられます。本記事の作成にあたって全国調理師養成施設協会、VIDA Corporation、JCDCの公式サイトを確認しましたが、受験料・認定料の金額は掲載されていませんでした。

また、2026年9月22日に確認した時点で、VIDA Corporationの調理技能認定のサイトには「新規認定者の受け入れを停止しております」と表示されていました。申込先を選ぶときは、各団体に受付状況と費用を直接問い合わせてください。

8. 店として何に使えるか、何に使えないか

使えること

使えない、または注意が必要なこと

現地スタッフの育成全般については英語のTraining local staff in Japanese cuisineに、外国人料理人を日本で育てる別の制度については日本の食文化海外普及人材育成事業の解説にまとめています。

本記事は一般的な情報であり、制度の運用に関する公式な説明ではありません。要件と数値は2026年9月22日時点で農林水産省の公表資料から確認したものです。受験の可否、費用、日程は、必ず運用・管理団体または認定団体に直接ご確認ください。

出典

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