アジア・オセアニア

ペナン・ジョホールバルで日本人料理人を雇う:違いを解説

ペナンとジョホールバルを別々に扱う。ペナンの製造業由来のコミュニティとDOSMの中位賃金、シンガポール基準で値付けすべきジョホールバル、JS-SEZの誠実な評価、招へいが割に合わない場合の現実的な代替策。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

ペナンとジョホールバルはどちらもクアラルンプール以外の都市ですが、市場としては別物です。ペナンには製造業を背景とした古くからの日本人コミュニティがあり、賃金水準は全国平均をやや上回ります。ジョホールバルはシンガポールと隣接し、飲食の経済はシンガポール人の週末需要に支えられる一方、労働市場は目と鼻の先にあるシンガポールの給与と競うことになります。どちらの都市にも公式な在留邦人数や料理人向けの給与統計はないため、このページはそれぞれの都市について分かっていることと、現地の価格水準では日本人料理人の招へいが割に合わない場合の現実的な選択肢を示します。

このページはペナンとジョホールバルそれぞれに固有の情報を、別々に扱います。全国共通のEP規則、2026年の給与改定、後継者育成計画の義務はマレーシアで日本人料理人を雇うとマレーシアEP 2026年の改定にまとめており、ここでは繰り返しません。首都圏はクアラルンプールをご覧ください。

目次

  1. ペナン:製造業の街の外食事情
  2. ジョホールバル:シンガポール基準の値付け
  3. ジョホール・シンガポール経済特区:分かることと分からないこと
  4. EPの規則を2行で
  5. 招へいに代わる現実的な選択肢
  6. 両都市に共通する採用計画

1. ペナン:製造業の街の外食事情

ペナンには1970〜80年代からバヤンレパス自由貿易地区に日本の電機・半導体メーカーが進出しており、これが日本がクアラルンプールだけでなくペナンにも総領事館を置いている理由です。そのためペナンの在留邦人は主に製造業関係者とその家族、一部の退職者で構成され、飲食業とは背景が異なります。外務省はペナン単独の在留邦人数を公表しておらず、農林水産省もペナン単独の店舗数を公表していません。クアラルンプールのページで扱う全国の数字のみです。

数字で確認できるのは賃金です。DOSMの2024年調査では、ペナンの全業種平均月収はRM3,787で、全国平均RM3,652を上回りますがクアラルンプールのRM4,782は下回ります。これは農業主体の低賃金の州ではなく、製造業主体の経済であることと整合し、ペナンが国内の賃金水準で中位に位置するという、確認できる中で最も近い公式の手がかりです。

ペナンの日本食レストランは、ジョージタウンやタンジュントコン、ガーニー周辺に集まり、地元の日本人製造業コミュニティと、ペナンの幅広い外食・観光需要の両方に応えています。これを超える店舗数や地区別の詳細は確認できませんでした。公表された事実としてではなく、自社で下見をする出発点として使ってください。

2. ジョホールバル:シンガポール基準の値付け

ジョホールバルの飲食の経済は、ペナンにはない力学で動いています。シンガポールドルではなくリンギ建ての食事を求めて、コーズウェイを渡ってくるシンガポール人客が絶えず、ジョホールバル単独の人口だけでは支えきれない飲食需要を生んでいます。同じ国境は採用の面では逆に働きます。ジョホールの労働市場はシンガポールの労働市場とじかに向き合っており、シンガポールへ通勤・移住できる調理師は、ジョホールバルの提示額を検討する際にその選択肢を視野に入れています。

賃金の目安として、DOSMの2024年の州別データで全国平均RM3,652を上回るのはプトラジャヤ、クアラルンプール、セランゴール、ラブアン、ペナンの5州のみで、ジョホールは含まれていません。つまりジョホールの州平均は全国平均を下回りますが、正確な数字は手元にありません。ジョホールバル単独の店舗数や在留邦人数の公式な数字もありません。

3. ジョホール・シンガポール経済特区:分かることと分からないこと

ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)は実在し、日本企業から公になった関心を集めています。報じられている内容では、電気・電子、金融サービス、テクノロジー、デジタル経済への関心が中心です。確認した報道の時点では、日本企業はジョホール州政府との面会を申し入れているものの、確定した投資はまだ公表されておらず、人員数や時期について飲食業に関係する具体的な情報はありませんでした。日本の銀行2行が制度レベルで関与しているとされ、これは急に駐在家族が移り住む波というより、時間をかけた企業拠点の積み上げを示しています。

この経済特区は、今四半期の採用計画ではなく、今後数年のジョホールバルを注視する理由として捉えてください。想定どおりに進めば、日本関連プロジェクトで赴任する企業スタッフは、競合より先に和食を求めるようになるでしょう。複数年先の出店を計画しているなら、考慮する価値はあります。しかし確認できた範囲の裏付けでは、まだ到来していない特区由来の需要を前提に、今の厨房やパッケージの規模を決める理由にはなりません。

4. EPの規則を2行で

どちらの都市でも、日本国籍者が使えるのはEmployment Passのみです。一時雇用訪問パス(VPTE)は日本を送出国から除外しています。2026年6月1日から、カテゴリーIIIは基本給RM5,000〜9,999、カテゴリーIIはRM10,000〜19,999で、判定は基本給のみ、全国共通です。全体の基準と、2027年1月1日からカテゴリーII・IIIで必須になる後継者育成計画はマレーシアで日本人料理人を雇うにまとめています。

5. 招へいに代わる現実的な選択肢

ペナンやジョホールの賃金水準では、RM5,000の下限で招へいする日本人料理人は、クアラルンプールで同じ採用をする場合よりも現地の賃金水準からの飛躍が大きく、ビザの費用と手続きはどの都市でも同じです。踏み切る前に、ほかの2つの形も検討してください。

ジョホールバルの事業者にとって特に現実的な中間案は、シンガポールの日本料理店で経験を積んだマレーシア人の調理師を、コーズウェイを越えて呼び戻すか、通勤してもらうことです。ビザなしで本物の技術を持ち込め、ジョホールの一般的な賃金水準よりはっきり高い給与を払いながら、シンガポールの雇用主が同じ技能に払う額よりは低く抑えられます。

6. 両都市に共通する採用計画

  1. 求人票を書く前に自社で地域を下見する。どちらの都市も公表された店舗数や在留邦人数がないため、ジョージタウン、タンジュントコン、ジョホールバル中心部を実際に歩くほうが、全国統計より多くを教えてくれます。
  2. そもそも日本人料理人の招へいが正しい手段かを見極める。RM5,000の下限と現地賃金の差は、KLよりこの2都市のほうが大きくなります。
  3. 招へいするなら、他のマレーシアの雇用主と同じ全国共通の手続きを踏む。全体の日程と費用はマレーシアで日本人料理人を雇うをご覧ください。
  4. 現地で育成する場合は、研修生の通常の給与だけでなく、研修期間と経験豊富な料理人との重複期間も予算化する。
  5. ジョホールバルでは、ジョホールの平均賃金ではなくシンガポールを基準に値付けする。シンガポールという選択肢を持つ候補者に対しては特にそうです。

変わる数字:2026年6月1日から施行のEP給与下限は、マレーシアの各ページで詳しく扱っています。DOSMの州別賃金調査は毎年秋に更新されます。ジョホール・シンガポール経済特区の投資の積み上がりは進行中で、飲食業に関わる情報は現状のまま前提にせず、その都度確認してください。次回確認は2027年9月です。

よくある質問

ペナンやジョホールバルの日本食レストランや在留邦人の公式な数字はありますか。

ありません。外務省の都市別内訳はマレーシアについてはクアラルンプールのみで、農林水産省も全国の店舗数のみを公表しています。ほかで見かける地域の数字は推計として扱い、出店を決める前に自社で地域を下見してください。

ペナンの賃金水準はマレーシアの他地域と比べてどうですか。

DOSMの2024年調査では、ペナンの全業種平均月収はRM3,787で、全国平均RM3,652を上回りますがクアラルンプールのRM4,782は下回ります。これは製造業主体の経済と整合しています。

ジョホールバルの料理人は、ジョホールの平均賃金とシンガポールのどちらを基準に値付けすべきですか。

シンガポールで働ける候補者に対してはシンガポールを基準にしてください。ジョホールの州平均は全国平均を下回りますが、コーズウェイを渡ればすぐシンガポールという選択肢がある調理師は、御社の提示額をジョホールの平均ではなくシンガポールの給与と比べています。

ジョホール・シンガポール経済特区は、今ジョホールバルで日本料理店を開く理由になりますか。

現時点で確認できる裏付けの範囲ではなりません。日本企業の関心は実在しますが、報道されている限りでは、確定した投資や人員数にはまだつながっていません。今四半期の人員計画の根拠ではなく、今後数年のトレンドとして注視してください。

これらの都市で日本人料理人を招へいする以外に、現実的な選択肢はありますか。

マレーシア人の調理師をKLやシンガポールの日本料理店で育成する、常駐ではなく短期のコンサルティング訪問として日本人料理人を招く、あるいは1人の日本人ヘッドシェフを2店舗で共有する方法があります。いずれも常駐で招へいする場合の全費用と手続きを避けられます。

本記事は2026年9月にマレーシア政府の公式情報、日本政府の統計、ジョホール・シンガポール経済特区に関する報道を確認して作成した一般的な情報であり、法律・移民・投資に関する助言ではありません。ペナンやジョホールバル単独の在留邦人数や店舗数は公式には公表されていません。出店を決める前に現地の最新状況を確認してください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

和食料理人を採用しませんか?

世界中の和食料理人が登録するWashokuJobに、貴店の求人を掲載できます。