北米

トロントで日本人料理人を採用する:LMIAの制約とオンタリオ州のルール

トロントはESDCの低賃金LMIA不受理リストに入っています。シェフと調理人の賃金水準、C$36.92の高賃金基準額、2026年のオンタリオ州の求人掲載ルール、今も使えるルートを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. トロントは不受理リストに入っている
  2. トロントのシェフ・調理人の賃金水準
  3. C$36.92という基準額をどう考えるか
  4. 2026年1月からのオンタリオ州の求人掲載ルール
  5. いまトロントで採用する4つの方法
  6. 採用の手順

トロントで日本食レストランを経営していて、日本から調理人を呼びたいと考えているなら、まず知っておくべきなのは、最も一般的なルートが現在閉ざされているということです。本ガイドでは、その理由、市場の賃金水準、オンタリオ州がすべての求人広告に求めるようになった事項、そして今も使えるルートを解説します。カナダ全体の状況についてはカナダで日本人料理人を採用するをご覧ください。

1. トロントは不受理リストに入っている

カナダ雇用・社会開発省(ESDC)は、失業率が6%以上の国勢調査都市圏(CMA)での仕事について、低賃金LMIAの申請を受理していません。2026年7月10日〜10月8日に提出される申請について、トロントCMAの失業率は7.3%であり、トロントはリストに入っています。

周辺地域も同様です。オシャワ(8.5%)、キッチナー・ケンブリッジ・ウォータールー(8.1%)、バリー(7.9%)、ハミルトン(6.9%)、ゲルフ(7.4%)もリストに入っており、オタワ・ガティノー(6.7%)も同じです。5.8%のセントキャサリンズ・ナイアガラは入っていません。このルールはCMA単位で適用されるため、トロントCMA内の郊外に2号店を出しても解決にはなりません。

リストは労働力調査のデータをもとに四半期ごとに改定され、現在のリストは2026年10月8日まで有効です。失業率が7.3%である以上、トロントがリストから外れるには失業率が大きく下がる必要があるため、当面はリストに残るという前提で計画しましょう。

2. トロントのシェフ・調理人の賃金水準

トロント地域に関するJob Bankの賃金データ(2025年11月19日更新、対象期間2023〜2024年)は次のとおりです。

職種低位中央値高位
シェフ(NOC 62200)C$17.60C$22.00C$34.62
調理人(NOC 63200)C$17.60C$18.00C$24.00

低位の数字はオンタリオ州の最低賃金と一致しています。一般の最低賃金は2026年9月30日までは時給C$17.60で、オンタリオ州の消費者物価指数に連動して2026年10月1日にC$17.95に引き上げられます。学生の最低賃金はC$16.60からC$16.90に上がります。

調理人の数字は注意して読んでください。トロント地域の調理人の中央値はC$18.00で、現行の最低賃金をわずか40セント、10月からの額を5セント上回るにすぎません。これはLMIA上の賃金の下限(一般賃金は、Job Bankの中央値と、同じ仕事をしている自社スタッフに支払っている額のうち高い方)ですが、腕のある日本人調理人の市場相場ではありません。魚をきちんと扱えてカウンターに立てる寿司の調理人の価値はそれよりかなり高く、それに見合う賃金を払うことが定着につながります。

3. C$36.92という基準額をどう考えるか

低賃金LMIAの不受理が適用されるのは、オンタリオ州の賃金中央値の基準額を下回るポジションだけです。基準額は2026年7月17日から時給C$36.92で、週40時間なら年約C$76,800になります。

基準額以上を支払えば、その仕事は高賃金ストリームとなり、CMAリストの影響を受けません。高賃金ストリームでは、就労許可が1年ではなく最長3年となり、10%の上限もありません。

ただし、C$36.92が上記のデータのどこに位置するかに注目してください。トロントのシェフのJob Bank「高位」の数字でさえC$34.62です。基準額を支払えば、その仕事は地域のほぼすべてのシェフの給与を上回ることになります。総料理長や、高級おまかせカウンターを任される料理長であれば正当化できるでしょう。ラインクックでは無理です。また、高賃金ストリームでは移行計画(transition plan)と、申請前3か月以内の4週間の求人広告が必要です。

決める前に試してほしい問いがあります。この仕事に、カナダ人や永住者であってもC$36.92を払うでしょうか。払わないのであれば、高賃金ルートはおそらく適切な手段ではありません。許可期間中はずっとその賃金を支払う義務を負ううえ、算入できるのは保証された賃金だけで、チップやボーナスは含まれないからです。また、新しく採用した人が既存の厨房チームを大きく上回る給与を得ることにもなります。

4. 2026年1月からのオンタリオ州の求人掲載ルール

2026年1月1日以降、オンタリオ州の雇用基準法(Employment Standards Act)は公開求人に関するルールを定めています。求人を掲載した日時点で従業員25人以上の雇用主が対象です。

第三者や求人サイトが代わりに掲載する場合も、責任は雇用主に残ります。これらのルールは、LMIAの求人広告要件と並行して適用されます。LMIAの広告にも独自の記載ルールがあり、LMIAの求人広告で職務要件として記載できる言語は英語かフランス語だけです。日本料理の技能を詳しく書くことはできますが、日本語を要件にすることはできません。寿司職人の求人票のテンプレートは、両方のルールに合わせて調整できます。

5. いまトロントで採用する4つの方法

すでにカナダにいる人を採用する

外務省によると、2025年10月1日時点でトロント都市圏の在留邦人は18,101人でした。永住者もいれば、オープンワークパーミットを持つ就労者や留学生の配偶者もおり、ワーキングホリデー参加者もいます。いずれも、雇用主がLMIAを取得する必要はありません。

インターナショナル・エクスペリエンス・カナダ(ワーキングホリデー)

18〜30歳の日本国民は、IECのもとでオープンワークパーミットにより最長12か月間カナダで働けます。LMIAもコンプライアンス手数料も不要で、CMAリストも適用されません。2026年のIRCCの日本向け定員は6,433人でした。日本人料理人のカナダ・ワーキングホリデーをご覧ください。

高賃金LMIA

時給C$36.92以上を支払う上級職の採用向けです。最長3年、移行計画、4週間の求人広告、手数料C$1,000。手続きはLMIAのステップ・バイ・ステップ・ガイドで解説しています。

待つか、CMAの外に目を向ける

リスト上のCMAの外でも店舗を運営しているなら、そちらでは低賃金LMIAが可能です。8週間の求人広告、10%の上限、1年の期間制限があります。トロントの店舗については、ほかには四半期ごとのリスト改定を待つしかありません。

6. 採用の手順

  1. その仕事の実際の給与を決め、C$36.92と比べる。これで、どのストリームが該当するか(あるいはどれも該当しないか)が分かります。
  2. 従業員が25人以上なら、オンタリオ州のルールに合わせて求人広告のテンプレートを直す。賃金幅、AIの使用に関する記載、欠員の有無の記載、カナダでの就労経験を要件にしないこと。
  3. 現地で求人を出し、ワーキングホリデー参加者を含め、すでにカナダにいる日本語話者にも届くようにする。
  4. 上級職で高賃金ストリームが正当化できる場合は、4週間の求人広告と移行計画の準備を始める。
  5. 2026年10月1日の最低賃金引き上げに合わせて賃金を更新し、現行期間が10月8日に終わったらCMAリストを改めて確認する。
  6. 条件を書面で提示する。要点は雇用契約チェックリストにまとめています。

本記事は2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。CMAリストは四半期ごとに、オンタリオ州の最低賃金は毎年10月に変わります。行動の前にリンク先のページをご確認ください。

出典

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