北米

カナダ LMIAで料理人を雇うルートと総費用【2026】

カナダの雇用主が、高賃金LMIA、不受理リスト外の低賃金LMIA、IECワーホリ、現地採用のどれを選ぶべきかを整理。全州の基準時給と、1人採用した場合の初年度費用の試算を載せています。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

2026年現在、カナダの主要都市ではシェフの低賃金LMIAは使えません。トロント、バンクーバー、モントリオール、カルガリー、エドモントン、オタワは少なくとも10月8日までESDCの不受理リストにあり、一般的なシェフの賃金はどの州でも基準時給を下回ります。残るのは高賃金LMIA(オンタリオ州・BC州の基準時給で初年度約C$84,000〜87,000)か、LMIA不要の人材の採用です。

カナダで日本から料理人を迎えたいオーナーや人事担当者が、どのルートを選び、いくら見込むべきかを判断するためのページです。本ページはルートの選び方と総費用を扱います。広告ルール、必要書類、週単位の日程を含む申請手続きは調理人のLMIA申請手順に、日本側の準備と日本の事業者が知っておくべき違いはカナダLMIA:日本側の準備と違いにまとめています。都市ごとの賃金とルールはトロント、バンクーバー、ビクトリア、モントリオールの各ページをご覧ください。

目次

  1. 使えるルートの判定
  2. 州別の基準時給とシェフの賃金
  3. 不受理リストと四半期ごとの確認方法
  4. ルートの比較
  5. 提示賃金の決め方
  6. 1人採用する場合の初年度費用
  7. 今週やること

1. 使えるルートの判定

ルートを決めるのは、勤務地、保証賃金の時給、その事業所の従業員数の3点です。シェフはNOC 62200、調理人はNOC 63200ですが、ESDCはLMIAをコードではなく賃金で振り分けます。

状況使えるルート理由
州の基準時給以上を払う(都市を問わない)高賃金LMIA不受理リストは高賃金には適用されない。最長3年。
基準時給未満で、勤務地がリスト対象のCMA(トロント、バンクーバー、モントリオールなど)今期はLMIA不可。就労資格のある人材かIECワーホリ参加者を採用低賃金の申請はそもそも審査されない。
基準時給未満で、リスト対象外(ビクトリア、ケベック・シティ、ウィニペグ、ハリファックス、レジャイナ、地方の町)低賃金LMIA申請は可能。ただし広告8週間、雇用期間1年、10%上限がある。
事業所の従業員が10人未満で、低賃金の職低賃金LMIAで最大1人10人未満の事業所で認められる低賃金の外国人労働者は1人まで。
候補者が18〜30歳で、すでにIECの招待を受けているワーキングホリデー(LMIA不要)最長12か月のオープンワークパーミット。カナダのワーキングホリデー参照。
長く働いてもらいたい上記のいずれかの後、永住権へExpress Entryと州推薦プログラム参照。

基準時給と比べるのは保証賃金だけです。チップ、残業代、賞与、歩合は含まれません。なお2027年3月31日までの臨時措置として、マニトバ、ニューブランズウィック、ニューファンドランド・ラブラドール、ノースウエスト準州、ノバスコシアの農村部では低賃金の上限が15%に引き上げられています。オンタリオとアルバータは不参加です。

2. 州別の基準時給とシェフの賃金

ESDCの基準時給は2026年7月17日に発効しました。年額は時給×2,080時間(週40時間×52週)で計算しています。シェフの中央値は、Job BankのNOC 62200について各州最大の地域の数字です(2025年11月19日更新)。

州・準州基準時給週40時間の年額シェフ中央値(最大地域)
アルバータC$37.50C$78,000C$23.00(カルガリー)
ブリティッシュコロンビアC$38.40C$79,872C$23.00(ロワーメインランド・南西部)
マニトバC$31.33C$65,166C$21.25(ウィニペグ)
ニューブランズウィックC$31.73C$65,998未確認
ニューファンドランド・ラブラドールC$33.60C$69,888未確認
ノースウエスト準州C$48.00C$99,840未確認
ノバスコシアC$31.96C$66,477C$19.00(ハリファックス)
ヌナブト準州C$45.00C$93,600未確認
オンタリオC$36.92C$76,794C$22.00(トロント)
プリンスエドワードアイランドC$31.20C$64,896未確認
ケベックC$36.00C$74,880C$24.00(モントリオール)
サスカチュワンC$34.62C$72,010C$21.00(レジャイナ)
ユーコン準州C$45.60C$94,848未確認

要点はこの差です。トロント(C$34.62)、ロワーメインランド・南西部(C$36.67)、モントリオール(C$33.80)では、Job Bankの「高位」のシェフ賃金ですら基準時給に届きません。高賃金LMIAを使うということは、料理長や総料理長クラスの給与を払うということです。ラインクックに使う意味はほとんどありません。

3. 不受理リストと四半期ごとの確認方法

2024年9月26日以降、ESDCは失業率6%以上の国勢調査都市圏(CMA)にある職について、低賃金LMIAの審査を行っていません。判定の基準は申請を提出した日です。現在のリストは2026年7月10日〜10月8日に提出された申請に適用され、次回の更新は2026年10月9日とESDCは案内しています。

広告にお金をかける前に、四半期ごとに次の確認をしてください。ESDCの不受理ページで勤務地のCMAを探し、適用期間を読みます。提出がその期間の終了後になるなら、判定に使われるのは次のリストです。トロントとバンクーバーが外れるには失業率が大きく下がる必要があり、それを当てにした低賃金採用の計画はおすすめしません。

おおむね120暦日以内の真に一時的な職は不受理の対象外ですが、通年の厨房の仕事は該当しません。

4. ルートの比較

期間は着手した日からの経過週数で、ESDCが公表した2026年8月の平均審査期間(高賃金90営業日、低賃金82営業日)を使っています。詳しい日程表は申請手順のページにあります。

ルート向いている人材着手から初出勤まで期間賃金以外の雇用主負担
高賃金LMIA料理長、寿司カウンターの責任者、総料理長約26〜30週+就労許可最長3年手数料C$1,000、移行計画、有料広告
リスト対象外の低賃金LMIAビクトリア、ケベック・シティ、ウィニペグ、地方の町の調理人・シェフ約28〜32週+就労許可1年手数料C$1,000、往復渡航費、30%基準を満たす住居、州の医療保険開始までの民間医療保険
IECワーキングホリデー招待済みの18〜30歳の調理人入国後すぐ最長12か月義務なし。IRCCの手数料は本人負担
就労資格のある現地採用永住者、オープンワークパーミットを持つ配偶者、就労時間内の留学生2〜6週本人の許可による通常の給与負担のみ

BC、マニトバ、サスカチュワン、ノバスコシアでは、LMIAの前に州の雇用主登録が加わります。BC州は処理に約6週間としており、広告と並行して進められます。ケベック州は連邦と州の共同手続きです。モントリオールのページをご覧ください。

IECの2026年の日本枠は6,433人で、9月18日時点の残りは173人、プールの待機者は約1,700人でした(IRCC)。まだ招待を受けていない日本在住の調理人は、現実的には2027年の採用です。

5. 提示賃金の決め方

ESDCが示すのは下限であって、市場の相場ではありません。次の順で決めます。

  1. 下限。州の最低賃金、その職種・地域のJob Bank中央値、同じ事業所で同じ仕事をするスタッフへの支給額のうち最も高いもの。LMIAでは後の2つのうち高い方が下限になります。
  2. どの水準に置くか。Job Bankは地域ごとに低位・中央値・高位を公表しています。魚をおろし、寿司カウンターを一人で回せる調理人は中央値ではなく高位に近い水準、見習いは中央値付近が目安です。
  3. ビザ上の線。高賃金LMIAを使うなら、就労許可の期間中ずっと州の基準時給を下回れません。厨房の他のスタッフの給与とのバランスを先に確かめてください。
  4. 渡航・移住費。航空券、最初の1か月の住居、州の医療保険が始まるまでの空白期間は、給与に混ぜず一時費用として別に見込みます。

競合が実際に出している金額は各都市のページで示しています。トロントでもバンクーバー都市圏でも、Job Bankに載る和食店の求人の多くは州の基準時給ちょうどで出ています。これはスポンサー目的の広告で、調理人の相場ではありません。

6. 1人採用する場合の初年度費用

フルタイム2,080時間での3つの試算です。社会保険はCRAの2026年の料率を使っています。CPPは基礎控除C$3,500を超えC$74,600までの部分に5.95%、雇用主のEIはC$68,900まで2.282%です。こちらで金額を示せない項目はその旨を記しています。

項目高賃金・オンタリオ(C$36.92)高賃金・BC(C$38.40)低賃金の調理人・ビクトリア(C$21.18)
賃金C$76,793.60C$79,872.00C$44,054.40
雇用主負担のCPPC$4,230.45C$4,230.45C$2,412.99
雇用主負担のEIC$1,572.30C$1,572.30C$1,005.32
LMIA処理手数料C$1,000.00C$1,000.00C$1,000.00
就労許可C$155と生体認証C$85(雇用主が負担する場合)C$240.00C$240.00C$240.00
金額を示せる項目の合計C$83,836.35C$86,914.75C$48,712.71
C$74,600を超える部分のCPP2少額、CRAで確認少額、CRAで確認なし
労災保険自社のWSIB料率自社のWorkSafeBC料率自社のWorkSafeBC料率
日本からの航空券社内規定次第、見積もりを取る社内規定次第、見積もりを取る往復とも義務、見積もりを取る
住居社内規定次第社内規定次第月C$1,101未満(税引前収入の30%)の住居を確保
州の医療保険開始までの民間医療保険見積もりを取る見積もりを取る義務、見積もりを取る
Job Bank以外の有料広告見積もりを取る見積もりを取る見積もりを取る

Job Bankへの掲載は無料です。LMIA手数料は労働者に負担させられず、返金もされません。航空券や保険料は公的な数字がないため載せていません。

7. 今週やること

期限のある数字:不受理リスト(次回更新2026年10月9日、以後四半期ごと)、州別基準時給(ESDCが毎年改定、現行は2026年7月17日から)、LMIA審査期間(毎月公表)、Job Bankの賃金(最終更新2025年11月19日)、CRAの社会保険料率(毎年1月)、IECの枠(シーズンごと)。2026年9月27日確認。

よくある質問

今、トロントやバンクーバーで寿司職人のLMIAは取れますか。

高賃金ストリームに限られます。両CMAは2026年10月8日までに提出される申請について低賃金の不受理リストに入っています。高賃金ストリームを使うには、保証賃金でオンタリオ州は時給C$36.92、BC州はC$38.40以上が必要です。

カナダでシェフをスポンサーする費用はいくらですか。

政府手数料は1ポジションC$1,000です。実際の費用の大半は賃金で、オンタリオ州の基準時給なら賃金、雇用主負担のCPP・EI、手数料で初年度約C$83,800になります。航空券、住居、労災保険は別です。

日本から料理人を呼ぶまでどのくらいかかりますか。

LMIAのルートなら6〜8か月を見込んでください。4週間または8週間の広告、ESDCの平均82〜90営業日の審査、そして就労許可という流れです。招待済みのワーホリ候補者ならほぼすぐに働き始められます。

10%上限があると小さな店は採用できませんか。

人数が制限されます。低賃金ストリームでは、従業員10人未満の事業所で認められる低賃金の外国人労働者は1人です。高賃金の職には上限がありません。

ワーホリの調理人を雇う方が安いですか。

安くなります。雇用主はLMIA手数料もコンプライアンス手数料も払わず、IRCCの手数料は参加者本人が払います。その代わり滞在は最長12か月で、2026年の枠は9月の時点でほぼ埋まっていました。

本記事は2026年9月に公的な情報源を確認してまとめた一般情報であり、法務・移民に関する助言ではありません。ESDCは不受理リストを四半期ごとに改定し、広告ルールも短い予告で変更してきました。個別の案件はカナダの登録移民コンサルタント(RCIC)または弁護士にご相談ください。

出典

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