北米

カナダLMIAで日本から料理人を雇う:日本側の準備

カナダに店を持つ日本の飲食企業向けに、LMIAの申請者は誰か、日本の採用と違う点、料理人が日本で準備する書類、そのまま送れる日英の案内文、日加社会保障協定による年金の扱いをまとめました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

カナダのLMIAで日本から料理人を迎える場合、日本側で用意するのは、職歴を示す英文の在職・退職証明、調理師免許など資格の英訳、有効期限に余裕のあるパスポート、就労許可のオンライン申請と生体認証の段取りです。制度面では、求人で日本語を要件にできない、賃金は保証時給で判定されチップは数えない、LMIA手数料を本人に負担させられない、就労許可は雇用主と職種に縛られる、の4点が日本の採用と大きく違います。

カナダに店を持つ日本の飲食企業の本社担当者、日本人オーナー、紹介会社の方向けです。本ページは、日本側の準備と、日本の事業者が知っておくべき違いを扱います。どのルートを使い総額いくらかかるかはカナダ LMIAで料理人を雇うルートと総費用に、広告ルール・書類・日程を含むカナダ側の申請手順は調理人のLMIA申請の流れにあります。ワーキングホリデーでの採用はカナダのワーキングホリデーをご覧ください。

目次

  1. 誰が雇用主になるか
  2. 日本の採用と違う点
  3. 料理人が日本で準備するもの
  4. 料理人に送る案内文(日本語・英語)
  5. 年金・保険・税の日本側の手続き
  6. 日本側の段取り
  7. 今週やること

1. 誰が雇用主になるか

LMIAを申請するのは、カナダで料理人を雇い給与を払う事業者です。日本本社が代わりに申請することはできません。日本の企業がよく使う形は次の3つです。

形LMIAの申請者日本側で気をつけること
カナダ法人(子会社・合弁・フランチャイズ店)が直接雇うカナダ法人カナダ法人のJob Bankアカウント、事業許可、税務書類が必要。本社は人選と書類集めを支える
日本本社の社員をカナダ法人に出向させる受け入れるカナダ法人カナダでの賃金はカナダ法人が基準を満たして払う必要がある。年金は社会保障協定の扱いを確認(第5節)
日本の紹介会社を通じて候補者を探すカナダ法人紹介料を料理人本人に負担させない契約にする。紹介会社がBC州の雇用主のために外国人を募集するなら、BC州の募集業者の免許が必要

企業内転勤(ICT)などLMIAが不要な枠もありますが、管理職や会社固有の特殊な知識を持つ人を想定した枠で、一般の調理人がそのまま当てはまるとは考えにくいです。使えるかどうかはカナダの登録移民コンサルタント(RCIC)か弁護士に確認してください。

2. 日本の採用と違う点

項目日本でのよくある感覚カナダのLMIAでは
求人の言語要件「日本語ネイティブ歓迎」と書ける要件にできるのは英語かフランス語だけ。和食の技能を具体的に書く
賃金の決め方月給制、固定残業代込み時給の保証賃金で判定。チップ、残業代、賞与は数えない。下限はJob Bank中央値と自社の同職の賃金の高い方
残業固定残業代で調整することが多い州の雇用基準法による。オンタリオ州は週44時間を超えた分が1.5倍
採用費用の負担本人負担の費用があることもLMIA手数料C$1,000は雇用主負担で本人から回収不可。低賃金なら往復渡航費も雇用主負担
雇用契約日本語の労働条件通知書本人が選ぶ英語かフランス語で、求人と同じ条件の契約書に初日までに署名
異動・応援系列店への応援や配置転換は自由就労許可は雇用主と職種に紐づき、勤務地が記載されることもある。別店舗・別職種への異動は許可の条件を先に確認
国の検査労基署の調査はまれESDCは2025年4月〜2026年3月に1,488件を検査し、12%を違反と判断。罰金は年間最大C$100万

特に異動の点は、日本の多店舗展開の感覚で動くと違反になり得ます。系列店のヘルプに入れる、ホール業務を手伝わせるといった運用は、許可の条件と照らしてから決めてください。

3. 料理人が日本で準備するもの

書類・手続き使う場面準備のポイント
パスポート就労許可の申請、入国就労許可はパスポートの有効期限を超えて出ないことがあるため、残存期間に余裕を持たせる
在職・退職証明の英訳求人に書いた経験年数を満たすことの証明店名、在籍期間、職務内容を英語で。在職証明の英訳参照
調理師免許・技能認定の英訳技能の裏付け(LMIAの必須書類ではない)調理師免許の英訳参照
英文の履歴書応募、社内記録職歴を求人の技能要件と対応させて書く
犯罪経歴証明書IRCCから求められた場合取得に時間がかかる。犯罪経歴証明書参照
生体認証(指紋・写真)就労許可の申請後手数料C$85。日本国内のビザ申請センターで受ける。所在地はIRCCのサイトで確認
健康診断申請画面で指示された場合調理職は職種による健診の対象外。ただし居住歴などで求められることがある

就労許可の申請手数料はC$155です。誰が払うかは雇用契約に書いておきます。日本からの申請の処理期間は、信頼できる数字を記録できなかったため載せていません。申請する日にIRCCの処理期間ツールで確認してください。日本国籍者はビザ免除のため、承認済みLMIAがあれば入国地点で就労許可を申請することもできますが、IRCCは渡航前の申請を勧めています。

4. 料理人に送る案内文(日本語・英語)

内定を出した料理人に、手続きの全体像と必要書類を最初に一度で伝えるための文面です。カナダ法人の担当者が英語で読めるよう、英語版も付けています。

[氏名]様

このたびは[店名](カナダ・[都市])への入社をご承諾いただき、ありがとうございます。今後の流れをお知らせします。

1. 当社がカナダ政府に労働市場影響評価(LMIA)を申請します。求人広告の期間を含め、結果が出るまで約[6]か月かかる見込みです。
2. LMIAが承認されたら、[氏名]様ご本人にカナダの就労許可をオンラインで申請していただきます。申請手数料C$155と生体認証C$85は[当社が負担/ご本人負担]です。
3. 就労許可が下りたら渡航日を決めます。航空券は[当社が手配します]。

今月中に次の書類をご用意ください。
・パスポートのコピー(有効期限が[2029]年以降であること)
・在職証明書または退職証明書(英文、在籍期間と職務内容の記載あり)
・調理師免許の写しと英訳(お持ちの場合)
・英文の履歴書

カナダでの条件:時給C$[xx.xx]、週[40]時間、雇用期間[12]か月。求人で日本語は要件にできないため、応募書類や面接では調理の技能を中心に確認します。費用を当社以外の誰かから請求された場合は、支払わずにご連絡ください。

[担当者名]/[メールアドレス]

Dear [name],

Thank you for accepting our offer to join [restaurant] in [city], Canada. Here is what happens next.

1. We will apply to the Government of Canada for a Labour Market Impact Assessment (LMIA). Including the required advertising, we expect a decision in about [6] months.
2. Once the LMIA is approved, you will apply online for a Canadian work permit. The C$155 fee and C$85 biometrics fee will be paid by [us / you].
3. When the permit is approved, we will set your travel date. [We will book your flight.]

Please send the following this month:
- Copy of your passport (valid until at least [2029])
- Employment certificate in English, showing dates and duties
- Copy and English translation of your cook's licence, if you have one
- CV in English

Terms in Canada: C$[xx.xx] per hour, [40] hours a week, [12] month contract. If anyone other than us asks you to pay a fee, do not pay and tell us.

[Name] / [email]

5. 年金・保険・税の日本側の手続き

6. 日本側の段取り

カナダ側の週単位の日程は申請手順のページにあります。日本側はそれに合わせて、次の順で動きます。

  1. カナダで広告を始める前:候補者を決め、案内文を送り、書類集めを始める。求人に書く経験年数と職務を、候補者の職歴と照らし合わせておく。
  2. 広告期間中:書類を英訳し、カナダ法人に送る。出向なら年金の適用証明書の準備を始める。
  3. LMIA申請後の待ち期間:退職時期を本人と決める。日本の勤務先への申し出は、就労許可の見通しが立ってからが安全です。
  4. LMIA承認後:本人が就労許可を申請し、生体認証を受ける。航空券、到着後の住居、民間医療保険を手配する。
  5. 出発前:海外転出届、年金・税の手続き、雇用契約書の署名。

7. 今週やること

期限のある数字:IRCCの手数料(就労許可C$155、生体認証C$85、2026年7月2日更新の料金表)は改定されることがあります。ESDCの検査件数は年1回の公表です。社会保障協定の内容は厚生労働省・日本年金機構の案内で随時確認してください。2026年9月27日確認。

よくある質問

日本本社がLMIAを申請できますか。

できません。申請するのはカナダで料理人を雇い給与を払う事業者で、通常はカナダ法人です。本社は人選、書類集め、渡航の手配を支える立場になります。

求人に「日本語が話せる方」と書けますか。

LMIAの広告と申請書では書けません。要件にできる言語は英語かフランス語だけです。魚をおろす、シャリを炊く、包丁を研ぐといった技能を具体的に書いてください。

出向者の年金はどうなりますか。

日本とカナダの社会保障協定により、5年以内の見込みの出向なら日本の年金制度だけに加入し、カナダのCPPは免除されます。日本の年金事務所で適用証明書を取ってください。医療保険は協定の対象外です。

カナダに着いた後、系列の別店舗を手伝わせてもよいですか。

就労許可の条件次第です。雇用主指定の許可は雇用主と職種に紐づき、勤務地が書かれている場合もあります。許可の記載を確認し、合わない働き方はさせないでください。

料理人に費用を負担してもらえますか。

LMIA手数料は本人から回収できません。低賃金ストリームでは往復渡航費も雇用主負担です。就労許可の申請手数料は本人負担も可能ですが、契約書に明記しておきます。

本記事は2026年9月に公的な情報源を確認してまとめた一般情報であり、法務・移民・税務に関する助言ではありません。個別の案件はカナダの登録移民コンサルタント(RCIC)または弁護士、日本の社会保険労務士・税理士にご相談ください。

出典

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