アジア・オセアニア

シドニーで寿司職人を雇う:アワード賃金・人材・ビザ

2026年7月1日以降のRestaurant Industry Awardでシドニーの飲食店が寿司職人に払うべき賃金、31,673人の在留邦人という人材層、ワーキングホリデー渡航者と482ビザのスポンサーの比較を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 数字で見るシドニー
  2. アワードが定める最低賃金
  3. 週末・深夜の割増:寿司カウンターが間違えやすい点
  4. シドニーの日本人料理人はどこから来るのか
  5. ワーキングホリデー渡航者:できること、できないこと
  6. シドニーでスポンサーが見合うケース
  7. 実務的な採用の手順

シドニーは、オーストラリアで日本人住民がもっとも多い都市です。そして、数少ない経験豊富な寿司職人を奪い合う和食店の数も、もっとも多い都市です。ルールは全国共通で(アワード、ビザ制度、税金はメルボルンでもブリスベンでも同じ)、ただしシドニーでの現れ方には独特のものがあります。本記事では、賃金の下限、現地の人材層、ワーキングホリデー渡航者の位置づけを取り上げます。ビザスポンサーの全体の手順はオーストラリアで日本人料理人を雇う方法をご覧ください。

1. 数字で見るシドニー

オーストラリアの地方移住制度(regional migration)の区分で、シドニーはメルボルン、ブリスベンと並んでカテゴリー1の「主要都市(major city)」です。つまり、シドニーの飲食店には地方向けのビザ優遇措置は一切適用されず、標準のルールで対応することになります。

2. アワードが定める最低賃金

飲食店のキッチンは、通常Restaurant Industry Award 2020の対象です。2026年7月1日以降に始まる最初の給与期間から適用されるFair Work Ombudsman(公正労働オンブズマン)のペイガイドは、フルタイム・パートタイムの成人従業員の最低賃金を次のように定めています。

区分週給時給
レベル2、コックグレード1A$1,029.10A$27.08
レベル3、コックグレード2A$1,062.90A$27.97
レベル4、コックグレード3(有資格職人)A$1,119.10A$29.45
レベル5、コックグレード4(有資格職人)A$1,189.40A$31.30
レベル6、コックグレード5(有資格職人)A$1,221.10A$32.13

これはあくまで最低額で、経験のある寿司職人の相場がシドニーで最低賃金水準ということはありません。下回ってはいけない下限であって、人を惹きつける目安ではないと考えてください。雇用主はこれに加えて、スーパーアニュエーション(退職年金)を2026〜2027年度は12%拠出します(ATO)。

トラブルの発端になりやすいのが区分の判断です。寿司カウンターを任され、魚を発注し、若手を指導している料理人は、肩書きが何であれ有資格職人(tradesperson)レベルの仕事をしています。正直に区分してください。過小な区分は、未払い賃金の請求によくある原因です。

3. 週末・深夜の割増:寿司カウンターが間違えやすい点

寿司店の売上の多くは金曜の夜と週末に集中しますが、それはまさに割増賃金(penalty rates)がかかる時間帯です。同じペイガイドから、コックグレード5の場合を示します。

コックグレード5、時給フルタイム/パートタイムカジュアル
通常時間A$32.13A$40.16
土曜日A$40.16A$48.20
日曜日A$48.20A$56.23
祝日A$72.29A$80.33

深夜の勤務(月曜〜金曜の午後10時〜午前0時)には時給A$2.95、午前0時〜午前6時には時給A$4.42が上乗せされます。シフトが土日に偏っているなら、平日の時給ではなく、これらの数字から予算を組んでください。一見手厚く見える「年俸制(annualised salary)」でも、週末を計算に入れるとアワードどおりに払った場合を下回ることがあり、そのリスクは雇用主が負います。

4. シドニーの日本人料理人はどこから来るのか

実際には、日本で修業した料理人をシドニーの飲食店が採用する場合、次の4つのグループが対象になります。どのグループを狙っているのかによって、求人の出し方が変わります。

  1. 永住者と市民権保持者。多くは生活基盤があり、家族と暮らしていることも多く、ビザの制約なしにフルタイムで雇える唯一のグループです。相場どおりの給与と安定したシフトを求めます。
  2. ビザ保持者や留学生のパートナー。就労資格は相手方のビザによって決まります。一人ひとりVEVOで確認してください。
  3. ワーキングホリデー渡航者。若く、日本で調理の訓練を受けていることが多く、すぐに働けますが、1回のビザにつき12か月までです。次の章で説明します。
  4. すでに他の雇用主のもとで482ビザを持つ料理人。あなたの店に移ることはできますが、先に新たな指名(nomination)を提出する必要があり、その手数料と賦課金がかかります。

1と3のグループに求人を見てもらいたいなら、英語に加えて日本語でも募集を出しましょう。日本語の求人は、英語がまだ発展途上の腕のいい料理人にも届きます。募集チャネルについては日本人料理人が海外の仕事を探す場所で解説しています。

5. ワーキングホリデー渡航者:できること、できないこと

18歳から30歳の日本国籍者は、ワーキングホリデービザ(サブクラス417)でオーストラリアに来ることができます。内務省のプログラム報告によると、2025年6月30日時点でオーストラリアにいた日本人の417保持者は約12,800人です。その多くがシドニーの和食店で働いています。

シドニーの雇用主にとって重要な点は3つです。

詳しくは雇用主向けワーキングホリデーガイドをご覧ください。

Skills in Demandビザ(サブクラス482)で料理人をスポンサーする場合、2026年7月1日以降に提出する指名では、Core Skills Income Threshold(CSIT)の年A$79,423以上を支払う必要があります。これはアワードで最上位のコックグレードのフルタイム最低賃金を約25%上回る水準です。

おまかせカウンターを担うヘッドの寿司職人や板前(itamae)であれば、シドニーの相場がすでにこのラインを上回っていることもあり、スポンサーは主に書類の問題と、小規模事業者が4年間の指名をする場合で約A$9,600の政府手数料の問題になります。ラインクックの場合は、まず採算が合いません。現実的なルールはこうです。カウンターを任せる人をスポンサーし、残りのキッチンスタッフは現地で採用する。

シドニー特有の落とし穴があります。現地の人材層が厚いだけに、労働市場テスト(LMT)を省いて「どうせ現地からの応募はない」と考えたくなることです。日本との貿易協定による免除があなたの指名候補者に適用される可能性はありますが、それはカテゴリーによります。確信がなければ、4週間の広告を2本出してください。シドニーなら、本当に適任者が見つかるかもしれません。

7. 実務的な採用の手順

  1. 区分を決め、週末とスーパーアニュエーションを含めた実際の週あたりのコストを出す。
  2. 英語と日本語で現地に募集を出す。給与を明記し、将来スポンサーする可能性があるなら、最初から労働市場テストの要件を満たす広告にしておく。
  3. すべての候補者の就労資格をVEVOで確認し、ビザの有効期限を控える。
  4. 有給のトライアルシフトか技能テストを行う。寿司職人の面接質問をご覧ください。
  5. 最有力の候補者がワーホリ渡航者なら、2年目をどうするかを早めに考えておく。
  6. スポンサーする場合は482ビザの手順に沿って進め、オファーは書面で出す。

本記事は2026年9月に公式情報と照合した一般的な情報であり、法律・税務・移民に関する助言ではありません。アワード上の区分は、実際に行っている職務によって決まります。賃金についてはFair Work Ombudsmanに、ビザについては内務省または登録移民エージェントにご確認ください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。