アジア・オセアニア

シドニー出店:自社の料理人を送るか現地採用か

シドニー出店を計画する本社向けに、現地採用とワーキングホリデーが厨房の大半をまかなえる理由、現従業員を送ると労働市場テストと英語試験がどう軽くなるか、出向者のスーパーアニュエーションに関する日豪社会保障協定、開業日からの逆算スケジュールを整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

シドニーは、現地採用とワーキングホリデー人材だけで厨房の大半をまかなえる、数少ない都市の一つです。在豪邦人の61.7%は就労制限のない永住者です。日本から送る1〜2人については482ビザでスポンサーします(Core Skills Income Threshold A$79,423)。すでに自社の従業員であれば現地での求人広告は不要で、保証年収がA$96,400以上なら英語試験も免除されます。スーパーアニュエーションは日本の年金とは別で、2009年発効の協定により出向者は最長5年間加入を免除されます。

このページは、日本本社がシドニー出店の人員をどこから集めるかを決めるための材料を整理します。日本から送るか現地採用か、送る人がすでに自社の従業員である場合に何が変わるか、出向者のスーパーアニュエーションに関する日豪社会保障協定、複数の調達源の組み合わせ、開業日からの逆算スケジュールを扱います。シドニーの給与水準、候補者層、現地採用1人あたりのコストはシドニーでの寿司職人採用(英語)が扱う内容です。482ビザの手続き全体と政府費用の総額は482ビザでの料理人スポンサー(英語)が扱います。料理人が日本側で準備すること(在職証明書、英語試験、家族の帯同)は482ビザに向けた料理人の準備にまとめており、ここでは本社が判断するための数字だけを示し、詳しい表はそれぞれのページに譲ります。

目次

  1. 現地採用がすでに厨房の大半をまかなう
  2. 自社の従業員を送るほうが書類の負担は軽い
  3. スーパーアニュエーションと日豪社会保障協定
  4. 出向者・ワーキングホリデー・現地採用の組み合わせ
  5. 開業日からの逆算スケジュール
  6. よくある質問

1. 現地採用がすでに厨房の大半をまかなう

外務省の統計では、2025年10月1日時点の豪州の在留邦人は105,566人、このうち65,085人(61.7%)が永住者で、就労制限なくどの雇用主のもとでもフルタイムで働けます。この永住者比率は、在留邦人の多い国の中でも際立って高い水準です。もう一つの層はワーキングホリデーです。豪州内務省は、飲食店を含む観光・ホスピタリティを重要分野に指定しており、ワーキングホリデーの調理師は同じシドニーの雇用主のもとで6か月を超えて働く際の許可がいまや不要になりました。ドバイやシンガポールのように「日本人スタッフは全員日本から呼ぶ」という前提で計画する必要はありません。候補者がどこに集まり、どう声をかけ、いくら出すべきかは英語版のシドニー記事にまとめており、ここで同じ調査を繰り返すことはしません。

2. 自社の従業員を送るほうが書類の負担は軽い

日本から呼ぶ料理長やカウンター担当については、Skills in Demandビザ(サブクラス482)のCore Skills streamが経路になります。Core Skills Income Threshold(CSIT)は2026年7月1日から2027年6月30日までの指名でA$79,423です。手続き全体、労働市場テストの規則、政府費用の総額は英語版の482ビザガイドにまとめており、ここでは同じ表を繰り返しません。

早い段階で決めておく価値があるのは、送る人がすでに日本の自社で雇用している従業員かどうかです。そうであれば、次の2つの要件が軽くなります。

要件グループ外からの新規採用自社(日本法人)の現従業員
労働市場テスト(求人広告)指名前4か月以内に、4週間以上の広告を2件豪州の国際貿易上の義務にもとづき、指名対象者が日本にある関連会社ですでに勤務している場合は不要
英語試験免除に該当しない限り必要雇用主またはその関連会社が指名し、保証年収がA$96,400以上であれば免除

いずれも、指名の時点でその料理人がグループの従業員であることが条件です。いったん退職してから豪州の会社に加わる形にすると、どちらの緩和も使えません。誰を送るかを決めるときに押さえるべき一つの数字はこれです。すでに雇用している従業員にA$96,400以上を保証すれば、求人広告のラウンドも、通常は英語試験も省けます。それでも日本側で必要になる書類と、そのまま使えるバイリンガルの案内文は482ビザに向けた料理人の準備にまとめています。

3. スーパーアニュエーションと日豪社会保障協定

日豪社会保障協定は2009年1月に発効しました。日本年金機構によると、この協定が調整の対象とするのは日本の公的年金と豪州のスーパーアニュエーション(現在、雇用主負担で通常収入の12%)です。この節では豪州に固有の点だけを扱い、適用証明書を申請する一般的な仕組みは社会保障協定と料理人で一度まとめています。

現地採用者は豪州の制度だけに加入します。日豪の租税条約は2008年12月に発効しており、出向者の居住者・非居住者の判定は海外勤務者の税金をご覧ください。

4. 出向者・ワーキングホリデー・現地採用の組み合わせ

役割主な調達先確認すること
料理長・カウンター担当現従業員の出向、または482での新規採用482の所得基準、2章の緩和が使えるか、適用証明書
副料理長・寿司担当現地の永住者、または他社スポンサーのビザ保持者アワードの等級を実際の業務に合わせる。新規スポンサーには別途指名が必要
調理補助・ホールワーキングホリデー、現地の学生・永住者各ビザの就労条件と期限をVEVOで確認

スポンサーするのは、店の味を本当に決める人だけに絞ってください。現地の給与、アワードの等級、割増の計算例は英語版のシドニー記事にあります。日本語の求人は永住者とワーキングホリデーの両方に届きやすくなります。書き方は求人票の書き方を参考にしてください。

5. 開業日からの逆算スケジュール

開業の何か月前人の手配会社・物件
9か月前店舗の業態が482の注記(リミテッドサービス店舗の除外)に当たらないか確認。誰を送るか(2章の緩和が使えるか)、誰を新規または現地で採用するかを決めるスポンサーとなる豪州法人が未登録なら設立する
7〜6か月前緩和の対象外なら、グループ外から加わる人について労働市場テストの広告2件を開始。出向者は適用証明書を申請物件と、職種の注記に関わる許認可を確認
5〜4か月前482の指名とビザ申請を提出。免除に該当しない場合は英語試験を予約。豪州内務省は決定までの期間を公表していないため、提出時に最新の案内を確認する内装工事、許認可の手続きを継続
3〜2か月前ビザ発給。出向者の渡航と住居を手配副料理長・調理補助・ホールの現地採用を開始(求人に給与を明記)
1か月前出向者が到着。適用証明書を給与担当に渡す。現地採用者は有給トライアルシフトプレオープン
開業スポンサーした料理人、現地採用者、VEVOで確認済みのワーキングホリデー人材で営業を開始する実際の営業パターン(週末を含む)に合わせてシフトを見直す

今週やること:現従業員として送れそうな候補者を、A$96,400の基準と適用証明書の要件に照らして一覧にする。482の提出を待たず、そのほかの役割の現地採用を並行して始める。

赴任を打診するときの文面の例です。

【件名】シドニー店立ち上げへの赴任のご相談
○○さん
[年月]開業予定のシドニー店に、[料理長/カウンター担当]として赴任していただけないか、ご相談させてください。482ビザで会社がスポンサーし、費用は会社が負担します。給与は年A$[金額](Core Skills Income Threshold以上)で、スーパーアニュエーション12%は別途会社が負担します。日本の年金は日豪社会保障協定の適用証明書により継続し、最長5年間は豪州のスーパーアニュエーションへの加入が免除されます。[日付]までに一度面談の時間をいただけますか。

Subject: Assignment to our Sydney opening
Dear [name], we would like to ask whether you would move to our Sydney restaurant, opening in [month, year], as [head chef / counter chef]. The company will sponsor and pay for your 482 visa. You will be paid A$[amount] a year (at or above the Core Skills Income Threshold), and the company pays superannuation (12%) on top. Your Japanese pension continues under the social security agreement's certificate of coverage, which exempts you from Australian superannuation for up to five years. Could we meet before [date]?

期限のある数字:Core Skills Income Thresholdと政府費用(毎年7月1日に改定)、スーパーアニュエーションの保証率、アワードの賃金(毎年7月1日以降最初の給与期間から改定)。いずれも2026年9月27日に確認しました。

よくある質問

新規に482で採用するより、自社の従業員を送るほうが安いですか。

書類の負担という意味では軽くなります。すでに日本法人で働いている料理人なら、求人広告2件による労働市場テストが不要になり、保証年収A$96,400以上なら英語試験も免除されます。いったん退職してから豪州の会社に加わる形だと、どちらも使えません。ビザ手数料とCSIT自体はどちらのケースでも同じで、費用全体は英語版の482ビザガイドにまとめています。

日本から出向させる料理人にもスーパーアニュエーションの支払いが必要ですか。

日本側の事業主が日豪社会保障協定の適用証明書を持っていれば、最長5年間は不要です。A$79,423の給与であれば、年約A$9,531が浮く計算です。同じ給与の現地採用者には、この免除はありません。

シドニーの厨房のうち、実際に日本から送る必要があるのはどのくらいですか。

通常は、店の味を決める料理長かカウンター担当だけです。在豪邦人の6割超は就労制限のない永住者で、ワーキングホリデー人材もいまや同じ店で6か月を超えて働けるため、それ以外は現実的に現地でまかなえます。

Core Skills Income Thresholdは現在いくらですか。

2026年7月1日から2027年6月30日までの指名でA$79,423で、毎年7月1日に改定されます。482の手続き全体と政府費用の総額は英語版のスポンサーガイドにまとめており、このページでは予算が現実的かどうかを判断する一つの数字だけを示しています。

同じ人を間を置かず何度も送れますか。

482ビザ自体は必要なたびに新しい指名ができますが、社会保障協定の免除を5年を超えて延長するには、予見できない事情と日豪両国の合意が必要です。合意がなければ、当初の見込み期間にかかわらず5年経過後は豪州のスーパーアニュエーション制度に加入します。

本記事は一般的な情報であり、法務・税務・入管に関する助言ではありません。豪州のビザ要件、費用、アワードの賃金は毎年改定されます。2026年9月時点で確認した下記の一次情報をご確認のうえ、必要に応じて登録移民エージェント、年金事務所、税理士にご相談ください。

出典

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