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海外和食店の開業告知:誰向けの店かを1行で伝え、地図に開業前から載せる

告知文の1行目で利用場面を伝える書き方、告知に入れる8項目、Googleは開業日の90日前から表示・Appleは6か月先まで登録できる仕組み、店名ルール、告知の時期表、FTC・ASAの表示ルール、開業直後の売上急増の扱いを解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

目次

  1. 告知文の最初の1行で「誰向けの店か」を言う
  2. 告知に入れる8項目と書き方
  3. 開業前から地図に載せる:GoogleとAppleの仕組み
  4. 店名に宣伝文句を入れない
  5. 開業90日前から開業後4週までの告知の順番
  6. 他人に告知してもらうときの表示ルール
  7. 開業直後の客数を「実力」と見なさない

海外で和食店を開くとき、開業告知は「オープンします」という知らせではなく、「この店はあなた向けです」と特定の客に伝える最初の機会です。現地の客は、日本の客ほど和食の業態の違い(割烹、居酒屋、定食、おまかせ)を知りません。店名と写真だけでは、昼に一人で入れる店なのか、記念日に予約して行く店なのかが伝わらず、想定と違う客が来て、想定した客が来ない、ということが起こります。この記事では、告知文に入れる項目、GoogleとAppleの地図に開業前から店を載せる方法、招待客やインフルエンサーに告知してもらうときの表示ルールを、2026年9月時点の各社の公式ヘルプと規制当局の資料をもとに整理します。

1. 告知文の最初の1行で「誰向けの店か」を言う

告知文の1行目に書くのは、店のこだわりではなく、客が「自分が行く場面」を思い浮かべられる情報です。和食の業態名は現地の言葉にすると伝わり方が変わるため、業態名に「どんな場面で使う店か」を足して書きます。

業態伝わりにくい書き方場面が伝わる書き方(例)
定食Authentic Japanese teishokuA Japanese set lunch — grilled fish, rice, miso soup — ready in 10 minutes
居酒屋Traditional izakayaSmall plates and sake for groups after work, walk-ins welcome
おまかせThe finest omakase experienceAn 8-seat sushi counter, two seatings a night, 18-course menu
ラーメンRamen made with passionTonkotsu and shoyu ramen, counter seats, open until midnight

右の列は例ですが、共通しているのは、席の形(カウンター、グループ)、時間帯、所要時間、予約の要否のどれかが入っていることです。どの客のどの場面を狙うかは、客層と利用場面の記事で決めた内容をそのまま使います。告知文の段階で狙いを1つに絞れていないなら、告知を書く前に、そちらに戻って決め直す方が早いです。

「本格的」「こだわりの」「最高の」といった形容は、どの店も使うため区別の材料になりません。代わりに、使う米の産地、出汁の取り方、職人の経歴など、事実として確かめられることを1つだけ書きます。書いた内容は店内でも同じことを説明できるよう、スタッフと共有しておきます。

2. 告知に入れる8項目と書き方

開業告知を読んだ客が、予約や来店の前に知りたいことは限られています。次の8項目を、ウェブサイト、地図サービス、SNS、予約ページのどこで見ても同じ内容になるように、1枚の原稿にまとめておきます。

項目書くこと注意点
開業日日付と、最初の数日の営業時間工事や検査で延びる可能性があるなら「予定」と書き、確定したら更新する
営業時間曜日ごとの時間、ラストオーダー開業直後だけ短縮するなら、その期間を明記する
価格帯代表的な品の価格、コースの価格税・サービス料の扱いは地域の規則に合わせて書く(おまかせの価格設計を参照)
予約予約の要否、予約方法、ウォークインの可否予約枠の決め方は予約枠の記事で扱う
席の形カウンター、テーブル、個室、席数車いすでの利用の可否も書いておくと問い合わせが減る
食事の制限生の魚の有無、ベジタリアン対応、アレルゲンの問い合わせ先「対応可」と書くなら、その範囲を具体的に
支払いカード、現金、チップの扱いニューヨーク市では、現金をプリペイドカードに替える機械がない限り、現金の受け取りを断れない
場所住所、最寄り駅、入口の目印ビルの上階や地下なら入口の写真を添える

この8項目は、そのまま地図サービスの登録内容にもなります。告知文と地図の情報が食い違うと、客はどちらを信じてよいか分からなくなります。原稿を1枚に決めてから、各サービスに転記する順番にしてください。地図サービスへの登録の細部は地図・検索対策の記事で扱います。

3. 開業前から地図に載せる:GoogleとAppleの仕組み

海外では、客は店名で検索するより、地図アプリで「sushi」「ramen」などと検索して店を見つけることが多くなります。開業前から地図に店が表示されていれば、工事中の店の前を通った人が検索して開業日を確かめられます。GoogleとAppleは、どちらも開業前の店を登録する仕組みを用意しています。

項目GoogleビジネスプロフィールApple Business(Apple Business Connect)
入力できる開業日最大1年先まで「Opening Soon」の状態で、開業日は6か月先まで
地図に表示される時期開業日を入力し確認(オーナー確認)を済ませると、開業日の90日前から表示ヘルプに表示開始時期の記載なし。最初の場所を登録するときは、組織の確認(Appleの審査)も必要
開業前にできること投稿、写真、ビジネスの説明の掲載名称、住所、カテゴリー、電話、ウェブサイト、営業時間などの登録
開業前にできないこと利用者による口コミ・写真の投稿や情報の修正提案は、開業まで受け付けない—

Googleの仕組みで押さえておきたいのは、表示が始まるのは開業日の90日前からで、しかもオーナー確認が済んでいることが条件だという点です。確認には時間がかかることがあるため、開業日の90日前より前に、確認の手続きを始めておきます。また、開業日が延びた場合は登録した日付を必ず直してください。開業日を過ぎても開いていない店が「営業中」と表示されると、来てしまった客の不満がそのまま最初の口コミになります。

要点:Googleでは開業前は利用者の口コミや写真が付きません。開業前の90日間に表示されるのは、店が自分で載せた写真と説明だけです。この期間に載せる写真は、実際に出す料理と店内を撮ったものにしてください(料理写真の記事を参照)。

4. 店名に宣伝文句を入れない

告知で目立たせたいからといって、地図サービスの店名に宣伝文句や料理名を足すと、ガイドラインに反します。Googleビジネスプロフィールのガイドラインは、店名は看板、ウェブサイト、名刺などで一貫して使っている実際の名前にすることを求め、宣伝文句、営業時間の情報(「24時間営業」など)、電話番号やURL、商品・サービスの説明、所在地の説明などを店名に加えることを認めていません。

たとえば店名が「Kiyoshi」なら、地図上の名前を「Kiyoshi - Best Omakase in Midtown」にするのは認められない形です。「omakase」「sushi」といった業態の情報は、カテゴリーとビジネスの説明、メニューで伝えます。ガイドラインはカテゴリーについても、「この店は○○である」と言えるものをできるだけ少なく選ぶよう求めています。寿司店なら「Sushi restaurant」を主に置き、「Japanese restaurant」を足す程度にとどめます。

看板のデザインを決める段階で、この点を考えておくと後で困りません。看板に「Kiyoshi Sushi」と書いてあれば、それが実際の店名として扱えます。看板、ウェブサイト、予約サービス、地図のすべてで同じ表記にしておくことが、名前をめぐる問題を避ける一番簡単な方法です。

5. 開業90日前から開業後4週までの告知の順番

告知は一度に出すより、確かめられる情報が増えるごとに段階的に出す方が、客にも店にも無理がありません。以下は順番の目安で、日数は工事や許可の進み具合に合わせて調整してください。

時期出す情報使う場所
90日前〜店名、業態、場所、開業予定の時期(月単位)地図サービス(開業日を登録)、SNSのアカウント開設、工事中の店頭の掲示
30日前〜開業日(確定したら)、営業時間、価格帯、予約方法ウェブサイト、地図、SNS、予約ページの公開
2週間前〜メニュー、料理と店内の写真、職人の紹介SNS、地図の写真、近隣への案内
開業週開業日の営業時間、混雑時の案内、ウォークインの受け方店頭、SNS、地図の営業時間
開業後1〜4週最初の客の反応を受けた変更(メニューの追加・営業時間の調整)SNS、地図の投稿、再来店の案内(再来店の記事)

予約ページを公開する時期は、厨房とホールの研修の進み具合で決めます。開業初日から満席の予約を受けると、慣れていない厨房に注文が集中します。最初の数日は予約枠を絞り、確実に回せる数から始める方が、口コミの面でも安全です。プレオープンで招待客を入れるなら、その日程も告知の順番に組み込みます(プレオープンの記事)。

6. 他人に告知してもらうときの表示ルール

開業時には、地元の食のインフルエンサーや記者を招いて、料理を無料で出すことがよくあります。このとき、招かれた側の投稿には「店から便宜を受けた」ことの表示が必要になる国が多く、店の側も無関係ではいられません。

店の側でできることは、招待の段階で「投稿するなら、招待を受けたことを投稿の中で分かるように書いてほしい」と文書で伝えておくことです。投稿を条件にしない、内容を指定しない、という線も同じ文書で示しておくと、後で問題になりにくくなります。招待客から料理や接客への意見を集める方法はプレオープンの記事で扱います。

7. 開業直後の客数を「実力」と見なさない

告知がうまくいくと、開業直後は予想以上に客が来ます。ただ、この時期の数字を基準に仕入れや人員を決めると、数か月後に苦しくなります。米国で回転寿司を展開するくら寿司USAは、年次報告書(Form 10-K、2025年8月期)で、新店はこれまで高い売上で開業し、開業への関心による初期の売上の急増の後に売上が下がってきたと説明しています。同社は既存店売上や平均店舗売上(AUV)の計算に、開業から18か月以上たった店だけを使っており、その理由を、新店は開業時に売上が高い時期があるためとしています。

上場企業でさえ開業直後の売上を別扱いにしている、ということは、個人店の開業告知にも当てはまります。開業月の客数は、告知の効果と物珍しさで膨らんだ数字です。告知の役割は、最初の来店をつくることまでで、2回目以降の来店は料理と接客と、再来店の仕組みで決まります。開業告知の原稿を作るときには、同時に「2回目の来店の理由」も用意しておくことをおすすめします(再来店の記事)。広告費をどこまでかけるかは開業広告の記事で扱います。

2026年9月に公開情報をもとにまとめた一般的な情報であり、法務・税務・入国管理に関する助言ではありません。制度や金額は変わるため、行動する前にリンク先でご確認ください。

出典

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