採用の進め方

飲食店の離職率の平均は?公式統計と後任コスト

米国・シンガポール・日本の公式統計による飲食店の離職率、月間離職率の正しい読み方、自店の離職率の計算シート、スポンサーした料理人が早期退職した場合のコスト計算例。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

米国の宿泊・飲食サービス業の自己都合離職率(月平均)は2025年に4.2%で、全産業の2.0%のおよそ2倍です(米労働統計局JOLTS)。シンガポールの飲食サービス業は月平均2.2%(全産業1.2%)でした(人材開発省)。日本では、宿泊業・飲食サービス業の2025年の離職率が23.7%で、産業計の13.7%を大きく上回っています(厚生労働省)。英国には公式な離職率の統計がありません。

このページは、離職率の目安と、後任を採用する場合の予算を知りたいオーナー、店長、本部の人事担当者向けです。当サイトの定着関連ガイドが参照するデータのページという位置づけです。店で何を変えるべきかは日本人料理人の定着、段階別のチェックリストは海外の日本人料理人の定着、海外採用1人あたりの総費用は海外からのシェフ採用の予算をご覧ください。

目次

  1. 公式統計による目安
  2. 月間離職率の読み方
  3. 自店の離職率を計算する
  4. 1人辞めるといくらかかるか
  5. 計算例:スポンサーした料理人が5か月目に退職
  6. 予算にどう反映するか
  7. よくある質問

公式統計による目安

統計機関までさかのぼって確認できた国の数字は、以下のものだけです。指標の定義がそれぞれ異なるため、国どうしを比べるのではなく、同じ単位に直した自店の数字と比べてください。

国指標飲食サービス全産業出典
米国自己都合離職率の月平均、2025年4.2%(宿泊・飲食サービス業)2.0%BLS JOLTS 表22
シンガポール自己都合退職率の月平均、2025年2.2%(飲食サービス業)1.2%人材開発省(MOM)
日本1年間の離職者数の割合、2025年23.7%(宿泊業,飲食サービス業)、一般労働者は21.5%13.7%厚生労働省「雇用動向調査」
英国公式な離職率はなし。最も近い数字は2026年7月の欠員数70,000件(宿泊・飲食)該当なし英国家統計局(ONS)

時系列がある2か国では、同じ方向に動いています。米国は2021年と2022年の5.8%をピークに4.2%まで下がりました。シンガポールの飲食サービス業も2022年の2.9%から2025年の2.2%に下がっています。全産業のおよそ2倍という水準は変わりませんが、ピークからはかなり下がっています。

業種よりも職位の差のほうが大きく出ます。シンガポールの飲食サービス業では、一般スタッフの退職率が月2.8%なのに対し、専門職・管理職は1.2%です。キャリアの道筋が書面で示されている料理長と、ラインのコックとでは、リスクがまったく違います。

英国の「ホスピタリティ業界の離職率」として出回っている数字は、ONSではなく民間の調査によるものです。使う前に標本の内容を確認してください。

月間離職率の読み方

BLSの年間の数字は、12か月分の離職者数の合計を12か月分の雇用者数の合計で割ったもので、つまり月平均の率です。4.2%を12倍すると、1年で雇用100件あたり約50件の離職になり、これが「毎年半分のスタッフが辞める」という形で引用されます。

この読み方は実態より大きく見えます。離職は人数ではなく件数で数えられます。あるラインのポジションが1年に3回入れ替われば離職は3件ですが、その横の10人は辞めていません。実際に辞めた人の割合は50%より低く、BLSはこの産業について人数ベースの数字を公表していません。正確に言えば、「雇用100件あたり年50件弱の自己都合離職があり、その多くは一部の入れ替わりの激しいポジションに集中している。解雇や人員整理は含まない」ということです。

日本の23.7%は、1年間の離職者数を年初の常用労働者数で割っているため、人数ベースに近い数字です。自己都合に限らず、すべての離職理由を含みます。

もう一つの視点は、後任の見つけにくさです。厚生労働省の飲食物調理従事者の有効求人倍率(パート含む)は2026年7月に2.18倍で、職業計は1.05倍でした。パートを除くと1.83倍です。日本の料理人は一般的な働き手より選択肢が多く、日本から後任を呼ぶには数週間ではなく数か月かかります。

自店の離職率を計算する

国の数字よりも、自店の数字のほうが役に立ちます。直近12か月の給与データから、厨房スタッフだけを対象に記入してください。

項目出し方自店の数字比較対象
A. 12か月の退職者数理由を問わず辞めた全員
B. 厨房の平均人数毎月末の人数の平均
C. 年間離職率A ÷ B × 100日本 23.7%(すべての離職)
D. 月換算C ÷ 12米国 4.2%(自己都合のみ)、シンガポール 2.2%(自己都合)
E. 退職者の平均在籍期間入社日から退職日までの月数自店の試用期間
F. 持ち場が欠員だった日数シフト表から目標はゼロ
G. 欠員補充の残業代給与データから次のコスト計算で使う

Eが試用期間より短ければ、問題は給与ではなく採用のしかたか最初の数週間にあります。Aの大半が特定の持ち場から出ているなら、まずそのポジションを見直してください。

1人辞めるといくらかかるか

飲食業に限った採用単価で、引用できる統計はどの国でも見つかりませんでした。日本で最後に公表された信頼できる数字は全産業のもので、しかも6年前のものです。リクルートの『就職白書2020』では、2019年度の中途採用1人あたりの平均採用コストが103.3万円でしたが、同社はこの版を最後に公表をやめています。規模感の参考にとどめ、目安としては使わないでください。

自店で数えられる項目から積み上げます。

計算例:スポンサーした料理人が5か月目に退職

年商1,000万豪ドル未満のオーストラリアの店が、4年間のSkills in Demand(サブクラス482)ビザで料理人をスポンサーしたとします。行政手数料は2026〜27年度の公表額で、店ごとに異なる項目は空欄にしています。

項目採用時に支払い5か月目に辞めた場合の損失後任のために再び支払う額
スタンダード・ビジネス・スポンサー承認A$420承認が有効なら通常なし通常なし
ノミネーション申請料A$330A$330A$330
技能オーストラリア基金(SAF)課徴金(4年 × A$1,200)A$4,800未使用の年数分の返金を申請すればA$1,200、申請しなければA$4,800A$4,800
ビザ申請料(本人分、雇用主が負担した場合)A$4,015A$4,015A$4,015(後任が同じ職種の482ビザをすでに持っていれば通常不要)
行政手数料の合計A$9,565A$5,545〜A$9,145A$5,130〜A$9,145
航空券、転居費用、紹介手数料、欠員補充の残業代自店の数字自店の数字自店の数字

損失の大きさを決めるのは2点です。1つ目は返金です。内務省のガイダンスでは、12か月を超える期間のビザで雇用した労働者が、雇用開始から12か月以内に雇用主のもとを離れた場合、課徴金のうち未使用の年数分(1年単位)の返金を認めています。ただし、この規定を確認できたのは、Skills in Demandビザの前身であるTSSビザ向けに書かれたガイダンスです。当てにする前に、自店のノミネーションに適用されるか確認してください。返金は自動ではありません。2つ目は日程です。後任のノミネーションには、申請前4か月以内に4週間以上の求人広告を2件出す労働市場テストが必要で、審査はその後に始まります。少なくともその期間は、欠員か代替要員で回す前提で予算を組んでください。

シンガポールは仕組みが異なります。Sパスの課徴金は月S$650なので、5か月目に辞めた料理人に払った課徴金はS$3,250で、その分は5か月の労働の対価でした。それ以上の損失はありませんが、返金もありません。本当のコストは欠員期間です。英国では、スポンサーした料理人が辞めても、海外から後任を呼べないことがよくあります。料理人(SOC 5434)が移民給与リストにも一時的不足職業リストにも載っていないためです。詳しくはスポンサーなしでの英国の採用をご覧ください。

予算にどう反映するか

更新が必要な数字:BLS JOLTSの年間値(次回の年次表は2027年3月)、MOMの離職統計(毎年3月の年次報告)、厚生労働省「雇用動向調査」(毎年8月公表)、有効求人倍率(毎月)、オーストラリアのビザ手数料と課徴金(毎年7月1日に改定)。2026年9月27日確認。

よくある質問

飲食店の離職率の平均はどのくらいですか。

米国の公式統計で最も使いやすいのは、宿泊・飲食サービス業の2025年の自己都合離職率(月平均)4.2%で、全産業は2.0%です。シンガポールの飲食サービス業は2025年に月平均2.2%でした。日本の宿泊業・飲食サービス業は、2025年の1年間で23.7%が離職しています(すべての理由を含む)。

月4.2%の離職率なら、1年でスタッフの半分が辞めるということですか。

そうではありません。4.2%の12倍は雇用100件あたり約50件の離職ですが、離職は件数で数えられ、何度も入れ替わる一部のポジションがその多くを占めます。実際に辞めた人の割合はこれより低く、BLSはこの産業についてその数字を公表していません。自店の月換算の数字を4.2%と比べてください。

英国のホスピタリティ業界に公式な離職率はありますか。

ありません。ONSは欠員数(2026年7月の宿泊・飲食で70,000件)を公表していますが、離職率は公表していません。業界紙に出ている割合は民間の調査によるものです。

料理人1人の後任採用にいくらかかりますか。

飲食業の採用単価で引用できる統計はありません。手数料、管理職の時間、欠員補充の残業代、教育の時間、スポンサーした料理人なら失った行政手数料と後任のための同じ手数料を、自店で積み上げてください。オーストラリアの482ビザの料理人が5か月目に辞めた場合、失う行政手数料は課徴金の返金を申請するかどうかでA$5,545〜A$9,145です。

料理人が辞めたら、SAF課徴金は返ってきますか。

内務省のガイダンスでは、12か月を超えるビザで雇用した労働者が雇用開始から12か月以内に離れた場合、未使用の年数分の返金を認めています。証拠を添えて申請する必要があり、自動では返金されません。Skills in Demandビザでの現在の扱いを確認してから当てにしてください。

数字は各機関の公表値で、対象期間を明記しています。公式な統計がないものは、別の数字で代用せず、ないと書いています。計算例は公表されている手数料を当てはめた例示であり、個別のノミネーションに関する助言ではありません。

出典

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