就労ビザ

482から186へ:豪州で料理人の永住権を支援する

スポンサーした日本人料理人を482からサブクラス186の永住権へ移行させるために、オーストラリアの飲食店がすべきこと。TRTの要件、ダイレクトエントリー、費用、CSIT、指名が遅れる典型的なミスを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 186が定着に効く理由
  2. 2つの枠:TRTとダイレクトエントリー
  3. TRT:料理人が示すべきこと
  4. TRT:雇用主が示すべきこと
  5. 料理人のダイレクトエントリー
  6. 費用と給与の下限
  7. 482から186への計画がつまずくところ
  8. 2年間の計画

Skills in Demandビザ(サブクラス482)は日本人料理人を厨房に迎えるためのビザです。そして雇用主指名ビザ(Employer Nomination Scheme、サブクラス186)は、永住ビザであるがゆえに、その料理人に長く残ってもらうためのビザです。多くの料理人は、いずれ雇用主が永住権を支援してくれるという前提でオーストラリアのスポンサー付きの仕事を受けます。本記事では、2026年9月時点で施行されている1994年移民規則(Migration Regulations 1994)と内務省のページをもとに、その約束が具体的に何を意味するのかを解説します。482についてはオーストラリアで日本人料理人を雇うを先にお読みください。

1. 186が定着に効く理由

482の保持者はスポンサーのもとでしか働けず、ビザには期限があります。186の保持者は永住者で、どこでも働けます。つまり186を提供することは雇用主にとって利点であると同時に現実のコストでもあり、ビザが下りれば料理人は自由に辞められます。実際には、申請までの2年間において、永住権の支援はオーストラリアの飲食店が持つ最も強い定着策の一つです。定着策の全体像は日本人料理人の定着で扱っています。

2. 2つの枠:TRTとダイレクトエントリー

一時居住からの移行枠(TRT)ダイレクトエントリー枠
対象自社の482(または旧457)保持者自社の482から移行するのではない料理人
職種直近の482と同じ職種186用のコアスキル職業リストに掲載されていること
職歴承認スポンサーのもとでその職種に2年その職種でフルタイム3年
技能審査内務省が求めた場合のみ所管の審査機関による審査が必要
年齢と英語45歳未満(免除あり)、Competent English45歳未満、Competent English

ほとんどの飲食店にとって重要なのはTRTです。ダイレクトエントリーは第5章で簡単に触れます。

3. TRT:料理人が示すべきこと

料理人側の要件は、移民規則の別表2(Schedule 2)第186.221〜186.227条に定められています。つまずきやすいのは次の点です。

4. TRT:雇用主が示すべきこと

指名の要件は規則5.19(5)に定められています。平たく言うと次のとおりです。

TRTの指名では、職種が技能リストに載っている必要はなく、ANZSCOにあり482と同じ職種であればよいとされています。労働市場テストも不要です。求められるのは、問題のない2年間です。フルタイムで、市場給与かつ基準額以上で支払われ、スポンサーが義務を守っていることです。

5. 料理人のダイレクトエントリー

ダイレクトエントリーは、自社の482から移行するのではない料理人向けです。たとえば別のビザですでにオーストラリアにいる料理人や、長い経験を持ち日本から直接採用する料理人です。2026年3月28日時点で編纂された186の職種告示では、シェフ(351311)とコック(351411)がコアスキル職業リストに掲載され、審査機関はTrades Recognition Australia(TRA)です。どちらにも但し書きが2つあり、ポジションが限定サービス型レストラン(ファストフード、ファストカジュアル、限定サービスのカフェなどを含む)にある場合や、工場での大量生産に関わる場合は対象外です。

料理人には、TRAの技能審査(485ビザ用に取得したものは不可、原則として3年以内のもの)、求められるスキルレベルでのフルタイム経験3年以上、Competent English、45歳未満が求められます。494のような地方暫定ビザを保有している場合は、原則としてまずそれを3年保有している必要があります。料理人向けの地方ビザも参照してください。

6. 費用と給与の下限

基準額は毎年7月1日に改定されるため、2年前にちょうど基準額で採用した料理人は、指名の時点で基準を下回っている可能性があります。482の更新日だけでなく、毎年7月に新しいCSITと給与を照らし合わせてください。計画への組み込み方は海外からの料理人採用の予算づくりで解説しています。

7. 482から186への計画がつまずくところ

  1. 482の期間中に45歳になる。採用時に生年月日を確認してください。42歳で採用した料理人には、遅れる余裕がほとんどありません。
  2. 職務内容がずれる。コックとしてスポンサーした人が実際には厨房を仕切っていても、指名はコックとしてしかできません。シェフとしてスポンサーした人が実際にはフライヤー担当なら、職務の実態が問題になります。
  3. 無給休暇。長期の無給帰国は、2年の雇用期間を減らします。
  4. 給与明細が基準額を下回る。閑散期に勤務時間を減らすと、年収がCSITを下回ることがあります。
  5. 英語を最後まで後回しにする。Competent Englishは申請時点で判断されます。1年目から準備を始めてください。
  6. 法人の変更。店舗の組織再編で新しい会社がスポンサーになる場合、その新会社が料理人を最後に指名したスポンサーでなければなりません。再編の前に専門家に相談してください。

8. 2年間の計画

  1. 採用時:年齢を確認し、482の職種を慎重に選ぶ(その職種が186まで引き継がれます)。予定している支援内容を書面で料理人に伝える。
  2. 1〜12か月目:給与をCSITより余裕をもって上に保ち、職務内容と勤務時間の記録を残し、英語の準備を始める。
  3. 毎年7月1日:新しいCSITと給与を照合する。
  4. 18〜22か月目:英語試験、無犯罪証明書、2年の雇用期間の確認。
  5. 24か月経過後:TRTの指名を申請し、承認後6か月以内に料理人がビザを申請する。

本記事は、2026年9月に1994年移民規則、関連する告示、オーストラリア内務省の公式情報で確認した一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。2024年12月7日より前に初めて482を取得した料理人には経過措置が適用される場合があります。実際の手続きの前に、内務省または登録移民エージェントに確認してください。

出典

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