就労ビザ

料理人のH-2Bビザ:使える場合と使えない場合

H-2Bは季節営業のリゾート厨房向けで、通年営業のレストランには向きません。一時的な必要性の基準、66,000件の上限、日本の対象国としての扱い、労働省の手順、雇用主の義務を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. すべてを決める1つの基準:一時的な必要性
  2. H-2Bが飲食店に合う場合、合わない場合
  3. 発給上限と追加枠
  4. 日本人の料理人はH-2Bを取得できるか
  5. 手順と期限
  6. 雇用主が提供しなければならないもの
  7. 費用
  8. 利用するかどうかの判断

H-2Bは、農業以外の一時的な仕事のための米国ビザです。季節営業のホテル、リゾート、夏季限定のレストランが、シーズン中の厨房スタッフを確保するために広く使っています。一方で、通年営業のレストランが恒常的な人手不足を解決できるのではと期待して誤解していることも多いビザです。H-2Bではそれは解決できません。本ガイドでは、その線引きがどこにあるのか、手続きに何が必要か、賃金以外に雇用主がどれだけの費用を負担するのかを説明します。

1. すべてを決める1つの基準:一時的な必要性

国土安全保障省(DHS)の規則上、問われるのは仕事そのものが一時的かどうかではありません。雇用主がその労働者を必要とすることが一時的かどうかであり、「whether or not the underlying job can be described as permanent or temporary(その仕事自体が恒常的か一時的かにかかわらず)」判断されます。原則として、必要な期間は1年以内でなければなりません(一回限りの事象の場合は最長3年)。

労働省(DOL)は実務上さらに厳格で、20 CFR 655.6の規定では、一回限りの事象を除き、必要な期間が9か月を超える申請は却下するとしています。

必要性は、次の4つの類型のいずれかに当てはまる必要があります。

類型規則上の要件飲食店での例
季節的(Seasonal)出来事やパターンによって季節と結び付き、毎年繰り返されるもの。毎年いつ労働が不要になるかを明示する必要があります5月から9月まで営業するビーチリゾートの厨房
繁忙期(Peakload)その業務に常勤スタッフを雇用しており、季節的または短期的な需要のために一時的に増員する必要があるもの通年営業だが冬季は厨房の人員を倍にするスキーリゾートのレストラン
一回限り(One-time occurrence)これまで存在せず、今後も繰り返されない必要性飲食店ではまれ
断続的(Intermittent)その業務に常勤スタッフがおらず、ときどき短期的に必要になるもの飲食店ではまれ

雇用主がよくつまずく細かな点が1つあります。規則は、雇用が「is not seasonal if the period during which the services or labor is not needed is unpredictable or subject to change or is considered a vacation period for the petitioner's permanent employees(労働が不要な期間が予測不能もしくは変動する場合、または申請者の常勤従業員の休暇期間とみなされる場合は、季節的ではない)」としています。

2. H-2Bが飲食店に合う場合、合わない場合

合う場合

合わない場合

毎年その料理人が不要になる月を書き出せないのであれば、おそらく季節的な必要性はありません。

3. 発給上限と追加枠

H-2Bは法律で会計年度あたり66,000件が上限と定められており、会計年度の前半と後半に33,000件ずつ割り振られます。需要はこの上限を常に上回ってきました。

議会はDHSに追加ビザを発給する権限をたびたび与えてきました。2026会計年度については、Public Law 119-37に基づき最大64,716件の追加ビザが認められましたが、この権限は2026年9月30日に失効しました。2027会計年度に追加ビザがあるかどうかは新たな立法とDHSの新規則次第であり、追加枠を前提にした計画は立てないでください。

労働省自身の数字が規模を示しています。2026年1月から9月までに必要とされる仕事について、最終判断が出た申請は10,474件、認定された労働者のポジションは143,929件と報告されています。これは法定上限66,000件の2倍を超えており、通常、労働認定ではなくビザの上限が障壁になるのはこのためです。

4. 日本人の料理人はH-2Bを取得できるか

H-2Bビザは原則として、DHSが連邦官報(Federal Register)の告示で指定した国の国民に限られます。2024年11月8日に公表された告示では日本がリストに含まれていました。この告示は、指定の有効期限を2025年11月8日までとしていました。

2026年9月に確認した時点では、連邦官報でそれ以降の指定告示を見つけることはできませんでした。日本からのH-2B採用を計画する前に、USCISのH-2Bページまたは弁護士に日本の現在の扱いを確認してください。

対象国であっても、H-2Bは日本人の料理人にとって珍しいルートです。日本で修業した料理人の多くは、1シーズン限りではなく長期的なキャリアの転機を求めていますし、後述する3年の上限があるため、このルートはもともと短期的なものです。

5. 手順と期限

  1. プリベイリングウェージ(ETA-9141)。労働認定を申請する必要がある日の少なくとも60日前までに労働省に申請します。2026年9月の労働省の処理状況ページでは、2026年7月に受け付けたH-2Bのプリベイリングウェージ申請が処理中でした。
  2. 労働認定(ETA-9142B)と求人登録(job order)。必要開始日の90暦日前から75暦日前までの間に申請します。求人登録は州の労働力機関(State Workforce Agency)に提出され、労働省の電子求人登録簿に掲載されます。
  3. 米国人労働者の募集。労働省が申請を受理した後、雇用主は14暦日以内に所定の募集活動を行わなければなりません。これには以前雇用していた米国人従業員への連絡や、職場での求人掲示(または労働組合への通知)が含まれます。必要開始日の21日前までは米国人の応募を受け付け続け、要件を満たす人を採用しなければなりません。
  4. 労働省への募集報告書(recruitment report)の提出、その後に認定。
  5. 認定書を添えてUSCISにForm I-129を申請。
  6. 各労働者が米国領事館でビザ面接を受けます。

入国が認められる期間は、承認された申請の期間に加え、その前に最長10日、後に最長30日です。H-2Bの在留資格で合計3年までは延長が可能です。3年経過後は、再び資格を得るまでに連続60日間米国外に滞在しなければなりません。

6. 雇用主が提供しなければならないもの

H-2Bには、通常の採用にはない雇用主の義務が伴います。20 CFR 655.20に基づく主なものは次のとおりです。

7. 費用

項目金額(2026年9月時点)
Form I-129(H-2B、氏名を特定した労働者1〜25人)$1,080
Form I-129(H-2B、氏名を特定しない労働者のみ)$580(小規模雇用主と非営利団体は$460)
Asylum Program Fee(庇護プログラム手数料)$600(フルタイム換算で従業員25人以下の雇用主は$300)
プレミアム処理(任意)2026年3月1日から$1,780。15営業日

これに上記の渡航費、生活費、ビザ費用の払い戻し、さらに代理業者や弁護士の費用が加わります。

8. 利用するかどうかの判断

H-2Bは、毎年夏や冬に料理人を増員する必要があり、労働省の募集手続きをこなせる書類管理の体制があるリゾートには適しています。一方、専門の料理人を呼びたい日本食レストランには向きません。必要性が恒常的であるうえ、制度には上限があり、期間も短いからです。

リゾート施設を運営している場合は、ラスベガスのガイドで、通年の需要がH-2Bの利用を制限する理由を取り上げています。米国のすべてのルートの比較は日本人料理人のビザスポンサーをご覧ください。

2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。H-2Bの上限や対象国のルールは頻繁に変わります。申請前にUSCIS、労働省、または移民弁護士に最新のルールを確認してください。

出典

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