北米

カルガリーで日本人料理人を採用する:LMIAとアルバータ州のルール

カルガリーは失業率7.0%でESDCの低賃金LMIA不受理リストに入っています。シェフと調理人の賃金、アルバータ州の基準額C$37.50と最低賃金、今も使えるルートを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. カルガリーは低賃金LMIAの不受理リストに入っている
  2. カルガリーのシェフ・調理人の賃金水準
  3. アルバータ州の基準額C$37.50
  4. 求人条件に関わるアルバータ州の賃金ルール
  5. 今も使えるルート
  6. 調理人にアルバータ州で長く働いてもらうには
  7. 採用の手順

カルガリーにはアルバータ州で最大の日本人コミュニティがあり、現地での募集には有利な環境です。一方、日本から調理人を呼び寄せるとなると話は別です。ESDCは2024年9月から、失業率の高い都市での低賃金LMIA申請を受理しておらず、カルガリーは現在その対象になっています。本ガイドでは、2026年9月時点でカルガリーに特有の事情として、不受理リスト、地域の賃金データ、アルバータ州の基準額と賃金ルール、そして残されたルートを解説します。カナダ全体のルールについては、まずカナダで日本人料理人を採用するをご覧ください。

1. カルガリーは低賃金LMIAの不受理リストに入っている

カナダ雇用・社会開発省(ESDC)は、失業率が6%以上の国勢調査都市圏(CMA)にある仕事について、低賃金の労働市場影響評価(LMIA)申請を受理していません。2026年7月10日〜10月8日に提出される申請について、ESDCはカルガリーCMAの失業率を7.0%としており、カルガリーはリストに入っています。

アルバータ州内では、エドモントン(7.2%)とレッドディア(7.2%)もリストに入っています。5.4%のレスブリッジは入っていません。このルールは勤務地で判断されるため、カルガリーCMA内の店舗が本社所在地を別の場所にしても回避することはできません。

ESDCはリストを四半期ごとに改定しており、次回の更新は2026年10月9日とされています。カルガリーがリストから外れるには失業率が1ポイント以上下がる必要があるため、当面はリストに残る前提で計画するのが無難です。

例外は限られています。原則120暦日以内で本当に一時的なポジションは引き続き審査の対象となり、いくつかの業種も対象外ですが、その業種に飲食店は含まれていません。1年以上働いてくれる調理人を求める店にとっては、どちらも役に立ちません。

2. カルガリーのシェフ・調理人の賃金水準

Job Bankの時給データ(2025年11月19日更新、対象期間2023〜2024年)は次のとおりです。

職種・地域低位中央値高位
シェフ(NOC 62200)、カルガリー地域C$17.31C$23.00C$30.00
シェフ(NOC 62200)、アルバータ州C$16.10C$23.00C$31.00
調理人(NOC 63200)、カルガリー地域C$15.00C$18.00C$23.00
調理人(NOC 63200)、アルバータ州C$15.00C$17.50C$23.50

調理人の数字は、低位がアルバータ州の最低賃金C$15に近く、高位でもC$23にとどまります。シェフの中央値C$23.00は全国のシェフ中央値と同じです。飲食店として押さえておきたいのは、魚をさばけて、米をきちんと炊けて、カウンターを任せられる日本人調理人は熟練人材だということです。調理人の中央値はLMIA上の下限であって、そうした人材の市場価格ではありません。

一時外国人労働者プログラム(TFWP)では、提示する賃金はprevailing wage以上でなければなりません。prevailing wageとは、その地域のJob Bank中央値と、同じ事業所で同じ仕事をしている自社スタッフに支払っている賃金のうち、高いほうを指します。

3. アルバータ州の基準額C$37.50

不受理リストが影響するのは低賃金ポジション、つまり州の賃金中央値基準額を下回る仕事だけです。アルバータ州の基準額は2026年7月17日以降時給C$37.50で、週40時間なら年間約C$78,000になります。

この金額以上を支払う仕事は高賃金ストリームで審査されます。高賃金ストリームはCMAリストの影響を受けず、10%の上限もなく、最長3年の就労許可が認められます。ただし、トランジションプラン(移行計画)の提出と、申請前3か月以内に4週間の求人広告が必要です。

ただ、差額に注目してください。Job Bankによるカルガリー地域のシェフの高位はC$30.00で、基準額より時給でC$7.50低くなっています。これはトロントやバンクーバーよりも大きな差です。C$37.50を支払えば、データ上この都市のほぼすべてのシェフ賃金を上回ることになります。エグゼクティブシェフや高級おまかせカウンターの責任者であれば妥当な場合もありますが、ライン調理人ではまず見合いません。

簡単な確認方法があります。まったく同じ仕事に、カナダ人や永住者にも時給C$37.50を払うでしょうか。払わないのであれば、高賃金ルートはおそらく適切な手段ではありません。賃金は就労許可の全期間にわたって保証する必要があり、チップや賞与は算入されません。

4. 求人条件に関わるアルバータ州の賃金ルール

アルバータ州の雇用基準(Employment Standards)には、飲食店の求人条件に関わる数字がいくつかあります。

不受理リスト外の地域で低賃金LMIAを使って採用する場合は、ESDC独自のルールも適用されます。往復の渡航費を負担し、適切で手頃な住居を確保できるようにしなければなりません。ここでいう「手頃」とは、労働者の税引前収入の30%未満を指します。

5. 今も使えるルート

すでに現地にいる人から採用する

外務省の推計では、2025年10月1日時点でカルガリーの在留邦人は3,913人です。在留邦人の多い上位50都市の一覧に入っているアルバータ州の都市はカルガリーだけです。この中には永住者、オープン就労許可を持つ配偶者、ワーキングホリデー参加者などが含まれ、いずれもLMIAは不要です。英語だけでなく日本語でも募集しましょう。なお、LMIA用の求人広告そのものでは、応募条件として求められる言語は英語またはフランス語に限られます。

ワーキングホリデー(IEC)

18〜30歳の日本国籍者は、インターナショナル・エクスペリエンス・カナダ(IEC)を通じて、オープン就労許可で最長12か月カナダで働けます。CMAリスト、10%の上限、広告ルールはいずれも適用されません。2026年の日本の定員は6,433人でした。招待ラウンドの仕組みはカナダのワーキングホリデーで日本人料理人を採用するをご覧ください。

上級職は高賃金LMIAで

実際に時給C$37.50以上を支払うエグゼクティブシェフや料理長が対象です。審査手数料C$1,000がかかります。手続きはLMIAの手順ガイドで解説しています。

リスト外のCMAにある店舗

アルバータ州内でリストに入っていない地域にも店舗があれば、そこでは低賃金LMIAを申請できます。8週間連続の求人広告、その事業所での低賃金外国人労働者10%の上限、1年間の就労許可が条件です。現在、レスブリッジは基準を下回っているCMAの一つです。

6. 調理人にアルバータ州で長く働いてもらうには

アルバータ州の州推薦プログラムには、飲食店をまさに対象としたストリームがあります。アルバータ・アドバンテージ移民プログラム(AAIP)の観光・ホスピタリティ・ストリーム(Tourism and Hospitality Stream)では、シェフ(NOC 62200)と調理人(NOC 63200)の両方が対象職種になっています。主な条件は次のとおりです。

ただし枠は小さいです。AAIPの2026年の同ストリームの割当は156件で、2026年9月9日までに141件が発行済み、申請意思登録(EOI)のプールには3,372件がありました。すでにLMIAで働いている調理人にとっては現実的な選択肢ですが、面接の場で約束できるものではありません。AAIPのほかのストリームやBC州、オンタリオ州との比較は料理人のための州推薦プログラムで解説しています。

7. 採用の手順

  1. そのポジションの実際の賃金を決め、C$37.50と比較します。現時点でカルガリーでLMIAルートが使えるかどうかはこれで決まります。
  2. まず現地で、日本語と英語の両方で募集します。すでにカナダにいるワーキングホリデー参加者も対象にしましょう。
  3. 高賃金ストリームに見合う上級職であれば、4週間の求人広告とトランジションプランの準備を始めます。
  4. 低賃金申請を計画する前に、2026年10月9日の更新後のCMAリストを改めて確認します。
  5. LMIAで働く調理人を引き留めたい場合は、業界団体の会員資格も含め、AAIPの要件を早めに確認します。
  6. オファーは書面で出します。必要な項目は雇用契約チェックリストにまとめています。

本記事は2026年9月に公的な情報源から収集した一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。CMAリストは四半期ごとに、AAIPの各ストリームの要件や割当は年の途中でも変わります。実際に手続きを進める前に、リンク先のページをご確認ください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。