英国・欧州

ギリシャで料理人を雇う:メタクリシ、E4とE5

ギリシャが日本人料理人を招へいする仕組み。通年勤務のE4ルートと6万ユーロの売上要件、より手軽な季節労働のE5ルート、現在の最低賃金920ユーロ、シーズン開業に向けた逆算の計画表を解説。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

ギリシャはEU域外の労働者を、雇用主が申請する「メタクリシ(招へい)」という仕組みで受け入れます。通年勤務の料理人であればE4ルートで、1年以上の契約を結び、現在の最低賃金である月920ユーロ(2026年4月1日から)以上を支払い、さらに招へいする労働者1人につき6万ユーロ以上の売上高が必要です。夏季のホテルやリゾートの店であれば、より手軽なE5の季節労働ルートが使えます。承認とビザの両方が下りるまで渡航できず、公式な処理期間の公表もないため、料理人が必要になる時期の数か月前から動き出してください。

このページは、自社のギリシャ法人が日本人料理人を雇えるか、許可の手続きにいくらかかり、どのくらいの期間が要るかを確認したいオーナーや日本の企業向けです。メタクリシの仕組み、E4・E5の各ルート、現在の最低賃金、逆算の日程を扱います。上級の料理人にEUブルーカードが合うかどうかはEUブルーカードは料理人に合うかを、他市場との給与比較は国別の寿司職人給与をご覧ください。

目次

  1. ギリシャが海外から労働者を招く仕組み
  2. 通年か季節か:2つのルート
  3. 通年勤務の料理人向け雇用労働(E4)
  4. 観光業の季節労働(E5)
  5. 現在の給与下限と、実際のオファーの決め方
  6. 観光シーズンに合わせた計画
  7. 現地の日本人人材

1. ギリシャが海外から労働者を招く仕組み

移民・庇護省は、雇用主が第三国出身の労働者について招へい(メタクリシ)申請をオンラインで行うポータルを運営しており、根拠法はギリシャの移民法典、5038/2023法です。雇用主は自社のtaxisNET税務認証情報でログインします。各申請は指名した労働者ごとに行い、本人確認情報、PDF形式の添付書類、支払済み手数料のコードを含める必要があります。事業所在地の自治体に応じて、申請は自動的に管轄の地方分権行政庁に振り分けられ、そこで審査されます。

2. 通年か季節か:2つのルート

雇用労働(E4)観光業の季節労働(E5)
根拠条文5038/2023法 第61条5038/2023法 第63条
手数料労働者1人あたり200ユーロ労働者1人あたり100ユーロ
契約期間1年以上季節分。業務内容、勤務地、開始日、期間、労働時間を明記
最低給与法定最低賃金以上法定最低賃金を下回らないこと
住居提出書類一覧には明記なし雇用主が適切な住居を用意する旨の申告、または本人が自分の住居を持つ証明

ポータルには高度専門職向けのルート(E1、第33条)もありますが、これはEUブルーカードの考え方に沿ったもので、厨房の職には合わないことがほとんどです。詳しくはEUブルーカードは料理人に合うかをご覧ください。

3. 通年勤務の料理人向け雇用労働(E4)

通年働く料理人の場合、E4申請には、現在の最低賃金以上を支払う1年以上の雇用契約(雇用主の署名はKEP市民サービスセンターまたはgov.grで認証済みのもの)、支払能力の証明(法人の場合は招へいする労働者1人につき6万ユーロ以上の売上高、個人事業主は1人につき2万2千ユーロ)、料理人が入国ビザを受け取るギリシャ領事館を指定した署名入り申告書、料理人のパスポートの身分事項ページ、労働者の専門性が自社の事業と一致する証明、そして法人の場合は定款と最新のGEMI登記簿謄本が必要です。

6万ユーロの売上要件は労働者1人あたりです。売上高15万ユーロの店であれば、この基準では2人までを招へいでき、3人は招へいできません。ポータルの提出書類一覧は支払能力の証明を求めるだけで、具体的にどの税務書類か、直近1年分か複数年の平均かは明記していません。実務上は直近の年次確定申告またはE3事業申告書を使うことになります。地方分権行政庁によって運用が異なることがあるため、誰かに採用を約束する前に、管轄の窓口に正確な要件を確認してください。

4. 観光業の季節労働(E5)

島のホテルやリゾートの店が夏季だけ雇う場合、季節労働ルートのほうが手続きも費用も軽くて済みます。申請には、業務内容、勤務地、開始日、期間、労働時間、給与、休暇手当を明記し、当該分野の季節労働に適用される社会保険への加入を定めた雇用契約、帰国費用の負担・ビザを取る領事館・契約が法定最低賃金や適用される労働協約を満たすこと・自社が観光分野の事業であること・労働者の専門性を確認する申告書、賃貸なら賃貸契約を添えた適切な住居の申告、そして自社の事業内容と観光業との関連を示す証明が含まれます。季節労働の期間は最長9か月まで認められており、契約期間が対応していれば複数の季節分をまとめて申請することもできます。

5. 現在の給与下限と、実際のオファーの決め方

2026年9月27日確認の数字。ギリシャの法定最低賃金は月給制の従業員について総額920ユーロで、2026年4月1日から適用されています(第8934号閣僚決定、官報B'1759号)。日給制の作業員には別途1日41.09ユーロの下限がありますが、月給契約の料理人には920ユーロの月額を使います。

アテネや島嶼部で日本人料理人が実際にいくら稼いでいるかを示す公式なギリシャの統計は見つかりませんでした。したがって920ユーロは法律上の下限であって相場ではありません。実際のオファーは3段階で決めます。まず、この下限を使うのはこれから育てる調理師だけにし、料理長や和食のメニューを1人で任せる人材については、ギリシャに参照できる相場がない以上、日本での給与を出発点に移住費用を上乗せしてください。次に、住居は給与と切り離して決めます。E4・E5の書類一覧では住居は申請の条件として扱われ、給与の一部ではないため、現金の給与そのものを下限以上に保ってください。最後に、周辺国と比べます。同じ候補者はイタリア、スペイン、あるいは湾岸諸国にも応募できます。公的な数字が存在する他市場は国別の寿司職人給与を、比較しやすいEUの2市場はイタリアとスペインのガイドをご覧ください。

6. 観光シーズンに合わせた計画

地方分権行政庁が招へいを承認し、領事館がビザを発給するまで、労働者は渡航できません。どちらの段階についても、標準的な処理期間を公表している窓口はありません。約束された週数ではなく、自分でコントロールできる週数を積み上げてください。

5月1日勤務開始を想定した計画上の目安(公式の処理期間ではありません)やること
16週間前直近の申告から、招へい労働者1人あたり6万ユーロ(個人事業主は2万2千ユーロ)の売上高を満たすか確認し、E4かE5かを決める。
14週間前料理人と条件を合意し、契約書に署名する。E5申請の場合は住居を手配し、書類化する。
13週間前taxisNETの認証情報と手数料コードを用いて、省のポータルからメタクリシ申請を提出する。
この時点で管轄の地方分権行政庁に現在の処理見込みを確認し、以降の日程を調整する。—
承認後料理人が指定された領事館で国家ビザの予約を取る。
5月1日より前ビザが発給されてから渡航する。この段階に達する前に、日本の勤務先に退職を伝えさせないこと。

1シーズンをうまくこなした料理人は、翌シーズンにとって最も有力な候補です。冬の間も連絡を保ち、早めに条件を合意してください。再雇用であっても、シーズンごとに新しい契約で新規の申請が必要になる点は変わりません。季節スタッフにも通じるアイデアは定着のためのガイドにあります。

7. 現地の日本人人材

外務省によると、2025年10月1日時点でギリシャの在留邦人は647人で、うち505人が永住者です。ギリシャは日本のワーキングホリデー制度の対象32か国・地域に含まれていないため、若い日本人料理人向けのワーキングホリデーのルートはありません。実際には、招へい手続きを通じて日本から直接採用するか、EUの居住権を持ちすでに欧州の他国で働いている日本人料理人を、ギリシャの就労ビザなしで採用することになります。

変わる数字:法定最低賃金(閣僚決定により改定、直近は2026年4月1日)、6万ユーロ・2万2千ユーロの売上要件、E4・E5の手数料。次回確認は2027年4月、または省が最低賃金を再び改定した時点。

よくある質問

ギリシャで日本人料理人の就労許可に必要な最低給与はいくらですか。

法定最低賃金で、2026年4月1日から総額920ユーロ(月額)です。E4・E5どちらのルートでも同じです。これは法律上の下限であって相場ではありません。日本人料理人が実際にいくら稼いでいるかを示す公式なギリシャの数字はないため、まずこの額を出発点にし、上級の役職には日本での給与から積み上げてください。

日本人料理人を招へいするには自社にどれだけの売上が必要ですか。

通年のE4ルートでは、招へいする労働者1人につき6万ユーロ以上の総売上高(個人事業主は2万2千ユーロ)を税務申告から示す必要があります。この基準は労働者1人あたりなので、2人を招へいするには12万ユーロが必要です。

E4とE5、どちらを使うべきですか。

通年、1年以上の契約で働く料理人にはE4が合います。季節営業のホテルやリゾートの店にはE5が合い、手数料は半分で済みますが、申請の一部として料理人の住居を手配し書類化する必要があります。

シーズン開始のどのくらい前から申請を始めるべきですか。

標準的な処理期間を公表している窓口はないため、見込みを信じるよりできるだけ余裕を持たせてください。料理人が実際に働き始める日の16週間前から動き出し、申請時点で管轄の地方分権行政庁に現在の処理見込みを確認することをお勧めします。

日本人料理人はギリシャでワーキングホリデーを使えますか。

使えません。ギリシャは日本のワーキングホリデー制度の対象32か国・地域に含まれていないため、日本から直接来る料理人にはメタクリシが唯一のルートです。

本記事は2026年9月時点で確認した公的情報に基づく一般的な内容で、法律や移民手続きの助言ではありません。ギリシャの手続きや提出書類の一覧は随時更新されるため、申請前に省のポータルおよび管轄の地方分権行政庁で確認してください。

出典

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