英国・欧州

ギリシャで日本人料理人を雇う:就労許可と観光シーズン

ギリシャはEU域外の労働者を雇用主のオンライン申請で招へいします。売上基準EUR 60,000のある通年のE4ルートと、観光業向けで手軽な季節労働のE5ルートを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. ギリシャが国外から労働者を招へいする仕組み
  2. 通年か季節か:2つのルート
  3. 通年の料理人のための雇用労働(E4)
  4. 観光業の季節労働(E5)
  5. 観光シーズンに合わせた計画
  6. 現地の日本人人材
  7. チェックリスト

ギリシャは、EU域外の労働者をメタクリシ(metaklisi)と呼ばれる手続きで受け入れています。おおよそ「招へい」を意味し、雇用主がギリシャ国内で特定の労働者を呼び寄せる承認を申請し、その後、労働者がギリシャ領事館で国内ビザを受け取る流れです。ルールはギリシャの移民法典(法律第5038/2023号)に定められ、現在、雇用主はオンラインで申請します。日本料理店や、夏の間日本人料理人を置きたいホテルにとっての選択肢は、通年の雇用労働の承認か、観光業向けの季節労働の承認かのどちらかです。

1. ギリシャが国外から労働者を招へいする仕組み

移民・庇護省は、雇用主がEU域外の労働者の招へい申請を提出するオンラインポータルを運営しています。雇用主はtaxisNET(税務システム)の認証情報でログインします(法人は法人自身のtaxisNETの認証情報を使います)。申請は労働者ごとに行い、本人の身分情報、PDF形式の添付書類、支払済みの手数料のコードが必要です。申請は、雇用主の住所または事業所の所在する自治体に基づいて、管轄の分権行政庁(Decentralised Administration)に自動的に振り分けられます。

2. 通年か季節か:2つのルート

雇用労働(E4)季節労働・観光業(E5)
法的根拠法律第5038/2023号 第61条法律第5038/2023号 第63条
申請先管轄の分権行政庁管轄の分権行政庁
手数料労働者1人につきEUR 200労働者1人につきEUR 100
契約1年以上シーズン分。職種、勤務地、開始日、期間、労働時間を明記
最低給与非熟練労働者の月額最低賃金以上いかなる場合も非熟練労働者の賃金を下回らない
住居書類一覧に定めなし雇用主が適切な住居を提供する旨の申告、または労働者が自ら住居を確保している証拠

ポータルには高度な資格を要する雇用のルート(E1、第33条)も掲載されていますが、EUブルーカードの考え方に沿ったもので、厨房の職務にはまず合いません。EUブルーカードは料理人に使えるかをご覧ください。

3. 通年の料理人のための雇用労働(E4)

通年で働く料理人のE4申請には、次のものが必要です。

  1. 1年以上の雇用契約書。現行規定による非熟練労働者の月額最低賃金以上を支払う内容で、雇用主の署名についてKEP(市民サービスセンター)で真正証明を受けるか、gov.gr経由で署名したもの。
  2. 支払能力の証明。税務書類で、契約上の給与を支払えることを示します。事業者の場合はさらに、招へいする労働者1人あたりEUR 60,000以上の総売上があることも示す必要があります(個人の雇用主の場合は、労働者1人あたり総所得EUR 22,000以上)。
  3. 雇用主の署名入り申告書。料理人が国内ビザを受け取るギリシャ領事館を記載します。
  4. 料理人のパスポートの身分事項・写真のページ。
  5. 労働者の専門と事業内容の関連を示す資料。たとえば、日本料理店を営み、和食の料理人を採用することを示すものです。
  6. 法人の場合は会社書類。定款と、直近のGEMI(商業登記)の証明書類です。

EUR 60,000の売上基準は労働者1人あたりです。総売上がEUR 150,000の店なら、この基準で申請できる招へい人数は3人ではなく2人です。誰かに採用を約束する前に、直近の税務申告を確認してください。

4. 観光業の季節労働(E5)

島のホテルやリゾートのレストランで夏のシーズンだけ働いてもらう場合は、季節労働のルートのほうが簡単で費用も安く済みます。申請には次のものが含まれます。

ルールは最長9か月の季節期間を前提としており、雇用主は期間に見合った長さの契約で、複数の期間について申請することもできます。

5. 観光シーズンに合わせた計画

労働者は承認が出て領事館でビザが発給されるまで渡航できないため、季節採用はシーズン開始よりかなり前に動き出す必要があります。管轄の分権行政庁に現在の処理期間を問い合わせ、料理人に厨房に立ってほしい日から逆算してください。住居は申請の一部なので、後回しにせず最初から計画に組み込みましょう。

ひとシーズン働いて力を発揮した料理人は、翌シーズンの最有力候補です。冬の間も連絡を取り合い、早めに条件を合意しておきましょう。定着のガイドには季節スタッフにも使えるアイデアがあります。

6. 現地の日本人人材

外務省の統計では、2025年10月1日時点でギリシャ在留の日本人は647人、うち505人が永住者です。ギリシャは日本のワーキングホリデー制度の対象32か国・地域に含まれていないため、若い日本人料理人をワーホリで受け入れる道はありません。実際には、招へい手続きで日本から採用するか、すでにEU域内の他国で働いている日本人料理人から採用することになります。

地中海の他の市場との比較には、イタリアスペインのガイドをご覧ください。

7. チェックリスト

  1. 通年のE4承認か、季節のE5承認かを決める。
  2. E4の場合、総売上が招へいする労働者1人あたりEUR 60,000に達しているか確認する。
  3. 非熟練労働者の最低賃金と適用される労働協約以上の条件で契約書を作る(E4は1年以上)。
  4. E5の場合、料理人の住居を手配し、書類にまとめる。
  5. 手数料(労働者1人につきEUR 200またはEUR 100)を支払い、taxisNETの認証情報で省のポータルから申請する。
  6. 国内ビザを受け取る領事館を料理人に伝え、渡航の手配は承認後に行う。

始める前に雇用契約のチェックリストをご覧ください。次のシーズンに向けて日本人料理人に求人を届けたい場合は、WashokuJobに求人を掲載できます。

本記事は2026年9月時点で公的機関の情報をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。ギリシャの手続きや必要書類は随時更新されます。申請前に省のポータルと管轄の分権行政庁で確認してください。

出典

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