北米

グアム・サイパンで日本人シェフを採用する:賃金・H-2B・CW-1

グアムと北マリアナ諸島の最低賃金、限られた賃金データ、グアムでH-2Bが全国上限の枠外になる仕組み、2029年に向けて枠が減る北マリアナ諸島限定のCW-1ビザを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 2つの準州、2つのルール
  2. 最低賃金と調理人の賃金
  3. グアム・サイパンの日本人市場
  4. グアム:全国上限の枠外で使えるH-2B
  5. サイパンと北マリアナ諸島:CW-1ビザ
  6. その他のルート
  7. 採用チェックリスト

グアムと北マリアナ諸島(CNMI、主な島はサイパン)は、東京から飛行機で数時間の米国領です。そこで営業する日本食レストランにとって、顧客は日本に近い一方、雇用や移民のルールは米国のもので、しかも他のどこにもない独自の仕組みがあります。本ガイドでは、最低賃金、賃金データ、日本人コミュニティ、そして島々で特に重要な2つの就労ビザのルート、すなわち全国上限の枠外で運用されるグアムのH-2Bと、北マリアナ諸島限定のCW-1について、2026年9月時点のルールで解説します。

1. 2つの準州、2つのルール

グアムと北マリアナ諸島は別々の法域です。最低賃金も適用されるビザ制度も異なります。両方に店舗を持つレストラングループは、それぞれのルールに沿って対応する必要があります。北マリアナ諸島限定のビザで入国した労働者を、そのままグアムの店舗に異動させることはできません。

2. 最低賃金と調理人の賃金

2026年7月時点最低賃金チップ労働者
グアム$9.25チップとは別に$9.25を満額
北マリアナ諸島(サイパン、テニアン、ロタ)$7.25北マリアナ諸島の労働当局に確認

これらの数字は、米国労働省の州・準州別の一覧(2026年7月1日更新)によるものです。グアムについては労働省の一覧にチップクレジットはなく、チップ労働者にはチップとは別に最低賃金を満額支払う必要があります。

島々の公的な賃金データは限られています。O*NETで公表されているBLSの2025年5月の賃金データには、グアムのレストラン調理人の数字はありますが、グアムのシェフ・料理長の数字はなく、北マリアナ諸島については数字がありません。

レストラン調理人(35-2014)下位10%中央値上位10%
グアム$21,760(時給$10.46)$22,950(時給$11.03)$28,730(時給$13.81)
米国全体$28,700$37,390(時給$17.98)$47,900

グアムの調理人の中央値は時給11.03ドルで、米国本土の中央値を大きく下回ります。この差こそが、日本で修業したシェフを島に呼ぶ際の最大の課題です。日本や米国本土の調理人は、グアムの中央値ではなく、今の自分の収入とあなたの提示額を比べます。地元の水準より高い基本給に、住居、航空券、食事を加えることを検討してください。シェフ向けの転居パッケージもご覧ください。

3. グアム・サイパンの日本人市場

外務省によると、2025年10月1日時点の在留邦人数はグアムが2,697人(0.8%減)、北マリアナ諸島が493人(増減なし)です。定住する日本人コミュニティは小さく、島の日本食レストラン市場は観光客に大きく依存しています。

日本人観光客の最新の到着者数を、公式の情報源であるグアム政府観光局(Guam Visitors Bureau)で確認しようとしましたが、2026年9月の確認時点ではサイトにアクセスできませんでした。そのため、ここでは到着者数を示していません。出店を計画しているなら、厨房の人員規模を決める前に、グアム政府観光局(グアム)またはマリアナ政府観光局(Marianas Visitors Authority、北マリアナ諸島)から、市場別の最新の月次到着者数を入手してください。観光客の構成は短期間で変わるためです。

4. グアム:全国上限の枠外で使えるH-2B

米国本土では、H-2Bビザの上限は年66,000件で、需要が供給を大きく上回っています。グアムは事情が異なります。合衆国法典第48編1806条(b)により、北マリアナ諸島の移行プログラムの期間中(2029年12月31日まで)は、グアムまたは北マリアナ諸島にHビザで入国する労働者はH-2Bの全国上限に算入されません。この適用除外は、グアムまたは北マリアナ諸島内だけで行う仕事が対象です。

ただし、次の3点は引き続き適用されます。

H-2Bの一般的なルールはレストラン調理人のH-2Bビザで解説しています。

5. サイパンと北マリアナ諸島:CW-1ビザ

北マリアナ諸島には、合衆国法典第48編1806条と8 CFR 214.2(w)で定められた独自の就労区分、北マリアナ諸島限定移行期労働者ビザ(CNMI-Only Transitional Worker、CW-1)があります。レストランにとっての要点は次のとおりです。

サイパンの日本食レストランにとって、CW-1は人手不足の穴を埋める手段にはなりますが、長期的な計画の柱にはなりません。CW-1の労働者と並行して地元のチームを育て、制度の終了に伴って各労働者の在留資格がどうなるかについて、早めに専門家の助言を受けてください。

6. その他のルート

移民法上、グアムは米国の一部なので、通常のルートが使えます。日本国籍者が50%以上を所有するレストランが管理職または専門技能を要する職に日本人スタッフを雇う場合のE-2(日本食レストランスタッフのE-2ビザ参照)、際立った実績のあるシェフ向けのO-1B、恒久的な採用のためのPERMを経るEB-3です。全体の比較は日本人シェフのビザスポンサーをご覧ください。島々の状況は、顧客層が日本からの観光客に支えられている点でハワイとも共通しています。

7. 採用チェックリスト

  1. 賃金とビザについて、グアムと北マリアナ諸島を別々の雇用主として扱う。
  2. グアムでは少なくとも9.25ドル(チップクレジットなし)、北マリアナ諸島では7.25ドルを支払う。
  3. 日本人シェフへの提示は、地元の調理人の中央値ではなく、住居・航空券・食事を含めた条件で組み立てる。
  4. グアムでは本当に一時的な需要にだけH-2Bを使い、労働認証はグアム知事に申請し、日本が対象国かを確認する。
  5. 北マリアナ諸島では、減っていく年間上限と2029年12月31日の制度終了を前提にCW-1の採用を計画する。
  6. 人員規模を決める前に、最新の観光客到着データを入手する。

本記事は2026年9月に公的な情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。準州の制度はたびたび変更されており、北マリアナ諸島の移行期間は2029年に終了する予定です。実際に手続きを進める前に、USCIS、米国労働省、グアム労働局、または移民弁護士に最新のルールを確認してください。

出典

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