中東・中南米

クウェートで料理人を雇う:手続きと契約条件

クウェートで日本人料理人を雇う方法。第18条の労働許可と確認できたこと・できなかったこと、退職金の試算を含む給与パッケージ、酒類なしの市場で伝えるべき事実、合法な残業シフトを解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

クウェートの人的資源公団(PAM)が民間部門労働法第18条に基づく労働許可を発行します。通常は現地の認可代理人(マンドゥーブ)が申請を行いますが、現行の手数料や処理期間は公式ページで確認できなかったため、幅を持たせて予算を組み、着任日を約束する前に確認してください。給与は法定最低額KD 75ではなくパッケージで決めます。基本給、住居または住宅手当、年1回の航空券、健康保険、そして勤続年数に応じて月給の約1か月分に近づく退職金です。酒類は一切提供されず、ハラール食材の調達が標準であることを、候補者には事前に伝えてください。

このページは、日本食コンセプトの人員を揃えるクウェートの外食グループや個人オーナー向けです。労働許可の手続き、退職金の試算を含むクウェートでの給与パッケージ、酒類なしの市場について伝えるべき事実、そして合法なシフト表を解説します。湾岸地域全体の市場や給与の目安はドバイとサウジアラビアの記事をご覧ください。

目次

  1. 在留邦人の少なさに比べて大きな飲食市場
  2. 第18条の労働許可:確認できたこと、できなかったこと
  3. クウェートでの給与パッケージと3年間の退職金
  4. 酒類なしの市場:アルコール、ハラール、ラマダン
  5. 週6日稼働の厨房に合わせた合法なシフト
  6. 契約条件と雇用主の変更
  7. そのまま使えるオファー条件(英語・日本語)
  8. よくある質問

1. 在留邦人の少なさに比べて大きな飲食市場

農林水産省の2025年調査では、クウェートの日本食レストランは170店で、2023年から20店増えました。サウジアラビアと同じ店舗数で、バーレーン(50店)の3倍以上です。外務省の統計では、2025年10月1日時点の在留邦人はわずか142人(前年比15.5%減)で、長期滞在者79人、永住者63人です。レストランの数が長期滞在の日本人の数を上回っているということは、多くの厨房がすでに日本人以外の料理人で運営されているということであり、日本人の料理長を求める店は、ほぼ確実に日本かほかの国から呼び寄せることになります。その料理人が既存のチームをどう育てるかも計画してください。スタッフへの和食の教え方をご覧ください。

2. 第18条の労働許可:確認できたこと、できなかったこと

クウェートの民間部門労働法(2010年法律第6号)は、ILOのファクトシート(2023年12月更新)によると、第18条で枠組みを定めています。人的資源公団(PAM)が民間部門の労働許可を発行し、大臣が決議で手続き、書類、手数料を定め、これは雇用主が支払うものとされています。実務上の流れは、雇用主がPAMで居住枠を確保し、労働者が到着後(一部ルートでは事前に認定機関で)健康診断と生体認証を受け、居住許可(イカーマ)が発行され、労働許可が会社の許可業種と枠に対して登録される、というものです。

今回の更新では、PAM自身の手数料表や現行の処理期間の一覧を公式ページで開くことができなかったため、ここに数字は記載していません。クウェートの国営通信KUNAは2024年11月、外国人の居住に関する新法を首長令で公布したと報じましたが、雇用主への影響を本文で確認することはできませんでした。予算を組んだり着任日を約束したりする前に、次の2点を行ってください。

3. クウェートでの給与パッケージと3年間の退職金

法律上の数字はKD 75の最低賃金(2017年大臣決定第14号)だけで、日本人料理人が期待する水準を大きく下回り、法律上の下限としての意味しかありません。クウェートの料理人やコックに関する公的な賃金調査は見つかりませんでした。給与は次のパッケージとして組み立ててください。

試算例。基本給月KD 500の料理人の場合、退職金は最初の5年、1年につき基本給の約15/26か月分ずつ積み上がります。年間約KD 288、3年で約KD 865です。これは退職時の想定外の出費ではなく、雇用1年目から発生する実際の負債として、年間コストに組み込んでください。

4. 酒類なしの市場:アルコール、ハラール、ラマダン

クウェートはアルコールの輸入、販売、所持を全面的に禁止しています。日本酒や焼酎、ビールとのペアリングはできず、現地で調理酒やみりんの代替品を手に入れるのも簡単ではありません。日本酒のリストを売りにしてきた料理人には、応募前にこれを伝えておく必要があります。ハラールの調達・処理規則が食肉に適用され、実務上、多くの日本食レストランは豚肉を扱いません。ラマダン中、イスラム教徒のスタッフは週36時間に短縮された勤務となり、営業時間帯も夜へ寄ります。これらは事後ではなく、シフトと料理人への説明の両方に、あらかじめ組み込んでおいてください。日本にいる候補者には、現職を辞める前にこれらをはっきり伝えましょう。

5. 週6日稼働の厨房に合わせた合法なシフト

労働法は1日8時間または週48時間(ラマダン中は週36時間)を定め、5時間働いたら1時間の休憩が必要です。週1日の休日に働くと150%の割増賃金です。残業代は基本時給の125〜150%で、1日2時間、週6時間、年180時間が上限です。1日11〜12時間稼働する厨房は、この日次の上限をただちに超えてしまいます。

シフトの組み方上限が求めること
料理人1人、1日11時間×週6日週18時間の残業となり、週6時間の上限を超える。法令違反。2人目が必要。
2人体制で1日9時間ずつずらして週6日1人あたり1日1時間・週6時間の残業で、週の上限ちょうど、日の上限内。
3人体制で休日をローテーション各人の残業を両方の上限内に収めつつ、病欠や休暇の余裕も持てる。

2人目、3人目のコックの費用は、最初から予算に入れてください。上限を無視した1人体制の厨房は、法令違反か、せっかく呼び寄せた料理人を疲弊させるかのどちらかです。国別の残業ルールでほかの市場と比較でき、雇用契約チェックリストに書面化すべき内容をまとめています。

6. 契約条件と雇用主の変更

ILOのファクトシートによると、契約は口頭でも、アラビア語の書面を3通作成し翻訳を添付する形でもよいとされています。日本から来る料理人には、英語版または日本語版を添付した書面契約を使ってください。賃金は賃金保護制度を通じて2週間ごとまたは毎月、認可銀行に支払います。年次休暇は勤続6か月後に30日。パスポートの取り上げは禁止されています。

労働者は、現在の雇用主の承認があれば勤続1年後に、承認がなければ労働許可の発行から3年後(一部業種・中小企業には例外あり)に、ほかの雇用主へ移籍できます。同意なく契約期間中に移りたい労働者は、PAMの労使関係部に申し立てる必要があります。これはバーレーンよりも最初の数年について雇用主に強い権限を与えますが、縛られていると感じる料理人がよい仕事をすることはまずありません。定着はやはり給与、住居、労働条件で決まります。日本人料理人の定着をご覧ください。

7. そのまま使えるオファー条件(英語・日本語)

Offer: [Head Chef], [restaurant], Kuwait City
Basic salary KD [ ] a month. Housing: [provided / allowance KD [ ]]. Annual flight to Japan: [yes]. Hours: [ ] a week, within the 2 hour a day / 6 a week / 180 a year overtime cap. Rest day: [ ]. Annual leave: 30 days after 6 months. End of service gratuity under Kuwait Labour Law: 15 days' pay per year for the first 5 years, 1 month per year after. No alcohol is served; the kitchen sources halal. The company arranges and pays for health insurance and the work permit.

オファー条件:[料理長]、[店名](クウェート市)
基本給 月KD [ ]。住居:[会社提供/住宅手当 月KD [ ]]。日本への年1回の航空券:[あり]。勤務時間:週[ ]時間(残業は1日2時間・週6時間・年180時間の上限内)。休日:[ ]。年次休暇:勤続6か月後に30日。退職金はクウェート労働法に基づき、最初の5年は1年につき15日分、それ以降は1年につき1か月分。酒類の提供はなく、食材はハラールで調達します。労働許可の手配・費用と健康保険は会社が負担します。

変わる数字:KD 75の最低賃金(2017年)と退職金の算式は安定しています。PAMの手数料表と処理期間は確認できる範囲では公表されていないため、申請のたびに現地の認可代理人へ再確認してください。次回確認は2027年3月です。

よくある質問

クウェートで日本人料理人の労働許可にはいくらかかりますか。

PAMの現行の手数料表は公式ページで確認できませんでした。予算化の前に、現地の認可代理人に項目別の見積もりを求め、労働法が雇用主負担とする公的手数料と、代理人自身の手数料を区別してください。

クウェートで日本人料理人にいくら払うべきですか。

KD 75の最低賃金は使える基準ではありません。日本での給与(厚労省、賞与込みで年収約379万円)と比べた基本給に、住居、年1回の航空券、健康保険を加えたパッケージで考え、退職金も実際の年間コストとして計上してください。

クウェートで日本食レストランは酒類を提供できますか。

できません。クウェートはアルコールを全面的に禁止しており、日本酒やビールとのペアリングはできず、食肉にはハラールの調達規則が適用されます。多くの日本食レストランは豚肉を扱いません。オファーを受ける前に候補者へ伝えてください。

和食の厨房を労働時間の面で合法に保つには何人のコックが必要ですか。

残業は1日2時間、週6時間、年180時間が上限です。1人体制で1日11時間×週6日勤務すると、日の上限をただちに超えます。2〜3人体制でシフトをずらせば、両方の上限内に収まります。

雇った料理人はいつ他社に移れますか。

現在の雇用主の同意があれば勤続1年後、なければ労働許可の発行から3年後(一部業種に例外あり)です。定着はやはり給与、住居、労働条件で決まり、移籍のルールだけに頼るべきではありません。

本記事は、2026年9月にILOのクウェートに関するファクトシート(2023年12月)と日本政府の統計で確認した一般的な情報です。クウェートの現行の労働許可の手続きや手数料は公式ページで確認できませんでした。法律や移民手続きに関する助言ではありません。実際の手続きの前に、人的資源公団、内務省、または現地の認可代理人に確認してください。

出典

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