北米

フィラデルフィアの寿司職人給料と実際に適用される市条例

ペンシルベニア州の最低賃金7.25ドルが厨房の賃金を示さない理由、都市圏のシェフ・調理人の賃金、独立系レストランに実際に適用される市の病気休暇・ウェイジセフト条例、チップルール上カウンターの原資にできること、候補者がいる場所、初年度費用と採用スケジュールを解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

ペンシルベニア州の最低賃金は今も連邦と同じ時給7.25ドルですが、これは厨房の賃金の目安にはなりません。フィラデルフィア都市圏のレストラン調理人の中央値は時給18.40ドルで、最低賃金の2.5倍です。市独自の有給病気休暇法は従業員10人からが対象で、賃金未払い(ウェイジセフト)条例は規模を問わず、シフト前の仕込みや片付けの未払い分も対象です。寿司の調理人は時給18.40ドル以上、寿司の料理長は年俸で6桁の後半を見込み、州の最低賃金ではなく以下の都市圏データで賃金を決めてください。

このページは、フィラデルフィアで営業しているレストランへの採用を対象に、現地の賃金、独立系の厨房に実際に適用される市のルール、候補者がいる場所、そして1人を採用する場合の費用と日程を扱います。カムデン郡やチェリーヒルに店舗がある場合はニュージャージー州での日本人料理人の採用も合わせてご覧ください。全米共通のビザの選び方は飲食店向け米国ビザの比較に、E-2の要件はE-2エッセンシャル従業員テストにまとめています。チッププールは米国の厨房スタッフとチッププールのルールで解説しています。

目次

  1. 最低賃金7.25ドル、相場は18.40ドル
  2. フィラデルフィア都市圏のシェフ・調理人の賃金
  3. 実際に適用される市のルール
  4. チップ:寿司カウンターの原資にできること・できないこと
  5. 候補者がいる場所
  6. 初年度に1人を採用する費用
  7. 求人から初出勤までの週単位の流れ
  8. ビザのスポンサーが必要な場合
  9. よくある質問

1. 最低賃金7.25ドル、相場は18.40ドル

ペンシルベニア州(2026年7月1日現在)金額
最低賃金$7.25
チップ労働者の現金賃金$2.83
チップクレジットの上限$4.42

市の労働者保護局(Office of Worker Protections)が執行する最低賃金は「州が定める」金額であり、フィラデルフィアの民間レストランの法定下限は今も7.25ドルです。ただし厨房の労働市場の実態はこれとかけ離れています。都市圏のレストラン調理人の中央値は時給18.40ドルで、下位10%でも14.30ドルです。時給12〜13ドルで募集しても本気の応募者はほとんど集まらず、採用できてもより良い条件が出ればすぐに辞めてしまいます。

2. フィラデルフィア都市圏のシェフ・調理人の賃金

BLSの2025年5月の数字(O*NET経由)で、フィラデルフィア・カムデン・ウィルミントン都市圏(ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州の一部を含む)の状況は次のとおりです。

職種下位10%下位25%中央値上位25%上位10%
シェフ・料理長(35-1011)$43,440$55,830$65,680(時給$31.58)$88,140$104,060
レストラン調理人(35-2014)$29,750$35,790$38,270(時給$18.40)$44,040$47,010

寿司やおまかせに限った公開賃金データはフィラデルフィアでは見つからなかったため、一般のシェフ・調理人データを土台にし、1つの数字を断定するのではなく金額差で上乗せ分を示します。

ニュージャージー州とデラウェア州はそれぞれ独自の最低賃金を定めています。カムデン郡やチェリーヒルに店舗がある場合は、上のペンシルベニア州の数字ではなくニュージャージー州での日本人料理人の採用をご確認ください。

3. 実際に適用される市のルール

有給病気休暇

フィラデルフィアの有給病気休暇法(フィラデルフィア市法第9-4100章)は、ほとんどのレストランに適用されます。従業員10人以上の雇用主は有給の病気休暇を、9人以下は無給の保護された休暇を与える必要があります。従業員は労働40時間ごとに1時間を取得し、年間上限は40時間、90日勤務後に使用できます。

ウェイジセフト(賃金未払い)

市のウェイジセフト条例では、未払い賃金が100ドルを超える場合、労働者は3年以内に労働者保護局へ申し立てができます。シフト開始前の仕込みや打刻後の片付けが典型的な厨房の事例です。すべての労働時間を記録しましょう。

公正労働週条例(Fair Workweek):ほぼ該当しません

フィラデルフィアの公正労働週条例(事前のシフト掲示、予測可能性手当、シフト間9時間の休息)は、全世界で従業員250人以上かつ30店舗以上を持つ小売、飲食、ホスピタリティの雇用主にだけ適用されます。独立系の日本食レストランや、この基準に満たない小規模グループは対象外です。フィラデルフィアに進出する大手チェーンやフランチャイズだけが、この条例に沿ってシフトを組む必要があります。

4. チップ:寿司カウンターの原資にできること・できないこと

ペンシルベニア州のチップ労働者の現金賃金2.83ドルは低く、サーバーの基本給を抑えられる分、厨房に予算を回せるように思えるかもしれません。しかしこれは、寿司カウンターの担当者に合法的に支払える金額そのものを変えるものではありません。連邦法のもとでは、厨房のスタッフには原則としてチップクレジット賃金を支払えず、義務的なチッププールに参加できるのは、日常的・定期的にチップを受け取る従業員に限られます。客の前に立ちチップを直接受け取るカウンターの担当者と、厨房内だけで働くシェフとでは扱いが異なり、その線引きはシフトのうちチップを伴わない仕込み作業にどれだけ時間を使っているかで決まります。州のチップ労働者賃金が低いからといって、確認せずにサーバー分の余剰を寿司カウンターの原資にできると考えないでください。カウンターを含むプールを組む前に米国の厨房スタッフとチッププールのルールをご確認ください。

5. 候補者がいる場所

外務省の「在留邦人数の多い世界の都市上位50」にフィラデルフィアは入っておらず、市の公式な人数も見つかりませんでした。現地では、日本食・寿司の店はセンターシティ(リッテンハウス・スクエアとワシントン・スクエア・ウェスト)、チャイナタウン、メインライン郊外(ブリン・マー、ウェイン)に集まっています。ここからは日本食レストランでの経験がある調理人が見つかりますが、日本語を話す寿司の料理長は、電車で90分のニューヨーク周辺や日本から来る可能性が高いでしょう。

ニューヨークからの移住を検討する候補者は、表面の金額だけを比べるわけではありません。ニューヨークのシェフ中央値71,780ドルに対しフィラデルフィアは65,680ドルで、差は6,100ドルですが、フィラデルフィアの家賃はマンハッタンや周辺区よりかなり低いため、手取りの購買力ではフィラデルフィアの方が有利になる場合もあります。この比較は候補者に任せきりにせず、条件交渉の中ではっきり示しましょう。同市場の数字はニューヨークでの寿司職人の採用をご覧ください。

6. 初年度に1人を採用する費用

項目寿司の調理人(時給$24×2,080時間)寿司の料理長(年俸$92,000)
給与$49,920$92,000
雇用主負担の社会保障税・メディケア(7.65%)$3,819$7,038
連邦失業税(最初の$7,000の0.6%)$42$42
有給病気休暇の発生分(従業員10人以上、年40時間上限)$960裁量職のため時給換算の場合は按分
確認済み項目の小計$54,741$99,080
ペンシルベニア州の失業保険、労災保険、医療保険、転居費用州のL&Iと保険会社の見積もりによる

7. 求人から初出勤までの週単位の流れ

週やること
1週目7.25ドルの最低賃金ではなく第2章の賃金から決める。センターシティ、チャイナタウン、メインラインなど該当地域を明記し、英語と日本語で求人を作成する。
1〜3週目現地とニューヨークの日本語求人サイトに掲載する。電話で一次選考。
4週目有力候補者に有給のトライアルシフトを行い、最終面接。
5週目賃金、勤務時間、残業、病気休暇、まかないを明記したオファーレターを送る。ニューヨークから移住する場合は開始日に余裕を持たせて合意する。
6週目初日前にForm I-9セクション1、勤務開始から3営業日以内にセクション2。
13週目90日経過、病気休暇が使用可能になる。
26週目半年後の賃金・職務の見直し。

候補者に送るオファーの文面(英語・日本語):

Sushi Chef, [Restaurant], Philadelphia, PA
Pay: $[X] to $[Y] per hour / per year, depending on experience.
Benefits: [health plan summary], Philadelphia paid sick leave, staff meals.
Duties: fish preparation, nigiri and rolls at the counter, rice, training junior kitchen staff.
Schedule: [days] a week, [shift pattern].
Start date: [date]. Apply with your experience to [email].

寿司職人、[店名]、フィラデルフィア
給与:時給/年俸 $[X]〜$[Y](経験により応相談)。
福利厚生:[医療保険の概要]、フィラデルフィアの有給病気休暇、まかない。
仕事内容:魚の仕込み、カウンターでの握りと巻物、シャリ、後輩の指導。
勤務:週[ ]日、[シフトパターン]。
勤務開始:[日付]。応募は経歴を添えて[メール]まで。

8. ビザのスポンサーが必要な場合

日本国籍者が50%以上を所有するレストランは、まずE-2を検討してください。所有権とエッセンシャルスキルの要件はE-2エッセンシャル従業員テストにまとめています。それ以外の形態や、E-2・L-1・O-1B・EB-3のどれを選ぶかは飲食店向け米国ビザの比較をご覧ください。スポンサーする場合、労働省によるフィラデルフィア都市圏の一般賃金(2026年7月〜2027年6月)は次のとおりです。

フィラデルフィア・カムデン・ウィルミントン(時給)レベルIレベルIV平均
シェフ・料理長$22.58$40.05$34.28
レストラン調理人$14.86$20.64$18.73

各レベルの使われ方は米国のシェフの一般賃金(prevailing wage)で解説しています。

変わる数字:ペンシルベニア州の最低賃金とチップ労働者賃金(米国労働省、2026年7月1日更新)、BLSの都市圏賃金(次回データは2027年春)、労働省の一般賃金表(賃金年度ごと、7月1日)。フィラデルフィアの病気休暇・ウェイジセフト条例の改定は稀で、2026年9月時点で確認済みです。次回確認は2027年7月です。

よくある質問

ペンシルベニア州の最低賃金7.25ドルを寿司の調理人に払えばよいのですか。

いいえ。これはあくまで法定の下限です。フィラデルフィア都市圏のレストラン調理人の中央値は時給18.40ドルで、下位10%でも14.30ドルです。州の最低賃金ではなく都市圏のデータを基準にしてください。

フィラデルフィアの公正労働週条例は自社に適用されますか。

全世界で従業員250人以上かつ30店舗以上の場合だけです。独立系レストランやそれ未満の小規模グループは対象外で、事前のシフト掲示や予測可能性手当のルールを気にする必要はありません。

ペンシルベニア州のチップ労働者賃金が低いので、寿司カウンターの担当者にも低く払えますか。

自動的にそうはなりません。2.83ドルの現金賃金は、日常的・定期的にチップを受け取り、チップを伴わない業務が多くない従業員にだけ適用されます。カウンターの担当者が該当するかは、サーバー向けの州の低い基準ではなく、その人のシフトの中身で決まります。

フィラデルフィアには日本食レストランがどれくらいありますか。

公式な数は見つかりませんでした。現地ではセンターシティ、チャイナタウン、メインライン郊外に日本食・寿司の店が集まっており、最も近い大規模な日本語話者の人材プールは電車で約90分のニューヨーク都市圏です。

フィラデルフィアで寿司の料理長を雇う初年度の費用はどれくらいですか。

年俸92,000ドルの場合、確認できる給与と税だけで約99,080ドルです。ペンシルベニア州の失業保険、労災保険、転居手当は別途かかります。

本記事は2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。ペンシルベニア州とフィラデルフィア市のルールは変わることがあります。行動の前にリンク先のページをご確認ください。

出典

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