市場データ・制度

調理人の労働市場データ:求人倍率・賃金・離職率

日本から料理人を採用する前に押さえたい厚生労働省の統計。2026年7月の飲食物調理従事者の有効求人倍率2.18倍、賃金、飲食業の入職率・離職率をまとめました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 海外の店が日本の数字を見るべき理由
  2. 有効求人倍率
  3. 2026年7月の数字の中身
  4. 日本の調理従事者の賃金
  5. 入職と離職の頻度
  6. 日本から採用するときの意味
  7. データの限界

日本から料理人を呼ぶ計画があるなら、あなたの店は日本国内のすべての飲食店、ホテル、食品工場と同じ人材を取り合っていることになります。厚生労働省は、その競争を表す3種類の数字を公表しています。求職者1人あたりの求人数、調理従事者の賃金、そしてこの業界でどれだけ人が入れ替わっているかです。この記事では、2026年9月時点で最新のものを1か所にまとめました。

1. 海外の店が日本の数字を見るべき理由

海外での仕事を考えている日本の料理人は、それを日本国内の選択肢と比べています。日本の飲食店が人手不足であれば、その料理人には選択肢が多く、良い条件の提示も受けやすく、海外に移るリスクを取る理由は小さくなります。以下の数字は、あなたの条件がどれくらい強くなければならないか、日本での採用活動にどれくらい時間がかかりそうかを教えてくれます。

2. 有効求人倍率

厚生労働省の「一般職業紹介状況」は、公共職業安定所(ハローワーク)の求人数と求職者数から、職業ごとの有効求人倍率を毎月公表しています。料理人が該当するのは「飲食物調理従事者」で、飲食店の調理人のほか、その他の調理の仕事も含みます。

期間飲食物調理従事者(パート含む)備考
2023年(暦年)2.90
2024年2.79
2025年2.47
2025年度(2025年4月〜2026年3月)2.38
2026年7月2.18職業計1.05

2.18倍とは、調理の仕事を探す人100人に対して求人がおよそ218件あるということです。倍率は2023年から毎年下がっていますが、それでも職業全体の約2倍の水準です。接客・給仕職業従事者は2026年7月に2.30倍で、ホールも同じように人手が足りていません。

職業計の1.05倍は、同じ職業別の表の数字で、季節調整をしていません。厚生労働省が2026年7月分として発表した季節調整値の有効求人倍率は1.18倍でした。

3. 2026年7月の数字の中身

2026年7月分の職業別の表(2026年8月28日公表)から、倍率のもとになる件数を見てみます。

飲食物調理従事者(2026年7月)パート含むパート除く
新規求人数38,22914,355
有効求人数108,38039,416
新規求職申込件数10,4184,570
有効求職者数49,76921,539
就職件数(ハローワーク経由の就職)4,1121,168
新規求人倍率3.673.14
有効求人倍率2.181.83

前年同月と比べると、飲食物調理従事者(パート含む)の有効求人数は7.0%減り、有効求職者数は1.5%増えました。そのため倍率は0.20ポイント下がっています。パートを除く正社員等に限ると1.83倍で、職業計の1.16倍を上回っています。

より参考になるのは新規の数字です。2026年7月には、新たに求職登録した調理人1人に対して、新規求人が3件以上ありました。日本の雇用主は、料理人が労働市場に出てくるよりも速いペースで求人を出しています。

4. 日本の調理従事者の賃金

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、飲食物調理従事者について次のように報告されています。

項目男女計男性女性
きまって支給する現金給与額(2025年6月)286,600円327,500円237,500円
年間賞与その他特別給与額(2024年)351,600円400,900円292,400円
平均年齢44.9歳
平均勤続年数9.2年

月額の12か月分に賞与を加えると、年収はおよそ379万円になります。これは当サイトによる計算で、厚生労働省が公表している数字ではありません。

より広い見方として、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査では、宿泊業・飲食サービス業の平均給与は279万3,000円で、全業種で最も低く、全業種平均は478万円です。これは調理人に限らず、この業種で働く人全体の数字です。

海外で採用する国の給与は、別の通貨、別のルールで決まります。円に換算せずに国別に比べる方法は、海外の寿司職人の年収国別の寿司職人の給与を参照してください。

5. 入職と離職の頻度

厚生労働省の令和7年雇用動向調査は、1年間の入職者と離職者を常用労働者に対する割合で示しています。宿泊業・飲食サービス業は、全体の入職率・離職率がどの産業よりも高くなっています。

2025年宿泊業,飲食サービス業産業計
入職率(計)27.8%14.7%
離職率(計)23.7%13.7%
入職率(一般労働者)24.4%12.0%
離職率(一般労働者)21.5%11.4%
入職率(パートタイム労働者)29.7%21.7%
離職率(パートタイム労働者)25.0%19.9%

人数で見ると、この産業の2025年の入職者は122万600人で全産業で最も多く、離職者は104万2,700人でした。一般労働者のおよそ5人に1人が、1年の間に勤め先を離れたことになります。

海外の雇用主にとってのポイントは2つです。1つは、この業界では転職がごく普通だということです。何度か職場を変えている候補者は珍しくなく、それだけで警戒する理由にはなりません。もう1つは、人の入れ替わりが多いぶん、転職の途中にいる人が常に一定数いることです。問題は、あなたの求人がその人たちに届くかどうかです。離職については飲食店スタッフの離職率でも取り上げています。

6. 日本から採用するときの意味

倍率は2023年の2.90倍から2026年7月には2.18倍まで下がりました。市場はゆっくり緩んでいますが、日本の中でも依然として人手不足が厳しい職業の一つです。

7. データの限界

本記事は一般的な情報であり、法務・労務に関する助言ではありません。数字は2026年9月時点の日本政府の統計によります。最新の公表値は下記の出典でご確認ください。

出典

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