採用の進め方

料理人の英語面接:レベルの決め方と公平な採点

日本の料理人を面接するときの英語の部分に絞って解説。候補者への事前の伝え方、仕事に紐づく3段階の英語基準、公平に採点するための進め方、候補者向けの配布資料、避けるべき質問をまとめました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

面接の前に、料理人候補には、面接のどの部分が英語で行われるか、実際に必要な英語のレベル、流暢さより調理の受け答えが大事だという点を伝えてください。英語は「厨房のみ」「カウンター対応」「料理長」という3段階の基準で、調理の評価とは別の欄で採点します。全員に同じ質問を同じ順番で行えば、緊張を実力不足と取り違えずに済みます。

このページは、日本の料理人を面接するときの「英語」の部分に絞って扱います。実際に必要な英語レベルの決め方、公平な採点、候補者への英語部分の事前準備です。面接そのものの進め方(オンラインでの設計、通訳の手配、条件のすり合わせ、内定までの流れ)はHow to interview a chef in Japan onlineで扱っており、ここでは繰り返しません。技術面の質問集と採点シート、国別の聞いてはいけない質問の一覧はsushi chef interview questionsにあります。

目次

  1. なぜ「英語の部分」に絞って準備するのか
  2. 英語の部分について候補者に伝えること
  3. 求める英語レベルと採点基準
  4. 英語を公平に評価する:全員同じ進め方で
  5. 候補者への配布資料:質問と表現は別に送る
  6. 避けるべき質問
  7. 候補者に送る案内文のひな形

1. なぜ「英語の部分」に絞って準備するのか

料理人の英語力は人によって大きく違います。日常会話ができる人もいれば、厨房の英語は通じても面接という形式に慣れていない人もいます。英語の部分で本来知りたいのは英語の流暢さではなく、「この人と一緒に厨房を回せるか」と、その仕事が実際に求める英語力の範囲に本人が届いているかです。

事前に案内を送ることで、緊張による「実力以下の評価」を減らせ、全員を同じ準備をした状態で比べられ、店が候補者を大事にしていることが伝わって辞退も減ります。

2. 英語の部分について候補者に伝えること

面接全体の設計、通訳、日程はHow to interview a chef in Japan onlineで詳しく扱っています。そちらでは触れられていない「英語と日本語の切り分け」を、案内の中で明確にしてください。

3. 求める英語レベルと採点基準

「英語力:日常会話程度」という書き方は、読む人によって解釈が違います。場面で必要な英語を示し、あいまいな流暢さの印象ではなく、レベルごとの合格ラインで採点してください。

レベル仕事で求められること合格ラインの目安
厨房の中だけ現地スタッフの指示に従う。食材・道具の名前がわかる2段階の口頭指示を日本語に頼らず理解し、よく使う厨房用品5〜10個を見て英語で言える
カウンターに立つ客との簡単な会話、料理の説明、アレルギーの確認寿司や料理を知らない相手に、握り1貫や1品を2〜3文の平易な英語で説明し、こちらから確認の質問を返せる
料理長として業者との交渉、スタッフの評価面談、衛生検査への対応業者との想定電話や検査官役との想定問答を、文法が完璧でなくても通訳なしで5分間乗り切れる

調理の技術はsushi chef interview questionsの基準で別に採点してください。英語の評価が高いからといって技術の評価を甘くする、あるいはその逆をしないことが大事です。ビザの制度が英語力の証明を別途求める場合もあります(たとえばオーストラリアのSkills in Demandビザは、免除に当たらない限り主申請者に所定の試験結果を求めます)。試験が必要な国なら、この段階で自社の基準に加えて受験の予定も確認してください。求人票での英語要件の示し方は厨房で求める語学力(英語)で扱っており、ここでは繰り返しません。

4. 英語を公平に評価する:全員同じ進め方で

進め方を統一しない限り、同じ店の面接官でも英語の評価は人によってばらつきます。

5. 候補者への配布資料:質問と表現は別に送る

これは面接本体とは切り離し、通話の1〜2日前に別の資料として送ってください。暗記させるための台本ではなく、準備のための資料だと明記します。目的は、候補者が話したいことを整理する手助けであり、もう一度試験することではありません。

よくある質問(1枚の資料として添付)
Tell me about yourself. — 30秒で:経験年数、専門、直近の役職。
Why do you want to work abroad? — 前向きな理由を1つ、具体的に。
What is your specialty? — 持ち場と得意な料理。
How do you keep food safe? — 一般論ではなく具体的な習慣。
Have you trained junior staff? — 人数と、何を教えたか。
When can you start? — 退職の手続きとビザの期間を踏まえて。

経歴を説明する英語表現
I have ten years of experience in Japanese cuisine, including six years at a sushi restaurant in Tokyo.
I worked at the counter and served up to twenty guests per night.
I can break down whole fish, including tuna blocks.
My English is basic, but I can give clear instructions in the kitchen.

最後の表現のように、英語力を正直に伝えたうえで厨房で何ができるかを示すことは、マイナスに評価すべきではありません。この資料に添える文面でその点をはっきり伝えてください。技術面の質問集と採点方法はsushi chef interview questions、厨房の用語は和食厨房用語の英語表現集と寿司・魚の用語の英語表現集を候補者に紹介してください。

6. 避けるべき質問

候補者の準備を手伝う一方で、面接する側も質問の範囲に注意が必要です。米国の雇用機会均等委員会(EEOC)は、採用前の質問は職務の適格性の判断に必要な範囲に限るのが原則で、人種、性別、出身国、年齢、宗教に関する情報は無関係だとし、障害については内定前に質問することを明確に禁じています。日本では、厚生労働省が、本籍・出生地、家族、宗教、支持政党など適性と能力に関係がない事項の把握は就職差別につながるおそれがあるとしています。「結婚していますか」「家族は一緒に来ますか」は雑談のつもりでも避けてください。家族に関する制度は店の側から説明し、本人が必要なら質問できるようにします。国別の詳しい一覧はsushi chef interview questionsにあり、ここでは繰り返しません。

7. 候補者に送る案内文のひな形

候補者には日本語で送ってください。以下は構成を示す英語版です。

Dear ○○,

Your interview has been scheduled. Here are the details.
- Date and time: ○/○ (○) 21:00 to 21:45 Japan time (○:00 local time on ○/○)
- Method: video call (camera on, link sent the day before)
- Format: first 20 minutes with the owner in English, then with the head chef in Japanese
- Please have ready: a one-page career summary in English, a copy of your cook's licence, 3 to 5 photos of your food
- About English: we care more about you describing your experience clearly than about fluency. A handout of common questions and useful phrases is attached
- Interpreter: let us know in advance if you would like one for the Japanese portion

If you have any questions, please reply to this email.

この案内を送るだけで、面接の質が変わります。面接後の評価の付け方はsushi chef interview questionsの評価シートを参考にしてください。

変わる数字:特定のビザに紐づく英語試験の要件(本記事ではオーストラリアのSkills in Demandビザについて2026年9月時点で確認)は、各国の入管制度の改定で変わります。面接の形式を決める前に、対象ルートの最新の要件を確認してください。

よくある質問

寿司カウンターの役職には、どのくらいの英語力を求めればよいですか。

寿司や料理を知らない客に、1品を2〜3文の平易な英語で説明し、こちらから確認の質問を返せる程度です。「日常会話程度」という漠然としたラベルではなく、この具体的な合格ラインで採点し、調理の評価とは別の欄にしてください。

技術的な質問は英語と日本語のどちらで聞くべきですか。

できる限り日本語です。面接で見るべきは調理の知識であって語彙力ではありません。技術面は通訳を介して行い、英語はその仕事で実際に英語が必要になる場面(厨房での指示、カウンターでの会話、料理長なら業者や検査官とのやりとり)に絞って別に評価してください。

実際に聞くべき面接の質問はどこにありますか。

技術面の質問集、模範解答の目安、注意すべき回答、採点シートはsushi chef interview questionsにあります。このページは、英語の部分の準備と公平な評価に絞って扱います。

英語が基本的なレベルの料理人を、評価で下げてもよいですか。

その仕事が実際に必要とするレベルとの比較でのみです。厨房のみの役職はカウンター業務よりずっと少ない英語で足ります。英語が弱いことを理由に調理の評価を下げる、あるいはその逆も避け、両者は別の欄で採点してください。

内定前に候補者の家族について聞いてもよいですか。

雑談のつもりでも避けてください。米国では差別の訴えにつながるおそれがあり、日本でも厚生労働省の指針は就職差別の要因になりうるとしています。住居やビザなど家族に関わる制度は店の側から説明し、詳しく知りたければ本人から質問してもらう形にします。国別の詳しい一覧はsushi chef interview questionsにあります。

本記事は一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。採用選考での質問の制限やビザの英語要件は国によって異なり、改正もあります。実際の選考は、下記の一次情報と店のある国の規則を確認して行ってください。

出典

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