採用の進め方

和食の厨房で求める語学力:JLPT・TOEIC・ビザ要件

海外の和食店で職種ごとにどの程度の英語・日本語を求めるべきか、JLPTとTOEICが実際に測るもの、ビザのルールで語学要件が決まる場合を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 試験ではなく職務から考える
  2. 日本語能力試験(JLPT)でわかること・わからないこと
  3. 日本から来る料理人の英語試験
  4. 入国管理のルールが水準を決める場合
  5. 面接での語学力の見極め方
  6. 採用後:差を埋める

海外の和食店には、語学について2つの問いがあります。日本から来る料理人には英語(または現地語)がどの程度必要か。そして現地の調理スタッフやホールスタッフには日本語をどの程度求めるべきか。一方に振れすぎると、腕のいい料理人を的外れな理由で落とすことになります。逆に振れすぎると、営業中にオーダーが通らなくなります。

本記事では、職種ごとに何を求めるかの決め方、よく使われる試験が実際に何を測っているか、そして入国管理のルールによって判断の余地がなくなる場面を解説します。試験に関する事実は各試験の実施団体の公式サイトに基づき、2026年9月に確認したものです。

1. 試験ではなく職務から考える

試験やレベルを選ぶ前に、その人がどの言語で何をしなければならないかを書き出してください。簡単な表で十分です。

職種現地語が必要な場面日本語が必要な場面
日本から来る料理長安全の声かけ、仕入先への発注、現地スタッフの管理、食品衛生の記録、検査官への対応他の日本人料理人との仕事。通常は問題にならない
カウンターに立つ寿司職人お客様との会話、魚やアレルゲンの説明厨房用語、料理長とのやり取り
現地採用の調理スタッフすべて(母語または流暢なレベル)厨房用語のみ(資格ではなく用語集で足りる)
ホールスタッフすべて挨拶、メニューの用語。日本人客が多ければそれ以上
両チームをつなぐマネージャー・スーパーバイザー流暢なレベル日本人料理人と仕事の詳細を話し合えるレベル

現地の調理スタッフに必要な日本語の大半は、食材、切り方、声かけの語彙です。1枚の用語集のほうが、どんな講座よりも早く身につきます(日本人と現地スタッフの混成厨房参照)。キッチンハンドに日本語の資格を求めても、料理は良くならず、応募者の幅が狭まるだけです。

すべての要件を、表に書いた業務と結びつけてください。「おまかせのメニューを英語でお客様に説明できる」は明確で、仕事に関係のある基準です。「英語ネイティブ」や「日本国籍」は業務ではなく人を指定しており、多くの国で問題を招きます。

2. 日本語能力試験(JLPT)でわかること・わからないこと

日本語を学んだ応募者の多くが挙げるのが、日本語能力試験(JLPT)です。公式サイトによる事実は次のとおりです。

公式のレベル説明を見ると、各レベルの意味がつかめます。N2は、幅広い話題について書かれた論旨が明快な文章を読んで理解でき、日常的な場面で、自然に近いスピードの会話やニュースを聞いて理解できるレベルとされています。N4は、基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の身近な話題の文章を読んで理解でき、日常的な場面でややゆっくり話される会話であれば内容がほぼ理解できるレベルとされています。

日本人料理人と密に働くスーパーバイザーであれば、N2やN3の認定は有用な裏付けになりますが、面接で話す力も確かめてください。ライン担当の調理スタッフには、JLPTを求める必要はありません。

3. 日本から来る料理人の英語試験

日本の履歴書にはTOEICのスコアが書かれていることがあります。頼りにする前に、何を測る試験なのかを知っておきましょう。

Listening & Readingのスコアが高ければ、文書のオーダーや指示は理解できると考えられます。しかし、おまかせのカウンターでお客様と会話できるかどうかはわかりません。それを知るには、実際に話してもらう必要があります。

履歴書にはIELTSや英検など他の試験が書かれていることもあります。ビザで特定の試験が求められる場合はその試験を使います。そうでなければ、資格は補助的な材料として扱い、自分たちで行う会話を判断の中心にしてください。

4. 入国管理のルールが水準を決める場合

就労ビザの中には独自の英語要件があるものがあり、その場合は店の希望は関係なくなります。

その他の国については、各国別ガイドでビザのルールを確認してください。試験が必要な場合は、受験日と結果が出るまでの期間を採用計画に組み込みます。試験日は数週間おきにしかないこともあります。

5. 面接での語学力の見極め方

厨房の職種では、どんな資格よりも、全応募者に同じやり方で行う自社の評価のほうが役に立ちます。

  1. 面接の一部を共通言語で行う。英語の厨房に応募してきた日本の料理人なら、自分が作る料理を1工程ずつ英語で説明してもらいます。
  2. 仕事の場面を演じてもらう。カウンターの料理人なら「お客様が甲殻類アレルギーだと言っています。何と答えますか」。スーパーバイザーなら、仕込みリストを日本人料理人に日本語で説明してもらいます。
  3. 業務上必要なら筆記課題も。仕入先の請求書を読む、温度記録表に記入する、など。
  4. 表に照らして採点する。できる、支援があればできる、まだできない。全員について同じ形で記録します。

面接の組み立て方は寿司職人の面接質問時差をまたぐオンライン面接もご覧ください。

6. 採用後:差を埋める

必要な語学力をすべて備えて着任する料理人はほとんどいません。あらかじめ計画しておきましょう。

適切な語学要件とは、その人が安全に、きちんと仕事をこなせる最低限の水準です。そして着任後にその水準を引き上げる支援とセットで考えるべきものです。

本記事は一般的な情報であり、法務・入国管理に関する助言ではありません。試験の形式やビザの語学要件は変わることがあります。頼りにする前に公式ページをご確認ください。

出典

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