英国・欧州

2025年ビザ改正後の英国で日本人料理人を採用する方法

シェフのSkilled Workerビザでの新規スポンサーは2025年7月に閉ざされました。いま厨房で合法的に働けるのは誰か、どのくらいの期間働けるか、ONSのデータに見る賃金水準を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 2025年7月22日に何が変わったか
  2. 次の日本人料理人はどこから採用できるか
  3. ユース・モビリティ・スキーム
  4. 卒業生と留学生
  5. 他のビザ保持者のパートナー
  6. すでにSkilled Workerビザを持つ料理人
  7. 定住者の採用と自社での育成
  8. ONSのデータに見るシェフの賃金
  9. 新ルールに合った採用計画

この10年近く、経験のある料理人を日本から必要とする英国の日本食レストランは、Skilled Worker(技能労働者)ビザでスポンサーすることができました。その扉は、新規採用については事実上閉ざされています。本ガイドでは、残された選択肢、つまり現時点で合法的に厨房で働ける人、その滞在可能期間、そして彼らを中心にチームを組む方法を解説します。

1. 2025年7月22日に何が変わったか

内務省(Home Office)は、シェフ(SOCコード5434)を「中程度の技能(medium skilled)」の職業に分類しています。調理人(5435)はそもそもSkilled Workerのスポンサー対象外です。2025年7月22日以降、中程度の技能の仕事をスポンサーできるのは、その職業が移民給与リスト(Immigration Salary List)または一時的人手不足リスト(Temporary Shortage List)に載っている場合か、労働者がビザを延長する場合で、かつ同日より前に最初のスポンサー証明書(certificate of sponsorship)を受け取っている場合に限られます。

シェフはどちらのリストにも載っていません。実際には、ポジションがどれほど上級で、どれだけの給与を払う用意があっても、レストランが初めて英国に来るシェフをスポンサーすることはできないということです。スポンサーが可能だった時期でも、一般的な給与基準額£41,700とシェフの相場給与(going rate)£33,400が適用され、さらにスポンサーライセンス(小規模スポンサーは£611)、スポンサー証明書£525、移民技能負担金(Immigration Skills Charge、小規模スポンサーは年£480)、労働者側の移民医療付加金(Immigration Health Surcharge)年£1,035がかかっていました。

内務省自身のスポンサー向けガイダンス(バージョン04/26)は、既存の労働者に対する経過措置を一時的なものとし、「適切な時期に見直す」としています。閉ざされた扉は閉ざされたままだという前提で計画を立てましょう。

2. 次の日本人料理人はどこから採用できるか

採用元厨房で働けるか期間雇用主側の手続き
ユース・モビリティ・スキーム(日本国籍、18〜30歳)はい、ほとんどの仕事で可最長24か月就労資格確認のみ
Graduateビザはい、ほとんどの仕事で可2026年12月31日までの申請は2年、2027年1月1日以降は18か月就労資格確認のみ
Skilled Workerのパートナーはい(スポーツ選手・コーチを除く)主たるビザ保持者に連動就労資格確認のみ
2025年7月22日より前に初めてスポンサーされたSkilled Workerのシェフはい、自社のスポンサーのもとで可在留許可が途切れない限り、延長もスポンサー変更も可能スポンサーライセンスと新しいスポンサー証明書
定住者・長期滞在者はい期限なし就労資格確認のみ
日本からの新規のSkilled Workerのシェフいいえ利用不可利用不可

最後の1行を除くすべての行は、合法的に雇用できる人です。スポンサーが必要なのは、既存のSkilled Workerの行だけです。雇用主の役割は、移民手続きのプロジェクトマネージャーから採用担当者へと変わりました。費用は安くなりますが、他のレストランも狙っている人材プールを奪い合うことになります。

3. ユース・モビリティ・スキーム

ユース・モビリティ・スキーム(Youth Mobility Scheme、YMS)は日本食レストランにとって最も重要なルートで、利用しにくくなるどころか、むしろ利用しやすくなっています。日本の割当枠は年6,000人で、2024年1月31日以降、日本国籍者は抽選を経ずにいつでも申請できるようになりました。ビザの期間は最長24か月で、保持者はスポンサーなしでほとんどの仕事に就けます。

制約は、年齢(申請時に18〜30歳)と、一度しか利用できないことです。優秀なYMSの人材を採用できても最長2年なので、初日から退職を見据えて計画しましょう。費用や就労資格確認の方法を含む詳細は、レストラン向けユース・モビリティ・スキーム・ガイドで解説しています。

4. 卒業生と留学生

英国の大学を卒業した留学生は、ほとんどの仕事に就けるGraduateビザ(卒業生ビザ)を申請できます。期間は、2026年12月31日までの申請は2年、2027年1月1日以降の申請は18か月です。申請料は£937で、医療付加金は保持者が負担します。

卒業生が訓練を受けた料理人であることはまれですが、日本人卒業生の中には、在学中に日本食の厨房で働き、食の仕事を続けたいと考える人もいます。Studentビザ(学生ビザ)の留学生も、コースや学期中かどうかに応じて、限られた時間なら働けます。シフトを組む前にビザの条件を確認してください。制限を守るのは本人の責任ですが、違反があれば雇用主に民事制裁金が科されます。

5. 他のビザ保持者のパートナー

Skilled Workerビザ保持者のパートナーは、スポーツ選手やコーチを除くあらゆる仕事に就けます。特にロンドンには、スポンサー付きのビザで働く日本人の専門職が多く、そのパートナーには厨房や接客の経験がある人もいます。

知っておくべき制限が1つあります。2025年7月22日以降、中程度の技能の仕事で新たにスポンサーされた人は、同日より前から中程度の技能のSkilled Workerの仕事に継続して就いている場合を除き、英国外からパートナーや子どもを呼び寄せることができません。これは、より人数の多い、大卒レベルの仕事に就く人のパートナーには影響しません。

6. すでにSkilled Workerビザを持つ料理人

内務省のスポンサー向けガイダンスによると、2025年7月22日より前に施行されていたルールのもとでSkilled Workerの在留許可を得て、それ以降継続してSkilled Workerの許可を持っているシェフは、「同じスポンサーのもとで継続するか、別のスポンサーのもとで働くために」在留許可の延長を申請できます。ただし、職業は引き続き対象となるものでなければなりません。

そのため、この少数の人材は貴重です。スポンサーライセンスを持っていれば、この立場のシェフは貴社に移ることができます。難点は、定住する人、英国を離れる人、許可を失効させる人がいるため、このプールが年々縮小していくことです。既存のスポンサー対象のシェフのビザを、うっかり期限切れにしないでください。許可に空白期間が生じると、経過措置による保護が永久に失われる可能性があります。

現在日本人シェフをスポンサーしているなら、今すぐビザの期限を予定表に記入し、早めに延長手続きを始めてください。海外から後任を呼ぶという選択肢はもうありません。

7. 定住者の採用と自社での育成

外務省によると、2025年10月1日時点で英国に住む日本人は62,270人で、海外で6番目に大きな日本人コミュニティです。その中には、定住資格、英国人のパートナー、長期の在留許可を持つ人もおり、料理人もいます。全員が同時に仕事を探しているわけではないため、一度の大規模な募集よりも、彼らが使う媒体に継続的に求人を出し続けることが大切です。日本人料理人は海外の仕事をどこで探しているかをご覧ください。

もう一つの手段は社内にあります。料理長の後任が日本から新たに来る人しかいないのであれば、その事業は一か所が崩れると全体が止まる状態です。日本人シェフが技術、ソース、包丁の扱いを教える、現地の調理人のための体系的な育成の道筋は、今や「あれば良い考え」ではなく人材戦略そのものです。育成の仕組みの作り方は、現地スタッフへの和食の教え方のガイドで解説しています。

8. ONSのデータに見るシェフの賃金

英国国家統計局(ONS)の年次労働時間・所得調査(ASHE、2025年速報値)によると、英国のフルタイムのシェフの年間総支給額の中央値は£30,010です。ロンドンではこれより高くなっています。

ASHE 2025年速報値(フルタイム)年間総支給額の中央値時給の中央値(残業を除く)
シェフ(5434)、英国全体£30,010この表には記載なし
シェフ(5434)、ロンドン£34,120£15.17
調理人(5435)、ロンドン£24,151£13.41
シェフ(5434)、南東部£30,304£15.10
シェフ(5434)、スコットランド£29,552£14.31

これは日本料理の専門職ではなく、シェフ全体の中央値です。寿司カウンターやおまかせのサービスを任せられるシェフは、この市場のごく一部であり、通常はこれより高い給与を得ています。ONSの数字はオファーの目標ではなく、下限として使いましょう。英国の給与を他国と比較したデータは、寿司職人の国別給与比較にまとめています。

需要がなくなる気配はありません。ONSは2026年7月の宿泊・飲食サービス業の欠員を70,000件と推計しています。また、英国の飲食業について、比較の基準となる公式の離職率統計はありません。

9. 新ルールに合った採用計画

  1. 現在のチームの在留資格を棚卸しする。厨房の英国籍以外のメンバー全員について、ビザの種類と期限を一覧にします。Skilled Workerの経過措置で保護されている人には印をつけておきます。
  2. YMSの採用パイプラインを作る。在籍期間は2年と想定し、今いる人がまだ在籍しているうちに次の人を採用します。重なる期間があることで、技術や知識が引き継がれます。
  3. 上級職は現地の人材で固める。料理長や寿司の責任者は、できれば永住資格を持つ人にし、YMSの人材がそれを支える形にします。逆ではありません。
  4. すでに英国にいる日本人料理人が見る場所に求人を出す。求人は英語だけでなく日本語でも書き、スポンサーはできないと明記して、すぐに働き始められる人からだけ応募が来るようにします。料理人向け求人広告の書き方をご覧ください。
  5. 就労資格確認を毎回きちんと行い、期限付きの許可が切れる前に改めて確認します。
  6. 必要な技能に対してはONSの中央値を上回る給与を払う。貴社で合法的に働ける人には、他の選択肢もあります。

今まさに採用を進めているなら、WashokuJob(レストラン向け)を通じて、日本語を話す料理人に求人を届けることができます。

本記事は2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。英国の移民ルールは頻繁に変わります。行動の前にリンク先のGOV.UKのページを確認するか、登録された専門家にご相談ください。

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