英国・欧州

英国で日本人料理人を雇うには:日本本社と候補者向け

日本の本社や店舗から英国へ料理人を送れない理由(Skilled Worker、企業内転勤、出張)と、出張者にできること、日本人候補者に最初に伝えるべき点を整理。候補者への説明文例つき。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

日本の本社や店舗から、就労ビザで料理人を英国に送ることは現在できません。シェフは2025年7月以降、新規スポンサーの対象外で、企業内転勤(Global Business Mobility)の対象でもないためです。できるのは、30歳以下の候補者がYMSで自ら渡英して英国の店に雇われること、本社の社員が短期訪問で英国の社員を指導すること、駐在員の配偶者が現地で働くことです。

日本本社の海外事業担当者、英国に店舗を持つ日本の飲食企業、日本で候補者と話す店長向けのページです。日本側から見て何ができないか、日本人の候補者に何を伝えるかを扱います。英国側に残る採用の選択肢と手順は英国で日本人シェフを採用する、YMSで雇ったあとの運用はYMS雇用主ガイド、就労資格の確認はスポンサーなしの英国飲食店採用をご覧ください。

目次

  1. 日本から送る場合の可否一覧
  2. 出張で来英する社員にできること
  3. 出店計画への影響と逆算の予定
  4. 日本人候補者に伝えること
  5. 誰が何を払うか
  6. 候補者への説明文(そのまま使える文例)
  7. 今週やること
  8. よくある質問

日本から送る場合の可否一覧

やりたいこと可否理由
本社の料理長をSkilled Workerビザで英国店に送る不可シェフ(SOC 5434)はImmigration Salary ListにもTemporary Shortage Listにもなく、新規スポンサーができない
企業内転勤(Senior or Specialist Worker)で送る不可RQFレベル6(大卒相当)の職が前提。5434はGlobal Business Mobilityの対象外と移民規則に明記。給与も年£52,500以上が必要
出張(一般訪問者)で開店応援として厨房に立ち、料理を出す不可お客様に料理を出すことは訪問者に認められた活動に含まれない
出張で英国店の社員に研修・技術指導をする可同じ企業グループの英国社員への研修・技能共有は認められた活動(PA 5.1)
30歳以下の社員・候補者がYMSで渡英し、英国法人が雇う可YMSは本人のビザで、ほとんどの職で働ける。最長24か月
駐在員の配偶者を英国店で雇う可Senior or Specialist WorkerやSkilled Workerの家族ビザのパートナーは、スポーツ選手・コーチ以外で就労可
2025年7月より前からSkilled Workerの料理人を英国内で採る可英国法人がスポンサーライセンスを持てば移籍できる(在留が途切れていないこと)

注意点がひとつあります。2025年7月22日以降に新たに中技能の職でスポンサーされた人は、原則として国外からパートナーや子を呼べません。駐在員の配偶者を当てにするなら、駐在員本人が大卒相当の職のビザであることが前提です。

出張で来英する社員にできること

本社の料理長や指導役が一般訪問者として来英し、英国店の社員に仕込み、包丁、盛り付け、衛生の手順を教えることはできます(Appendix Visitor: Permitted Activities、PA 5.1「同じ企業グループの英国社員に対する研修、技能と知識の共有」)。

一方、営業中の厨房で客に出す料理を作るのは、認められた活動にありません。「応援」でシフトに入れると、訪問者の条件に反する就労と判断されるおそれがあります。指導は営業時間外か、社員が作る横で教える形にし、出張者の日程表にも研修であることを明記してください。判断が難しい場合は、英国の登録アドバイザーに確認します。

出店計画への影響と逆算の予定

日本から料理長を送れない以上、英国店の料理長は期限のない在留資格を持つ人(永住者、英国人の配偶者など)か、2025年7月以前からのSkilled Workerにするのが安全です。YMSの料理人は24か月で入れ替わる前提で、その下に配置します。開店日から逆算した例です。

開店まで作業
12か月前料理長の採用方針を決める。英国内の候補を探し始める。
9か月前日本でYMS候補者向けの求人を出す(日本語、ビザの説明つき)。
7〜6か月前オンライン面接と実技確認。オファーを出す。
6〜4か月前候補者が資金を28日間保有し、オンライン申請(渡航の6か月前から可、審査は通常3週間)。
3〜2か月前候補者が渡英。就労資格を確認して研修開始。
1か月前本社の指導役が訪問者として来英し、英国の社員に研修(料理の提供はしない)。
開店英国で就労資格を持つ社員だけで営業する。

出店全体の人員計画は海外出店の人員準備スケジュール、出向契約の論点は海外出向の契約書を参照してください。

日本人候補者に伝えること

日本で候補者と話すとき、次の点は最初の面談で伝えてください。後から知ると辞退の原因になります。

誰が何を払うか

費用金額負担
YMSの申請料£340本人(店が払い戻すことは可)
移民健康付加料(24か月分)£1,552(年£776×2)本人(同上)
ビザ関連の合計£1,892
資金証明(使う費用ではなく、保有を示す額)£2,530本人
航空券、当初の住居時期と条件による取り決め次第
内務省に払う雇用主の費用£0—

払い戻しをする場合は、試用期間後に払う、一定期間内に辞めたら返してもらうなどの条件を書面にします。返金があっても、本人の賃金が法定の下限を割らないようにしてください。

候補者への説明文(そのまま使える文例)

日本語:[氏名]様 当店([店名]、[都市])の[職種]のポジションについてご説明します。英国では2025年7月から料理人の就労ビザのスポンサーができなくなったため、ご本人にユース・モビリティ・スキーム(YMS)ビザを申請していただく形になります。申請時に18〜30歳であること、申請前に£2,530の貯金を28日間お持ちであることが条件で、申請料£340と移民健康付加料(年£776)はご本人の負担です[当店が払い戻す場合はその条件]。ビザは最長24か月で延長できず、期間後に当店がビザを出すこともできません。雇用期間は[開始日]から[終了日]まで、給与は年£[金額](週[時間]時間)です。ご家族を同じ申請で同伴することはできません。ご不明な点は[連絡先]までお問い合わせください。

English: Dear [name], here is how the [role] position at [restaurant, city] works. Since July 2025 UK employers cannot sponsor work visas for chefs, so you would apply for a Youth Mobility Scheme (YMS) visa yourself. You must be 18 to 30 when you apply and hold £2,530 in savings for 28 days before applying. The £340 fee and the health surcharge (£776 a year) are paid by you [unless we reimburse them, on these terms]. The visa lasts up to 24 months, cannot be extended, and we cannot sponsor you afterwards. Employment runs from [start] to [end], at £[salary] a year for [hours] hours a week. Family members cannot join you on the same application. Questions to [contact].

今週やること

  1. 英国店の料理長とその候補について、在留資格と期限を確認する。
  2. 出張者の予定を見直し、営業中の厨房で料理を出す予定があれば研修に切り替える。
  3. 上の説明文を自店の条件で埋め、日本での求人に添える。
  4. 英国側の採用担当と、24か月ごとの入れ替え計画を共有する。

期限のある数値:YMSの申請料・健康付加料・資金額、Skilled WorkerとGlobal Business Mobilityの給与基準(GOV.UK、手数料や規則の改定で変わる。改定は4月が多い)、全国生活賃金(毎年4月)、ONSのASHE(暫定値は毎年秋)。2026年9月27日確認。

よくある質問

日本の本社から料理長を英国の店に異動させられますか。

就労ビザではできません。シェフはSkilled Workerの新規スポンサーの対象外で、企業内転勤(Senior or Specialist Worker)もRQFレベル6の職と年£52,500以上が前提のため使えません。

開店の応援で、出張者が厨房に入ってもよいですか。

英国の社員に研修や技術指導をすることは、同じ企業グループ内であれば訪問者に認められています。お客様に料理を作って出すことは認められた活動に含まれないため、シフトに入れないでください。

30歳を超えた料理人を英国で働かせる方法はありますか。

日本から新たに呼ぶ方法は、現時点ではほぼありません。英国ですでに就労資格を持つ人(永住者、配偶者ビザ、駐在員の家族など)を現地で採用するのが現実的です。YMSは申請時30歳までです。

YMSの料理人は2年後もそのまま働けますか。

働けません。日本国籍者はYMSを延長できず、2回目の利用もできません。シェフとしてスポンサーすることもできないため、24か月で入れ替わる前提で計画してください。

候補者のビザ費用を会社が払ってもよいですか。

払えます。YMSの費用は本人負担が原則ですが、店が払い戻すことは禁止されていません。条件と早期退職時の扱いを書面にしてください。

本記事は2026年9月27日に英国政府(GOV.UK、ONS)と外務省の公開情報を確認して作成した一般的な情報であり、法務・移民に関する助言ではありません。英国の移民規則は頻繁に変わります。個別の案件は英国の登録移民アドバイザー(OISC登録)または弁護士にご相談ください。

出典

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