就労ビザ

英国YMSで日本人料理人を雇う:雇用主ガイド

年6,000人、2024年から抽選なし、最長24か月。英国の飲食店がユース・モビリティ・スキームで日本人料理人を雇う方法と、就労資格確認の進め方。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 和食店にとってこのビザが重要な理由
  2. 日本国籍者向け制度の概要(一覧表)
  3. 日本は抽選なし
  4. 候補者が負担する費用、雇用主が負担する費用
  5. YMS保持者にできること・できないこと
  6. 就労資格の確認(Right to work check)
  7. 日本在住の候補者に内定を出すタイミング
  8. 2年間の終了に備える

ユース・モビリティ・スキーム(Youth Mobility Scheme、以下YMS)は、現在、日本の若手料理人が英国のレストランで働くための主要な合法ルートです。スポンサーライセンスも、スポンサーシップ証明書(Certificate of Sponsorship)も、給与の下限もありません。その一方で、終了日と年齢制限がはっきり決まっており、通常の採用と同じ感覚で扱うと22か月目あたりで行き詰まる店が少なくありません。本記事では、日本国籍者に適用されるルールと、雇用主が実際に行うべきことを整理します。

1. 和食店にとってこのビザが重要な理由

2025年7月22日以降、シェフ(SOC 5434)は中位技能職種(medium skilled occupation)に区分され、移民給与リスト(Immigration Salary List)にも一時的人手不足リスト(Temporary Shortage List)にも掲載されていません。そのため、初めて英国に来るシェフをレストランがスポンサーすることはできません。背景については2025年以降に英国で日本人シェフを雇う方法をご覧ください。

YMSはこの制度の枠外にあります。ビザは雇用主ではなく本人に帰属し、ほとんどの職種で働くことができます。和食店にとっては、大阪の寿司店で5年経験を積んだ25歳の料理人を、内務省(Home Office)に何も届け出ることなくカウンターに立たせられる、ということです。

2. 日本国籍者向け制度の概要(一覧表)

項目ルール(2026年9月時点)
日本の年間割当数6,000人
抽選日本は対象外。招待制(invitation to apply)を採るのは香港、インド、台湾のみ
年齢申請時に18〜30歳(ビザ開始時点で30歳を超えていても可)
期間最長24か月
申請料£340
移民保健サーチャージ(Immigration Health Surcharge)通常、年£776
必要な預金£2,530を28日間保持
申請時期渡航の最大6か月前から。審査結果は通常3週間以内
申請できない人扶養する18歳未満の子どもがいる人、過去にこの制度を利用したことがある人

3年目への延長が認められているのはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドの国籍者です。GOV.UKは日本をその対象に挙げていないため、日本人の採用では24か月が上限と考えてください。

3. 日本は抽選なし

2024年初めまで、日本人の申請者は抽選に登録し、当選を待つ必要がありました。英国政府と日本政府は2024年2月1日、2024年1月31日から日本国籍者は「抽選への関心登録が不要になる」と発表し、いつでも申請できるようになりました。同時に日本の割当数は年6,000人に拡大されています。

雇用主にとってこれは大きな変化です。抽選で誰が当たるかを待つのではなく、特定の人を特定の開始日に合わせて採用できるようになりました。2026年8月3日に更新された移民規則の付則(appendix)でも、日本は6,000人、招待制の要件なしとされています。

4. 候補者が負担する費用、雇用主が負担する費用

ビザ費用は申請者本人の負担です。申請料£340、保健サーチャージ年£776(2年で約£1,552)に加え、£2,530の預金証明が必要です。日本の厨房の給与水準で働く料理人にとっては、かなりの金額です。

雇用主が費用を負担する義務はありません。それでも負担する店は多く、候補者の幅が広がり、本気度も伝わるためです。よくあるのは、試用期間後のビザ申請料の払い戻し、初月給与の前払い、最初の数週間分の住居費の負担といった方法です。払い戻しをする場合は、早期退職した場合の扱いも含めて条件を書面にしておきましょう。一般的な項目はリロケーションパッケージのガイドにまとめています。

雇用主が内務省に直接支払う費用はゼロです。スポンサーライセンスも、スポンサーシップ証明書も、移民技能負担金(Immigration Skills Charge)もかかりません。

5. YMS保持者にできること・できないこと

GOV.UKによれば、YMS保持者はほとんどの職種で働けます。実務上問題になる除外はプロスポーツです。自営業も可能ですが、賃借した場所で、設備が£5,000未満、従業員を雇わないことが条件です。

この自営業の制限は、業務委託を前提にした運営をしている場合に関係します。YMS保持者が自分で寿司ケータリング会社を立ち上げて手伝いを雇うことはできません。自店の給与台帳に載る通常の従業員であれば問題ありません。

給与は少なくとも全国生活賃金(National Living Wage。2026年4月から21歳以上の労働者で時給£12.71)を支払い、税金、年金の自動加入(auto-enrolment)、有給休暇について他の従業員とまったく同じように扱う必要があります。

6. 就労資格の確認(Right to work check)

初出勤の前に、その人が英国で働く権利を持っていることを確認しなければなりません。GOV.UKが示す方法は3つで、申請者から受け取るシェアコードを使ったオンライン確認、原本書類の手作業による確認、書類検証技術を使う本人確認サービス事業者(identity service provider)の利用です。YMS保持者の場合は、オンラインのシェアコード確認が一般的です。

確認の記録は日付入りで保管してください。YMSの在留許可には期限があるため、期限が切れる前に再確認が必要です。適切な確認をせずに雇用した場合、不法就労者1人につき最大£60,000の民事制裁金が科されます。就労資格がないと知りながら雇用することは刑事犯罪で、最長5年の禁錮と上限なしの罰金の対象になります。

内務省は2026年に、就労資格確認に関する雇用主向けガイドの改訂案を公表しました。確定するまでは現行のガイダンスに従い、採用のたびにGOV.UKを確認してください。

7. 日本在住の候補者に内定を出すタイミング

日本から採用する場合の一般的な流れは次のとおりです。

  1. オンラインで面接します。できれば実技を組み込みましょう。遠隔採用での料理人の実技テストのガイドもご参照ください。
  2. 開始日、勤務時間、給与、リロケーション支援の内容を記した内定通知を書面で送ります。ビザ申請には不要ですが、候補者が判断するために必要です。
  3. 候補者は渡航の最大6か月前からオンラインで申請します。預金を保持すべき28日間と、その後通常3週間以内の審査期間を見込んでおきます。
  4. 到着後、本人がシェアコードを取得し、雇用主は初日までにオンライン確認を行います。

現実的には、内定から初出勤まで2〜3か月を見ておきましょう。

8. 2年間の終了に備える

YMSは再利用できません。また、シェフは新規のSkilled Worker入国者の対象職種ではないため、自店でのスポンサー雇用に切り替えることもできません。24か月が終わると、英国籍または定住資格を持つパートナーがいるなど別の在留根拠がない限り、本人は帰国することになります。

役に立つのは次の3点です。

YMSでの渡英を計画している人も含め、日本人料理人にはWashokuJobの求人掲載からアプローチできます。

本記事は2026年9月に公的情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民に関する助言ではありません。費用やルールは変更されることがあります。実行前にGOV.UKで確認してください。

出典

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