採用の進め方

海外和食店の開店前16週間の採用スケジュール

海外で和食店を開く前の最後の16週間の人員計画を週単位で解説。法律で決まったリードタイム、シフトからの必要人数の割り出し、職種別の採用順、開店が遅れやすいポイント。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. このタイムラインの対象
  2. 短縮できないリードタイム
  3. 必要人数の割り出し方
  4. 職種別の採用の順番
  5. 開店前16週間の進め方
  6. 開店が遅れやすいポイント

海外で和食店を新たに開く場合、多くは日本や本社から来る少数の料理人を中心に、開店前の数か月で採用する大人数の現地チームを加えて開店を迎えます。中心となるメンバーのスケジュールはビザで決まり、これについては海外出店時の人材計画で解説しています。本記事はその後の部分、つまり残りのスタッフをどの順番で採用するか、そして開店日までの最後の16週間を週単位でどう進めるかを扱います。

1. このタイムラインの対象

開店16週間前の時点で、次のことが済んでいる前提です。

16週間前の時点で料理長のビザ手続きが始まっていなければ、開店日は危ういと考えるべきでしょう。日本人料理人のビザスポンサーと各国別ガイドをご覧ください。

2. 短縮できないリードタイム

法律で最低限の期間が決まっている手続きがあります。まずそれを計画に入れ、そこから逆算してください。公的な情報源で確認した例は次のとおりです。

手続き最低限必要な期間
カナダ低賃金区分のLMIA申請前の求人広告連続8週間(2026年7月9日から)。高賃金区分は4週間。低賃金区分の申請は、処理拒否リストに載った都市では処理されず、2026年7月10日〜10月8日のリストにはトロント、モントリオール、バンクーバー、カルガリー、エドモントン、オタワが含まれる
オーストラリアSkills in Demand(482)ビザの指名前の労働市場テスト指名前4か月以内に、それぞれ4週間以上掲載した求人広告を2件
米国H-2B(季節的・繁忙期の需要に対する臨時の調理スタッフ)必要日の60日以上前に適正賃金の申請(ETA-9141)、必要日の75〜90日前に労働認定を申請
マレーシア外国人駐在員サービス部(ESD)の手続き公表されている処理期間:会社登録5営業日、MYFutureJobsでの求人掲載10営業日、その後に支援レターと雇用パスの審査
英国食品事業の登録営業開始の28日以上前
シンガポール食品を扱うスタッフの研修食品を扱う前にFood Safety Course Level 1に合格し、SFAに登録
オーストラリア食品安全監督者(FSS)所定の食品取り扱い作業を始める前に認定FSSを任命

それぞれの詳細と出典はLMIAの手順オーストラリアでの採用飲食店の調理スタッフとH-2Bビザマレーシアでの採用海外の食品衛生資格をご覧ください。なお英国では、現在、海外からの料理人の新規スポンサーは事実上できないため、すでに就労資格を持つ人材を前提に計画してください(スポンサーなしでの英国飲食業の採用参照)。

3. 必要人数の割り出し方

和食店の客数あたりの人員について公的な基準はなく、本記事でも目安は示しません。人数からシフトを組むのではなく、シフトから人数を割り出してください。

  1. 持ち場を書き出す。寿司カウンター、冷菜、火場(揚げ場、焼き場、煮方)、仕込み、洗い場、デシャップ。ホールは案内係、フロア、バー。
  2. 営業ごとに各持ち場に誰が必要かを書き込む。満席時ではなく、最初の3か月に見込む客数で考えます。
  3. シフトを週あたりの時間に換算し、現地の労働時間のルールと約束する休日数に基づいて、フルタイム換算の人数に直します。
  4. 余裕を加える。病欠、休暇、研修の分です。新しいチームは、全員がメニューを覚えるまでの最初の数週間、さらに人手が必要になります。
  5. 訓練を受けた日本人料理人しかできない役割に印を付ける。魚をおろす、カウンターで握るなど。1人しかできない仕事があるなら、その人の休日の対応策が必要です。

シフトぴったりではなく、少し多めに採用しましょう。入社しない人も、最初の数週間で辞める人もいます。開店後3回目の土曜日に持ち場を1つ閉めるより、調理スタッフを1人多く抱えて開店期を乗り切るほうが安く済みます。

4. 職種別の採用の順番

  1. 料理長と総支配人(開店の12か月以上前。ビザが絡む場合は特に)。その後のすべてを形づくる人たちです。
  2. 料理長の休みの日に厨房を回せる二番手・副料理長。
  3. スーパーバイザー:フロアマネージャー、バーの責任者、そして現地語が堪能で両チームの橋渡しができる厨房のスーパーバイザー(日本人と現地スタッフの混成厨房参照)。
  4. 専門職:寿司職人、酒ソムリエ、パティシエ。
  5. ラインと仕込みの調理スタッフ。
  6. ホールスタッフ。
  7. キッチンポーターと洗い場スタッフ。最後になりますが、欠かせない存在です。この人たちがいなければ厨房は止まります。

各職種の説明は和食の厨房の職種解説ホールスタッフの採用をご覧ください。

5. 開店前16週間の進め方

開店までの週人員に関する作業
16〜13週前料理長と支配人の着任日を確定。最終的なシフトと必要人数を決定。全職種の給与の幅を決める。現地語と日本語で求人広告を作成。食品衛生講座と管理者試験を予約。スーパーバイザー職の募集を開始。
12〜9週前スーパーバイザーと専門職の料理人の面接・実技試験。ライン、仕込み、ホールの募集を開始。雇用契約書とスタッフハンドブック(ユニフォーム、包丁、ハラスメント防止方針)を準備。給与計算の仕組みを整える。
8〜6週前ラインとホールのスタッフに、4〜3週前を着任日として内定を出す。ユニフォームと店の包丁を発注。写真付きの厨房用語集とレシピカードを作る。全採用者の就労資格書類を確認。
5〜4週前スーパーバイザーが着任。食品を扱う前に研修が必要な人の食品衛生研修を完了。中心メンバーでレシピの試作。開店時のシフトを確定。
3〜2週前全員が着任。オリエンテーション:衛生、ユニフォーム、安全、ルールブック。持ち場ごとの研修。ホールスタッフが全料理を説明できるよう試食会。模擬営業。
1週前客数を絞ったプレオープン(関係者・知人向け営業)。毎日の振り返り。学んだことに合わせてシフトを調整。来なかった人の補充。
開店と開店後1〜4週最初は客数を絞る。新しいスタッフと毎日話す。1か月目の終わりに最初の試用期間面談(試用期間の評価参照)。

6. 開店が遅れやすいポイント

費用については海外での和食人材採用のコストを、求人広告そのものについては日本の料理人向け求人票の書き方をご覧ください。

本記事は一般的な情報であり、法務・入国管理に関する助言ではありません。掲載したリードタイムとルールは2026年9月に確認したもので、変更されることがあります。開店日を決める前に関係当局にご確認ください。

出典

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